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2017年06月14日 (水) | 編集 |
愛国者たちの街。
アフガン戦争の“レッド・ウイング作戦”で、ただ一人生き残った兵士の物語「ローン・サバイバー」、メキシコ湾で起こった、石油プラットホーム爆発事故を描く「バーニング・オーシャン」に続く、ピーター・バーグ監督とマーク・ウォールバーグによる実録レクイエム3作目。
今回のモチーフになるのは、2013年4月15日に起こった、“ボストンマラソン爆弾テロ事件”だ。
タイトルの「パトリオット・デイ(愛国者の日)」とは、アメリカ独立戦争の緒戦を記憶するため、戦いの舞台となったマサチューセッツを含む三州で制定されている祝日。
ボストンマラソンは、この祝日の制定を記念して、1897年に始まったアメリカで一番古い歴史を持つマラソン大会なのである。
第117回目の大会となったこの年も、多くの参加者や見物客でにぎわっていたが、最も人の集まるゴール付近で、午後2時45分に二度の爆発が連続して起こり、3人が死亡し、300人近くが負傷する大惨事となってしまった。
映画は、事件の前夜から、容疑者逮捕までの緊迫の5日間を描く群像劇。
マーク・ウォールバーグが演じる殺人課の刑事トミーは、映画のために作られたキャラクターだが、トミーと彼の妻以外は基本的にほとんどが実在の人物だ。
前二作と同様に、基本は究極の再現ドラマで、登場人物の内面描写は必要最小限に抑えられている。
しかし今回は、関係者がボストン警察、ボストン市民、FBI、無数の被害者、容疑者とその知人たちと非常に多岐にわたっており、物語にまとめ役が必要だ。
架空のトミーを軸に置くことによって、事実関係を改変せずに、観客の感情移入の対象が出来て、物語に入りやすくなる。
この人物の造形も良く出来ていて、冒頭爆弾とは関係ない軽犯罪の捜査で、容疑者の家のドアを蹴破ろうとして怪我をしてしまう(笑
荒唐無稽な刑事ドラマのキャラクターと違って、リアルな人物像を持ち、事件の中心にいるのだが、実は決定的に重要な役割は果たしていない。
事件当時に捜査にあたった多くの警察官たちを統合し、物語のどこにでも配せる、ナチュラルなポジションにいるキャラクターなのだ。
一回目の爆発までの30分弱の第一幕で、関係する十数人の日常をざっくり描き、一度事件が起きれば後は極限の緊張感が最後まで持続するサスペンスフルな展開。
ピーター・バーグは個々の人物の心情に寄り添うのではなく、その場で起こったことを丹念に描き、現象を極力リアルに感じさせることで、観客を一人ひとりを善意のボストン市民とする。
例えば、爆心地近くで亡くなった8歳の少年がいる。
彼の体に刺さった破片が証拠になるために、捜査上層部の許可が無いと遺体を路上から動かせない。
遺体は何も語らないが、バーグは放置された遺体を見守る一人の警察官を描写し、ようやく遺体が搬送される時、彼は敬礼で見送るのである。
あるいは逃亡中の容疑者に拳銃を奪われそうになり、抵抗して四人目の犠牲者となる警察官に関しては、彼の交友関係をかなりの時間をかけてキッチリと描いている。
どちらの描写も事件の捜査には直接関係が無いのだが、死を受け止める人を描くことで、それは単なる死から観る者にとって意味ある誰かの死になるのである。
同じ意味で、ほんの端役まで第一幕に登場させた訳は、例によって再現ドラマと現実が合流するエピローグまで来ると納得だ。
今回は前二作と比べて生き延びた被害者が多いので、エピローグの作りもレクイエムよりも、真に共同体を愛する人々にエールを送ることに主眼を置いた作りになっていて、本作の言いたいことはこの部分に集約される。
事件で共に足を失ったカップルの、テロ事件の被害者は「平和の大使」という、絶望を希望に変える力強い言葉に驚嘆。
事件を起こしたチェチェン系米国人のツァルナエフ兄弟の描き方も、偏向した部分はなく、あくまでもある現象を起こした人物であって、それ以上でも以下でもない。
むしろ面白かったのは、兄の妻の語る「イスラム教徒の妻であることとは」という、独特の哲学の部分だった。
悲劇の跡に残るのは憎しみではなく、愛であって欲しい。
