fc2ブログ
酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。ネット配信オンリーの作品は★5つが満点。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ショートレビュー「岸辺露伴 ルーヴルへ行く・・・・・評価額1650円」
2023年05月29日 (月) | 編集 |
黒い絵に隠された秘密を解け!

荒木飛呂彦原作の大ベストセラー「ジョジョの奇妙な冒険」から生まれたスピンオフ、「岸辺露伴は動かない」シリーズ。
人間を本にして、その記憶を予読むことが出来るスタンド「ヘブンズ・ドア」の使い手、人気漫画家の岸辺露伴を主人公としたシリーズは、2020年から2022年にかけて8話がNHKでドラマ化され好評を博したが、本作は満を持しての映画版。
監督の渡辺一貴、脚本の小林靖子ほかメインスタッフは続投。
岸辺露伴はもちろん高橋一生が演じ、飯豊まりえ演じる編集者の泉京香との迷コンビも健在だ。
※核心部分に触れています。

本作の原作「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」は、ルーヴル美術館がルーヴルをモチーフにした、オリジナルのバンデシネ(コミック)を制作するプロジェクトの中で生まれたという。
フランスは日本の漫画のヨーロッパ最大の輸出市場で、ルーヴル側が日本からの参加を熱望し、荒木飛呂彦が応じたことから実現したというから、これはメタ構造を持ったスピンオフのスピンオフなのだ。
今回、露伴が挑むのはルーヴル美術館に所蔵されているという、250年前に山村仁左衛門という日本人絵師が描いた「この世で最も黒く、邪悪な絵」である「月下」の謎。
この絵は露伴が10代の頃の、初恋の記憶と密接に結びついている。

原作は120ページほどの中編なので、ボリューム的には1時間のドラマでも描けるのでは?と思ったのだが、脚色で謎解きと背景の要素を大幅に膨らませ、ミステリアに展開する。
終わってみれば、なかなかに充実した「映画」になっているのだからさすがだ。
「ジョジョの奇妙な冒険」は三池崇史監督でも実写映画化されているが、コスプレショー然としたビジュアルは賛否両論だった。
逆に本作は「ジョジョ」色を薄めて、スピンオフだけの世界観にしたのが大正解だ。
スタンドという超常の力は抑えているものの、漫画的にエキセントリックなのは露伴先生だけ。
ルックスもキャラクターを特徴付けるのはギザギザのヘアバンドの一点のみで、過度に漫画に似せようとしてコスプレショー化することを防いでいる。
特筆すべきは原作シリーズでは一回しか出てこない泉京香を、露伴のバディとしてレギュラー化した隻眼。
飯豊まりえ演じる京香は、あらゆる点で露伴とは対照的な天然癒し系で、基本この二人の掛け合いで物語が展開するので、全体に心地よいリズムが出た。

小林靖子による脚色は、原作プロットの骨子をキープしながら、フランス人画家ルグランが描いたもう一枚の黒い絵「ノワール(黒)」のエピソードを加え、そこから10代の頃の露伴に黒い絵の存在を教えた不思議な女性、奈々瀬との思い出に誘い、なぜ「ノワール」が日本にあるのかを巡るミステリから、ルーヴルへと持って行く。
そして「月下」に秘められた力が明らかになった後で、どの様な経緯で世界で一番黒く、邪悪な絵が誕生したのか、奈々瀬は本当は何者なのかを「ヘブンズ・ドア」が解き明かす。
このエピソードのウェットさも相まって、全体のムードは荒木飛呂彦というよりは、江戸川乱歩や横溝正史ら昭和の怪奇ミステリのような味わいとなっている。

「月下」に使われている本当の黒は、全ての光を吸収するために見ることが出来ない。
逆に絵を見ようとした者の過去の後悔や罪の意識、大昔の血縁者の罪までをも映し出し、呪いとして襲ってくる。
見てはいけないと言われると、どうしても見たくなってしまうもので、この絵はずっと人の血を吸い続けて来たのである。
露伴は「血脈からは逃れられない」と語るが、自分が預かり知らない血族の行為が巡り巡って主人公に災難をもたらすのは他の「ジョジョ」シリーズでも見られる。
絵の呪いを止める役割に露伴が選ばれた理由を含めて、この作者らしい世界観なのだろう。
「ノワール」を露伴から盗んだ男や、ルーヴルで山村仁左衛門を調べた研究者が、本物の「月下」を見ていないのに呪いを発動しちゃったのはなぜ?とか、幾つか疑問はあるが、いずれにしても作り手のセンスの良さが光り、漫画の実写化として十分成功した作品だと思う。
久しぶりにドラマ版を再度観たくなったが、映画公開記念に地上波再放送しないのだろうか。

今回は、後半の舞台となるルーヴルから、「パリジャン」をチョイス。
ドライ・ジン30ml、ドライ・ベルモット20ml、クレーム・ド・カシス10mlをステアして、グラスに注ぐ。
美しいルビー色のカクテルで、クレーム・ド・カシスとドライ・ベルモットの濃厚な色と香理を、清涼なジンがまとめ上げる。
アペリティフとしても人気の、やや甘めのカクテルだ。

ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ボンベイ ドライ ジン 40度 700ml
価格:978円(税込、送料別) (2023/5/29時点)




[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

岸辺露伴は動かない【Blu-ray】 [ 高橋一生 ]
価格:5,376円(税込、送料無料) (2023/5/29時点)



スポンサーサイト