FC2ブログ
酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ショートレビュー「アイスと雨音・・・・・評価額1700円」
2018年03月28日 (水) | 編集 |
演じることは、生きることだ。

似た作品が思い浮かばない、強烈なインパクトを放つオンリーワンの作品である。
「アズミ・ハルコは行方不明」やTVの「バイプレイヤーズ」で知られる、松居大悟監督の大変な意欲作だ。
若い俳優たちを、オーディションで集めた芝居の準備が進んでいる。
作品は、イギリスの劇作家Simon Stephensの「MORNING」。
親友が街を出て行くことをきっかけに、動き始める若者たちの不穏なドラマだ。
未熟だが、熱い情熱を持った出演者たちは、時にぶつかり合いながらも、上演に向けて準備を進めて行く。
ところが興行的な理由で、初日のわずか一週間前に上演中止が決まり、若者たちの想いは突然断ち切られてしまうのだ。

実はこれ、実際に松居監督が演出するはずだった舞台が、上演二ヶ月前に中止されたことから着想した作品だという。
どうしても上演したいと願う青春の熱情と、それが許されない現実。
本来の初日までの残り一週間、若者たちの中で混じり合う厳しい現実の葛藤と芝居の中の葛藤、この二重構造を74分ワンカットで描く。
業界の内幕を描く、いわゆるセルフ・リフレクシブ・フィルムだが、劇中劇を現実から俯瞰するメタ的な構造とは明確に違う。
これは映画と演劇、現実と虚構がシームレスかつイコールに混じり合う、まか不思議な世界。
出演者同士が役者として会話していたと思うと、次の瞬間にはそれは劇中劇のワンシーンとなっている。
そして、そのシーンが終わるとまた現実に戻るのだが、劇中劇の前とは別の日になっているのだ。
上演一ヶ月前のリハーサルシーンから始まる映画は、芝居の切り替えでどんどんと時間をジャンプしてゆく。
ビスタサイズで描かれる部分は現実で、上下にマスクが入りシネスコサイズになるとそれは劇中劇。
舞台もリハーサルスタジを飛び出し、下北沢の街中に、そして聖地・本多劇場へ。
極めて演劇的でありながら、同時にカメラなしでは描けない映画的表現だ。

音楽を担当するMOROHAの二人がそのまま画面に登場し、ストーリーテラーの役割を果たす。
面白いのは、スクリーンの同じ空間にいるにも関わらず、映画の登場人物には彼らは見えていない、聞こえていないこと。
いわばキャラクターを持った心の声として機能するMOROHAのレリックと、暴走する劇中劇の登場人物、現実の出演者の閉塞した想いがぶつかり合い、混沌を深める映画は幻の初日に向かって走りだす。
やがて全てが一つに融合する瞬間は、現実と虚構のその先にある、幾つものナラティヴ芸術の融合から生まれた、新たな化学反応がもたらすカタルシス。
映画とは、こんなにも自由なものなのだ!

監督の松居大悟も本人役で出演。
実際に映画、演劇、TV、MVと、ジャンル横断的に活動している作者だからこそ、作り得た作品なのは間違いないだろう。
まだ32歳ととても若い人だが、現時点での集大成と言えるのではないか。
劇中劇同様、オーディションで選ばれたキャストも全員実名だ。
軸となる森田想は、ちょっと十代の頃の蒼井優を想わせるキャラクターで、鮮烈な印象を残す。
これは映画という映像表現と演劇というライブ表現、現実と虚構の垣根を取り払い、新しい表現に挑戦したユニークな実験映画で、小規模公開ながら商業作品として成立させたのが奇跡。
色々な意味で、最後まで攻め切った映画だ。

今回は、意外性のあるミックスということで、日本酒ベースのカクテル「春の雪」をチョイス。
日本酒30ml、ジン20ml、グリーンティーリキュール10ml、レモンジュース5mlを氷と一緒にシェイクし、グラスに注ぐ。
サントリースクールの花崎一夫氏が考案したカクテルで、グリーンは本作の若い俳優たちのように、春先に芽吹く緑をイメージしている。
日本酒ベースのカクテルゆえに、日本酒の銘柄によって味わいは大きく異なる。
個人的にはやや辛口の純米酒がオススメ。

ランキングバナー記事が気に入ったらクリックしてね



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

サントリーリキュール ジャポネ 抹茶 500ml  20度
価格:1274円(税込、送料別) (2018/3/28時点)


スポンサーサイト


コメント
この記事へのコメント
1カットと言う事で集中して見てたからか、スクリーンサイズの違いとか全く気付きませんでした。私のツイッターのフォロワーさんは音楽のMOROHAの癖が強すぎて好きじゃないと言ってましたが、やはりあれくらい個性が強くないと劇中音楽の具現化には見えんじゃないのかと思います。
2018/04/02(月) 00:22:40 | URL | fjk78dead #-[ 編集]
こんばんは
>ふじきさん
えっ、マスクは結構目立つ形で入ってましたよ。
MOROHAの癖は確かに好み分かれるかもしれないけど、あれは目立たない程度では逆にダメじゃないかなあ。
ウザいぐらいに主張してたから、映画の軸になりえてたし。
2018/04/04(水) 20:51:08 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
ユーロスペースで見た3本をまとめてレビュー。 ◆『アイスと雨音』ユーロスペース2 ▲予告で使われていた椅子ガッシャン手前。 五つ星評価で【★★★★傑作】 これは傑作。オーディションで選ばれ初舞台に立とうとする6人の少年少女に言い渡される舞台中止。それでも彼らは稽古し、当日、中止になった劇場に集まる。予告でも言ってる通り、74分ワンカット一発取り。詩を吟じる男からカメラがパ...
2018/04/02(月) 00:23:44 | ふじき78の死屍累々映画日記・第二章
映画『アイスと雨音』は、74分ワンカットが話題ですね。でも2016年に公開された
2018/04/11(水) 23:42:05 | 大江戸時夫の東京温度