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2017年08月09日 (水) | 編集 |
ゴールデン街劇場にて。
天願大介演出/脚本、月船さらら主演。
これは期待以上の傑作だった。
原作となっているのは、乱歩文学の最高峰とも評される長編小説「孤島の鬼」だ。
昭和4年に雑誌連載という形で発表された原作は、美しい婚約者・初代を何者かに殺された主人公・簑浦金之助が、同性愛者で金之助への愛を隠さない諸戸道雄と共に事件の謎に迫り、ある孤島に隠された恐るべき秘密にたどり着くという物語。
乱歩らしく、推理小説でありながら冒険譚であり、怪奇趣味に同性愛にエログロと、時代を考えれば相当にアナーキーな怪作である。
これを全部舞台化したら、おそらく5、6時間はかかる超大作になってしまうが、本作は小説の中で重要な鍵となる、「秀ちゃんの日記」の部分だけを抜き出して、70分の独白劇に仕立て上げている。
何時何処だか分からない土蔵の中に、聡明な美少女の秀ちゃんともう一人の男の子が閉じ込められていて、二人は物心ついた時から土蔵の外へは出たことがなく、世話をしてくれる老人も詳しいことは教えてくれない。
実は二人にはある秘密が隠されているのだが、秀ちゃんは鉄格子のはまった小さな窓から見える海と山、老人が差し入れてくれた数冊の本から世界を想像し、外に出ることが出来ない我が身の不幸を日記に書き綴るのである。
基本、土蔵の中だけで展開するワンシチュエーションで、登場人物もたった4人。
舞台美術も土蔵の三方の壁と畳、わずかな小物。
観客との距離感が限りなくゼロの、ゴールデン街劇場独特のアングラ感も、絶妙な場の演出効果となっている。
ミニマルな劇的空間に、月船さららの妖艶に円熟した演技が誘う。
この人は華やかな宝塚出身だけど、天願監督との初タッグとなった「世界で一番美しい夜」から昨年の大珍品「変態だ」、舞台「なまず」や出口結美子との演劇ユニットmetroの活動など、インディーズ作品の印象が強い。
本作も含めて、演じることへの愛が伝わってきて、その熱は確実に観客にも伝播する。
70分のうち、だいたい95パーセントは彼女の独白で、客席間近で演じられる異形の悲しみに、何時しかどっぷりと感情移入。
可能な限り要素を削り落とした結果生まれる、芝居への没入感こそ、本作の最大の魅力だろう。
4月の初演を見逃したが、思いのほか早く再演を鑑賞できて良かった。
ゴールデン街劇場で8月13日まで。
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天願大介演出/脚本、月船さらら主演。
これは期待以上の傑作だった。
原作となっているのは、乱歩文学の最高峰とも評される長編小説「孤島の鬼」だ。
昭和4年に雑誌連載という形で発表された原作は、美しい婚約者・初代を何者かに殺された主人公・簑浦金之助が、同性愛者で金之助への愛を隠さない諸戸道雄と共に事件の謎に迫り、ある孤島に隠された恐るべき秘密にたどり着くという物語。
乱歩らしく、推理小説でありながら冒険譚であり、怪奇趣味に同性愛にエログロと、時代を考えれば相当にアナーキーな怪作である。
これを全部舞台化したら、おそらく5、6時間はかかる超大作になってしまうが、本作は小説の中で重要な鍵となる、「秀ちゃんの日記」の部分だけを抜き出して、70分の独白劇に仕立て上げている。
何時何処だか分からない土蔵の中に、聡明な美少女の秀ちゃんともう一人の男の子が閉じ込められていて、二人は物心ついた時から土蔵の外へは出たことがなく、世話をしてくれる老人も詳しいことは教えてくれない。
実は二人にはある秘密が隠されているのだが、秀ちゃんは鉄格子のはまった小さな窓から見える海と山、老人が差し入れてくれた数冊の本から世界を想像し、外に出ることが出来ない我が身の不幸を日記に書き綴るのである。
基本、土蔵の中だけで展開するワンシチュエーションで、登場人物もたった4人。
舞台美術も土蔵の三方の壁と畳、わずかな小物。
観客との距離感が限りなくゼロの、ゴールデン街劇場独特のアングラ感も、絶妙な場の演出効果となっている。
ミニマルな劇的空間に、月船さららの妖艶に円熟した演技が誘う。
この人は華やかな宝塚出身だけど、天願監督との初タッグとなった「世界で一番美しい夜」から昨年の大珍品「変態だ」、舞台「なまず」や出口結美子との演劇ユニットmetroの活動など、インディーズ作品の印象が強い。
本作も含めて、演じることへの愛が伝わってきて、その熱は確実に観客にも伝播する。
70分のうち、だいたい95パーセントは彼女の独白で、客席間近で演じられる異形の悲しみに、何時しかどっぷりと感情移入。
可能な限り要素を削り落とした結果生まれる、芝居への没入感こそ、本作の最大の魅力だろう。
4月の初演を見逃したが、思いのほか早く再演を鑑賞できて良かった。
ゴールデン街劇場で8月13日まで。

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