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ゴジラ -1.0・・・・・評価額1800円
2023年11月04日 (土) | 編集 |
戦争は、ゆるしてくれない。

「シン・ゴジラ」の衝撃から7年。
レジェンダリーのモンスター・ヴァースの諸作品や、遙か未来の世界を舞台としたいわゆる「アニゴジ」三部作、Netflixで配信された「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」を経て、久々に日本で作られれる実写映画。
昭和22年、戦争の惨禍で何もかも失い、疲弊し切った終戦直後の日本に、突如として巨大未確認生物・呉璽羅(ゴジラ)が襲来する。
日本製としては節目の30本目の作品となり、シリーズ70周年の記念作品でもある。
西武園ゆうえんちの「ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦」を手がけ、過去にも「ALWAYS 続・三丁目の夕日」の冒頭で、ゴジラを登場させている山崎貴監督が、満を持して本編のメガホンを取った。
主人公の敷島浩一を演じる神木隆之介をはじめ、浜辺美波、安藤さくら、吉岡秀隆ら、過去の山崎作品からキャストが結集。
山田裕貴や佐々木蔵之介も参加し、オールスターキャストの豪華な布陣となった。
人間を噛み砕き踏み潰す、史上最も恐ろしいゴジラであり、新たな歴史を切り開く大傑作だ。
※ラストに触れています。完全ネタバレ注意。

太平洋戦争末期。
特攻隊員の敷島浩一(神木隆之介)は、零戦の不調を理由に大戸島の飛行場に着陸するが、整備兵の橘宗作(青木崇高)に機体に故障は無いと指摘される。
その夜、島民から呉璽羅(ゴジラ)と呼ばれている恐竜のような生物が飛行場を襲撃し、整備隊は橘を残して全滅し、敷島はからくも生き残る。
二年後、復員した敷島はひょんなことから出会った大石典子(浜辺美波)と、空襲で死んだ母親から彼女に託された明子という幼子と暮らしているが生活は苦しく、新生丸という船に乗り組み危険な機雷処理の仕事をしている。
そんな頃、太平洋の海中を謎の巨大生物が移動しているのが探知され、新生丸も駆り出される。
海中から出現した生物を見た敷島は、それがかつて大戸島で遭遇したゴジラが巨大化した姿だと確信する。
重巡高雄の砲撃を物ともせず、強力な熱線によって高雄を撃沈したゴジラは海へと消える。
やがてゴジラは東京に上陸、銀座の街を蹂躙するが、逃げ惑う群衆の中には銀座に働きに出ていた典子の姿もあった・・・・・

前作の「シン・ゴジラ」は、1954年の初代「ゴジラ」以来の、未知の巨大生物が歴史上初めて現れた世界、怪獣という概念すら存在しない世界を描た。
時代設定が1947年と初代よりも前に設定されている本作も、過去にゴジラが存在したことのない完全リブートの世界線だ。
戦後9年という時点で作られた初代「ゴジラ」は、日本人の記憶に深く刻まれた原爆のメタファーで、ケロイド状の皮膚や口から吐く放射能火炎にそのイメージが重なる。
ただ原爆は敵国による攻撃だったので、基本的に日本人は受動的な立場だ。
一方、「シン・ゴジラ」では、2011年に発生した東日本大震災の結果起こった、想定外の原子力災害をゴジラに重ね合わせた。
政権内に視点を置くことで、あの時何が悪かったのか、どうすべきだったのかということを、ある種の後追いシミュレーションとして描いた作品だ。
こちらも、第一義的には自然災害によってもたらされた問題なので、ゴジラはただ歩き回り、攻撃されれば身を守るという、生物として当たり前の行動に終始する。

本作は、初代やシンを含めた過去のどのゴジラ映画ともアプローチが違う。
終戦直後の日本に現れたゴジラは、明確な破壊と殺戮の衝動を持って人間に襲いかかる。
この時代の日本には、敷島のような帰還兵や典子のような空襲のサバイバー、大切な何かを失い、自分の中で戦争が終わってない、終わらせられない人たちが沢山いる。
特に敷島は特攻隊くずれである。
彼は出撃したものの途中で怖くなり、機体不調を偽って大戸島に降り、今度は島に出現したゴジラを撃つことが出来ず、結果島の整備兵たちを見殺しにした。
大きな罪悪感と自戒の念に苛まれ、自分は生きる資格のない人間だと思っている。
実際に特攻隊で生き残った者は、世間から後ろ指をさされ、避世的な生活を送る人も多かったようだ。
彼にとって、深海から現れたゴジラは、永遠に追って来る戦争の呪いであり、絶望の淵にいる自分を、地獄へ突き落とす戦争の悪魔だ。
敷島は自分自身の中にある、戦争そのものとしてのゴジラと戦わなければならないのである。

