■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
※エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
※タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
※エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
※タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
※noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
※noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。


2017年08月14日 (月) | 編集 |
青春だよ、スパイディ!
昨年の「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」で先行デビューした、新生スパイダーマンの単独主演第一作。
大ヒットしたサム・ライミ版三部作と、その後を受けたマーク・ウェブの「アメイジング・スパイダーマン」とは違って、ディズニー主導のMCUとの連携を前提に作られているのが特徴で、全員が修羅場をくぐり、一癖も二癖もあるオトナの集団のアベンジャーズの面々に対して、ピュアなハートのヤングヒーローとして造形されている。
異色のスリラー「COP CAR コップ・カー」で注目された俊英ジョン・ワッツは、見事にライミともウェブとも違う、ポップでコミカルな新しいスパイディ像を作り上げた。
「スパイダーマン:ホームカミング」のタイトル通り、過去作に比べると学校生活の比重が高く、コンプレックスを抱えた学園のギークによる、ズッコケ青春ヒーロー映画の趣きだ。
※核心部分に触れています。
ベルリンでアベンジャーズの"シビル・ウォー"に参戦し、キャプテン・アメリカのシールドを奪ったスパイダーマンの素顔は、15歳の高校生ピーター・パーカー(トム・ホランド)。
ニューヨークに戻った彼は、トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)からもらった特製スーツを着て、放課後に地元クィーンズ地区でヒーロー活動に勤しみ、アベンジャーズの正式メンバーになる日を夢見ている。
そんなある日、ピーターは謎の犯罪集団によるハイテク武器の取引現場を目撃。
彼らの正体を暴いてスタークに認めてもらおうと、奪った武器の一部をギーク仲間でスパイダーマンの正体を知るネッド(ジェイコブ・バタロン)と共に分析しようとする。
ところが、敵の首領はスタークに深い恨みを持つ、ヴァルチャーことエイドリアン・トゥームス(マイケル・キートン)だった。
一人でヴァルチャーを捕らえようとして、市民を巻き込む大騒動を引き起こしてしまったピーターに、スタークはヒーロー失格を言い渡す。
失意のピーターだったが、高校生活の一大イベントであるホームカミングに、憧れのリズ(ローラ・ハリヤー)を誘ってOKをもらい、元気を回復。
ところが、ホームカミング当日、パーカーは思わぬ形でヴァルチャーの正体を知ってしまう・・・
サム・ライミ版のトビー・マグワイア、マーク・ウェッブ版のアンドリュー・ガーフィールドは、共にピーター・パーカーを20代後半で演じた。
対して、「シビル・ウォー」の撮影中にようやく20歳を迎えたトム・ホランドのピーターは、前任の二人が演じたキャラクターよりもずっと幼く、15歳のギークな高校生というキャラクターにリアリティを与えている。
ピーターだけではなく、マリサ・トメイ演じるメイおばさんも、ライミ版のローズマリー・ハリスに比べれば二十歳以上若いのだ。
