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2018年08月02日 (木) | 編集 |
生きるためには、戦わなければならない。
凍てついたワイオミングの雪原で、少女の遺体が見つかる。
何者かから激しい暴行を受けた後、裸足で−30度の極寒の中を逃げて、力尽き血を吐いて倒れていた。
第一発見者はジェレミー・レナー演じる魚類野生生物局(FWS)のハンター、コリー・ランバート。
家畜を殺したピューマを追っていて、偶然に遺体を発見したのだ。
死因がはっきりしない中、FBIは出張中だった若手捜査官のジェーン・バナーを送り込んでくるも、彼女は土地勘も雪中捜査も経験がない。
やむなくコリーがガイド役となり、捜査に協力することになる。
麻薬戦争を描いたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「ボーダーライン」の脚本家として知られるテイラー・シェリダンによる、ヘビーなクライム・スリラー。
Netflixのオリジナル映画として発表された「最後の追跡」と合わせて、“現代のフロンティア3部作”の最終作に当たる。
タイトルはワイオミング州の中にある、ウィンド・リバー先住民居留地のこと。
北アラパホ族と東ショショーニ族の共同居留地という物語の背景が、物語をぐっとディープなものにしている。
コリーは白人だが、アラパホの女性と結婚していた設定で、彼の過去の傷も事件とリンクしてくる凝った構造。
居留地の西隣りにはイエロー・ストーン、グランド・ティトンの両国立公園があり、世界中から訪れる観光客で賑わっている反面、居留地にはカジノくらいしか産業がなく、慢性的な貧困状態に置かれている。
作中でもコリーの元妻が、グランド・ティトンの玄関口であるジャクソン・ホールの街で求職している設定だ。
薬物・アルコールの乱用が問題視され、若年層の犯罪率が極めて高いが、兵庫県ほどの広さを管轄する部族警察はわずかに6人。
何か事件が起これば、解決されることすら奇跡のような劣悪な環境なのである。
アラパホはかつてのインディアン戦争で、他の平原部族と共にフロンティアの東進に抗い、リトルビックホーンの戦いではカスター中佐の第七騎兵連隊を全滅させた勇猛な部族。
その代償として本来の領域を失い、現在では不毛の荒野に押し込められている。
合衆国であって、合衆国ではない。
この見捨てられた土地は過疎化が進み、わずか10年の間に3割もの人口が流失。
しかし、自らの意思で留まることを選んだ者は、誰もが戦士となり生き抜くために戦わなければならないのだ。
それは元々の住人であるアラパホとショショーニの人々だけでなく、白人のコリーも同じこと。
同じような事件で娘を失った過去を持つ彼にとって、この事件はある意味で葬いであり、自分の心の傷の正体と向き合うことなのである。
そして、この地で罪を犯した者もまた、荒野を支配する血と鉄の掟によって罰せられなければならない。
テイラー・シェリダンは、自身の持ち味を生かして、絶望の淵に生きる人間たちを描く、味わい深い秀作を作り上げた。
ミステリとしてはそれほど捻った作りではないが、キャラクター心理の織りなすビターな人間ドラマで魅せる。
娘を救えなかった父親としてのコリーの苦悩と、未知のシチュエーションで苦闘するエリザベス・オルセン演じるFBI新米捜査官のドラマがきっちりとかみ合い、ワイオミングの雄大な自然の中、綿密に描写される世界の闇が容赦なく感情をえぐる。
俳優出身の監督だけあって、役者は皆素晴らしいが、特にジェレミー・レナーはキャリア・ベストの好演と言っていい。
クライマックスの敵味方入り乱れての集団銃撃戦での彼は、弓をライフルに持ち替えたホークアイのような燻し銀のカッコよさだった。
現代劇だが、このプロットをそのまま過去に置き換えれば西部劇として成立してしまうのが、いかにもアメリカ映画だ。
今回はハンターつながりで「イエーガー・トニック」をチョイス。
ドイツのリキュールイエーガー・マイスター45mlを氷を入れたタンブラーに注ぎ、適量のトニックウォーターで割り、スライスレモンを添えて完成。
イエーガー・マイスターは甘めで香草の風味が強く、香草は食欲を刺激するので、アペリティフとして最適だ。
トニック・ウォーターの清涼感が、飲みやすくしてくれる。
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凍てついたワイオミングの雪原で、少女の遺体が見つかる。
何者かから激しい暴行を受けた後、裸足で−30度の極寒の中を逃げて、力尽き血を吐いて倒れていた。
第一発見者はジェレミー・レナー演じる魚類野生生物局(FWS)のハンター、コリー・ランバート。
家畜を殺したピューマを追っていて、偶然に遺体を発見したのだ。
死因がはっきりしない中、FBIは出張中だった若手捜査官のジェーン・バナーを送り込んでくるも、彼女は土地勘も雪中捜査も経験がない。
やむなくコリーがガイド役となり、捜査に協力することになる。
麻薬戦争を描いたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「ボーダーライン」の脚本家として知られるテイラー・シェリダンによる、ヘビーなクライム・スリラー。
Netflixのオリジナル映画として発表された「最後の追跡」と合わせて、“現代のフロンティア3部作”の最終作に当たる。
