酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係なTBもお断りいたします。 また、関係があってもアフェリエイト、アダルトへの誘導など不適切と判断したTBは削除いたします。

■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
「DEVILMAN crybaby」湯浅政明+永井豪の化学反応
2018年01月12日 (金) | 編集 |
人類よ、滅びよ!

昨年の「夜は短し歩けよ乙女」「夜明け告げるルーのうた」の勢いそのままに、異才・湯浅政明が永井豪の伝説的傑作漫画「デビルマン」と、がっぷり四つに組んだ。
人類の天敵、捕食するものとして、別の種族が突如として現れ、その争いの中で、人類の罪深き本質が見えてくるという「デビルマン」の世界観は、その後「寄生獣」や「エヴァンゲリオン」、「東京喰種トーキョーグール」に至る膨大なフォロワーを生んだが、映像化は意外と少ない。
近年にはOVAや「009」とのコラボ作もあったが、私の様な昭和世代には原作漫画とは別物になっていたTVアニメ版だろうし、もう少し若い世代には、歴史的失敗作となった那須博之監督の実写映画が記憶に新しいだろう。

今回はNetflixのオリジナル作品の枠組みなので、放送コードのくびきから解放され、やりたい放題。
アニメーション作品としては初めて、原作の最初から最終章のハルマゲドンに至るまでが描かれ、そのまま原作を再現すると残酷すぎるビジュアルも、湯浅作品らしい独特の映像表現が上手い塩梅で中和させている。
原作全てとは言っても、あの時代の少年漫画にありがちな、行き当たりばったりの展開は、キャラクターの役割を含めて整理されて、良い意味での強引さは“らしさ”として残しつつ、21世紀の作品としてモダナイズ。

70年代の学ラン不良少年たちが、ヒップホップ化してラッパーになってるのはご愛嬌としても、例えば"アモンに次ぐ戦士"のはずなのに、原作では早々に出てきて死んでしまうシレーヌを、中ボスとして全体のミッドポイントに再配置。
さらにジンメンに喰われて取り込まれるのは、唐突に登場する明の友だち・サッちゃんではなく明の母親になっている。
面白いのはこの改変の結果、ジンメンとの戦いのエピソードが、原作フォロワーの「寄生獣」の母の敵討ちと同じような意味付けになっていること。

他にも、原作ではこれまたなんの伏線も無しに現れるミーコが、設定を大幅に変えて明や美樹のチームメイトになっていたり(原作のミーコは別キャラで登場する)、殆ど描かれなかった牧村家の両親とデーモン化する美樹の弟のエピソードが追加されるなど、全体に人間関係が密接になっているので、後半のカタストロフィにおける数々の喪失の感情が強化されている。
しかし脚色による改変の目的は、基本的にこの一点に絞られ、最近のリブート作品にありがちな、やたら設定をこねくり回して複雑化する方向に行かなかったのは良かった。

そして、感情対比表現としての“愛”と“喪失”は、最終的にサタンの中にある明への感情として純化される。
原作同様に、恐怖に取り憑かれ、自滅する人間の愚かさを強調しつつ、最後には悪魔には無いはずの"愛”の感情に明確に落とし込み、破滅と救済が一気に収束されてゆくのである。
これをサタンを矮小化する改悪と捉えるファンも少なくなさそうだが、私は悲しきサタンと共に泣いた。
実に湯浅作品らしい解釈であり、熱く支持したい。

Netflix版「DEVILMAN crybaby」は単純な原作の映像化ではなく、永井豪と湯浅政明という二人の作家のコラボレーションから生まれた、新しいイメージの「デビルマン」だ。
ここでは1+1は単純な=2ではなく、例えば=Aであるような予測不能の化学変化を起こしている。
映画でもなく、TVでもない、ネット配信という可能性は、またしても非常にユニークかつハイクオリティな作品として結実した。
少なくとも「デビルマン」の映像化としては、過去の全作品中でベストであり、唯一無二の独特のアニメーション演出は、何度も繰り返して観たくなる快作である。

