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2018年04月23日 (月) | 編集 |
本当に愛しているからこそ。
ちょっと何度か鳥肌が立った。
31歳の若さで、傑作「聲の形」をものにした、山田尚子の進化が止まらない。
高校の吹奏楽部でオーボエを演奏するみぞれと、彼女の親友でフルート奏者の希美。
彼女らは高校最後のコンクールの自由曲で、童話を元にした「リズと青い鳥」という楽曲の、掛け合いのソロパートを担当することになるのだが、みぞれは童話の主人公の行動がどうしても理解できず、それは演奏に如実に影響してしまう。
卒業と進路選択を控えた高校3年生。
お互いの関係に悩む二人の少女の成長を描く、ごく地味なストーリーなのだけど、何気にもの凄く高度なことをやっている。
山田尚子監督以下、脚本の吉田玲子、音楽の牛尾憲輔ら「聲の形」のスタッフが再結集。
武田彩乃原作のTVアニメ「響け!ユーフォニアム」の1年後を描く続編であり、スピンオフという位置付けだが、過去への言及はあるものの、独立した物語として成立しているので、TVアニメを知らなくても全く問題ない。
✳︎核心部分に触れています。
鎧塚みぞれ(種﨑敦美)と傘木希美(東山奈央)は、共に北宇治高校吹奏楽部の3年生。
高校最後のコンクールで演奏する「リズと青い鳥」で、二人は第三楽章のソロパートを担当することになる。
この曲は、孤独な少女リズ(本田望結)と、彼女の元にやってきた青い鳥(本田望結:二役)との出会いと別れを描いた作品。
しかしみぞれは、リズと青い鳥に自分と希美を重ね合わせ、リズがなぜ別れを選ぶのかが理解できない。
「リズと別れた青い鳥は、会いたくなったらまた来ればいいと思うんだよね」と、屈託無く笑う希美に対して、みぞれはそう遠くない現実の別れの時を恐れている。
そんな時、みぞれは外部指導者の新山先生から音大への進学を勧められ、それを知った希美も音大を志望先に加えると言うのだが・・・・
ベースとなった「響け!ユーフォニアム」は、個性的な吹奏楽部員たちが織り成す、熱い青春群像劇。
対して、本作はその中の二人だけをフィーチャーした内面的な心象劇。
同じ世界観の作品で、ここまでベクトルが異なるのは珍しい。
西屋太志のキャラクターデザインも、基本はTVアニメ版の池田昌子のデザインを踏襲しつつ、内容とテーマの変化を反映し、より細っそりと生っぽさを感じるものに。
画のテイストは、碧系の寒色を基調に、「聲の形」を思わせる繊細で淡いタッチとなっている。
快活で誰とでも友人になれる希美と、人付き合いが苦手で、希美以外に“親友”と言える存在がいないみぞれ。
卒業後も、どうしても希美と離れたくないみぞれの心に、別離への不安と恐れが湧き上がる。
そんな時に課されたコンクールの自由曲が、まさに自分の心を映し出したような「リズと青い鳥」だったという訳だ。
『たった一人で湖畔の家に住んでいるリズは、森の動物たちだけが友だち。彼女は嵐の日の翌朝、家の前に倒れていた青い服の少女を助ける。その日から、少女はリズの家で暮らすようになり、リズにとって初めての親友になる。ところがある夜、リズは少女が青い小鳥に変身するのを見てしまう。自分が引き止めていることで、彼女の自由を奪っていると感じたリズは、少女と別れる決意をする。』
と、童話の内容はこんな感じ。
映画は、現実世界と童話の世界を平行に描いてゆくのだが、みぞれはリズに自分を、彼女の前に現れる青い鳥の少女を希美に当てはめて考えている。
この童話を元にした楽曲は四楽章に分かれ、リズの苦悩と決意を描く第三楽章、「愛ゆえの決断」で、オーボエとフルートの掛け合いが、二人の心をそれぞれ代弁する。
ところがみぞれは、せっかく手に入れた幸せの青い鳥を手放すリズの気持ちが、どうしても理解できないのである。
ここで描かれるのは、「聲の形」でモチーフとなったイジメと贖罪のような、分かりやすい善悪の葛藤からくる痛みではない。
友だちのことが好き、大好きだから離れたくない、離れられたくない、離したくない。
もし別れたら、自分はまた一人ぼっちになってしまう・・・怖い、嫌だ。
ポジティブな感情がいつの間にか裏返って暴走し、意識しないうちに相手も自分も束縛しようとする利己的な心のダークサイド。
だが程度の差はあれ、多くの人が経験し理解出来る感情だろう。