タイトルはワイオミング州の中にある、ウィンド・リバー先住民居留地のこと。
北アラパホ族と東ショショーニ族の共同居留地という物語の背景が、物語をぐっとディープなものにしている。
コリーは白人だが、アラパホの女性と結婚していた設定で、彼の過去の傷も事件とリンクしてくる凝った構造。
居留地の西隣りにはイエロー・ストーン、グランド・ティトンの両国立公園があり、世界中から訪れる観光客で賑わっている反面、居留地にはカジノくらいしか産業がなく、慢性的な貧困状態に置かれている。
作中でもコリーの元妻が、グランド・ティトンの玄関口であるジャクソン・ホールの街で求職している設定だ。
薬物・アルコールの乱用が問題視され、若年層の犯罪率が極めて高いが、兵庫県ほどの広さを管轄する部族警察はわずかに6人。
何か事件が起これば、解決されることすら奇跡のような劣悪な環境なのである。
アラパホはかつてのインディアン戦争で、他の平原部族と共にフロンティアの東進に抗い、リトルビックホーンの戦いではカスター中佐の第七騎兵連隊を全滅させた勇猛な部族。
その代償として本来の領域を失い、現在では不毛の荒野に押し込められている。
合衆国であって、合衆国ではない。
この見捨てられた土地は過疎化が進み、わずか10年の間に3割もの人口が流失。
しかし、自らの意思で留まることを選んだ者は、誰もが戦士となり生き抜くために戦わなければならないのだ。
それは元々の住人であるアラパホとショショーニの人々だけでなく、白人のコリーも同じこと。
同じような事件で娘を失った過去を持つ彼にとって、この事件はある意味で葬いであり、自分の心の傷の正体と向き合うことなのである。
そして、この地で罪を犯した者もまた、荒野を支配する血と鉄の掟によって罰せられなければならない。
テイラー・シェリダンは、自身の持ち味を生かして、絶望の淵に生きる人間たちを描く、味わい深い秀作を作り上げた。
ミステリとしてはそれほど捻った作りではないが、キャラクター心理の織りなすビターな人間ドラマで魅せる。
娘を救えなかった父親としてのコリーの苦悩と、未知のシチュエーションで苦闘するエリザベス・オルセン演じるFBI新米捜査官のドラマがきっちりとかみ合い、ワイオミングの雄大な自然の中、綿密に描写される世界の闇が容赦なく感情をえぐる。
俳優出身の監督だけあって、役者は皆素晴らしいが、特にジェレミー・レナーはキャリア・ベストの好演と言っていい。
クライマックスの敵味方入り乱れての集団銃撃戦での彼は、弓をライフルに持ち替えたホークアイのような燻し銀のカッコよさだった。
現代劇だが、このプロットをそのまま過去に置き換えれば西部劇として成立してしまうのが、いかにもアメリカ映画だ。
今回はハンターつながりで「イエーガー・トニック」をチョイス。
ドイツのリキュールイエーガー・マイスター45mlを氷を入れたタンブラーに注ぎ、適量のトニックウォーターで割り、スライスレモンを添えて完成。
イエーガー・マイスターは甘めで香草の風味が強く、香草は食欲を刺激するので、アペリティフとして最適だ。
トニック・ウォーターの清涼感が、飲みやすくしてくれる。

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この記事へのコメント
余所者であるジェーンを主役にするのではなく、白人だけど地元民のコリーを主役にしているところが、この映画の素晴らしいところ。
決して外からの視点だけで描かず、でも内からの視点だけでも描かない。微妙だけど絶妙なこの視点がさすが脚本家出身の監督ならではだと思いましたよ。
決して外からの視点だけで描かず、でも内からの視点だけでも描かない。微妙だけど絶妙なこの視点がさすが脚本家出身の監督ならではだと思いましたよ。
>にゃむばななさん
ジェーンは所詮通りすがりの人ですからね。
この土地に縁を持ったコリーしか主人公にはなりえない。
彼が純粋な部族民ではなく、家族でつながった白人なのもいいですね。
いろいろまたがっている部分がドラマを呼ぶという。
ジェーンは所詮通りすがりの人ですからね。
この土地に縁を持ったコリーしか主人公にはなりえない。
彼が純粋な部族民ではなく、家族でつながった白人なのもいいですね。
いろいろまたがっている部分がドラマを呼ぶという。
2018/08/06(月) 22:00:24 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
ノラネコさん☆
この監督の脚本好きです~
特に物語的には解決したのに、実際は解決しないことで掻き立てられる胸のモヤモヤが秀逸だと思いました。
この監督の脚本好きです~
特に物語的には解決したのに、実際は解決しないことで掻き立てられる胸のモヤモヤが秀逸だと思いました。
>ノルウェーまだ~むさん
そうですね、事件は解決したのだけど、物語の外には広い世界があって、そこでは何も終わっていないことを感じさせます。
映画を見ることで、背景に興味を抱かせる。
この感覚はシェリダンの特質かもしれません。
そうですね、事件は解決したのだけど、物語の外には広い世界があって、そこでは何も終わっていないことを感じさせます。
映画を見ることで、背景に興味を抱かせる。
この感覚はシェリダンの特質かもしれません。
2018/08/17(金) 21:27:20 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
こんにちは。
さすが「ボーダーライン」の脚本家!