ところで、原作には無いエンドクレジット後のアレは、サタンを滅ぼした神によるリセットという理解で良いのだろうか。

ランキングバナー記事が気に入ったらクリックしてね
スポンサーサイト

コメント
この記事へのコメント
こんにちは!いつもレビュー楽しみにしてます😊
僕が初めてデビルマンという作品に触れたのは、確か小学生か中学生の頃に劇場で観た実写版でした。
当時幼かった僕はまさかここまで凄惨な映画だと思わず観たので、ただただトラウマを植え付けられただけの、苦い体験でした笑

けど…このデビルマンcrybabyは全く違った感動をくれた作品でした。
誰よりも優しく、誰よりも人の痛みに寄り添う明の姿に、心の底から泣きました。

ラストのサタンとの戦いの中、死んでしまった人達から受け取った優しさのバトンを、明がサタンに何度も渡そうとするカットに涙が止まりませんでした…

大雑把なプロットは実写版に近いのに、ここまで違ったテーマを持った作品になるとは、やはり物語とは奥が深いですね。

確かに、世の中には他者を傷付け、心を踏みにじる人もいるけれど、誰かを思いやる心を忘れず、その気持ちを誰かに繋いで欲しい…
それがデビルマンという作品を通じて湯浅監督が僕たちに渡したかったバトンなんだと感じました。

残酷なシーンは多いけど、観終わった後にはきっと誰もが少しだけ優しくなれてるような…
とても素晴らしい作品でした✨

長文失礼いたしましたm(_ _)m
2018/01/13(土) 02:18:39 | URL | ゆん #-[ 編集]
こんばんは
>ゆんさん
最初に実写版を・・・それはお気の毒でした。
あの映画、一応原作に忠実に全体を作ろうとはしているのですが、あらゆる部分が力不足、というか制作トラブルなども重なって、最後には全部がグダグダで終わってしまった残念な作品でした。
その点こちらは全てが見事に噛み合っていましたね。
最初、なぜ陸上部設定なのかが分からなかったですが、最後の幻のバトントスに泣けました。
>観終わった後に誰もが少し優しくなれる
ほんとそうですね。
名作となりました。
2018/01/14(日) 20:09:00 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
小学生のころ、アニメを喜んで見ていた勢いで原作漫画を一気読みして生涯ベストワンのトラウマになりました。

今回の湯浅版、なかなか素晴らしいと思います。
湯浅監督の作品は初見なのですが、ハッキリとしたビジョンのある作家さんだと思います。。。。。。。。。。が、
・美樹ちゃんの部屋がデビルマンのフィギュアだらけ、等のメタな描写
・エンドクレジット後のアレ
のふたつが、イマイチ意味がわかりませんでした。

ところで永井豪先生の何作か、実は神によるリセット後の世界が舞台でした!ってのがあるじゃないですか?
また、デビルマンには永井豪先生本人以外の作品として、スピンオフのマンガやアニメ版や小説版とか例の実写映画とか色々なのがあるわけじゃないですか?

そこでわたしが勝手に思ったんですけど、あのラストは湯浅監督の
「わたしは偉大なる先人たちからバトンを渡されてCRYBABYを作りました。ラストでまたリセットすることで、誰かにまたこのバトンを渡します!」と云う思いが込められているのかなあ........と。

2018/01/19(金) 11:10:05 | URL | tanukibayashi #-[ 編集]
こんばんは
>tanukibayashiさん
テレビアニメから原作漫画に行ってトラウマ、は当時の子供の多くが経験したパターンですね。
>誰かにまたこのバトンを渡します!
なるほど、これはすごく面白い解釈ですね。
あのラストは次の世代のクリエイターのために、一旦リセットしたというわけですね。
次のデビルマンがあるとしたら、散々な出来だった実写のリターンマッチをやってほしいなあ。
悪魔の本場である欧米で作っても面白いかも。
2018/01/21(日) 21:51:25 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
注・内容、ラストに触れています。『DEVILMAN crybaby』 原作 : 永井豪監督 : 湯浅政明 ※Memo1●デビルマン原作が終了した年に中東戦争が始まり翌年オイルショックが始まった時代の予
2018/01/18(木) 17:58:35 | 映画雑記・COLOR of CINEMA