■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
※エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
※タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
※エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
※タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
※noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
※noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。


2017年04月26日 (水) | 編集 |
将棋だけ、じゃなかった。
幼くして事故で家族を亡くし、中学生の時にプロの棋士となった高校生、桐山零の葛藤と成長を描くリリカルな青春ストーリー。
原作もTVアニメも名作なので、必然的に期待のハードルは上がるが、二部作とはいえ、これだけ複雑な物語をよくぞまとめ上げた。
前後編277分の長尺を、全く飽きさせない。
大友啓史監督作品としては、「るろうに剣心」三部作以来の秀作だ。
主人公の桐山は、家族の死後に父の友人だったプロ棋士・幸田の家に引き取られるのだが、この時に幸田に「君は、将棋が好きか?」と聞かれたことが、全ての葛藤の発端となっている。
もしも「将棋が嫌い」と答えたなら、幸田は引き取ってくれただろうか。
何も持たない幼子は、生きるために将棋に縋るしかなかった。
自分の人生で、信じられるのは将棋しかない、将棋が強くなければ生きていけない。
そんな強迫観念を抱きながら、ずっと将棋と向き合ってきた桐山は、プロとなった今も、自分が本当に将棋を好きなのか分からない。
一方で、幸田の実子で共に育った義理の姉と兄は、天性の才能を持つ桐山を打ち破ることが出来ず、プロ棋士への道を閉ざされ、第二の人生に迷ったまま。
将棋によって救われる者、将棋によって絶望する者。
勝つか負けるか、ゼロサムの勝負師たちの世界では、誰もが将棋によって人生を左右されている。
そんな将棋漬けの生活を送る桐山にとって、初めて出来た安らぎの場が、和菓子屋・三日月堂の三姉妹の家だ。
将棋とはほとんど無縁の彼女たちとの交流を通して、桐山は幸田の家では味わうことの出来なかった家族の温もりを知ってゆく。
この作品の特徴は、破竹の勢いで出世街道を駆け上がる、プロ棋士として桐山を描く、ある種の競技スポーツものとしての面と、人間関係が苦手で視野の狭い少年が、世界の真実を知って行く成長ストーリーとしての面が、良い塩梅でバランスしながら融合していること。
基本的には、前編で桐山をはじめとする登場人物たちが、それぞれの葛藤を募らせ、後編では一人ひとりが、苦しみもがきながらも、答えを見つけてゆく構成となっている。
「君は、将棋が好きか?」という一つの問いから始まった桐山の葛藤は、何時しか自らを袋小路へと追い込み、孤立させてゆくが、物語を通してようやく彼は気付くのだ。
不幸なのは自分だけではなく、誰もが何かを背負って生きていること。
気づこうとしていなかっただけで、多くの人々の愛を受けながら成長していたこと。
そして、自分はやっぱり将棋が好きだということ。
桐山を演じる神木隆之介は、原作のイメージにぴったりだし、俳優陣は皆おしなべて好演。
ちょっと残念だったのは、染谷将太が特殊メイクで演じる二階堂の出番が、後半ではほとんどなくなってしまったこと。
美味しいキャラクターなのに勿体ない。
まあそれも含めて、全体的にややダイジェスト感はのこるものの、これは原作漫画のボリュームを考えれば致し方ないか。
佐々木蔵之介、伊藤英明、豊川悦司、そして羽生名人っぽいボスキャラには加瀬亮と、主だったところに主役級を配したプロ棋士の世界は、重量感があり対局のシークエンスは見応え十分。
将棋映画といえば二階堂、もとい村山聖の映画もあったけど、盤上の戦争の緊張感はむしろこっちが上だ。
もちろん、将棋に詳しい人の方がディープに楽しめるのは確かだろうが、知らなくても何が起こっているのかはだいたい分かる。
私も基本ルールを知っているくらいで、決して将棋通ではないけれど、いくつもの息詰まる対局には手に汗を握った。
素晴らしいのが山本英夫のカメラだ。
静的な将棋をモチーフにしながら、シネマスコープサイズを生かした、実に豊かな映画的な映像を構築しているのは見事。
舞台となる、隅田川周辺の下町の風情が、いい隠し味になっている。
三日月堂の三姉妹の家にいる、猫たちが可愛い。
