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2018年02月04日 (日) | 編集 |
あなたのことを、食べたい。
物語の着地点がとにかくステキ。
ジュリア・デュクルノー監督のセンス・オブ・ワンダーを感じさせる、見事な長編デビュー作だ。
冒頭、田舎の街道で交通事故が起こる。
誰かが道に飛び出して、避けようとした車は立木に激突してしまう。
事故の原因となった人物は、しばらく倒れているのだが、スクッと立ち上がると、おもむろに車に歩み寄る。
カメラは引いているため、その人物が男性なのか女性なのかを含め、いったい何が起こっているのかの詳細は見えない。
ここからすでに、不穏でメランコリックな空気がスクリーンに充満しているのである。
本作は、核心を語ろうとすると、どう語ろうと確実にネタバレになるので、観る予定の人はこれ以上読まず、ネットに情報が溢れる前に鑑賞することをオススメする。
ガランス・マリリエール演じる主人公のジュスティーヌは、厳格なベジタリアン一家に育ち、両親からも“神童”と呼ばれる秀才ながら、奥手で内向的な少女。
16歳になった彼女は、両親と姉も学んだ獣医学校に飛び級して入学するために、初めて親元を離れる。
寮生活の初日、いきなりクレイジーな新歓コンパの洗礼を受けるのだが、フランスの学校ってこんなぶっ飛んでるのだろうか??
米国のフラットパーティーとかも相当イカれてるけど、動物の生き血をぶっかけてるとか、生のウサギの内臓を食わせるとか、さすがに聞いたこと無い。
まあ、これは命を扱う獣医学校ならではのものだろうけど。
ともあれ、生まれて初めて肉を口に入れたジュスティーヌの内面で、少しずつ何かが変わってゆく。
全身の皮膚が炎症を起こして疼き、今までの反動の様に肉に対する異常な欲求に悩まされる。
やがて、決して口にしてはいけない、“ある物”を食べてしまったことから、ついに彼女は抑えられないカニバリズム衝動に目覚めてしまうのである。
そんなジュスティーヌを見ても、すでに変貌を遂げていた一年先輩の姉は何も言わず、むしろ妹と同じ嗜好を隠そうとしない。
神童と呼ばれた奥手な妹に対して、明らかな問題児でアバズレ感あふれる姉。
対照的な姉妹の愛憎劇の側面がフィーチャーされ、ぶっ壊れてゆく二人にとってのカニバニズムとは何のメタファーか。
ルームメイトの男性の肉体を見つめ、「食べたい」という衝動を抑えるかのように、セックスを求めるジュスティーヌ。
アーティスティックなテリングのスタイルがミスリードを広げ、生と死、生と性、愛と暴力、映画を観慣れた人ほど、仕込まれた暗喩の意味を考えるだろう。
ところがある瞬間、全てが腑に落ちる。
少女の家がベジアリアンだった訳、肉を口にしたことで起こったアレルギー反応、二つの皮膚炎のクリーム、そして妹がある物を食べた瞬間、姉の流した涙の意味。
本作の秀逸な着地点は、綿密に構成された悪意たっぷりの優れたシナリオの産物。
デュクルノー監督は、本作は思春期に少女の心と体がメタモルフォーゼし、大人の女に変わってゆく感覚を描いた映画だと語っている。
厳格な家庭で純粋培養された少女は、獣医学校という装置によって、原始的な本能を覚醒させ、自分が命を食らい子を産み育てる一匹の獣であることを、初めて意識するのである。
これは、ある少女が自分が何者かを知り、ありのままの自分に目覚める話ではあるが、彼女の“血”に眠るカニバニズム衝動を明らかに性愛とリンク付けているので、ある意味男性にとってはとても怖い話。
そういえば、蟷螂のメスは交尾した後オスを喰うというし、ミツバチのオスは女王蜂と交尾すると性器を引きちぎられて死んでしまうらしい。
くわばらくわばら。
今回はやはり血の様な赤。
フランス南西部のカオール地区から「レ・コント・カオール」の2014をチョイス。
黒いワインとも言われる、非常にダークな色合いが特徴。
フルボディで、強いタンニンと複雑なフルーツの香り、合う料理はやっぱり肉!
CPも高く、新歓コンパで大量消費しても懐が痛まない。
普段使いにぴったりなワインだ。
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物語の着地点がとにかくステキ。
ジュリア・デュクルノー監督のセンス・オブ・ワンダーを感じさせる、見事な長編デビュー作だ。
冒頭、田舎の街道で交通事故が起こる。
誰かが道に飛び出して、避けようとした車は立木に激突してしまう。
事故の原因となった人物は、しばらく倒れているのだが、スクッと立ち上がると、おもむろに車に歩み寄る。
カメラは引いているため、その人物が男性なのか女性なのかを含め、いったい何が起こっているのかの詳細は見えない。
ここからすでに、不穏でメランコリックな空気がスクリーンに充満しているのである。
本作は、核心を語ろうとすると、どう語ろうと確実にネタバレになるので、観る予定の人はこれ以上読まず、ネットに情報が溢れる前に鑑賞することをオススメする。
ガランス・マリリエール演じる主人公のジュスティーヌは、厳格なベジタリアン一家に育ち、両親からも“神童”と呼ばれる秀才ながら、奥手で内向的な少女。
16歳になった彼女は、両親と姉も学んだ獣医学校に飛び級して入学するために、初めて親元を離れる。
寮生活の初日、いきなりクレイジーな新歓コンパの洗礼を受けるのだが、フランスの学校ってこんなぶっ飛んでるのだろうか??