本作が過去のシリーズと大きく異なるのは、スパイダーマンが孤独なヒーローではなく、数多くのヒーローが活躍するMCUの世界観に組み込まれていること。
大企業の社長であるトニー・スタークや、第二次世界大戦中から活躍しているキャプテン・アメリカことスティーヴ・ロジャースなど、ベテランのセンパイたちが存在するのである。
ヒーローが当たり前に活躍してる世界だから、ピーターがスパイダーマンになった詳細な顛末とか、ベンおじさんが殺されるお馴染みのエピソードはスルー。
とりあえず彼は、頭は抜群に良いが容姿には自信がないどこにでもいる少年で、クモに噛まれてスーパーパワーを手に入れたことから、放課後にご近所で覆面ヒーロー活動をして、ギークの頂点であり、憧れのトニー・スタークに自分を認めてもらいたがっている。
本作を端的に表すならば、アベンジャーズにちょっと呼ばれたので、思いっきり浮き足立ってしまった若きスパイディが、ヒーロー活動の責任と高校生活の楽しみの間で葛藤しながら、ローカルヒーローとしての地に足をつけたポジションを固めるまでの青春ストーリーだ。
今年はなぜかジョン・ヒューズが来ているらしく、彼の代表作の一つ「ブレイクファスト・クラブ」にリスペクトを捧げた「パワー・レンジャー」に続いて、本作もヒューズの青春映画に大いに影響を受けていることを隠さない。
監督のワッツは、役作りのアプローチの助けとして、若いキャストにヒューズの作品を何本も鑑賞させたそうだ。
実際、本作のピーターとネッドのギークコンビは、過去のシリーズよりも、むしろ「ときめきサイエンス」っぽい。
ちなみにこの映画には、若き日のロバート・ダウニー・Jrも出ていたっけ。
面白いのはワッツや「パワー・レンジャー」のディーン・イズラライトといった、リアルタイムにはヒューズの作品を知らないはずの30代の監督が、熱心なフォロワーとなっていることだが、自分が幼かった時代の青春映画は、10代になってから観ると、微妙な世代の違いがツボにはまり、憧憬を抱かせるのかもしれない。
私はもろに青春時代=ヒューズ映画のリアルタイム世代だけど、同じ頃に観た「アメリカン・グラフィティ」や「ビッグ・ウェンズデー」と言った一世代前の青春映画には、過ぎ去った時代の神話性みたいなものを感じていた気がする。
ジョン・ヒューズの映画的記憶を受け継ぐ若いフィルムメーカーによって、21世紀のMCUの世界に蘇ったヒューズ的青春映画、それが本作なのだ。
だから物語の軸足は、ピーター少年の十代ならではの葛藤を描くハイスクールコメディにあり、ヒーロー映画としてのスケールは比較的小さい。
ヴァルチャーの正体が、実はピーターが恋するリズの父親だったという衝撃の展開は、そんな本作の構造を象徴する。
敵も味方もご近所にいる小さな世界こそが、ローカルヒーローとしてのスパイダーマン本来の魅力であり、いい意味での世界観の狭さは、ヴァルチャーのキャラクター造形にも当てはまる。
マーベルのヴィランは、悪にも理由があるとばかりに、その動機を綿密に設定されているキャラクターが多いが、本作のヴァルチャーはその中でも最も分かりやすく、感情移入しやすい。
元々彼は、アベンジャーズの戦いで生じた瓦礫の撤去作業を請け負っていた、零細企業の社長。
ところが、宇宙人の残した残骸の価値に気づいたスタークと政府は、突如として彼らを締め出して瓦礫を独占してしまう。
ヴァルチャーは、巨大な権力によって理不尽に排除され、生活の糧を奪われた哀れな庶民なのだ。
だから彼はコソコソと宇宙人の遺物を盗み出しては、それを武器に仕立て上げて犯罪者に売りつけることで、生計を立てるのと同時にスタークにささやかな復讐を続けているが、決してアベンジャーズとは戦おうとはしないし、他のアメコミヴィランのように、大それた野望を持っている訳でもない。
本作は全体に軽妙なタッチだが、ヴァルチャーはピーターから見ると、資本主義の力学によって生まれた裏スターク的なキャラクターだったり、機械の翼で再起を図るこの"バードマン"にマイケル・キートンをキャスティングするセンスは結構シニカルだ。
