酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。
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東京国際映画祭2017 まとめのショートショートレビュー
2017年11月04日 (土) | 編集 |
第30回東京国際映画祭の鑑賞作品つぶやきまとめ。
映画はどれもとても良かったのだが、毎年繰り返されるチケット購入のトラブルはいい加減なんとかして欲しい。
公式ページのチケットページに、購入につながるリンクが無く、抗議が殺到してから慌てて当日追加するとか、プロとしてはありあえないお粗末さ。
この映画祭のチケット発売日は、私が一年に一番「無能」という言葉をツイートする日になってしまった。

怪怪怪怪物!・・・・・評価額1650円
ギデンズ・コーのヨン・サンホ化。
学園のリアリティはこの人らしいが、登場人物が殆ど全員徹底的な非共感キャラ。
イジメ大好きのムナクソ悪いガキ共が、人喰いの小鬼を捕まえる。
最初はビビっていたのが、日光という弱点を見つけると執拗にいたぶりだす。
ところが、小鬼には遥かに強い姉ちゃんがいて、消えた妹を探しにやってくる・・・という話。
この映画の怪物はそれ自体が恐怖の対象ではなく、人間の中の悪を浮き立たせる存在。
彼女らは人を食うが、それは生きるための手段でしかない。
対して、クソガキたちは"楽しいから"躊躇なく人を傷つける。
しかも彼らの嗜虐性は、人の様だけど人でない小鬼の存在によってエスカレートしてしまう。
主人公を一番中途半端で、悪にも善にもなり切れない優柔不断な乳揉み男にしたのが上手い。
ガキ共に鉄槌をと、怪物を応援したくなるが、物語の幕引きはこれ以上ない見事なものだった。
生徒と向き合わす、宗教に逃げる女教師など、ハリウッド映画では結構見るタイプのキャラだけど、アジア映画で仏教なのが面白い。
キョンシーの血統というか、ゾクッとするユーモアがいいアクセントになっている。

グレイン・・・・・評価額1600円
「息吹か?穀物か?」
限られた人間だけが遺伝子組換え作物に頼った都市に住み、残りの人々は疫病が蔓延する荒野に放逐されたディストピア。
遺伝子組換え作物に深刻な問題が発生し、種子学者の主人公は事態を予見していた元学者を探し、荒野に足を踏み入れる。
モノクロ世界で進行する、生きることの真理に関する哲学的なロードムービー。
モノクロのスコープ画面に広がるロケーションが圧巻で、淡々としたテリングはタルコフスキーを思わせる。
「息吹か?穀物か?」という印象的な台詞は、現代トルコ語の起源となった、詩人ユヌス・エムレに由来するそう。
ここで言う息吹とは、すなわち精神のこと。
これは穀物=物質文明を担っていた主人公が、メンターとなる元学者との旅を通して、人類の再生に真に必要な、この世界の生命の神秘に対する畏怖の念を取り戻し、遂に息吹を選ぶまでの物語。
なかなかに見応えのある暗喩劇だ。

KUBO/クボ 二本の弦の秘密・・・・・評価額1700円
古の日本を舞台に展開する、貴種流離譚。
月の魔王の娘と人間の侍とに間に生まれたクボが、魔王を倒せる三つの武具を捜し求める。
冒頭の海の描写にもう驚愕。
もはやCG並みにシチュエーションを選ばず、ストップモーション技法の究極形か。
設定的にもテーマ的にも、「かぐや姫の物語」のアクションファンタジー版といった趣き。
主人公がストーリーテラー設定なので、そこに物語論も組み込まれている。
クボが使うのは三味線のはずなのに、サブタイが「二本の弦」の理由には思わず涙が。
いつでもない、どこでもないファンタジーとしての日本。
しかし折り紙を重要な要素にしたり、随所に滲み出る日本文化へのリスペクトが熱い。
アクションやキャラクターの所作は黒澤映画を参考に、きちんと殺陣師をよんで動きを作っているそう。
万人に受け入れられる、ファミリーエンタメの傑作だ。
ちなみにかなり3Dを意識した演出がなされているのだけど、劇場公開時には3D版は用意されるのだろうか?

ビオスコープおじさん・・・・・評価額1650円
タイトルが気になって、何となくチケットを買ったインド映画だが、これは大正解。
子供の頃懐いていたビオスコープ(携帯型キネトスコープ)の行商人に、25年ぶりに再会した女性ドキュメンタリストが主人公。
彼は痴呆症になり、殺人事件の加害者としてずっと服役していたという。
温厚だったはずのおじさんの身に、いったい何が起こったのか。
主人公は彼の過去を調べはじめ、バラバラのピースは少しずつ形を見せる。
浮かび上がるのは、インドとアフガニスタンを結ぶ悲しい歴史。
アフガニスタン出身のおじさんが、ビオスコープを仕事にしている訳に涙。
主人公は、おじさんの真実を探る過程で、同時に疎遠だった亡き父の本心も知ることになる。
おじさんの家族を探すアフガンへの旅の終わりに、真実を撮るドキュメンタリストの彼女がついた切なく優しい嘘。
これは映画と物語に関する寓話であり、もう一つの「ニューシネマパラダイス」だ。
普遍的な物語だし、例によって控えめなミュージカルはあるが、尺も90分強と短くとても観やすい。
これは是非正式公開を望みたい秀作。
シネスイッチ系とかピッタリじゃないか。
それまでに、原案になってるタゴールの「カブリワラ」は読んでおこう。

