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2017年04月14日 (金) | 編集 |
これも映画ではない(笑
政府当局のご機嫌を損ねたために、2010年から20年間の「映画監督禁止令」を受けたイランの名匠ジャファル・パナヒ流の、ウィットに富んだ映画だけど映画じゃない第三弾。
今回は監督自らがテヘランのタクシーのドライバーに扮し、乗り込んでくる様々な客たちを通して現代イラン社会を風刺する。
もちろんこれは本物ではなくて、客たちも含めて実際には俳優が演じているモキュメンタリー。
禁止令に違反すると6年の懲役がかされる可能性があるとかで、これで「いやいや、映画なんて撮ってませんよ、タクシードライバーやって偶然撮れただけですよ」って釈明できてしまうのだろうか。
車載された幾つかのカメラを切り替えながら、リアルタイムで進行する82分。
タクシーには様々な人が乗ってくるのだが、実際には劇映画として極めて綿密に構成されている。
冒頭、自称路上強盗の男は乗り合わせた女性教師と死刑論争を交わす。
交通事故で大怪我を負った夫の妻は、遺産分けのためにスマホで遺言を撮ろうとする。
パナヒ自身も顧客だという、怪しげな海賊版レンタルビデオ屋が向かった先は、映画作りの題材に悩む監督志望の大学生で、世界的巨匠のパナヒに助言を仰ぐ。
更には、なぜか金魚鉢を持って乗ってきて、泉に向かえという二人のおばちゃん。
裕福な幼なじみは強盗に襲われた話を聞いてい欲しいと訴え、パナヒの同志でもある人権派の弁護士は闘争への決意を語る。
イランのタクシー事情は知らないが、映画を観る限りほぼ乗り合い自動車で、先客がいても後からどんどん乗ってきちゃう。
行き先の方向が合わないと、ドライバーも客に「ここで降りて」と言っちゃうのが凄い。
まあ、頼めば貸切にも出来るみたいだが。
それぞれに訳ありの客、一人ひとりのエピソードがメタファーとして機能し、少しずつイラン社会の断片が見えてくるというワケ。
戦地や執行数非公表の中国を別にすれば、世界で最も死刑が多く、女性の相続権が保障されておらず、外国の文化が厳しく規制され、女性がスポーツを見に行くだけで投獄される危険がある、息苦しい国の姿が浮かび上がる。
おかしな客たちの中でも、後半出てくるパナヒの姪のハナちゃんのキャラクターが強烈。
もちろんモキュメンタリーだから、この娘も本物かどうかは分からないが(※)、炸裂するマシンガントークには巨匠のおじさんもタジタジ。
まさに口から生まれてきた様な女の子で、監督になるのか女優になるのか末恐ろしい才媛なのだが、彼女が学校の課題で撮っている短編映画に関する疑問がそのままこの映画のテーマ。
先生の言う上映可能な映画とは何か。
キャラクターにはコーランの聖人の名を使うこと、いい人はネクタイをしていてはいけない、男女が触れ合ってはいけない、リアルなものを撮れと言いつつ、犯罪や暴力などの俗悪なリアリズムはダメだという。
・・・じゃあ何を撮れと?