ちなみに本作のキートンは、トニー・スタークにチャンスを奪い取られるのだけど、同時公開中の「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」では、逆に無慈悲に奪い取る男を演じているので、この2作は同じ俳優が資本主義の両面を演じた映画としても面白い。
対するピーターも、一人前のヒーローと言うには若過ぎて色々未熟で、ホンモノのヒーローに対する憧れとリズに対する恋心という、二大承認欲求に突き動かされ頑張ってはみるものの、結局自分で起こした問題をなんとかしようと、どんどん深みにハマってゆく。
本作のキービジュアルの一つは、黄色いジャケットを羽織ったスパイダーマンが、ビルの屋上で寝そべっているものだが、イースト川を隔てた背景のマンハッタンにはアベンジャーズのマークを付けたスターク・タワーが聳え立っている。
世界を股にかけるヒーローのチームに入りたいという大志を抱いているものの、本作の舞台はあくまでも川のこちら側。
「アベンジャーズ」シリーズの様に、宇宙人やら神様やら人知を超えた力が激突する、グローバルなカタストロフィーを描くのではなく、超人たちの足元でうごめく、ちょっとだけ特別な力を手に入れた市井の人間たちの世界なのである。
「スパイダーマン:ホームカミング」は、少年スパイディの青春の悲喜交交とヒーローとしての成長を描き、素晴らしいリブートとなった。
冒頭の60年代のテレビアニメ版「スパイダーマンのテーマ」から始まって、「デッドプール」ネタや、次回作への布石であろう意外なキャラクターの登場など、マーベルファンをニヤリとさせるディテールも豊富。
「シビル・ウォー」でシールドを奪ったことから始まる、キャプテンとの"教育的因縁"も可笑しい。
ただし、本作には欠点が一つあって、それはヒーロー映画として、カタルシスのあるアクションの見せ場が相対的に少ないということ。
主な舞台が高層ビルの回廊のないクィーンズなので、ダイナミックなスパイダースウィングがほとんど見られないのは、逆手にとってギャグに転化しているのでまあいいとして、正直ジョン・ワッツのアクション演出はあまり上手くない。
特に輸送機の上で展開する、クライマックスの空中戦では問題が顕著に出た。
夜なので暗い上に、あの機体表面のチカチカ光る迷彩(?)が余計に見難さを助長させてしまっていて、ヴァルチャーとの間で何が起こっているのかよく分からない。
ハイスクールコメディとしての魅力がアクションの欠点を補って余りあるのだけど、できれば次回作までにもう一段上を目指して研究してほしいところだ。
今回は、まだ何色にも染まっていない若々しいスパイディのイメージで「ホワイト・スパイダー」をチョイス。
スティンガーのベースをブランデーからウォッカに変えたバージョンで、冷やしたウォッカ40mlとペパーミント・ホワイト20mlをシェイクしてグラスに注ぐ。
涼しげな見た目と、ミントの香りがすっきりとした清涼感を演出する。
アルコール度数は相当に高いカクテルなので、高校生のスパイディには当然まだ早い。
記事が気に入ったらクリックしてね
昨年の「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」で先行デビューした、新生スパイダーマンの単独主演第一作。
大ヒットしたサム・ライミ版三部作と、その後を受けたマーク・ウェブの「アメイジング・スパイダーマン」とは違って、ディズニー主導のMCUとの連携を前提に作られているのが特徴で、全員が修羅場をくぐり、一癖も二癖もあるオトナの集団のアベンジャーズの面々に対して、ピュアなハートのヤングヒーローとして造形されている。
