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シン・仮面ライダー・・・・・評価額1650円
2023年03月19日 (日) | 編集 |
昭和meets令和。

2016年の「シン・ゴジラ」に端を発する、庵野秀明の「シン」シリーズ第四弾。
今回は誰もが知る昭和のヒーロー、石ノ森章太郎原作の初代仮面ライダーをリメイクした、「シン・仮面ライダー」だ。
前作の「シン・ウルトラマン」では盟友の樋口真嗣がメガホンを取ったが、本作ではシリーズ最高の興行収入102億超えを達成した「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇」以来、庵野秀明自身が監督・脚本を務める。
超オタク監督らしく、オリジナルTVシリーズと原作漫画への過剰なほどのリスペクトとオマージュたっぷり。
限りなくファンメイド・ムービーに近い、大怪作となった。
オリジナルでは藤岡弘と佐々木剛が演じた、仮面ライダー1号・本郷猛と仮面ライダー2号・一文字隼人に池松壮亮と柄本佑。
そしてヒロインの緑川ルリ子を、浜辺美波が演じる。
※核心部分に触れています。

本郷猛(池松壮亮)と緑川ルリ子(浜辺美波)は、人類救済を掲げる非合法組織SHOCKERを脱走して彼らに反旗を翻す。
しかし、裏切り者を許さないショッカー上級構成員の昆虫合成型オーグメント、クモオーグ(VC.大森南朋)は、脱走を主導したルリ子の父、緑川弘(塚本晋也)を殺害しルリ子を奪還する。
直後に本郷猛は、桁外れの身体能力を持つバッタオーグの能力を覚醒。
クモオーグを倒しルリ子を救い出した本郷は、“仮面ライダー”を名乗る。
隠れ家にたどり着いた二人の元を、政府の男(竹野内豊)と情報機関の男(斎藤工)が訪れ、SHOCKER殲滅のため協力関係となることを持ちかける。
二人は次なる敵としてSHOCKER生化学主幹研究者、コウモリオーグ(手塚とおる)と戦う。
一方、ルリ子の兄である緑川イチロー(森山未來)は、本郷猛を倒すために彼と同じ能力を持つバッタオーグ2号として、一文字隼人(柄本佑)を送り込んで来る・・・・


冒頭、いきなりSHOCKERを脱走した本郷とルリ子が、クモオーグ率いる追撃隊とバトルを繰り広げる。
拘りが無いのか、狙ってやってるのか(たぶん後者だと思うが)、割と安めのカメラ使ってるし、相変わらず映像の仕上げはノイジーで荒い。
それもあって、作品のルックはオリジナルのテレビシリーズに近く見える。
世界観やリアリティラインも昭和ライダーに寄せているので、一連の「シン」の中でも一番昭和のB級プログラムピクチュアっぽくなっている。
なにしろ小屋ごと爆破されているのに、中にあったはずのサイクロン号は埃ひとつ被っていないし、アクションが始まると都合のいい場所にポンポンとロケーションが飛ぶ。
物語の展開も、基本的には単純だ。
怪人改め、SHOCKER上級構成員の昆虫合成型オーグメントと戦って倒しては、隠れ家で休息するの繰り返しだが、これも毎回同じパターンを繰り返す、オリジナルを踏襲しているのだろう。
全体的には「シン・ウルトラマン」と同じく、テレビ版を5〜6話繋げたような構成になっている。
もちろん、週一回30分のテレビ番組と2時間の映画では方法論が違うので、工夫はしているのだが、なるべくオリジナルをリスペクトしたリメイクにしたいというのは伝わってくる。

つまり本作は、テレビの昭和ライダーをベースとして、石ノ森章太郎の原作漫画を庵野秀が再解釈したハイブリッド版
その意味で、古きと新しきがミックスされた「シン」の名に相応しいものになっている。
基本的なプロットは、テレビシリーズに漫画版を組み合わせたものだが、後半に行くに従って漫画版の要素が強くなる。
テレビシリーズでは、ある日突然ライダー1号が出なくなって、ライダー2号が登場したのだが、これは主演の藤岡弘が、撮影中の事故で負傷したことによる苦肉の策だった。
一応、1号は海外に戦いに行ったことになっていたが、子供心に「え?そんなんあり?」と思ったのを思い出す。
漫画版では、本郷を倒すために作られた一文字が、頭を撃たれたことによって洗脳が解け、偽ライダーの集団に殺された本郷の遺志を継いでライダー2号となる。
本作の終盤のプロットは、漫画版の流れを再構成したものだが、陰キャの本郷と陽キャの一文字という、テレビシリーズでの両者のコントラストも踏襲されている。
また漫画版では本郷の脳だけが救われてカプセルの中で保存され、2号のヘルメットと繋がっているが、本作では本郷の意識が2号のヘルメットの中に保存されている設定。
ヘルメットは映像で遺言を残せたり、かなりアイアンマンの影響が見られるのが可笑しい。

