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ショートレビュー「残像・・・・・評価額1650円」
2017年06月24日 (土) | 編集 |
信念の代償は、あまりに高い。

昨年の10月に90歳で死去した、アンジェイ・ワイダの最後の輝き。
舞台となるのは、第二次世界大戦後、ソ連の影響下におかれ、急速にスターリニズムが浸透するポーランド。
アーティストであると同時に熱心な教育者でもあり、体制に抑圧され無念の死を遂げた前衛画家、ブワディスワフ・ストゥシェミンスキの最期の日々を描く物語だ。
生涯をかけて抑圧と闘ってきた反骨の巨匠の遺作として、これ以上相応しい作品があるだろうか。
ドイツ占領下のポーランドを描いた初期の「抵抗三部作」から、労働英雄とされた男の現実に迫る「大理石の男」「鉄の男」、ソ連軍によるポーランド人虐殺を題材とした「カティンの森」、そして嘗ての盟友を通し民主化運動の時代を描く「ワレサ 連帯の男」。
常に母国ポーランドの民衆に寄り添い、抑圧に抵抗する声を上げ続けた90歳の監督から、現在への警鐘と言える大力作だ。

ストゥシェミンスキは色彩のアーティストだったから、凝った色彩デザインは本作でも見どころだ。
序盤に、自宅で絵を描いていたストゥシェミンスキのカンバスが、突然真っ赤に染まる印象的な描写がある。
赤を基調としたスターリンの巨大な肖像画が、彼のアパートの窓を覆う様に掲げられたのだ。
国家が、一つの機関によって一元支配されることへの恐怖。
表現の自由など無く、芸術も国家に服従を強いられ、社会主義リアリズム以外は排除される。
教鞭をとるウッチ市の美術学校での演説会で、反対意見を述べたストゥシェミンスキに、大臣が「市電に轢かれて死ね」と暴言を吐く。
しかし実際にそこは、芸術家も登録制となり、非公認では画材すら買えず、仕事も出来ないまま、ジリジリと死に向かって追いやられるディストピアなのだ。

赤く塗りつぶされる社会に対し、黒を身にまとい続けるストゥシェミンスキは、ある意味ワイダ自身。
容赦無く人生が崩壊してゆく様は、全体主義の時代を実際に経験した人ならではのリアリティだ。
ただ、この映画における色彩は、一つの意味を比喩するだけではなく、多義的な意味を持っている。
例えば離婚した妻と暮らしていた一人娘は常に赤いコートを着ているが、この場合の赤は体制の色ではなく、ストゥシェミンスキの黒の対照であり、母親の葬儀の際に派手な色を咎められた娘がコートを裏返して黒にするのは、臨機応変に変化する人間の多面性を示している。
あまりに実直過ぎて赤を纏えず、商店のショーウィンドウの中で、非業の死を迎えるストゥシェミンスキは、まるで「灰とダイヤモンド」の、ゴミ山の上で絶命する主人公マチェクの様だ。

しかしポーランドは民主化され、ワイダ自身も一時期連帯から出馬し、国会議員を務めていた。
劇中で主人公が勤めていた美術学校も、現在ではウッチ・ストゥシェミンスキ美術アカデミーと改名され、復権を遂げている。
なぜワイダは、最後の作品として、初期の抵抗三部作を思わせる様なダークな作品を撮ったのか。
劇中でストゥシェミンスキは、自らの色彩理論を女子学生にこう語る。
「ものを見ると目に像が映るが、見るのをやめて視線を逸らすと、それが残像として残る。残像は形は同じだが常に補色なんだ」
これは嘗て存在した現実の歴史の時間の、補色としての映画である。
やがて残像すら残らなくなった時に、人々は実像を覚えているだろうか。
共謀罪の時代、これは日本人にも決して他人事ではない作品だ。

近年では、ポーランドでも若い世代は、強い蒸留酒よりワインやビールを好む傾向があるそうだが、やはりポーランドと言えば伝統のウォッカの国。
今回は「べルヴェデール ウォッカ」をチョイス。
ジェームズ・ボンドの愛飲酒、スペクター・マティーニのオフィシャルとしても知られる、まろやかな口当たりのプレミアムウォッカ。
ムシムシする今の季節には、冷凍庫でキンキンに冷やし、シャーベット状にしてそのまま飲むかスパークリングウォーターで割るのがオススメ。

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第二次世界大戦後、スターリン主義時代の社会主義国ポーランド。 国内外で名声を得ていた画家ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキは、ウッチ造形大学の教授となり、学生の尊敬を集めていた。 しかし、芸術は政治の理念を反映するものだという社会主義リアリズムに迎合せず、独自の芸術の道を進み学生を導くストゥシェミンスキは迫害され、職を追われ困窮してゆく…。 ヒューマンドラマ。 実在の画家の生涯。 ≪人はそれ...
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