異色のスリラー「COP CAR コップ・カー」で注目された俊英ジョン・ワッツは、見事にライミともウェブとも違う、ポップでコミカルな新しいスパイディ像を作り上げた。
「スパイダーマン:ホームカミング」のタイトル通り、過去作に比べると学校生活の比重が高く、コンプレックスを抱えた学園のギークによる、ズッコケ青春ヒーロー映画の趣きだ。
※核心部分に触れています。
ベルリンでアベンジャーズの"シビル・ウォー"に参戦し、キャプテン・アメリカのシールドを奪ったスパイダーマンの素顔は、15歳の高校生ピーター・パーカー(トム・ホランド)。
ニューヨークに戻った彼は、トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)からもらった特製スーツを着て、放課後に地元クィーンズ地区でヒーロー活動に勤しみ、アベンジャーズの正式メンバーになる日を夢見ている。
そんなある日、ピーターは謎の犯罪集団によるハイテク武器の取引現場を目撃。
彼らの正体を暴いてスタークに認めてもらおうと、奪った武器の一部をギーク仲間でスパイダーマンの正体を知るネッド(ジェイコブ・バタロン)と共に分析しようとする。
ところが、敵の首領はスタークに深い恨みを持つ、ヴァルチャーことエイドリアン・トゥームス(マイケル・キートン)だった。
一人でヴァルチャーを捕らえようとして、市民を巻き込む大騒動を引き起こしてしまったピーターに、スタークはヒーロー失格を言い渡す。
失意のピーターだったが、高校生活の一大イベントであるホームカミングに、憧れのリズ(ローラ・ハリヤー)を誘ってOKをもらい、元気を回復。
ところが、ホームカミング当日、パーカーは思わぬ形でヴァルチャーの正体を知ってしまう・・・
サム・ライミ版のトビー・マグワイア、マーク・ウェッブ版のアンドリュー・ガーフィールドは、共にピーター・パーカーを20代後半で演じた。
対して、「シビル・ウォー」の撮影中にようやく20歳を迎えたトム・ホランドのピーターは、前任の二人が演じたキャラクターよりもずっと幼く、15歳のギークな高校生というキャラクターにリアリティを与えている。
ピーターだけではなく、マリサ・トメイ演じるメイおばさんも、ライミ版のローズマリー・ハリスに比べれば二十歳以上若いのだ。
本作が過去のシリーズと大きく異なるのは、スパイダーマンが孤独なヒーローではなく、数多くのヒーローが活躍するMCUの世界観に組み込まれていること。
大企業の社長であるトニー・スタークや、第二次世界大戦中から活躍しているキャプテン・アメリカことスティーヴ・ロジャースなど、ベテランのセンパイたちが存在するのである。
ヒーローが当たり前に活躍してる世界だから、ピーターがスパイダーマンになった詳細な顛末とか、ベンおじさんが殺されるお馴染みのエピソードはスルー。
とりあえず彼は、頭は抜群に良いが容姿には自信がないどこにでもいる少年で、クモに噛まれてスーパーパワーを手に入れたことから、放課後にご近所で覆面ヒーロー活動をして、ギークの頂点であり、憧れのトニー・スタークに自分を認めてもらいたがっている。
本作を端的に表すならば、アベンジャーズにちょっと呼ばれたので、思いっきり浮き足立ってしまった若きスパイディが、ヒーロー活動の責任と高校生活の楽しみの間で葛藤しながら、ローカルヒーローとしての地に足をつけたポジションを固めるまでの青春ストーリーだ。
今年はなぜかジョン・ヒューズが来ているらしく、彼の代表作の一つ「ブレイクファスト・クラブ」にリスペクトを捧げた「パワー・レンジャー」に続いて、本作もヒューズの青春映画に大いに影響を受けていることを隠さない。
監督のワッツは、役作りのアプローチの助けとして、若いキャストにヒューズの作品を何本も鑑賞させたそうだ。
実際、本作のピーターとネッドのギークコンビは、過去のシリーズよりも、むしろ「ときめきサイエンス」っぽい。
ちなみにこの映画には、若き日のロバート・ダウニー・Jrも出ていたっけ。
