fc2ブログ
酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。ネット配信オンリーの作品は★5つが満点。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係なTBもお断りいたします。 また、関係があってもアフェリエイト、アダルトへの誘導など不適切と判断したTBは削除いたします。

■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ショートレビュー「カメラを止めるな!・・・・・評価額1650円」
2018年07月06日 (金) | 編集 |
モノゴトは“ウラ”ほど面白い。

映画の専門学校「ENBUゼミナール」のプロジェクトとして作られた作品で、監督・脚本の上田慎一郎はこれが劇場用長編デビュー作いう以外、全く情報を入れずに観たが、今年最高のアイディア賞だ。
映画が始まってしばらくはB級、いやC級然としたテイスト。
自主映画の撮影隊が廃墟でゾンビ映画を撮っていると、なぜか本物のゾンビが出現しサバイバルに・・・という平凡な出だし。
ワンショット撮影は頑張っているが、ホラーじゃないけど同じ手で最近「アイスと雨音」という大力作があったしな・・・それに比べれば、こっちは相当素人臭いし、なんだか変な間や意味のない芝居がたくさんで、ぶっちゃけあんま面白くない・・・。
そんなことを思っているうちに、映画はわずか37分で唐突に幕を閉じてしまうのである。
※ここからは1度観てから読むことをオススメします。

「???これで終わり??」
と戸惑っていると、映画はここから再び幕を開けると、想像の斜め上どころか、異次元の壁を突き破って暴走する。
「最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる」は、本作のキャッチコピー。
実は今まで観てきたのは、生放送の一発撮りホラードラマ(という設定)で、二度目に始まるのはそのビハインド・ザ・シーン。
普通のドラマならいざ知らず、様々なギミックを必要とするホラーを、ノーカットの生放送で制作するという無茶振りを任されたのが、普段妥協ばっかりしている再現ドラマの監督。
ここに元女優の妻や、父とは対照的に妥協知らずでトラブルメーカーの娘ADも絡み、怒涛のメイキング・ドラマが始まるのである。
生放送という特異性ゆえに、計算尽くの妥協などできず、どんなトラブルが起こっても、今そこにあるものでなんとかするしかない。
否が応でも本気にならざるを得ない状況が、現場の人間全員を変えてゆく。

ストーリーを楽しむ言うよりも、構造の仕掛けに驚かされる映画だが、周到に設定された人物描写が、この作品の面白さを単なる一発ネタのサプライズを超えたものにしている。
前半と後半で、ガラッと作りが変わる映画は他にもある。
だが本作はそのどれとも違う唯一無二、マジでこんなの観たこと無い。
最初に観るときには、絶対に情報を入れない方がいいが、一度観てしまうと今度はディテールが楽しい。
前半のドラマで引っかかった不自然な芝居や間の違和感の“ナゼ”を、後半明かしてゆく仕掛けがものすごく凝っていて、二度三度観ても面白い。
実際平日も満席が続く劇場では、リピーター客がとても多いという。

今年は「レディ・プレイヤー1」「ブリグズビー・ベア」など、作り手にとっての虚構と現実をモチーフとした映画が目立つが、モノ作りの情熱と狂気にフィーチャーした本作もその一つ。
創作を生業にしている人は必ずこの作品に嫉妬し、強い刺激を受けるだろうし、作り手も観客も溢れんばかりの映画愛に、大いに笑って涙するだろう。
しかし、ゾンビ映画って本当に汎用性が高い。
ロメロ映画的な社会性の象徴としても、「桐島」のように青春の熱情の具現化としても、本作みたいに創造の葛藤のメタファーとしても使えるのだから、そりゃ世界中のフィルム・メーカーがゾンビ映画を作り続けるわけだ。
次は誰が、どんな新しいゾンビ映画を作り出すのだろうか。

今回は、そのまんま「ゾンビ」をチョイス。
ホワイトラム30ml、ゴールドラム30ml、ダークラム30ml、アプリコットブランデー15ml、オレンジジュース 20ml、パイナップルジュース 20ml、レモンジュース 10ml、グレナデンシロップ 10mlをシェイクして、このカクテルが名前の元になった氷を入れたゾンビグラス、別名コリンズグラスに注ぐ。
複数のラムをチャンポンしているのは酔いを深めるためで、もともとは5種類ものラムを混ぜていたという。
非常に強いのでいつの間にか酩酊し、ゾンビ化する恐ろしいカクテルだ。

ランキングバナー記事が気に入ったらクリックしてね




スポンサーサイト




コメント
この記事へのコメント
こんにちは
こんにちは。
本作、「インディーズ」と言われながら、練りに練った構成はかなりの正統派だとみました。
現場あるあるに劇場は爆笑していました!
2018/08/20(月) 10:40:34 | URL | ここなつ #/qX1gsKM[ 編集]
こんばんは
>ここなつさん
まーいろんな意味で盛り上がってきました。
超低予算からここまでの成功は、今までの日本の興行では全くなかったパターンなので、映画の中も外も面白いです。
2018/08/23(木) 21:37:06 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
泣いてしまいました
ノラネコさん☆
面白いと話題だったので、まさか最後に泣かされるとは思いませんでした。
そう言った意味でもサプライズに満ちていて、見事な映画でしたね!
2018/09/11(火) 11:15:18 | URL | ノルウェーまだ~む #RQgqNaj.[ 編集]
こんばんは
>ノルウェーまだ~むさん
私もまさかファミリーものになるとは思ってもいませんでしたよ。
怒涛のごとくな展開と、全編を貫く創作の熱気に泣けました。
2018/09/12(水) 22:14:22 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
> 次は誰が、どんな新しいゾンビ映画を作り出すのだろうか。