私もどちらかといえば、みぞれタイプの内向的な子供で、はっきりと感情を表現することが苦手だったので、みぞれの内面にある友だちを失うことへの悶々とした恐れはよく分かる。
最近、友だちに避けられたくなくて、1000万円と言う大金を盗み、友だちに配っていたという女子中学生の事件があったが、これもみぞれが陥ってしまっているメンタルと少し共通するのかもしれない。
山田尚子監督は、初めての経験ゆえに自分では制御できない感情に揺れる、思春期の少女の心を丁寧に描く。
以前から、説明的な台詞に頼らない心理描写には定評がある人だが、本作でその演出はますます研ぎ澄まされ、写実的だがアニメーションならではの映像表現と、画とシンクロした綿密な音響演出と三位一体となって、キャラクターの心象風景をさらに細かく描き出す。
例えば冒頭、みぞれは朝練前に学校の入り口で希美を待つ。
彼女の耳に聞こえて来る、カツカツという軽快な足音。
性格をそのまま表すように、希美の歩幅は大きくリズミカル。
メトロノームのように綺麗に揺れるポニーテールを見つめるみぞれの視線は、希美に対する憧れとも恋ともつかぬ複雑な思慕の念を、ただ歩いているだけで雄弁に伝えてくる。
逆に、彼女たちの口から出てくる言葉や行動は、必ずしも本心とは限らない。
人との会話で本心をごまかそうとする時、あるいは心ここに在らずという時、みぞれは無意識に髪を触る。
そんな時、彼女の本当の言葉は心の奥底に隠されている。
快活で裏表がなさそうな希美も、相手の言葉を忖度して反応することがあり、そのことは自分でもわかっていて、後ろめたさを感じていたりする。
寄り画なら目や口の微妙な表情が、引き画でも姿勢や手足の細かな芝居が、隅々まで作り込まれた画面を通して、彼女たちの心の機微を伝えてくるのだ。
キャラクターの演技の驚くべき繊細さとリアリティは、もう今や誰もかなわない、圧倒的と言っていいクオリティ。
私はこの映画に、日本アニメーション映画史の文脈の中で、確実に受け継がれてゆく高畑イズムを見た。
TVアニメ版と違って、学校の外がほとんど描写されないのも特徴的だ。
童話の「リズと青い鳥」が、基本的に湖畔の家とリズが働くパン屋のみ、彼女の世界で完結しているのと同様に、この作品では学校そのものが閉ざされた世界であり、少女たちはまだその外の世界を知らず、飛び立つ準備ができていない。
閉塞した状況をブレイクスルーする瞬間が、外部から来たもの、彼女らを見守っている人生の先輩からもたらされるのもいい。
みぞれは、ずっと自分をリズで、希美を青い鳥だと思っている。
リズだけに感情移入して、青い鳥の気持ちなど考えていなかった。
だけど、なぜ青い鳥は決別を受け入れたのだろうか。
そのことに思い至り、自分を青い鳥に当てはめて、彼女の心理を考えた時、みぞれは初めて相手の立場に立って自分を見つめることができるのである。
冒頭に映し出される「disjoint」という言葉は、数学の用語で「互いに素」の意味。
二つの数字の互いに割り切れる正の整数が1しかない状態で、つまり共通の要素を持たない。
これが、物語の始まりの時のみぞれと希美の状態。
お互いのことが好きだけど、実は自分のことしか考えていない。
物語を通して、単なる憧れや思慕の念を包み込む、大いなる愛の意味を学んだみぞれは、「dis」が消えて「joint」、まだまだ未熟だけど少しだけ相手を理解して、ようやく思いやることができるようになる。
水彩絵の具のにじみをベン図に見立てて、みぞれと希美の心を表現したカットなど、細部に至るまでセンス抜群。
思春期の普遍的な葛藤を、リリカルな心象劇として昇華した、珠玉の青春映画である。
本作はみぞれの心の成長にフォーカスした物語だったが、たぶん近い将来に今度は希美がもう一つ成長しなければならない時が来るのだろう。
願わくば大人になった彼女たちの物語を、スピンオフのスピンオフとして観てみたいな。
しかしこの作品、単体として素晴らしいのだが、「響け!ユーフォニアム」の続編として期待すると、コレジャナイと感じる人もいるかもしれない。
そちらの方向性は、本作の後にもう一本、石原立也監督以下TVアニメ版のチームによる、オリジナル劇場版第二作が制作中なので、楽しみに待とう。
今回は幸せの青い鳥、ジンベースのカクテル「ブルーバード」をチョイス。
ドライジン50ml、ブルー・キュラソー10ml、アロマティック・ビターズ1dashをステアして、グラスに注ぐ。
最後にレモンピールを絞って完成。
美しいブルーが印象的な、ドライで飲みやすいカクテル。