面白いのはワッツや「パワー・レンジャー」のディーン・イズラライトといった、リアルタイムにはヒューズの作品を知らないはずの30代の監督が、熱心なフォロワーとなっていることだが、自分が幼かった時代の青春映画は、10代になってから観ると、微妙な世代の違いがツボにはまり、憧憬を抱かせるのかもしれない。
私はもろに青春時代=ヒューズ映画のリアルタイム世代だけど、同じ頃に観た「アメリカン・グラフィティ」や「ビッグ・ウェンズデー」と言った一世代前の青春映画には、過ぎ去った時代の神話性みたいなものを感じていた気がする。
ジョン・ヒューズの映画的記憶を受け継ぐ若いフィルムメーカーによって、21世紀のMCUの世界に蘇ったヒューズ的青春映画、それが本作なのだ。
だから物語の軸足は、ピーター少年の十代ならではの葛藤を描くハイスクールコメディにあり、ヒーロー映画としてのスケールは比較的小さい。
ヴァルチャーの正体が、実はピーターが恋するリズの父親だったという衝撃の展開は、そんな本作の構造を象徴する。
敵も味方もご近所にいる小さな世界こそが、ローカルヒーローとしてのスパイダーマン本来の魅力であり、いい意味での世界観の狭さは、ヴァルチャーのキャラクター造形にも当てはまる。
マーベルのヴィランは、悪にも理由があるとばかりに、その動機を綿密に設定されているキャラクターが多いが、本作のヴァルチャーはその中でも最も分かりやすく、感情移入しやすい。
元々彼は、アベンジャーズの戦いで生じた瓦礫の撤去作業を請け負っていた、零細企業の社長。
ところが、宇宙人の残した残骸の価値に気づいたスタークと政府は、突如として彼らを締め出して瓦礫を独占してしまう。
ヴァルチャーは、巨大な権力によって理不尽に排除され、生活の糧を奪われた哀れな庶民なのだ。
だから彼はコソコソと宇宙人の遺物を盗み出しては、それを武器に仕立て上げて犯罪者に売りつけることで、生計を立てるのと同時にスタークにささやかな復讐を続けているが、決してアベンジャーズとは戦おうとはしないし、他のアメコミヴィランのように、大それた野望を持っている訳でもない。
本作は全体に軽妙なタッチだが、ヴァルチャーはピーターから見ると、資本主義の力学によって生まれた裏スターク的なキャラクターだったり、機械の翼で再起を図るこの"バードマン"にマイケル・キートンをキャスティングするセンスは結構シニカルだ。
ちなみに本作のキートンは、トニー・スタークにチャンスを奪い取られるのだけど、同時公開中の「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」では、逆に無慈悲に奪い取る男を演じているので、この2作は同じ俳優が資本主義の両面を演じた映画としても面白い。
対するピーターも、一人前のヒーローと言うには若過ぎて色々未熟で、ホンモノのヒーローに対する憧れとリズに対する恋心という、二大承認欲求に突き動かされ頑張ってはみるものの、結局自分で起こした問題をなんとかしようと、どんどん深みにハマってゆく。
本作のキービジュアルの一つは、黄色いジャケットを羽織ったスパイダーマンが、ビルの屋上で寝そべっているものだが、イースト川を隔てた背景のマンハッタンにはアベンジャーズのマークを付けたスターク・タワーが聳え立っている。
世界を股にかけるヒーローのチームに入りたいという大志を抱いているものの、本作の舞台はあくまでも川のこちら側。
「アベンジャーズ」シリーズの様に、宇宙人やら神様やら人知を超えた力が激突する、グローバルなカタストロフィーを描くのではなく、超人たちの足元でうごめく、ちょっとだけ特別な力を手に入れた市井の人間たちの世界なのである。
「スパイダーマン:ホームカミング」は、少年スパイディの青春の悲喜交交とヒーローとしての成長を描き、素晴らしいリブートとなった。
