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ショートレビュー「私の人生なのに・・・・・評価額1600円」
2018年07月26日 (木) | 編集 |
ギターで紡ぐ、新しい私。

なかなか素敵な小品。
知英演じる将来を嘱望されている新体操のスター選手・瑞穂が、練習中に脊髄梗塞という病に倒れ下半身麻痺に。
青春の全てをかけた競技人生を絶たれ、一時は死を望むほど自暴自棄となった彼女の、再生の軌跡を描く物語だ。
実話ベースなのかな?と思わせる話だが、原作は清智英原作・東きゆう著のライトノベルだとか。
両親の愛情の支えもあり、大学への復学も果たし、競技自体には戻れないものの、トレーナーの誉田には指導者への転身を勧められている。
瑞穂もなんとか前を向こうとするのだが、やはり以前の自分とは違うという意識から、壁を作ってしまうのだ。

そんな彼女の前に、幼馴染でストリートミュージシャンの淳之介がふらりと現れる。
週刊誌の記事で彼女が倒れたことを知ったという彼は、数年ぶりに会った瑞穂を何の脈略もなく「一緒に歌おう!」と誘うのだ。
突然のことに戸惑う瑞穂に、淳之介は「だって楽しかっただろ?」と屈託なく笑う。
どうやら二人は中学の頃に一緒に歌ったことがあり、その時に彼女がとても楽しそうだったので、苦境から救うために誘いに来たらしい。
瑞穂からしたら、とっくに忘れていた思い出を引っ張り出す淳之介に反発しつつも、少しずつ心を動かされてゆく。

真っ直ぐな眼差しをした、二人のキャラクターがとても良い。
中学の頃に引っ越していった淳之介は、実は天涯孤独の身。
母親は出て行き、借金を抱えた父親も、息子に心中を迫った後にどこかへと失踪。
以来、ネットカフェに寝泊まりし日雇いの仕事をしながら、音楽を奏でることを生きがいに、ずっと一人で生きてきた。
一見対照的に見えて、その実心と体の違いはあれど、大き過ぎる傷を抱え、死を意識したことのある似た者同士。
「車椅子なのに『走れ、走れ』なんて歌えない」という瑞穂に、淳之介が子供やおばあちゃんたちの前で何度も彼女を走らせ、「あれ、何やってる?」と聞いてギャラリーから「走る」という言葉を引き出し、壁のブレイクスルーのきっかけになるところはとても映画的で素晴らしい。
台詞は必要最小限、可能な限り状況や心情を映像で語ろうとする原桂之介監督の意識は好印象だ。

露骨に瑞穂への恋心を隠さない誉田を含めて、基本的に良い人しか出てこないのだが、それぞれの善意のエクスプレッションは異なる。
それが瑞穂の心の中で咀嚼されて、彼女のリアクションとなりドラマを前に進める構造。
人生は色々失っていって苦しかったりするけれど、たまには楽しいこともある
優しく背中を押してくれる、気持ちの良い佳作だ。

しかし知英は竹中直人との入れ替わりコメディ「レオン」の時も素晴らしかったが、進化が止まらないな。
原監督はオムニバス映画、「全員、片思い」中の「片思いスパイラル」というエピソードで、心は男、体は女のトランスジェンダーの韓国人留学生役で彼女を起用していたが、今回は日本人設定だ。
日本語ネイティブでない外国出身で、ここまでナチュラルに日本語を使いこなした役者がいただろうか。
言葉の壁を乗り越えた先の演技者としてもとても端正で、海外移民経験者としては、この人にはリスペクトしかない。
淳之介役の稲葉友は、仮面ライダー以外で初めて見た気がするけど、この役は絶妙にフィットしていた。

この映画の二人は、音楽という人生を照らす新たな光に出会った訳だが、爽やかな映画に合わせてノンアル・カクテルの「サマー・ディライト」をチョイス。
ライム・ジュース30ml、グレナデン・シロップ15ml、シュガー・シロップ2tspをシェイクし、氷を入れたゴブレットに注ぎ、ソーダで満たす。
赤みがかったピンクは目に優しい乙女な雰囲気。
さっぱりとした喉ごしが、暑さを紛らわせてくれる。

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