2018年06月26日 (火) | 編集 |
青春を、長〜く焼きつける。
あー・・・若さがキラキラしてる。
高杉真宙演じる、引っ込み思案で人との関わりが苦手な高校写真部の幽霊部員・内藤宏伸が主人公。
当然人物写真を撮るのも苦手で、部長の三好奈々恵に怒られてばかり。
そんな彼が、従姉の温子が切り盛りするリサイクルショップで、360度を写す古いパノラマカメラと出会ったことから、世界が変わってゆく。
普通の写真と違って、まるでそこにある時間そのものを写し取るような不思議な写真。
なんとなく生きてきて、写真も惰性で続けていた宏伸は、初めて夢中になれるものを見つけ、やがて自分たちの卒業記念に、世界一長いパノラマ写真を撮影することになる。
スマホのカメラで、お手軽に撮れるショボいパノラマとはとは桁が違う。
専用に改造された、一人では持ち運び出来ないほどの巨大なフィルムカメラを使い、撮影できる写真の長さ、実に145メートル!
原作は誉田哲也の同名小説なのだが、アイディアのベースとなっているのは、実際に世界最長の写真としてギネス認定された「クラブ活動の一日」という作品。
パノラマカメラを手作りした山本新一氏が、2000年12月18日に愛知県の日本福祉大学付属高等学校で、直径36mのサークル状に並んだ約650人の生徒たちの中心にカメラを置き、12回転させて撮影したという。
映画はこの話の続編的な設定になっていて、事実にリスペクトをささげながら、高校生たち自身の頑張りによって、世界一の写真を撮るというイベントが再び成し遂げられるという、王道の成長物語として昇華されている。
これは是非劇場で確認していただきたいのだが、モチーフのパノラマ写真を生かすシネスコサイズの画面に、この特別な写真の魅力を伝えるべく様々な工夫がなされた映像表現は大きな見どころ。
アナログの魅力を、ちゃんと知っている人たちが作っているのが伝わってくるのだ。
クライマックスの撮影シークエンスも、“写真を撮る”という地味な行動が、映像的な演出と登場人物の心理をリンクさせたアイディアによって、驚くべきダイナミズムを持ったパワフルな見せ場になっているのが素晴らしい。
リリカルな青春の風景に、“イケメンのもちぐされ”こと高杉真宙、この夏の連続ドラマ版「この世界の片隅に」ですずさんを演じることが決まっている、部長役の松本穂香ら、若い俳優たちが生き生きと躍動している。
そんな中で、宏伸をパノラマカメラと出会わせる、従姉の温子を演じる武田梨奈がいい。
ワイルドできっぷの良い姉さんには、思わず惚れてしまいそうだ。
キャリアベストの好演を見せる彼女の結婚式シークエンスを、冒頭と終盤に持ってきて、世界一長い写真が撮られた四年前の出来事を、括弧で閉じる作劇も上手い。
成人した宏伸が、現在から過去を振り返ることで、なかなか明かされない温子のお相手が誰なのか、そして式を撮影するために呼ばれた“カメラマン”の謎も興味を引っ張り飽きさせないのだ。
もちろん、これもキャラクター造形が魅力的で、出てくる人ほぼ全員に感情移入ができるがこその作り。
パノラマカメラという未知の存在との出会いによって、引っ込み思案だった宏伸の周りには少しずつ人が集まるようになり、その分笑いと喜びも増えてゆく。
あの人はどうなったんだろう?あの人は幸せになれたのだろうか?とついつい、登場人物たちの行く末が気になってしまう。
そう、102分のちょっとノスタルジックな青春体験が終わった時、この映画の愛すべき登場人物たちは、確実に観客の心の中で生きている。
モチーフが持つアナログな手作り感覚を見事に生かした、瑞々しい青春映画の傑作だ。
今回は愛知のご当地ビール、その名も「金しゃち 青ラベル(ピルスナー)」をチョイス。
母体となっている盛田株式会社はあのソニーの盛田昭夫の実家で、一時ソニーの筆頭株主だったこともあるという。
元々明治時代に三ツ星麦種としてビールを手がけていたのだが、2008年に盛田金しゃちビールとして復活。
青ラベルは正統派のピルスナーで、フルーティーな香りに、軽やかな喉越しが楽しめる。
これからの暑いに夏に、ぴったりの一本だ。
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あー・・・若さがキラキラしてる。
高杉真宙演じる、引っ込み思案で人との関わりが苦手な高校写真部の幽霊部員・内藤宏伸が主人公。
当然人物写真を撮るのも苦手で、部長の三好奈々恵に怒られてばかり。
そんな彼が、従姉の温子が切り盛りするリサイクルショップで、360度を写す古いパノラマカメラと出会ったことから、世界が変わってゆく。
普通の写真と違って、まるでそこにある時間そのものを写し取るような不思議な写真。
なんとなく生きてきて、写真も惰性で続けていた宏伸は、初めて夢中になれるものを見つけ、やがて自分たちの卒業記念に、世界一長いパノラマ写真を撮影することになる。
スマホのカメラで、お手軽に撮れるショボいパノラマとはとは桁が違う。
専用に改造された、一人では持ち運び出来ないほどの巨大なフィルムカメラを使い、撮影できる写真の長さ、実に145メートル!