「ワンカット・オブ・デッド」になぞらえて次はゾンビ阿部定
2018/09/17(月) 01:44:01 | URL | fjk78dead #-[ 編集]
こんばんは
>ふじきさん
監督が「シリーズ化を考えてる」とか恐ろしいことを言っていたから、本当にあるかも。
2018/09/22(土) 20:13:58 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
映画『カメラを止めるな!』の評判がえらく良いので、観ようとしたところ、一度目は「
2018/07/09(月) 23:40:10 | 大江戸時夫の東京温度
映画専門学校「ENBUゼミナール」のワークショップ「シネマプロジェクト」の第7弾として製作された作品で、前半と後半で大きく赴きが異なる異色の構成や緻密な脚本、30分以上に及ぶ長回しなど、さまざまな挑戦に満ちた野心作。「37分ワンシーンワンカットのゾンビサバイバル映画」を撮った人々の姿を描く。監督はオムニバス映画「4/猫 ねこぶんのよん」などに参加してきた上田慎一郎。あらすじ:とある自主映画の...
2018/08/16(木) 20:33:18 | 映画に夢中
2017年・日本/ENBUゼミナール・シネマプロジェクト 配給:アスミック・エース=ENBUゼミナール 監督:上田慎一郎 脚本:上田慎一郎 編集:上田慎一郎 撮影:曽根剛 プロデューサー:市橋浩治 今
2018/08/19(日) 13:16:33 | お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法
評判通り面白かった。何となくイメージとして、若い力が躍動して勢いで作った作品だと思い込んでいたのだけれど、それはちょっと違っていて、作り込んで練っている作品。それに加えて躍動感があるのだから、ある意味無敵だ。以前当ブログの別の作品で芝居の持つライブ感と映画との違いについての拙文を書いたことがあるのだが、「生放送」というのはそういう意味では間違いなくライブである。だが、報道やバラエティー番組と...
2018/08/20(月) 10:41:43 | ここなつ映画レビュー
アイデア、構成が、低予算に合った快作といえそう。
2018/08/22(水) 07:14:40 | 或る日の出来事
☆☆☆☆- (10段階評価で 8) 8月28日(火) 109シネマズHAT神戸 シアター7にて 14:05の回を鑑賞。
2018/09/01(土) 14:06:37 | みはいる・BのB
ゾンビ・チャンネル開局記念用の特別番組を 30分生中継ワンカットで撮影する事になるが、 スタッフ・キャストに次々と難題が発生... 【個人評価:★★★☆ (3.5P)】 (劇場鑑賞)
2018/09/01(土) 23:30:59 | cinema-days 映画な日々
満席で初の補助席でしたよ 話題の「カメラを止めるな!」観ました!傑作でした!始め
2018/09/02(日) 23:37:44 | fu iのトラックバック用ブログ
お久しぶりです 最近はあまりアニメが見れていないw 録画だけしてなかなか見てないんですよね・・・・う~ん 今回は今話題になっている映画が気になっていたので見てきました 田舎ですけど結構若い人がたくさん見に来てました ネットでも話題になってて結構前から話題作なのは知ってたんですよね いや~面白かったです! これはとにかくネタバレとか細かい前知識なしで是非見てほしいです...
2018/09/03(月) 00:16:57 | にきログ
満を持して話題の映画を観てきたyo 冒頭は、声がわんわん響いて聞き取りにくい廃墟の中で、どこかたどたどしい映像が続き、うーん大丈夫かな?と一抹の不安もあったけれど、ある意味それがあえての演出だったとは! そしてまさか最後に泣くことになるなんて・・・
2018/09/11(火) 10:55:17 | ノルウェー暮らし・イン・原宿
摘まんで5本まとめてレビュー。 ◆『インクレディブル・ファミリー』トーホーシネマズ渋谷5 ▲画像は後から。 五つ星評価で【★★★★あーもー無茶苦茶面白かった】 こー、すっかり時間の間、浮世を忘れて没頭できるのがえーわー。 俺ヴァイオレットが美人すぎないし、どっちかって言うと外見が冴えない所に心惹かれる(異常か?)。長いエンドロールも金管がとても気持ちいい。と言うか、全編金管...
2018/09/17(月) 01:54:33 | ふじき78の死屍累々映画日記・第二章
映画「カメラを止めるな」を鑑賞しました。
2018/09/19(水) 00:22:18 | FREE TIME
自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画を撮影していた。 本物を求める監督は中々OKを出さずテイクは42テイクに達する。 そこへ、なぜか突然本物のゾンビが現れ、撮影隊に襲いかかった! 皆が恐怖におののき逃げ惑う中「これが映画だ」と、大喜びで撮影を続ける監督。 撮影隊は、次々とゾンビ化していくのだった…。 ホラー・コメディ。
2018/11/17(土) 09:34:40 | 象のロケット
昨年度の流行語になったほどの、話題作。よって、金曜ロードショウかな? かなり早い段階で、地上波でオンエアされましたよね。噂によると、その好評が追い風となって、第二弾ができるそう。映画の前半37分間は作中劇であるB級ホラーテイストのゾンビドラマを上映し、後半の約60分間は一転して、そのドラマ制作に携わる人々をコメディタッチで描く疑似メイキングフィルムという構成ENBUゼミナールの《シネマプロジ...
2019/10/17(木) 16:57:45 | のほほん便り