ちなみにブルーバードとは、青い羽毛を持つツグミ科の鳥の総称だが、メーテル・リンクの「青い鳥」で、実は最初から家で飼っていた青い鳥は、ツグミではなくハト。
まあ確かに青っぽくはあるけどね・・・。
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ちょっと何度か鳥肌が立った。
31歳の若さで、傑作「聲の形」をものにした、山田尚子の進化が止まらない。
高校の吹奏楽部でオーボエを演奏するみぞれと、彼女の親友でフルート奏者の希美。
彼女らは高校最後のコンクールの自由曲で、童話を元にした「リズと青い鳥」という楽曲の、掛け合いのソロパートを担当することになるのだが、みぞれは童話の主人公の行動がどうしても理解できず、それは演奏に如実に影響してしまう。
卒業と進路選択を控えた高校3年生。
お互いの関係に悩む二人の少女の成長を描く、ごく地味なストーリーなのだけど、何気にもの凄く高度なことをやっている。
山田尚子監督以下、脚本の吉田玲子、音楽の牛尾憲輔ら「聲の形」のスタッフが再結集。
武田彩乃原作のTVアニメ「響け!ユーフォニアム」の1年後を描く続編であり、スピンオフという位置付けだが、過去への言及はあるものの、独立した物語として成立しているので、TVアニメを知らなくても全く問題ない。
✳︎核心部分に触れています。
鎧塚みぞれ(種﨑敦美)と傘木希美(東山奈央)は、共に北宇治高校吹奏楽部の3年生。
高校最後のコンクールで演奏する「リズと青い鳥」で、二人は第三楽章のソロパートを担当することになる。
この曲は、孤独な少女リズ(本田望結)と、彼女の元にやってきた青い鳥(本田望結:二役)との出会いと別れを描いた作品。
しかしみぞれは、リズと青い鳥に自分と希美を重ね合わせ、リズがなぜ別れを選ぶのかが理解できない。
「リズと別れた青い鳥は、会いたくなったらまた来ればいいと思うんだよね」と、屈託無く笑う希美に対して、みぞれはそう遠くない現実の別れの時を恐れている。
そんな時、みぞれは外部指導者の新山先生から音大への進学を勧められ、それを知った希美も音大を志望先に加えると言うのだが・・・・
ベースとなった「響け!ユーフォニアム」は、個性的な吹奏楽部員たちが織り成す、熱い青春群像劇。
対して、本作はその中の二人だけをフィーチャーした内面的な心象劇。
同じ世界観の作品で、ここまでベクトルが異なるのは珍しい。
西屋太志のキャラクターデザインも、基本はTVアニメ版の池田昌子のデザインを踏襲しつつ、内容とテーマの変化を反映し、より細っそりと生っぽさを感じるものに。
画のテイストは、碧系の寒色を基調に、「聲の形」を思わせる繊細で淡いタッチとなっている。
快活で誰とでも友人になれる希美と、人付き合いが苦手で、希美以外に“親友”と言える存在がいないみぞれ。
卒業後も、どうしても希美と離れたくないみぞれの心に、別離への不安と恐れが湧き上がる。
そんな時に課されたコンクールの自由曲が、まさに自分の心を映し出したような「リズと青い鳥」だったという訳だ。
『たった一人で湖畔の家に住んでいるリズは、森の動物たちだけが友だち。彼女は嵐の日の翌朝、家の前に倒れていた青い服の少女を助ける。その日から、少女はリズの家で暮らすようになり、リズにとって初めての親友になる。ところがある夜、リズは少女が青い小鳥に変身するのを見てしまう。自分が引き止めていることで、彼女の自由を奪っていると感じたリズは、少女と別れる決意をする。』
と、童話の内容はこんな感じ。
映画は、現実世界と童話の世界を平行に描いてゆくのだが、みぞれはリズに自分を、彼女の前に現れる青い鳥の少女を希美に当てはめて考えている。
この童話を元にした楽曲は四楽章に分かれ、リズの苦悩と決意を描く第三楽章、「愛ゆえの決断」で、オーボエとフルートの掛け合いが、二人の心をそれぞれ代弁する。
ところがみぞれは、せっかく手に入れた幸せの青い鳥を手放すリズの気持ちが、どうしても理解できないのである。
ここで描かれるのは、「聲の形」でモチーフとなったイジメと贖罪のような、分かりやすい善悪の葛藤からくる痛みではない。
友だちのことが好き、大好きだから離れたくない、離れられたくない、離したくない。
もし別れたら、自分はまた一人ぼっちになってしまう・・・怖い、嫌だ。
ポジティブな感情がいつの間にか裏返って暴走し、意識しないうちに相手も自分も束縛しようとする利己的な心のダークサイド。