それまで描かれてきた客たちのエピソードが、最終的にこの矛盾した課題に対するハナちゃんが吐露する率直な疑問の言葉に集約される仕組み。
映画の題材を探す大学生や、作者自身の置かれた状況に対するアンサーともなっている。
非常に政治的な映画で、テーマ的には重いのだけど、映画作家として覚悟を決めているパナヒのスタンスは明快かつ軽快。
フィクションとリアルの壁を飄々と超えて、抑圧者を痛烈に一刺しするユニークな風刺劇であり、同時にユーモラスな群像劇としても秀逸で、とても面白い。
イランはアルコールご法度なれど、裏では結構簡単に手に入るらしい。
今回は深いブルーが美しい「ペルシアの夜」をチョイス。
ドライ・ジン25ml、ブルー・キュラソー15ml、アップル・ジュース25ml、レモン・ジュース1tspをシェイクし、氷を入れたグラスに注ぐ。
トニック・ウォーターを適量加えた後、パルフェタムール2tspをそっと底に沈め、最後に三日月に見立てたスライス・レモンを飾って完成。
東京全日空ホテル発祥のカクテルは、ペルシア湾の夜の風景を思わせる、すっきりとした飲みやすい一杯だ。
(※)後日関係者に確認したところ、ハナちゃんは本物の姪御さんだそう。
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政府当局のご機嫌を損ねたために、2010年から20年間の「映画監督禁止令」を受けたイランの名匠ジャファル・パナヒ流の、ウィットに富んだ映画だけど映画じゃない第三弾。
今回は監督自らがテヘランのタクシーのドライバーに扮し、乗り込んでくる様々な客たちを通して現代イラン社会を風刺する。
もちろんこれは本物ではなくて、客たちも含めて実際には俳優が演じているモキュメンタリー。
禁止令に違反すると6年の懲役がかされる可能性があるとかで、これで「いやいや、映画なんて撮ってませんよ、タクシードライバーやって偶然撮れただけですよ」って釈明できてしまうのだろうか。
車載された幾つかのカメラを切り替えながら、リアルタイムで進行する82分。
タクシーには様々な人が乗ってくるのだが、実際には劇映画として極めて綿密に構成されている。
冒頭、自称路上強盗の男は乗り合わせた女性教師と死刑論争を交わす。
交通事故で大怪我を負った夫の妻は、遺産分けのためにスマホで遺言を撮ろうとする。
パナヒ自身も顧客だという、怪しげな海賊版レンタルビデオ屋が向かった先は、映画作りの題材に悩む監督志望の大学生で、世界的巨匠のパナヒに助言を仰ぐ。
更には、なぜか金魚鉢を持って乗ってきて、泉に向かえという二人のおばちゃん。
裕福な幼なじみは強盗に襲われた話を聞いてい欲しいと訴え、パナヒの同志でもある人権派の弁護士は闘争への決意を語る。
イランのタクシー事情は知らないが、映画を観る限りほぼ乗り合い自動車で、先客がいても後からどんどん乗ってきちゃう。
行き先の方向が合わないと、ドライバーも客に「ここで降りて」と言っちゃうのが凄い。
まあ、頼めば貸切にも出来るみたいだが。
それぞれに訳ありの客、一人ひとりのエピソードがメタファーとして機能し、少しずつイラン社会の断片が見えてくるというワケ。
戦地や執行数非公表の中国を別にすれば、世界で最も死刑が多く、女性の相続権が保障されておらず、外国の文化が厳しく規制され、女性がスポーツを見に行くだけで投獄される危険がある、息苦しい国の姿が浮かび上がる。
おかしな客たちの中でも、後半出てくるパナヒの姪のハナちゃんのキャラクターが強烈。
もちろんモキュメンタリーだから、この娘も本物かどうかは分からないが(※)、炸裂するマシンガントークには巨匠のおじさんもタジタジ。
まさに口から生まれてきた様な女の子で、監督になるのか女優になるのか末恐ろしい才媛なのだが、彼女が学校の課題で撮っている短編映画に関する疑問がそのままこの映画のテーマ。
先生の言う上映可能な映画とは何か。
キャラクターにはコーランの聖人の名を使うこと、いい人はネクタイをしていてはいけない、男女が触れ合ってはいけない、リアルなものを撮れと言いつつ、犯罪や暴力などの俗悪なリアリズムはダメだという。
・・・じゃあ何を撮れと?
それまで描かれてきた客たちのエピソードが、最終的にこの矛盾した課題に対するハナちゃんが吐露する率直な疑問の言葉に集約される仕組み。
映画の題材を探す大学生や、作者自身の置かれた状況に対するアンサーともなっている。
非常に政治的な映画で、テーマ的には重いのだけど、映画作家として覚悟を決めているパナヒのスタンスは明快かつ軽快。
フィクションとリアルの壁を飄々と超えて、抑圧者を痛烈に一刺しするユニークな風刺劇であり、同時にユーモラスな群像劇としても秀逸で、とても面白い。
イランはアルコールご法度なれど、裏では結構簡単に手に入るらしい。
今回は深いブルーが美しい「ペルシアの夜」をチョイス。
ドライ・ジン25ml、ブルー・キュラソー15ml、アップル・ジュース25ml、レモン・ジュース1tspをシェイクし、氷を入れたグラスに注ぐ。
トニック・ウォーターを適量加えた後、パルフェタムール2tspをそっと底に沈め、最後に三日月に見立てたスライス・レモンを飾って完成。
東京全日空ホテル発祥のカクテルは、ペルシア湾の夜の風景を思わせる、すっきりとした飲みやすい一杯だ。
(※)後日関係者に確認したところ、ハナちゃんは本物の姪御さんだそう。

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