MUTAFUKAZ・・・・・評価額1600円
タイトルは仏語で「マザーファッカー」の意。
バンデシネの原作を、日仏合作体制でスタジオ4℃がアニメーション化し、ポスプロはフランス。
しかも舞台はルーザーたちの住むカリフォルニアの街(仏語劇だけど)という超異色のジャンルレスムービー。
一応、内容的には宇宙人が人間になりすましてて、ある秘密を抱えた主人公を追い回すのだから、侵略SFのバリエーションか。
しかしこの作品、成り立ちの通りもの凄くフリーダム。
何しろ主人公のキャラデザはほぼ黒いボールに胴体と手足をくっ付けた様だし、相方なんて頭が燃えてる骸骨だ。
友だちキャラなんて、犬だか猫だかなんだかよく分からない動物化してる。
監督が、どんな風に感情表現したらいいのか戸惑ったと言ってたが、そりゃそうだろうw
そんな不思議なメインキャラたちが、普通の人間に混じってる画だけでもシュールで、未見性は文句無し。
スタジオ4℃らしいビジュアルの出来は素晴らしく、縦横無尽に動き回り、冒険活劇として見事な仕上がり。
まあ、かなり特殊な手触りの作品なので客層は限られるだろうが、公開して欲しい。

最低。・・・・・評価額1650円
瀬々監督の本領発揮。
"AV女優"をモチーフにした、オムニバス的な人間ドラマ。
親バレした現役のAV女優、夫と疎遠になりAVに出演する主婦、母親が嘗てAV女優だった女子高生。
世代の違う三人の女性たちと、彼女らを取り巻く人々の物語は生々しく、リアリティたっぷり。
三つの独立した物語が、登場人物のエモーション、あるいはアクションのシンクロで切り替わってゆくスタイルは、「恋人たち」にちょっと近い。
孤独を抱えた三人の主人公と、AVの関わりにはそれぞれに理由があるのだ。
女優たちの体をはったエロスは素晴らしく、裸体が葛藤を物語る。
瀬々監督は「金は無いが自由はあった」と仰ってたが、邦画で遠慮のないセックスシーンがキチンと意味を持って演出されていたのは、最近では本作と「あゝ、荒野」くらい。
こちらの作品も物語に余白があり、三人のその後に想像が広がる。
タイトルとは違って、出来は"最低"どころではない。
大熱演の女優陣は皆魅力的だったが、ファーストロールの山口彩乃が、彼女のキャスティングを知ってエステを予約したという、アンパンマンこと佐々木心音無双w
Q&Aで酷い質問が出たのだが、彼女の返しも最高だった。

Have a Nice Day・・・・・評価額1500円
整形に失敗した彼女を助けるため、主人公はヤクザのボスの金に手を出す。
現代中国の一夜、アニメーションで描かれるクライムドラマ。
大金の入ったカバンを巡り、有象無象の輩が争奪戦を繰り広げ、全員にとって最悪の夜になってゆく。
多くのキャラクターが入り乱れる、凝った四章構造の映画は75分ほど。
なかなか面白いが、タランティーノやコーエン兄弟が実写で似たようなことをやってるから、あんまり新鮮味はない。
時たまアニメーションならではの、ぶっ飛んだ表現は入るんだけど。
この種の写実的ドラマをアニメーションで作るというのは、日本ではあんまり出てこない発想だが、カリカチュアが効くので全然アリ。
リウ・ジエン監督も、ヨン・サンホくらい作家性が出てくると面白い存在になりそう。

シリアにて・・・・・評価額1600円
舞台は内戦下のシリア。
とあるアパートの1日を描く密室劇。
外では激しい戦闘が続いているが、アパートの中では不自由ながらも日常が営まれている。
元々この家に住んでいた家族、ベイルートへの脱出を決めた若い夫婦、娘のボーイフレンドらが身を寄せる。
皆、どこにでもいる様な、ごく普通の人々。
実質的な家長である一家の母親を軸に、映画は緊張感を持ってある日の出来事を描いてゆく。
彼女が絶対に守りたいと思っている、やっと手に入れた我が家。
しかしそこは、いわば戦場に浮かぶ無防備な孤島。
ある瞬間に、外の世界のおぞましい暴力は容赦無い残酷さで侵入してくる。
日常をベースとして戦争を描くスタンスは、「この世界の片隅に」を思い出す。
だが、この映画は既に壁一枚隔て銃弾が飛び交う状況にあり、あの映画にあったようなユーモアは望むべくもない。
現在進行形の絶望に、胸が締め付けられるような焦燥感を感じさせる力作だ。

花筐 HANAGATAMI・・・・・評価額1750円
二度目の鑑賞。本レビュー執筆中。


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三味線の音色で折り紙に命を与え、意のままに操る少年・クボ。 幼い頃、闇の魔力を持つ祖父に狙われ、助けようとした父親は命を落とした。 その時片目を奪われたクボは、更なる闇の刺客によって母も失ってしまう。 闇の魔力から逃れながらも、クボは父母の仇を討つことを決意する…。 アニメーション。
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