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ショートレビュー「帝一の國・・・・・評価額1650円」
2017年05月09日 (火) | 編集 |
ボクが、ボクの国を欲しいワケ。

意外と言っては失礼ながら、こりゃあ実に面白い。

政界直結の超エリート高の生徒会長選挙を巡る学園コメディなのだけど、日本型政治のカリカチュアとして凄く分かりやすいのだ。
舞台となるのは、帝国海軍の士官養成学校をルーツに持つ、全国屈指の名門・海帝高校。
この学校の卒業生は政官財に巨大な学閥ネットワークを持ち、海帝生徒会のトップ、生徒会長を務めることは、そのまま日本国総理大臣への最速道となる。
大きな野心を持つ優秀な生徒たちは、入学すると、まず担任によってルーム長に任命されることを目指す。
ルーム長になると、自分で任命する福ルーム長と共に生徒会へ参加し、生徒会長候補となっている二年生の中から支持する人物を選び、きたる生徒会長選挙を共に戦うのである。
要するに、これは一年生議員たちが、派閥のボスたちの中で誰が出世しそうか、誰が自分を引っ張ってくれそうかを勘考しながら選び、いつかは自らが派閥のボス、ひいてはトップを目指す構図と同じ。

主人公の赤羽帝一の夢は、「総理大臣になって、自分の国を作る」こと。
付属中学時代から学年トップだった彼は、当然のごとく一年生でルーム長となると、一年後には自らが生徒会長候補となる事を前提に、派閥を選ぶ。
生徒会長候補になるためには、生徒会長になる人物の派閥にいなければならない。
もし、支持した人物が落選すれば、自分が生徒会長候補になる可能性は限りなくゼロに近づく。
勝負は、一年生の時点から始まっているのだ。
帝一が入学した時点で、次期生徒会長の有力候補は二人。
保守本流で強い統率力を持ち、目的のためならしばし手段を択ばない氷室ローランドと、中道リベラルで生徒会の改革をめざし、理知的で温厚なキャラクターの森園億人。
この時点で、帝一は迷わず氷室の“忠犬”となる道を選ぶのだが、政治の世界は高校生であっても一筋縄ではいかない。
熾烈な選挙戦が繰り広げられる中、帝一は自分ではどうにもならない運命の悪戯に苦しめられ、総理大臣までの鉄壁の人生戦略の、抜本的な仕切り直しを余儀なくされるのだ。

投票権を持つのは、生徒会メンバーと、各部活の代表者。
絶対不利な状況から、自分の支持する候補を当選させるためには、どうすればいいのか。
権謀術数渦巻く選挙戦は、友情と裏切り、王道と奇策のシーソーゲーム
学園の権力闘争に風刺された日本型エスタブリッシュメントの社会では、どの様な人物が好まれて、どういった行動が票を決定付けるのか。
ホンモノの選挙も、程度の差はあれど、実際の人々の行動原理は映画と大して変わらないんじゃないかと思わされる。

有利不利が二転三転し、なるほどという所に帰結する物語の構造も良く出来ているが、ピュアなのか黒いのかよく分からん帝一のキャラクターも魅力的。
彼の「自分の国を作りたい」意外な動機は、建前と本音の、更に奥に隠されているのだけど、政治をやる者は、良くも悪くも必ず捻くれるという訳か。
主人公をはじめとした登場人物が、そろって昭和レトロテイストなのはいかにも古屋兎丸の作品らしいが、漫画的カリカチュアによって下がったリアリティラインが、風刺性を際立たせる。

息子たちのバトルロワイヤルが、いつの間にか親たちの因縁に波及するあたりも、いかにも狭い“政治村”の物語っぽくていい。

男の園の話だから、女性キャラの出番は殆どないのだけど、ほとんど紅一点の永野芽郁が、ハイキックとエンディングの可愛すぎるダンスで美味しいところを持って行った。

今回は、王者の酒ということで「クルボアジェ ナポレオン」をチョイス。
ナポレオンはコニャックの熟成度を表す言葉で、V.S.O.P.とX.O.の間の熟成度のもの。
特にクルボアジュはナポレオン本人が愛飲していたことでも知られ、ナポレオンのナポレオンといえるかも。
味わいは比較的ストレートで、複雑さにはやや欠けるものの、輪郭のはっきりした酒で飲みやすい。
正規輸入品は高いが、平行輸入が沢山出回っているので、コスパを考えればそっちの方がだいぶお得だ。
まあ、そんなセコイことを考えている庶民には、「ボクの国」など作れないのだろうが。

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