冒頭の60年代のテレビアニメ版「スパイダーマンのテーマ」から始まって、「デッドプール」ネタや、次回作への布石であろう意外なキャラクターの登場など、マーベルファンをニヤリとさせるディテールも豊富。
「シビル・ウォー」でシールドを奪ったことから始まる、キャプテンとの"教育的因縁"も可笑しい。
ただし、本作には欠点が一つあって、それはヒーロー映画として、カタルシスのあるアクションの見せ場が相対的に少ないということ。
主な舞台が高層ビルの回廊のないクィーンズなので、ダイナミックなスパイダースウィングがほとんど見られないのは、逆手にとってギャグに転化しているのでまあいいとして、正直ジョン・ワッツのアクション演出はあまり上手くない。
特に輸送機の上で展開する、クライマックスの空中戦では問題が顕著に出た。
夜なので暗い上に、あの機体表面のチカチカ光る迷彩(?)が余計に見難さを助長させてしまっていて、ヴァルチャーとの間で何が起こっているのかよく分からない。
ハイスクールコメディとしての魅力がアクションの欠点を補って余りあるのだけど、できれば次回作までにもう一段上を目指して研究してほしいところだ。
今回は、まだ何色にも染まっていない若々しいスパイディのイメージで「ホワイト・スパイダー」をチョイス。
スティンガーのベースをブランデーからウォッカに変えたバージョンで、冷やしたウォッカ40mlとペパーミント・ホワイト20mlをシェイクしてグラスに注ぐ。
涼しげな見た目と、ミントの香りがすっきりとした清涼感を演出する。
アルコール度数は相当に高いカクテルなので、高校生のスパイディには当然まだ早い。

![]() ペパーミント ジェット 31度 700ml |
スポンサーサイト
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
今までのとは一風違ったスパイダーマン。
2017/08/15(火) 00:10:33 | だらだら無気力ブログ!
映画 『スパイダーマン:ホームカミング(2D・日本語字幕版)』(公式)を8/11の公開初日に劇場鑑賞。採点は、★★★★☆(最高5つ星で4つ)。100点満点なら80点にします。
なお、過去の『スパイダーマン』の実写化映画シリーズはほぼ全作鑑賞済み。
ディレクター目線のざっくりストーリー
スパイダーマンとして活動する15歳のピーター・パーカー...
2017/08/15(火) 07:20:31 | ディレクターの目線blog@FC2
アメリカ・ニューヨーク。 ベルリンでのアベンジャーズの戦いにスパイダーマンとして参加した15歳の少年ピーター・パーカーは、次の出番を心待ちにしている。 ある日、巨大な翼で飛行する怪物が街に現れた。 アイアンマンことトニー・スタークが止めるのも聞かず、ピーターは怪物の調査に夢中になる…。 VFXヒーローアクション新シリーズ。
2017/08/15(火) 08:40:16 | 象のロケット
アメリカ アクション&ヒーロー&青春 監督:ジョン・ワッツ 出演:トム・
2017/08/15(火) 09:40:08 | 風情☭の不安多事な冒険 Part.5
アイアンマンやキャプテン・アメリカなど“アベンジャーズ”を中心にマーベル・ヒーローが同一世界観の中で活躍する“マーベル・シネマティック・ユニバース”作品群の一つとして描かれる新シリーズの第1弾となる痛快エンタテインメント青春アクション大作。主演は「インポッシブル」「白鯨との闘い」のトム・ホランド。共演はアイアンマン役のロバート・ダウニー・Jrのほか、マイケル・キートン、ジョン・ファヴロー、ゼ...
2017/08/15(火) 15:51:27 | パピとママ映画のblog
□作品オフィシャルサイト 「スパイダーマン ホームカミング」□監督 ジョン・ワッツ□脚本・原案 ジョナサン・ゴールドスタイン、ジョン・フランシス・デイリー□キャスト トム・ホランド、マイケル・キートン、ゼンデイヤ、マリサ・トメイ ロバート・...