原作は誉田哲也の同名小説なのだが、アイディアのベースとなっているのは、実際に世界最長の写真としてギネス認定された「クラブ活動の一日」という作品。
パノラマカメラを手作りした山本新一氏が、2000年12月18日に愛知県の日本福祉大学付属高等学校で、直径36mのサークル状に並んだ約650人の生徒たちの中心にカメラを置き、12回転させて撮影したという。
映画はこの話の続編的な設定になっていて、事実にリスペクトをささげながら、高校生たち自身の頑張りによって、世界一の写真を撮るというイベントが再び成し遂げられるという、王道の成長物語として昇華されている。
これは是非劇場で確認していただきたいのだが、モチーフのパノラマ写真を生かすシネスコサイズの画面に、この特別な写真の魅力を伝えるべく様々な工夫がなされた映像表現は大きな見どころ。
アナログの魅力を、ちゃんと知っている人たちが作っているのが伝わってくるのだ。
クライマックスの撮影シークエンスも、“写真を撮る”という地味な行動が、映像的な演出と登場人物の心理をリンクさせたアイディアによって、驚くべきダイナミズムを持ったパワフルな見せ場になっているのが素晴らしい。
リリカルな青春の風景に、“イケメンのもちぐされ”こと高杉真宙、この夏の連続ドラマ版「この世界の片隅に」ですずさんを演じることが決まっている、部長役の松本穂香ら、若い俳優たちが生き生きと躍動している。
そんな中で、宏伸をパノラマカメラと出会わせる、従姉の温子を演じる武田梨奈がいい。
ワイルドできっぷの良い姉さんには、思わず惚れてしまいそうだ。
キャリアベストの好演を見せる彼女の結婚式シークエンスを、冒頭と終盤に持ってきて、世界一長い写真が撮られた四年前の出来事を、括弧で閉じる作劇も上手い。
成人した宏伸が、現在から過去を振り返ることで、なかなか明かされない温子のお相手が誰なのか、そして式を撮影するために呼ばれた“カメラマン”の謎も興味を引っ張り飽きさせないのだ。
もちろん、これもキャラクター造形が魅力的で、出てくる人ほぼ全員に感情移入ができるがこその作り。
パノラマカメラという未知の存在との出会いによって、引っ込み思案だった宏伸の周りには少しずつ人が集まるようになり、その分笑いと喜びも増えてゆく。
あの人はどうなったんだろう?あの人は幸せになれたのだろうか?とついつい、登場人物たちの行く末が気になってしまう。
そう、102分のちょっとノスタルジックな青春体験が終わった時、この映画の愛すべき登場人物たちは、確実に観客の心の中で生きている。
モチーフが持つアナログな手作り感覚を見事に生かした、瑞々しい青春映画の傑作だ。
今回は愛知のご当地ビール、その名も「金しゃち 青ラベル(ピルスナー)」をチョイス。
母体となっている盛田株式会社はあのソニーの盛田昭夫の実家で、一時ソニーの筆頭株主だったこともあるという。
元々明治時代に三ツ星麦種としてビールを手がけていたのだが、2008年に盛田金しゃちビールとして復活。
青ラベルは正統派のピルスナーで、フルーティーな香りに、軽やかな喉越しが楽しめる。
これからの暑いに夏に、ぴったりの一本だ。

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摘まんで5本まとめてレビュー。
◆『世界でいちばん長い写真』シネリーブル池袋1
▲画像は後から。
五つ星評価で【★★★★実は仕掛けが上手い映画】
ただ、主人公が病的に消極的なのが歯痒い。主人公の上に君臨する女部長が独裁者のように主人公を見下して怒るが、セオリーで言えば、それは彼の為を思っての筈なのに、怒りのシーンが多くてそうにも見えず、何かやな女だなあと見えてしまった。
...
2018/07/17(火) 23:36:24 | ふじき78の死屍累々映画日記・第二章
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