山崎貴は自作を含む多くの映画的記憶を元に、技術的チャレンジを交えながら、この絶望の怪物の惨禍を描く。
一見してクリストファー・ノーランの「ダンケルク」、スティーヴン・スピルバーグの「JAWS ジョーズ」「ジュラシック・パーク」の影響は明らかだ。
戦後の混乱の中で出会った敷島と典子、明子が疑似家族になってゆくのは「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズで吉岡秀忠が演じた茶川さん親子を思わせる。
また序盤で戦うことを拒否し、結果的に大きな葛藤を抱える敷島の姿は、「エヴァンゲリヲン」シリーズの主人公、碇シンジに重なるのは言うまでもないだろう。
キャラクターの思考の淡白さは、むしろ草食系などと言われる現代人にこそ分かりやすく、感情移入しやすくなっている。
しかし映画は、すでに「ゼロ」の状態の主人公を、さらに「マイナス」へと徹底的に追い込むのである。

小笠原諸島でのゴジラとの再びの遭遇は、ゴジラが海洋生物であることを改めて思い起こさせる海洋パニック。
いわば怪獣サイズのジョーズとの、命がけの追いかけっこだ。
海のシーンがこれほど多いのは予想外で、しかも超絶に出来がいい。
これは「アルキメデスの大戦」で、海戦を描くことで得たノウハウの成果だろう。
「ザ・クリエイター 創造者」のプロモーションで来日した米国版「GODZILLA ゴジラ」の監督、ギャレス・エドワーズは、山崎貴との対談の際に「バジェットは1億ドル(150億円)くらい?」と聞いたそうだが、おそらく実際にはネットでその1/10程度では?
それでいて、普通の日本映画で見られる実写VFXのレベルを遥かに超えている。
見せ方のコンセプトが違うので、単純比較は出来ないが、「シン・ゴジラ」と比べても技術的進化は顕著で、できれば後学のために本作のVFXワークフローを公開してもらいたいものだ。

続く銀座蹂躙のシークエンスは、初代へのオマージュ満載。
列車の襲撃やビルの屋上で取材する報道陣を襲う災難などは、明らかに意識して似せている。
2万トンという体重や体の大きさも初代に近い設定だが、その重量で目の前の地下鉄を踏み抜く描写などもライブ感を高め、大きすぎないが故の巨大生物がどんどん近づいてくる恐怖は、まさに「ゴジラ・ザ・ライド」の進化系だ。
浜辺美波に文字通りの“クリフ・ハンガー”をやらせていたのは驚いたが、映画はプラトニックな関係のまま敷島の心の支えとなっていた典子を直後に奪い去るのだ。
歴代のゴジラ映画でも重要な見せ場となっていた、放射能火炎、あるいは放射熱戦の描写は、おそらくギャレス・エドワーズ版の影響を受けた、尻尾から頭に向かって鰭が順番に発光し、さらに「ガコン、ガコン」と突起が飛び出すカウントダウン方式。
しかも本作の放射熱戦は、ほぼ波動砲のレベルで、命中した場所に小型核爆弾並みの被害をもたらす絶望のカウントダウンなのである。

いくら背を向けても、戦争はゴジラの姿となって追って来て、決してゆるしてはくれない。
典子を失った敷島は、とうとう自分の中の戦争と向き合うことを決める。
この映画の特徴の一つに、ゴジラ対策が徹底的に民間主導ということが挙げられる。
「シン・ゴジラ」でも民間人が活躍する描写はあったが、基本的には政府視点で全体を見下ろす構造。
だが本作では「お上の視点」は全く見えない。
政府もGHQも保身に走って役立たず、庶民は自分の身を自分で守るしかないという視点は、政府を盲信した結果、散々な目に遭った時代の話だからこそ説得力を持つのだが、同時に21世紀の現状に対する辛辣な批判とも感じられるのは皮肉だ。
立案されたゴジラ殲滅作戦も、実在しない秘密兵器の類は一切登場せず、当時の科学的知識と生物学的な常識を使ったリアリティのあるもの。