だが程度の差はあれ、多くの人が経験し理解出来る感情だろう。
私もどちらかといえば、みぞれタイプの内向的な子供で、はっきりと感情を表現することが苦手だったので、みぞれの内面にある友だちを失うことへの悶々とした恐れはよく分かる。
最近、友だちに避けられたくなくて、1000万円と言う大金を盗み、友だちに配っていたという女子中学生の事件があったが、これもみぞれが陥ってしまっているメンタルと少し共通するのかもしれない。
山田尚子監督は、初めての経験ゆえに自分では制御できない感情に揺れる、思春期の少女の心を丁寧に描く。
以前から、説明的な台詞に頼らない心理描写には定評がある人だが、本作でその演出はますます研ぎ澄まされ、写実的だがアニメーションならではの映像表現と、画とシンクロした綿密な音響演出と三位一体となって、キャラクターの心象風景をさらに細かく描き出す。
例えば冒頭、みぞれは朝練前に学校の入り口で希美を待つ。
彼女の耳に聞こえて来る、カツカツという軽快な足音。
性格をそのまま表すように、希美の歩幅は大きくリズミカル。
メトロノームのように綺麗に揺れるポニーテールを見つめるみぞれの視線は、希美に対する憧れとも恋ともつかぬ複雑な思慕の念を、ただ歩いているだけで雄弁に伝えてくる。
逆に、彼女たちの口から出てくる言葉や行動は、必ずしも本心とは限らない。
人との会話で本心をごまかそうとする時、あるいは心ここに在らずという時、みぞれは無意識に髪を触る。
そんな時、彼女の本当の言葉は心の奥底に隠されている。
快活で裏表がなさそうな希美も、相手の言葉を忖度して反応することがあり、そのことは自分でもわかっていて、後ろめたさを感じていたりする。
寄り画なら目や口の微妙な表情が、引き画でも姿勢や手足の細かな芝居が、隅々まで作り込まれた画面を通して、彼女たちの心の機微を伝えてくるのだ。
キャラクターの演技の驚くべき繊細さとリアリティは、もう今や誰もかなわない、圧倒的と言っていいクオリティ。
私はこの映画に、日本アニメーション映画史の文脈の中で、確実に受け継がれてゆく高畑イズムを見た。
TVアニメ版と違って、学校の外がほとんど描写されないのも特徴的だ。
童話の「リズと青い鳥」が、基本的に湖畔の家とリズが働くパン屋のみ、彼女の世界で完結しているのと同様に、この作品では学校そのものが閉ざされた世界であり、少女たちはまだその外の世界を知らず、飛び立つ準備ができていない。
閉塞した状況をブレイクスルーする瞬間が、外部から来たもの、彼女らを見守っている人生の先輩からもたらされるのもいい。
みぞれは、ずっと自分をリズで、希美を青い鳥だと思っている。
リズだけに感情移入して、青い鳥の気持ちなど考えていなかった。
だけど、なぜ青い鳥は決別を受け入れたのだろうか。
そのことに思い至り、自分を青い鳥に当てはめて、彼女の心理を考えた時、みぞれは初めて相手の立場に立って自分を見つめることができるのである。
冒頭に映し出される「disjoint」という言葉は、数学の用語で「互いに素」の意味。
二つの数字の互いに割り切れる正の整数が1しかない状態で、つまり共通の要素を持たない。
これが、物語の始まりの時のみぞれと希美の状態。
お互いのことが好きだけど、実は自分のことしか考えていない。
物語を通して、単なる憧れや思慕の念を包み込む、大いなる愛の意味を学んだみぞれは、「dis」が消えて「joint」、まだまだ未熟だけど少しだけ相手を理解して、ようやく思いやることができるようになる。
水彩絵の具のにじみをベン図に見立てて、みぞれと希美の心を表現したカットなど、細部に至るまでセンス抜群。
思春期の普遍的な葛藤を、リリカルな心象劇として昇華した、珠玉の青春映画である。
本作はみぞれの心の成長にフォーカスした物語だったが、たぶん近い将来に今度は希美がもう一つ成長しなければならない時が来るのだろう。
願わくば大人になった彼女たちの物語を、スピンオフのスピンオフとして観てみたいな。
しかしこの作品、単体として素晴らしいのだが、「響け!ユーフォニアム」の続編として期待すると、コレジャナイと感じる人もいるかもしれない。
そちらの方向性は、本作の後にもう一本、石原立也監督以下TVアニメ版のチームによる、オリジナル劇場版第二作が制作中なので、楽しみに待とう。
今回は幸せの青い鳥、ジンベースのカクテル「ブルーバード」をチョイス。
ドライジン50ml、ブルー・キュラソー10ml、アロマティック・ビターズ1dashをステアして、グラスに注ぐ。