亡くなった人々を悼み、人間の勇気に希望を見るピーター・バーグとマーク・ウォールバーグのユニークな実録シリーズ(?)。
次は一体何の事件をモチーフに描くのだろう。
今回はお馴染みボストンの地ビール、ボストン・ビア・カンパニーの「サミュエル・アダムズ ボストン・ラガー」をチョイス。
水の様に薄いアメリカンビールとは一線を画し、マイルドでありながらもコクがあり、モルトの強い風味を味わえる。
サミュエル・アダムズは合衆国独立に深く関わったボストン出身の政治家で、独立戦争の序章とも言えるボストン茶会事件を主導し、アメリカ独立宣言にも署名した建国の父の一人。
やはりボストンの歴史は面白い。
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アフガン戦争の“レッド・ウイング作戦”で、ただ一人生き残った兵士の物語「ローン・サバイバー」、メキシコ湾で起こった、石油プラットホーム爆発事故を描く「バーニング・オーシャン」に続く、ピーター・バーグ監督とマーク・ウォールバーグによる実録レクイエム3作目。
今回のモチーフになるのは、2013年4月15日に起こった、“ボストンマラソン爆弾テロ事件”だ。
タイトルの「パトリオット・デイ(愛国者の日)」とは、アメリカ独立戦争の緒戦を記憶するため、戦いの舞台となったマサチューセッツを含む三州で制定されている祝日。
ボストンマラソンは、この祝日の制定を記念して、1897年に始まったアメリカで一番古い歴史を持つマラソン大会なのである。
第117回目の大会となったこの年も、多くの参加者や見物客でにぎわっていたが、最も人の集まるゴール付近で、午後2時45分に二度の爆発が連続して起こり、3人が死亡し、300人近くが負傷する大惨事となってしまった。
映画は、事件の前夜から、容疑者逮捕までの緊迫の5日間を描く群像劇。
マーク・ウォールバーグが演じる殺人課の刑事トミーは、映画のために作られたキャラクターだが、トミーと彼の妻以外は基本的にほとんどが実在の人物だ。
前二作と同様に、基本は究極の再現ドラマで、登場人物の内面描写は必要最小限に抑えられている。
しかし今回は、関係者がボストン警察、ボストン市民、FBI、無数の被害者、容疑者とその知人たちと非常に多岐にわたっており、物語にまとめ役が必要だ。
架空のトミーを軸に置くことによって、事実関係を改変せずに、観客の感情移入の対象が出来て、物語に入りやすくなる。
この人物の造形も良く出来ていて、冒頭爆弾とは関係ない軽犯罪の捜査で、容疑者の家のドアを蹴破ろうとして怪我をしてしまう(笑
荒唐無稽な刑事ドラマのキャラクターと違って、リアルな人物像を持ち、事件の中心にいるのだが、実は決定的に重要な役割は果たしていない。
事件当時に捜査にあたった多くの警察官たちを統合し、物語のどこにでも配せる、ナチュラルなポジションにいるキャラクターなのだ。
一回目の爆発までの30分弱の第一幕で、関係する十数人の日常をざっくり描き、一度事件が起きれば後は極限の緊張感が最後まで持続するサスペンスフルな展開。
ピーター・バーグは個々の人物の心情に寄り添うのではなく、その場で起こったことを丹念に描き、現象を極力リアルに感じさせることで、観客を一人ひとりを善意のボストン市民とする。
例えば、爆心地近くで亡くなった8歳の少年がいる。
彼の体に刺さった破片が証拠になるために、捜査上層部の許可が無いと遺体を路上から動かせない。
遺体は何も語らないが、バーグは放置された遺体を見守る一人の警察官を描写し、ようやく遺体が搬送される時、彼は敬礼で見送るのである。
あるいは逃亡中の容疑者に拳銃を奪われそうになり、抵抗して四人目の犠牲者となる警察官に関しては、彼の交友関係をかなりの時間をかけてキッチリと描いている。
どちらの描写も事件の捜査には直接関係が無いのだが、死を受け止める人を描くことで、それは単なる死から観る者にとって意味ある誰かの死になるのである。
同じ意味で、ほんの端役まで第一幕に登場させた訳は、例によって再現ドラマと現実が合流するエピローグまで来ると納得だ。
今回は前二作と比べて生き延びた被害者が多いので、エピローグの作りもレクイエムよりも、真に共同体を愛する人々にエールを送ることに主眼を置いた作りになっていて、本作の言いたいことはこの部分に集約される。