今回は平成16年に起業し、湯島に本拠をおくクラフトビール、「アウグスビール ピルスナー」をチョイス。
丁寧に作られた、正統派ピルスナー。
酵母は、ヴァイエンシュテファン修道院のピルスナー酵母を取り寄せ、麦芽、ホップも本場産を使うというこだわり様。
スッキリ爽やか、飽きのこない端正な味わいだ。
記事が気に入ったらクリックしてね
幼くして事故で家族を亡くし、中学生の時にプロの棋士となった高校生、桐山零の葛藤と成長を描くリリカルな青春ストーリー。
原作もTVアニメも名作なので、必然的に期待のハードルは上がるが、二部作とはいえ、これだけ複雑な物語をよくぞまとめ上げた。
前後編277分の長尺を、全く飽きさせない。
大友啓史監督作品としては、「るろうに剣心」三部作以来の秀作だ。
主人公の桐山は、家族の死後に父の友人だったプロ棋士・幸田の家に引き取られるのだが、この時に幸田に「君は、将棋が好きか?」と聞かれたことが、全ての葛藤の発端となっている。
もしも「将棋が嫌い」と答えたなら、幸田は引き取ってくれただろうか。
何も持たない幼子は、生きるために将棋に縋るしかなかった。
自分の人生で、信じられるのは将棋しかない、将棋が強くなければ生きていけない。
そんな強迫観念を抱きながら、ずっと将棋と向き合ってきた桐山は、プロとなった今も、自分が本当に将棋を好きなのか分からない。
一方で、幸田の実子で共に育った義理の姉と兄は、天性の才能を持つ桐山を打ち破ることが出来ず、プロ棋士への道を閉ざされ、第二の人生に迷ったまま。
将棋によって救われる者、将棋によって絶望する者。
勝つか負けるか、ゼロサムの勝負師たちの世界では、誰もが将棋によって人生を左右されている。
そんな将棋漬けの生活を送る桐山にとって、初めて出来た安らぎの場が、和菓子屋・三日月堂の三姉妹の家だ。
将棋とはほとんど無縁の彼女たちとの交流を通して、桐山は幸田の家では味わうことの出来なかった家族の温もりを知ってゆく。
この作品の特徴は、破竹の勢いで出世街道を駆け上がる、プロ棋士として桐山を描く、ある種の競技スポーツものとしての面と、人間関係が苦手で視野の狭い少年が、世界の真実を知って行く成長ストーリーとしての面が、良い塩梅でバランスしながら融合していること。
基本的には、前編で桐山をはじめとする登場人物たちが、それぞれの葛藤を募らせ、後編では一人ひとりが、苦しみもがきながらも、答えを見つけてゆく構成となっている。
「君は、将棋が好きか?」という一つの問いから始まった桐山の葛藤は、何時しか自らを袋小路へと追い込み、孤立させてゆくが、物語を通してようやく彼は気付くのだ。
不幸なのは自分だけではなく、誰もが何かを背負って生きていること。
気づこうとしていなかっただけで、多くの人々の愛を受けながら成長していたこと。
そして、自分はやっぱり将棋が好きだということ。
桐山を演じる神木隆之介は、原作のイメージにぴったりだし、俳優陣は皆おしなべて好演。
ちょっと残念だったのは、染谷将太が特殊メイクで演じる二階堂の出番が、後半ではほとんどなくなってしまったこと。
美味しいキャラクターなのに勿体ない。
まあそれも含めて、全体的にややダイジェスト感はのこるものの、これは原作漫画のボリュームを考えれば致し方ないか。
佐々木蔵之介、伊藤英明、豊川悦司、そして羽生名人っぽいボスキャラには加瀬亮と、主だったところに主役級を配したプロ棋士の世界は、重量感があり対局のシークエンスは見応え十分。
将棋映画といえば二階堂、もとい村山聖の映画もあったけど、盤上の戦争の緊張感はむしろこっちが上だ。
もちろん、将棋に詳しい人の方がディープに楽しめるのは確かだろうが、知らなくても何が起こっているのかはだいたい分かる。
私も基本ルールを知っているくらいで、決して将棋通ではないけれど、いくつもの息詰まる対局には手に汗を握った。
素晴らしいのが山本英夫のカメラだ。
静的な将棋をモチーフにしながら、シネマスコープサイズを生かした、実に豊かな映画的な映像を構築しているのは見事。
舞台となる、隅田川周辺の下町の風情が、いい隠し味になっている。
三日月堂の三姉妹の家にいる、猫たちが可愛い。
今回は平成16年に起業し、湯島に本拠をおくクラフトビール、「アウグスビール ピルスナー」をチョイス。
丁寧に作られた、正統派ピルスナー。
酵母は、ヴァイエンシュテファン修道院のピルスナー酵母を取り寄せ、麦芽、ホップも本場産を使うというこだわり様。
スッキリ爽やか、飽きのこない端正な味わいだ。

![]() 【送料無料|クール便】アウグスビール ピルスナー500ml 12本セット[クラフトビール 地ビール セット ギフト プレミアムビール] |
スポンサーサイト
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
ひたむきに、ひたすらに!