2017/08/19(土) 08:36:58 | 京の昼寝~♪
映画『スパイダーマン ホームカミング』は、昨年の『キャプテン・アメリカ シビル・
2017/08/19(土) 23:24:07 | 大江戸時夫の東京温度
注・内容、ラスト、エンドクレジット後に触れています。『スパイダーマン : ホームカミング』SPIDER-MAN: HOMECOMING監督 : ジョン・ワッツ出演 : トム・ホランドロバート・ダウニー
2017/08/20(日) 04:48:02 | 映画雑記・COLOR of CINEMA
スパイダーマンの再リブート。まあ、商売上のいろんな理由があったことは理解できます。アベンジャーズに組み入れられたことで、結果的に大ヒットしたのだからSONYも満足でしょう。スピンオフを大量につくるらしいのはさすがにやり過ぎですが。
今回はトム・ホランド主演でアイアンマンがサポート。父親に愛されなかったとまだ誤解しているトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)が、父親らしい愛情をピーター...
2017/08/20(日) 08:49:45 | 事務職員へのこの1冊
ハイテクになったスーツ 公式サイト http://www.spiderman-movie.jp 監督: ジョン・ワッツ 「COP CAR/コップ・カー」 ベルリンでのアベンジャーズの高いに参加し、キ
2017/08/20(日) 14:51:31 | 風に吹かれて
ホームカミングとは、卒業生たちを母校に迎えて、ダンスやスポーツや同窓会など各種イベントを楽しむ催しのことである。
2017/08/22(火) 07:46:38 | 或る日の出来事
待ってました待ってました。
MCU版スパイダーマン始動!
『スパイダーマン ホームカミング』
~あらすじ~
15歳の高校生ピーター・パーカー(トム・ホランド)は、まるで部活動のようなテンションでスパイダーマンとして活動していた。まだ若い彼の才能に気付いたアイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、ピーターを真のヒーローとして育てようとする。スタ...
2017/08/27(日) 21:50:42 | シネマ・ジャンプストリート 映画のブログ
【出演】
トム・ホランド (ピーター・パーカー/声:榎木 淳弥)
マイケル・キートン (バルチャー/声:大川 透)
ジョン・ファヴロー (ハッピー/声:大西 健晴)
ロバート・ダウニー・Jr(トニー・スターク/声:藤原 啓治)
【ストーリー】
15歳...
2017/08/28(月) 21:53:53 | 西京極 紫の館
『スパイダーマン ホームカミング』をTOHOシネマズ渋谷で見ました。
(1)評判が良さそうなので映画館に行ってきました。
本作(注1)の舞台はニューヨーク(注2)。
始めの方では、エイドリアン・トゥームス(マイケル・キートン)らが、破壊されたニューヨークの...
2017/09/04(月) 20:48:10 | 映画的・絵画的・音楽的
【解説】
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』などのトム・ホランドを主演に迎えたヒーローアクション。血気盛んなスパイダーマンが、突然出現した怪物に戦いを挑む姿を活写する。アイアンマンとして数々のマーベル作品に出演してきたロバート・ダウニー・Jrや、『...
2017/09/10(日) 10:27:08 | タケヤと愉快な仲間達
上映時間 133分
原作 スタン・リー/スティーヴ・ディッコ
原案 ジョナサン・ゴールドスタイン/ジョン・フランシス・デイリー
監督 ジョン・ワッツ
出演 トム・ホランド/マイケル・キートン/ジョン・ファヴロー/ゼンデイヤ/トニー・レヴォロリ/ドナルド・グローヴァー/ジ...
2017/09/21(木) 18:38:01 | to Heart
今度のスパイダーマンは、どちらかというと、「アベンジャー・シリーズ」のひとつで、俳優さんも童顔で若ければ、15歳の高校生設定で、うんと若いです。そして、ノリが軽くて、ユーモラス。ヒーロー活動も、部活感覚。アイアンマンに憧れ、時として、新米らしく、へっぽこな、オトボケ面も (^^;)ゞまだまだ、初心者で未熟なスーパーヒーローを、アイアンマンが指導しつつも、奮闘・成長物語。(少し前の、アベンジャ...
2019/07/19(金) 16:43:33 | のほほん便り
| ホーム |