米国のフラットパーティーとかも相当イカれてるけど、動物の生き血をぶっかけてるとか、生のウサギの内臓を食わせるとか、さすがに聞いたこと無い。
まあ、これは命を扱う獣医学校ならではのものだろうけど。
ともあれ、生まれて初めて肉を口に入れたジュスティーヌの内面で、少しずつ何かが変わってゆく。
全身の皮膚が炎症を起こして疼き、今までの反動の様に肉に対する異常な欲求に悩まされる。
やがて、決して口にしてはいけない、“ある物”を食べてしまったことから、ついに彼女は抑えられないカニバリズム衝動に目覚めてしまうのである。
そんなジュスティーヌを見ても、すでに変貌を遂げていた一年先輩の姉は何も言わず、むしろ妹と同じ嗜好を隠そうとしない。
神童と呼ばれた奥手な妹に対して、明らかな問題児でアバズレ感あふれる姉。
対照的な姉妹の愛憎劇の側面がフィーチャーされ、ぶっ壊れてゆく二人にとってのカニバニズムとは何のメタファーか。
ルームメイトの男性の肉体を見つめ、「食べたい」という衝動を抑えるかのように、セックスを求めるジュスティーヌ。
アーティスティックなテリングのスタイルがミスリードを広げ、生と死、生と性、愛と暴力、映画を観慣れた人ほど、仕込まれた暗喩の意味を考えるだろう。
ところがある瞬間、全てが腑に落ちる。
少女の家がベジアリアンだった訳、肉を口にしたことで起こったアレルギー反応、二つの皮膚炎のクリーム、そして妹がある物を食べた瞬間、姉の流した涙の意味。
本作の秀逸な着地点は、綿密に構成された悪意たっぷりの優れたシナリオの産物。
デュクルノー監督は、本作は思春期に少女の心と体がメタモルフォーゼし、大人の女に変わってゆく感覚を描いた映画だと語っている。
厳格な家庭で純粋培養された少女は、獣医学校という装置によって、原始的な本能を覚醒させ、自分が命を食らい子を産み育てる一匹の獣であることを、初めて意識するのである。
これは、ある少女が自分が何者かを知り、ありのままの自分に目覚める話ではあるが、彼女の“血”に眠るカニバニズム衝動を明らかに性愛とリンク付けているので、ある意味男性にとってはとても怖い話。
そういえば、蟷螂のメスは交尾した後オスを喰うというし、ミツバチのオスは女王蜂と交尾すると性器を引きちぎられて死んでしまうらしい。
くわばらくわばら。
今回はやはり血の様な赤。
フランス南西部のカオール地区から「レ・コント・カオール」の2014をチョイス。
黒いワインとも言われる、非常にダークな色合いが特徴。
フルボディで、強いタンニンと複雑なフルーツの香り、合う料理はやっぱり肉!
CPも高く、新歓コンパで大量消費しても懐が痛まない。
普段使いにぴったりなワインだ。

![]() レ・コント カオール [2014]赤ワイン フルボディ 750mlフランス 南西地方 AOCカオールLes Comtes Cahors |
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この記事へのコメント
こちら、私がいかにも好きそうなプロットなので気になってて速攻ヒルズでみました 笑
独特の雰囲気持ってて、ゲイのルームメイトはやられるのは読めるけど、まさかあんなオチで終えると思わなかったので意外でよかったです!
主演の子、可愛いしうまいしで今後も期待です。監督もこれがデビュー作とはすごいですよね。短編の方も見たいな、、、
独特の雰囲気持ってて、ゲイのルームメイトはやられるのは読めるけど、まさかあんなオチで終えると思わなかったので意外でよかったです!
主演の子、可愛いしうまいしで今後も期待です。監督もこれがデビュー作とはすごいですよね。短編の方も見たいな、、、
>migさん
思春期の少女を主人公にした暗喩劇は秀作が多いですが、これも面白かったですね。
まさかあんなところに着地するとは、夢にも思いませんでした。
この監督センス抜群ですねw
思春期の少女を主人公にした暗喩劇は秀作が多いですが、これも面白かったですね。
まさかあんなところに着地するとは、夢にも思いませんでした。
この監督センス抜群ですねw
2018/02/19(月) 20:19:23 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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