最後にレモンピールを絞って完成。
美しいブルーが印象的な、ドライで飲みやすいカクテル。
ちなみにブルーバードとは、青い羽毛を持つツグミ科の鳥の総称だが、メーテル・リンクの「青い鳥」で、実は最初から家で飼っていた青い鳥は、ツグミではなくハト。
まあ確かに青っぽくはあるけどね・・・。

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この記事へのコメント
ノラネコさん☆
実は「聲の形」まだ観てなかったのですよね~試写の時、ああ失敗した…って思っちゃいました。
映像で語る繊細な表現がとにかく見事でした。
女子高生のガラスのハート的繊細な感情をしっかり理解できるノラネコさんにびっくりしました(笑)
実は「聲の形」まだ観てなかったのですよね~試写の時、ああ失敗した…って思っちゃいました。
映像で語る繊細な表現がとにかく見事でした。
女子高生のガラスのハート的繊細な感情をしっかり理解できるノラネコさんにびっくりしました(笑)
>ノルウェーまだ~むさん
私の心は永遠のガラスのハートですよw
「聲の形」も傑作です。
私はこの作品を観て、山田尚子は完全に一皮むけたと感じました。
どこまで進化するのか、とても楽しみな才能です。
私の心は永遠のガラスのハートですよw
「聲の形」も傑作です。
私はこの作品を観て、山田尚子は完全に一皮むけたと感じました。
どこまで進化するのか、とても楽しみな才能です。
2018/04/25(水) 21:10:31 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
TVアニメも見ていた者としては、優子部長と夏紀副部長のみぞれと希美を心配し見守る姿も凄く素敵でした。
色んな人と接すると、相手によってそれぞれ違う距離感が生まれる。
近すぎる距離感がみぞれと希美であるならば、それを第三者で描く演出は、個人的には凄く好きですわ~。
色んな人と接すると、相手によってそれぞれ違う距離感が生まれる。
近すぎる距離感がみぞれと希美であるならば、それを第三者で描く演出は、個人的には凄く好きですわ~。
>にゃむばななさん
TV版とはかなり変えてきているのですが、ベースの部分はちゃんと押さえているのがさすがです。
正当な続編という意味では、石原監督の劇場版2作目がすごく楽しみです。
TV版とはかなり変えてきているのですが、ベースの部分はちゃんと押さえているのがさすがです。
正当な続編という意味では、石原監督の劇場版2作目がすごく楽しみです。
2018/05/11(金) 21:47:42 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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全く知らなかったけれど、武田綾乃による日本の小説「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章」という吹奏楽部をモチーフにしたお話の、テレビアニメ版「響け!ユーフォニアム」、京都アニメーションによる「劇場版 響け!ユーフォニアム」の、さらに番外編のお話なのだそう。
2018/04/24(火) 22:43:31 | ノルウェー暮らし・イン・原宿
北宇治高等学校吹奏楽部でオーボエを担当する鎧塚みぞれと、フルートを担当する傘木希美。 高校3年の最後のコンクールの自由曲「リズと青い鳥」には、オーボエとフルートが掛け合うソロがあった。 「親友」のはずなのに、ふたりのソロは上手くかみ合わず、彼女たちの間の距離を感じさせるのだった…。 アニメーション。 ≪ずっとずっと、一緒だと思っていた。≫
2018/04/25(水) 17:45:00 | 象のロケット
評価:A 公式サイトはこちら。京都アニメーション(以下、京アニと略す)「響け!
2018/04/28(土) 19:23:35 | エンターテイメント日誌
映画『リズと青い鳥』は、『けいおん!』『たまこラブストーリー』『聲の形』の山田尚
2018/05/07(月) 23:30:22 | 大江戸時夫の東京温度
いやー、すばらしい!
2020/12/30(水) 22:36:03 | 或る日の出来事
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