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ショートレビュー「少女は卒業しない・・・・・評価額1700円」
2023年03月02日 (木) | 編集 |
少女たちよ、大人への道を走り出せ!

期待を上まわる素晴らしい仕上がりだ。
とある田舎町の高校を舞台に、卒業式の前日と当日を描く二日間の物語。
錚々たる若手スターを多数輩出し、2010年代を代表する青春映画の伝説となった、「桐島、部活やめるってよ」で知られる朝井リョウの連作短編小説を、短編映画「カランコエの花」が高く評価された俊英・中川駿がメガホンを取って映画化。
「桐島」同様の学園群像劇だが、本作では七本の短編から登場人物を絞り込み一本に脚色、卒業を控えた高校三年生の女生徒四人が軸となる。
軽音楽部の部長で卒業コンサートを仕切る神田杏子は、中学からの同級生でなぜか歌わなくなってしまった森崎に想いを寄せている。
心理学の道を志し東京の大学に進学するバスケ部の後藤由貴は、地元に残る彼氏の寺田との関係が気まずい感じに。
クラスに馴染めず、友達がいない作田詩織にとっては、ほのかな憧れを抱く坂口先生が管理人を務める図書室が学内唯一の憩いの場。
卒業生代表として答辞を読む予定の山城まなみは、そのためにある辛い記憶に向き合うことになる。

異なる想いを抱え込んだまま伝えられない、彼女たちの葛藤は側から見たら小さくて、でもそれぞれの中ではとても重要。
中学からの6年間、ずっと森崎を見守ってきた杏子は、なぜかメタル版コールデンボンバーみたいな当てぶりバンドをやってる彼に再び歌って欲しくて、でも今さら「好き」が言い出せない。
自分の夢のために東京行きを決意した由貴は、別れに別れになることに納得できていない寺田に、どう接していいのか分からない。
坂口先生に学校での居場所をもらった詩織は、彼に対する好意はあるが、それがどんなものなのか自分でもよく分かっていない。
そしてまなみは、一番想いを伝えたい人にもう会うことが出来ないのである。

彼女らが問題に向き合う二日間の学園は、何かが終わりを迎える節目感に満ちている。
人生で一度しか経験できない輝かしい時間はもうほとんど残されていないのに、次に進む準備はまだ出来ていない。
田舎町なんて、この時期までは学校がほとんど世界の全てで、生徒たちは外の世界を知らない。
大人になるのは不安。
もう少しだけ、大人でもなく子供でもない曖昧な時間に浸っていたい、だから「卒業なんてなければいいのに!」という叶わぬ叫びが虚しく響く。
彼女らの代で校舎が解体される設定も、移ろいゆく世界観をより強める。
四者四様の葛藤が深まり「今」が「過去」になってゆく過程で、隠れていた大きな傷が浮かび上がってくる。

四人の中で一番重い問題を抱えた、まなみ役の河合優実が凄みすら感じさせる見事な名演。
杏子役の小宮山莉渚、由貴役の小野莉奈、詩織役の中井友望もまるで当て書きされたかの様に役柄にピタリとハマる。
四人の少女は、ちゃんと自分の問題に向き合い、高校生の自分を卒業することができたが、彼女たちだけでなく、サブのキャラクターも総じて好印象で、特に由貴の親友役の坂口千晴と軽音部の後輩役の田畑志真がクッキリとした爪痕を残した。
青春のキラキラを強調するのではなく、心の中の静かで激しい葛藤を丁寧に掬い取った中川監督の演出が光る。
ちょっとだけ残念に思ったのが、杏子が歌わせたがっていた森崎のアカペラ。
森崎を演じた佐藤緋美のキャラ自体は良かったが、今の高校生を「ダニー・ボーイ」で沸かせられるとは思えないのだが。
他にも脚色の過程で抜け落ちてしまった部分はあるが、朝井リョウの映画化では「桐島」にも勝るとも劣らない仕上がり。
リリカルでノスタルジック、痛くて切ない令和の青春映画の傑作だ。

甘酸っぱい青春で胸いっぱいなので、今回は「アプリコット・クーラー」をチョイス。
アプリコット・ブランデー45ml、レモン・ジュース20ml、グレナデン・シロップ1tspを、シェイクしてグラスに注ぎ、冷やしたソーダで満たす。
フルーティで喉越しスッキリ、アルコール度も低いのでお酒に弱い人でも飲みやすい。
四人の中では、杏子とか結構強そうになりそうな予感。

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