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ショートレビュー「ぼくの名前はズッキーニ・・・・・評価額1650円」
2018年02月15日 (木) | 編集 |
この世界に、愛を探して。

様々な理由で、心に傷を負った子供たちが暮らす養護施設「フォンテーヌ園」を舞台に、母親を亡くした孤独な少年、イカール(ズッキーニ)の心の再生を描く、素晴らしいストップモーションアニメーション。
ジル・パリスの小説「Autobiographie d’une courgette」を原作に、日本でもフランス映画祭で上映された「トムボーイ」などで知られる実写畑のセリーヌ・シアマが脚色、短編アニメーション作家のクロード・バラスが鮮やかな長編デビューを飾った。
2016年のアヌシー国際アニメーション映画祭で長編部門グランプリと観客賞の二冠、第89回アカデミー賞でも長編アニメーション部門にノミネートされている話題作である。

本作のキャラクターアニメーションは、プレスコ時に撮影された、演技中の子供たちの表情を参考に付けられていったという。
二頭身のキャラクターは可愛く造形され、カリカチュアされたカラフルな世界観も楽しげだけれど、フォンテーヌ園の子供たちがが抱えている問題はヘビーだ。
母親が国外退去になった移民の子、父親から虐待を受けていた子、両親共々ヤク中の子等々、みんな大人でもへこたれてしまうくらい、悲惨な境遇を経てここへ来ている。
そんな中でも、ズッキーニのトラウマは一番深刻かも知れない。
何しろ彼は、愛する母親を殺してしまったのだ。
もちろん故意ではなく、アル中の母親がズッキーニのちょっとした行動が原因で事故死してしまったのだが、幼心に刻まれた傷は限りなく深い。
ビールばかり飲んで、時には暴力もふるう母親でも、ズッキーニにとってはかけがえのない“ママ”であり、本名のイカールと呼ばれることを拒否し、ズッキーニという奇妙な名前にこだわるのもそれが母親が付けてくれたあだ名だからなのである。

上映時間は66分だが、エンドクレジットが結構長く5分ほどあるので、実質的な尺は約60分。
コンパクトな中に、実に効率的に筋立てが組み立てられている。
この種の物語にありがちな子供同士のイジメや、悪い大人の話も出て来るが、それらは必要最小限。
描きたいのはそこじゃないのだ。
パパは“雌鳥(若い女)”と消え、ママは殺してしまい、残されたのはパパが描かれた凧と、ママの残したビールの空き缶。
大きな喪失を抱え、天涯孤独の身となってしまった、ズッキーニの再生に深く関わるキャラクターは3人。
フォンテーヌ園来た当初、ズッキーニにちょっかいを出す、赤毛のガキ大将のシモン。
ズッキーニの心ときめく初恋の相手となる、新入りの女の子カミーユ。
そして、母親の死亡事故を担当したことで、ズッキーニと心を通わせることになる警察官のレイモンだ。
カミーユはお金の為に自分を引き取ろうとする叔母に抵抗していて、彼女のための共闘が、ズッキーニとカミーユ、シモンの絆をぐっと深める。
親はいなくとも、同じくらい大切な心つながる友達がいることを彼らは知るのである。

友情と初恋が子供たちの視野をグッと広げる物語の横軸なら、縦軸となるのがズッキーニと心優しい警察官レイモンとの関係だ。
詳しくは描かれないが、レイモンは何らかの理由で自分の子供とはずっと会えない状況にあるらしい。
彼は、様々な理由で親と離れ離れになった子供たちと対照を形作り、話し相手をするうちに、いつしかズッキーニを我が子の様に深く愛する様になる。
フォンテーヌ園の子供たちに共通するのは、無償の愛を与えられるべき親から見放され「自分はもう誰からも愛されていない」と思っていること。
だが、人間同士の絆は血の繋がりだけとは限らない。
これは、愛を諦めた子供たちが、再び愛される喜びを取り戻し、他者を愛することを実践できるまでの物語。
子供の観客はフォンテーヌ園の子供たちの友達となった感覚で、大人はレイモンの視点で子どもたちに寄り添い、次第に彼らの里親になった気分になる。
物語を通して子供たちの運命は別れ、それぞれ人生の新しいステップに踏み出すのだけど、ラストである人物から新しい命が生まれ、その場にいる人全員から愛を注がれているのは象徴的。
エンディングに流れる、ソフィー・ハンガーが歌う主題歌「Le vent nous portera」がじんわりと余韻を広げる。
暗闇に差し込む暖かな光の様な、気持ちの良い作品だ。

フランスとスイスの合作なのだけど、本作を観て飲みたくなったのは、イタリアの優しい風味のレモンのお酒「リモンチェッロ」だったりする。
イタリア南西部の地域が起源で、元々は各家庭で作られていたお手軽なリキュール。
レモンの果皮を蒸留酒に漬け込み、砂糖と水を加えて一ヶ月程度置くのが一般的。
腸の運動を促す作用があるので、食後酒として重宝されてきた。
キンキンに冷やして、キュッとストレートで飲むのがオススメだが、スパークリングウォーターで割ってもジュース感覚で美味しい。

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コメント
この記事へのコメント
こんばんわ
警官とヒーローが抱き合うシーンで涙が止まりませんでした。
本来なら大人がしなければならない、子供たちを孤独から救うという愛の伝達作業。
でもそれを子供たちが新たな家族を育みながら、自分たちでやっていく姿が、このストップモーションアニメという手法で見事に描かれていましたよ!
2018/02/16(金) 02:08:06 | URL | にゃむばなな #-[ 編集]
こんばんは
>にゃむばななさん
大人が泣けるアニメーションでしたね。
ズッキーニとレイモンの関係が じんわりと心に沁みました。
シモンたちも幸せになれるといいなあと、フィクションであることを超えて考えてしまいます。
2018/02/19(月) 20:22:55 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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ひとりぼっちになった“ズッキーニ”こと少年イカールは、警察官レイモンに連れられ孤児院「フォンテーヌ園」に入ることに。 クラスメイトは、 リーダー格のシモン、アメッド、 ジュジュブ、アリス、ベアトリスの5人。 ある日、後から入園した少女カミーユの叔母が、扶養手当欲しさに彼女を引き取ると言ってくる…。 アニメーション。 ≪この世界で、ぼくはひとりぼっちじゃなかった。≫
2018/02/18(日) 07:43:04 | 象のロケット