2017/04/27(木) 09:50:16 | Akira's VOICE
羽海野チカの人気コミックを、2部作で実写化したドラマの前編。家族を亡くして孤独に生きてきた17歳のプロ棋士が、ある3姉妹と心を通わせながら厳しい将棋の世界を突き進む。メガホンを取るのは、『るろうに剣心』シリーズなどの大友啓史。『るろうに剣心』シリーズにも出...
2017/04/27(木) 13:13:20 | パピとママ映画のblog
羽海野チカの人気コミックを、『るろうに剣心』シリーズの大友啓史監督が、神木隆之介主演で実写映画化した2部作の後編。孤独な青年棋士が三姉妹との出会いを通して成長していく姿を描く。主人公を癒す三姉妹を倉科カナ、清原果耶、新津ちせが演じ、ライバルの二海堂を特...
2017/04/27(木) 13:13:45 | パピとママ映画のblog
9歳の時に家族を事故で失った少年・桐山零は、プロ棋士・幸田柾近の家で育てられたが、中学生でプロ棋士となり高校生の今は一人暮らしをしている。 東京の将棋会館でついに幸田を打ち負かした夜、道に倒れていたところを助けられたことから、近隣の町に3姉妹だけで暮らす川本あかり、ひなた、モモのとの交流が始まった。 将棋漬けの毎日を送る零の前に、義姉・香子が現れる…。 青春ドラマ前編。
2017/04/28(金) 21:37:29 | 象のロケット
映画「3月のライオン 後編」を鑑賞しました。
2017/04/29(土) 21:56:32 | FREE TIME
3月のライオン 後編@ユナイテッドシネマ豊洲
2017/05/06(土) 07:53:06 | あーうぃ だにぇっと
3月のライオン 前編@東京国際フォーラム
2017/05/06(土) 07:54:58 | あーうぃ だにぇっと
人気将棋漫画原作の後編で、前編と比べると勝負場面よりも家族のほうにフォーカスが当たっており、悪くはないけれど手堅すぎる感じも。前編の感想はこちら 作品情報 2017年日本映画 監督:大友啓史 出演:神木隆之介、有村架純、倉科カナ 上映時間:140分 評価★…
2017/05/06(土) 08:59:23 | 映画好きパパの鑑賞日記
またもお久しぶりの感想です
映画を見たのですが前後編だったため2作とも見終わった時点で書こうと思ってました
ちなみに原作、アニメともに知っている人間です
原作は明確な区切りどころがなく、映画のシナリオとしては難しいだろうなと感じていました
しかしその中でも上手くまとめていたのではないかな?と思います
あらすじ
幼少期に交通事故で両親と妹を亡くした17歳のプロ棋士、桐山零(神木...
2017/05/07(日) 00:05:55 | にきログ
実際にはまだコミックは完結してないんですよね。いずれは宗谷とガチンコになるのでしょうがま~いきなりそこまでは無理なんで、映画はあそこで終わるしかなく。前編後編というよ ...
2017/05/11(木) 12:15:50 | ペバーミントの魔術師
MARCH COMES IN LIKE A LION
2017年
日本
139分
青春/ドラマ
劇場公開(2017/03/18)
監督:
大友啓史
『ミュージアム』
原作:
羽海野チカ
脚本:
大友啓史
主題歌:
ぼくのりりっくぼうよみ『Be Noble』
出演:
神木隆之介:桐山零
有村架純:幸田香子
倉科カナ:川本あかり
染谷将太:二海堂晴信
清原果耶:川本ひなた
前田吟:川本相米...
2017/09/29(金) 13:48:52 | 銀幕大帝α
MARCH COMES IN LIKE A LION
2017年
日本
140分
青春/ドラマ
劇場公開(2017/04/22)
監督:
大友啓史
『3月のライオン 前編』
原作:
羽海野チカ
脚本:
大友啓史
主題歌:
藤原さくら『春の歌』
出演:
神木隆之介:桐山零
有村架純:幸田香子
倉科カナ:...
2017/10/21(土) 14:32:30 | 銀幕大帝α
| ホーム |