事件で共に足を失ったカップルの、テロ事件の被害者は「平和の大使」という、絶望を希望に変える力強い言葉に驚嘆。
事件を起こしたチェチェン系米国人のツァルナエフ兄弟の描き方も、偏向した部分はなく、あくまでもある現象を起こした人物であって、それ以上でも以下でもない。
むしろ面白かったのは、兄の妻の語る「イスラム教徒の妻であることとは」という、独特の哲学の部分だった。
悲劇の跡に残るのは憎しみではなく、愛であって欲しい。
亡くなった人々を悼み、人間の勇気に希望を見るピーター・バーグとマーク・ウォールバーグのユニークな実録シリーズ(?)。
次は一体何の事件をモチーフに描くのだろう。
今回はお馴染みボストンの地ビール、ボストン・ビア・カンパニーの「サミュエル・アダムズ ボストン・ラガー」をチョイス。
水の様に薄いアメリカンビールとは一線を画し、マイルドでありながらもコクがあり、モルトの強い風味を味わえる。
サミュエル・アダムズは合衆国独立に深く関わったボストン出身の政治家で、独立戦争の序章とも言えるボストン茶会事件を主導し、アメリカ独立宣言にも署名した建国の父の一人。
やはりボストンの歴史は面白い。

![]() サミエル アダムス ボストン ラガー 355ml アメリカ |
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この記事へのコメント
ノラネコさん☆
ドカンドカン!と激しい爆発物が多いな~と思っていましたけど、そう言えば全部実録シリーズですね。
等身大の警官をさらりと演じて、誰もが突出していないところがとても良かったデス。
ドカンドカン!と激しい爆発物が多いな~と思っていましたけど、そう言えば全部実録シリーズですね。
等身大の警官をさらりと演じて、誰もが突出していないところがとても良かったデス。
>ノルウェーまだ~むさん
ピーター・バーグはこの実録ものシリーズ(?)で独特のポジションを作り上げつつあると思います。
史実に関するスタンスは他の作家とはちょっと違っていて、まさにドラマチックさを放棄した再現ドラマなのですよね。
ピーター・バーグはこの実録ものシリーズ(?)で独特のポジションを作り上げつつあると思います。
史実に関するスタンスは他の作家とはちょっと違っていて、まさにドラマチックさを放棄した再現ドラマなのですよね。
こんにちは。確かに確かに。ピーター・バーグは実録モノの人ですね。必用以上のドラマ性を表現しないところも好感が持てます。確かな手腕だと思います。
そしてそんな作風にまたマーク・ウォルバーグがぴったりハマっているんだなぁ!!
そしてそんな作風にまたマーク・ウォルバーグがぴったりハマっているんだなぁ!!
>ここなつさん
こんな渋い作品を作る一方で、「バトルシップ」なんて芳ばしい作品も手がけるとところがバーグの魅力。
次回作も実録ではないものの、またウォールバーグとのコンビだそうで、楽しみです。
こんな渋い作品を作る一方で、「バトルシップ」なんて芳ばしい作品も手がけるとところがバーグの魅力。
次回作も実録ではないものの、またウォールバーグとのコンビだそうで、楽しみです。
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映画 『パトリオット・デイ(字幕版)』(公式)を本日、劇場鑑賞。採点は、★★★★☆(最高5つ星で4つ)。100点満点なら70点にします。
ざっくりストーリー
2013年4月15日。ボストン警察殺人課の刑事トミー(マーク・ウォールバーグ)は、朝からアメリカ独立戦争開戦を記念した “愛国者の日(パトリオット・デイ)” に毎年開催されるボスト...
2017/06/14(水) 23:44:31 | ディレクターの目線blog@FC2
2013年4月15日。 殺人課の刑事トミーは、朝からボストンマラソンの警備に駆り出されていた。 オリンピックの次に歴史の古いこのマラソン大会は、毎年祝日である“愛国者の日(パトリオット・デイ)”に開催され、117回目を迎えるこの日も3万人のランナーと50万人の観衆で賑わっている。 だが午後2時45分、2件の大爆発が発生。 すぐに爆弾テロ事件と断定され、FBIの指揮のもと捜査本部が設置された。...