ルックは昭和ライダーにかなり近いと書いたが、デザイン、ギミック的にはさすがアニメーション監督の作品だけあって、極めて高度にブラッシュアップされている。
何よりもライダーベルトへの吸気から変身のフォーメーションは、素晴らしい仕上がり。
マーベルみたいに、何もないところからガチャガチャとスーツが出てきちゃうのは、この世界観には合わないだろうがが、普通のヘルメットが多段階変形してあの形になるのは素直に「おおっ!」と思った。
ライダースーツもあくまでも防護服で、着っぱなしにしてると臭うなど、地に足をつけた土くさいヒーローものとしてアリだと思う。
特筆すべきはサイクロン号のデザインで、スチルで見た時はフーンという感じだったが、これが動くと無茶苦茶かっこいいのである。
予告編段階で物議を醸したLED怪人、もといオーグも本作の設定上はフィットしている。
ところでハチオーグの西野七瀬は素顔のシーンも多くてなかなかキュートだったが、サソリオーグの長澤まさみは本人的にはアレでいいのか?(笑
まあ、ゲスト出演的な枠だったんだろうけど。

しかし「仮面ライダー」から「シン・仮面ライダー」への変化の中で、最も作家性が出ているのがSHOCKERのNERV化だろう。
オリジナルでは世界征服し、人類の自由意志を奪って奴隷化しようとする悪の組織だったが、本作ではマッドサイエンティストが作り出したAIによって、人類の究極の幸せを追求する組織となっている。
なにせネーミングも「Sustainable Happiness Organization with Computational Knowledge Embedded Remodeling(持続可能な幸福を目指す愛の秘密結社)」なのだ(笑
要するにこれは、人類補完計画シーズン2
「シン・エヴァ」で既に結論が出てる話なので描き込みも浅いし、ぶっちゃけ「他に悪のモチーフ思いつかないの?」と思ってしまったが、まあこの作家らしいと言えばそうかもしれない。
オリジナルではただのお嬢様だった緑川ルリ子も、SHOCKERのNERV化に伴い、緑川博士によって人工子宮で作られた生体電算機で、目から脳へ情報をインストール出来るという設定。
「私は用意周到なの」が口癖のツンデレなルリ子様は、アスカと綾波を足して2で割って、ミサトさんのスパイスをかけたような2.5次元キャラクターだった。
演者の浜辺美波が持ってる資質もあるんだろうが、ここまで漫画っぽいキャラクターを実写で実現してしまうのも、いかにもなところだ。

もっとも、本作を観ると「シン・ゴジラ」の怪獣を3.11のメタファーとするというアイディアが、いかに秀逸だったのかと改めて思う。
震災から5年、まだ日本人全ての記憶に新しかった、完全なる恐怖と絶望が怪獣の姿で帰ってくる。
我々=日本=現実はあの時失敗したが、「本来はこうあるべきだった、こう出来たはずだった」という理想形を、ゴジラという虚構との対立を通して見せてくれるのが「シン・ゴジラ」であり、だからこそあんなにマニアックな映画が大ヒット作となり得たのだ。
庵野秀明自身がゴジラにあまり興味がなかったからこそ出来た改変だろうが、以降の「シン」シリーズはベースとなる世界観が圧倒的に狭い。
庵野秀明の個人的心象映画である「シン・エヴァ」はともかく、「シン・ウルトラマン」や本作は、社会的なベースがほぼ無いために、良くも悪くもオタクの自己満足感が強くなり訴求できる層が狭い。
可能な限りオリジナルをリスペクトするスタイルも、昭和ライダーのドンピシャ世代としては馴染み深いが、ある意味「シン・ウルトラマン」以上にファンメイドムービー的でもあり、この作家への好き嫌いは強烈に出そうな気がする。
個人的にはB級っぽい部分も含めて十分楽しんだが、これを勧められる人は限定されると思う。

ビジュアル的にも素晴らしい部分がある一方、例えば偽ライダー軍団とのトンネル内の戦いなどは、暗すぎる上にカットを細かく割りすぎて何が起こっているのかよく分からず
同じことは、イチローが変身したボスキャラの仮面ライダー0号との戦いにも言え、全体に暗いシーンになると、演出的な不得手が目立ってしまうのは残念なポイント。
ところでAIであるSHOCKERの現実世界での端末として、ロボット刑事Kが出てきたのには驚いた。
ついでにKの前の型のJなんて、モロにキカイダーっぽいデザインじゃないか。
そういえば、本作のボスキャラのイチローというのも、キカイダー01の人間態の名前だし。
もしかすると東映(もしくは庵野秀明)は、石ノ森ユニバースを考えてるのか?
石ノ森章太郎は単独でユニバースを作れるほどキャラクターを残しているし、彼の作品を「シン◯◯」としてユニバース化するのは案外面白いんじゃないだろうか。
日本でやろうとすると、資金が問題になりそうだが。
さて、実際に次の「シン」は何になるんだろう。

今回は、石ノ森章太郎の出生地に近い宮城県石巻の地酒、平孝酒造の「日高見 芳醇辛口純米吟醸 弥助」をチョイス。
弥助とは花柳界で寿司を指す言葉だが、源平合戦で落ち延びた平維盛がなぜか寿司屋に逃げ込み、咄嗟に弥助という偽名を名乗ったという故事に因むとか。
なるほど、確かに純米吟醸酒としては辛口で魚介類との相性がよく、寿司や刺身に合わせると盃が進むだろう。

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