そして、ここで航空機ファンなら垂涎の瞬間がやって来る。
この時代はまだ自衛隊は発足前で、ゴジラに対抗する兵器は全てGHQから返還された旧日本軍の在庫という設定。
最初に撃沈される重巡高雄をはじめ、雪風や響などの駆逐艦、銀座でゴジラを砲撃する四式中戦車などが登場するが、クライマックスでゴジラをトラップに誘導する敷島の乗機として登場するのが、十八試局地戦闘機「震電」なのである。
機体後部にプロペラを持つエンテ型の先尾翼機のフォルムは文句なしにカッコよく、過去にも「王立宇宙軍 オネアミスの翼」や「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」などのアニメーション作品に類似した機体が出てきたが、実写映画に登場するのはこれが最初だろう。
機体がテイクオフするシークエンスが、丸ごと「王立宇宙軍」へのオマージュになっているのも微笑ましい。

もっとも震電を選んだことで、描写としては困ったことになってしまっている。
敷島は密かに機内に爆弾を仕込み、作戦でゴジラを倒し切れなかった時に、“特攻”しようとしている。
だがこれは死ぬためでなく、生きるための戦いなので、ギリギリで脱出するのだが、震電は後ろにプロペラがあるために、実機ではまずプロペラを爆薬で脱落させ、パイロットが飛び降りるようになっている。
しかし当然これでは機体の向きがぶれてしまうので、映画では「脱出装置」なるものが装備されている設定。
問題はこの時点で射出座席は欧米でも開発段階なことで、敗戦国の民間人が使用できるとは思えない。
仮に使用できたとしても、プロペラが問題になるのは変わらないはずだが、その辺はスルーで敷島はいつの間にか脱出している。
山崎貴はやはりビジュアルの人だけあって、映像的なカッコよさ優先で、割とリアリティラインを低くする傾向がある。
テーマ的には絶対こうでなければならないし、私的には理解できるのだが、ディテールに拘りのある人には引っかかる描写だろう。
同様のことは、敷島が典子と感動的な再会を果たす展開にも言え、ぶっちゃけ「あの爆風の中でどうやって生き残った?あんたターミネーター?」と思わないでもなかった(笑
(これに関して、首筋に付着していたG細胞の再生能力のためではというご指摘を受け取った。なるほど、そう考えると次回作へのヒントなのか?)

このような点も含めて「ゴジラ -1.0」はかなり好みが分かれる作品なのは間違いなく、おそらく「シン・ゴジラ」と同様に賛否両論(今でこそほぼ名作認定されているが、公開当時は賛否が真っ二つに割れていた)となるだろう。
でもそれこそがゴジラなのだ。
怪獣プロレスのようなライトな扱いの場合を別として、あまりにも強すぎる象徴性を持ってしまったが故に、ゴジラが体現する戦争やキャラクターの描き方へのスタンスなど、受け手の考え方が違うだけで文句はいくらでもつけられるし、私も数多くの減点ポイントのある作品だと思う。
しかし「見たことのない画を存分に見せてくれる」映像的な未見性をはじめ、加点方式で考えてゆくと長所が短所をはるかに凌駕し、天井を突き破ってしまうのだ。
ドラマ的にも全く容赦なく主人公を追い込んでゆく前半と、生死を分ける葛藤の結果、ついに未来へと前を向く後半の変化のドラマは十分に観応えがあった。
まさに2023年の日本映画を代表する“キング・オブ・ムービーズ”であり、山崎貴のキャリアベスト、同時に初代を別格とすれば、現在までに作られた歴代ゴジラ映画のベストである。
山崎貴は「もう一本撮りたい」と言っているようなので、「ゴジラ ZERO」は彼に任せるにしても、「シン・ゴジラ」で平成シリーズを一旦リセット、ここで完全リブートしたことで、シリーズとしては作りやすくなったのではないだろうか。
このままゴジラとの戦いが続いている、パラレルワールドの昭和をやってもいいし、この映画の世界線で現在編をやってもいい。
IPの可能性を広げるという点でも、見事な仕事をやってのけたと思う。

今回は、ストレートに「ゴジラ」をチョイス。
米国でエメリッヒ版の「GODZILLA」公開時に考案された、濃い緑が印象的なカクテル。
氷を入れたロックグラスに、ジン20ml、アップル・リキュール20ml、メロン・リキュール20ml、ブルー・キュラソー20ml、レモンジュース1tspを注ぎ、ステアする。
色が緑なのはエメリッヒ版ゴジラを含めて、米国では昔からゴジラは緑系の色で描かれることが多かったからだろう。
飲んでみると、甘口でフルーティでとても飲みやすい。
名前とは逆に、優しい味のカクテルだ。

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