2017/06/15(木) 09:35:41 | 象のロケット
パトリオット・デイ@よみうり大手町ホール
2017/06/15(木) 12:18:45 | あーうぃ だにぇっと
2013年に発生したボストンマラソンでの爆弾テロ事件を描いた作品です。
2017/06/15(木) 12:34:09 | 水曜日のシネマ日記
2013年に発生した、ボストンマラソンを標的にした爆弾テロを題材にした実録サスペンス。世界を震撼(しんかん)させた同事件の解決に奔走した者たちの姿を追う。監督は、『バーニング・オーシャン』などのピーター・バーグ。『ディパーテッド』などのマーク・ウォールバーグ、『COP CAR/コップ・カー』などのケヴィン・ベーコン、『バートン・フィンク』などのジョン・グッドマンらが出演。事件当時の実際の映像...
2017/06/15(木) 15:56:22 | パピとママ映画のblog
ここには事件を解決する特別なヒーローは一人も出てこない。
それは主役のマーク・ウォールバーグでさえも。
そのかわり市民の一人一人がヒーローなのだ。
2017/06/16(金) 00:06:00 | ノルウェー暮らし・イン・原宿
2013年に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件の発生から犯人逮捕までを描いたドラマです。 この事件は記憶に新しいのですけど、そう言えば詳細は知らなかったかもと気になっていました。 事件前日から描かれていく展開に、様々な想いを感じるような作品でした。
2017/06/18(日) 22:01:39 | とりあえず、コメントです
映画「パトリオット・デイ」を鑑賞しました。
2017/06/19(月) 22:33:36 | FREE TIME
強さと愛を持って生きる人たち 公式サイト http://www.patriotsday.jp 実話を基にした映画 監督: ピーター・バーグ 「バトルシップ」 「ローン・サバイバー」 「バーニング・オ
2017/06/20(火) 10:49:32 | 風に吹かれて
主演マーク・ウォルバーグ×監督ピーター・バーグ。私にとっては是非モノの作品である。2013年に起こったボストンマラソン爆破事件の真実を描く作品。そう、期待通り大変面白かった。面白かったが、手堅い、手堅過ぎる。手堅いのが悪い訳ではないし、実話を基にした話なのでそもそも事実は歪められない。いや、本作に限らずピーター・バーグ監督は事実を基にした話を題材にして作品を送り出している事が多いが、それらは...
2017/06/21(水) 14:55:23 | ここなつ映画レビュー
いやぁ思ってた以上に見入ってしまった。
2017/06/25(日) 01:14:27 | だらだら無気力ブログ!
2013年のボストンマラソンテロ事件を、ピーター・バーグ監督が緊迫感あふれるサスペンスに仕立てました。ラストは説教くささもありますが、テロ攻撃が相次ぐ現代が求めている作品ではないでしょうか。 作品情報 2016年アメリカ映画 監督:ピーター・バーグ 出演:…
2017/06/25(日) 07:48:05 | 映画好きパパの鑑賞日記
『パトリオット・デイ』を吉祥寺オデヲンで見ました。
(1)予告編を見て面白そうだと思い映画館に行ってきました。
本作(注1)の冒頭は、パトリオット・デイ(4月15日)の前日の夜。
ボストン警察の警察官たちが、ある部屋のドアの前にいます。
巡査部長のトミ...
2017/06/28(水) 18:25:20 | 映画的・絵画的・音楽的
実際のテロ事件をベースにした、群像サスペンス。
『パトリオット・デイ』
~あらすじ~
2013年4月15日。アメリカ独立戦争開戦を記念して毎年開催されるボストンマラソンで、ギャラリーの歓声を受けながら多くのランナーが疾走していた。そしてすさまじい爆発音がとどろき、煙が吹き上がる。街がパニックに包まれる中、FBIは爆発をテロと断定。ボストン警察のトミー(マーク・ウォールバーグ...
2017/07/05(水) 22:57:05 | シネマ・ジャンプストリート 映画のブログ
PATRIOTS DAY
2016年
アメリカ
133分
ドラマ/サスペンス
PG12
劇場公開(2017/06/09)
監督:
ピーター・バーグ
『バーニング・オーシャン』
製作:
マーク・ウォールバーグ
原案:
ピーター・バーグ
脚本:
ピーター・バーグ
出演:
マーク・ウォールバーグ:...
2017/11/22(水) 13:43:56 | 銀幕大帝α
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