救われる部分と救われない無慈悲な部分のバランスが…絶妙でした。
仮に友人のリベンジを肩代わりしたとしても、友人ともども救われることは決してないのだな、と。
さすが「ボーダーライン」の脚本家!
救われる部分と救われない無慈悲な部分のバランスが…絶妙でした。
仮に友人のリベンジを肩代わりしたとしても、友人ともども救われることは決してないのだな、と。
>ここなつさん
解決される部分とされない部分、この境界に物語の核心があるのは「ボーダーライン」と共通ですね。
それが物語の詩情とも余韻ともなって、観た人の心に長く残る。
覆水盆に返らず、まあ人生の真理ですよね、これは。
解決される部分とされない部分、この境界に物語の核心があるのは「ボーダーライン」と共通ですね。
それが物語の詩情とも余韻ともなって、観た人の心に長く残る。
覆水盆に返らず、まあ人生の真理ですよね、これは。
2018/08/27(月) 22:18:52 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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詳細レビューはφ(.. )
https://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201807280000/
ウィンド・リバー オリジナル・サウンドトラック 【初回生産限定盤】(ホワイト・カラーヴァイナル) 【LP】
2018/08/03(金) 05:24:43 | 日々“是”精進! ver.F
アメリカの辺境を舞台に現代社会が抱える問題や現実をあぶりだした「ボーダーライン」「最後の追跡」で、2年連続アカデミー賞にノミネートされた脚本家テイラー・シェリダンが、前2作に続いて辺境の地で起こる事件を描いた自らのオリジナル脚本をもとに初メガホンをとったクライムサスペンス。第70回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞。主演は「ハート・ロッカー」のジェレミー・レナーと、「アベンジャー...
2018/08/03(金) 18:32:31 | 映画に夢中
アメリカ中西部ワイオミング州のネイティブアメリカンの保留地ウインド・リバー。 その雪に閉ざされた山岳地帯で、ネイティブアメリカンの少女の死体が見つかった。 雪山の厳しい条件により捜査は難航。 新人の女性捜査官ジェーン・バナーは、地元のベテランハンターで遺体の第一発見者であるコリー・ランバートに協力を求める…。 クライム・サスペンス。
2018/08/04(土) 14:22:01 | 象のロケット
極寒の保留地で少女の死体が発見された。
FBIの新米女性捜査官がベテランハンターと捜査にあたり、
ネイティブ・アメリカンの村社会の闇を暴き出していく...
【個人評価:★★☆ (2.5P)】 (劇場鑑賞)
原題:Wind River
2018/08/06(月) 02:10:13 | cinema-days 映画な日々
2017年・アメリカ 配給:KADOKAWA (提供:ハピネット) 原題:Wind River 監督:テイラー・シェリダン脚本:テイラー・シェリダン製作総指揮:エリカ・リー、ジョナサン・ファーマン、ブ
2018/08/06(月) 19:16:05 | お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法
ただただ静かに立ちはだかる広大で荒涼とした大自然が、その過酷な地に追いやられたネイティブアメリカンの苦悩を静かに物語る。
そしてその結末は映画「ボーダライン」のラストと同様、事件は解決するのに、胸に深く突き刺さったくさびを抜くことはない。
2018/08/15(水) 00:43:53 | ノルウェー暮らし・イン・原宿
舞台はネイティブ・アメリカン保留地であるワイオミング州の辺境。ウィンド・リバーと名づけられたその土地は、冬の寒さが厳しく、痩せた土地での寂れた鉱山発掘が産業となっているような場所であった。往々にしてネイティブ・アメリカンの保留地は厳しい条件の立地にあるところが多い。つまり彼らは追いやられている、と表現してもいいと思う。そのウィンド・リバーで野生生物局に所属し、土地のハンターとして活動している...
2018/08/27(月) 12:30:50 | ここなつ映画レビュー
☆☆☆☆- (10段階評価で 8)
10月19日(金) 109シネマズHAT神戸 シアター6にて 16:55の回を鑑賞。 字幕版。
2018/11/05(月) 13:56:00 | みはいる・BのB
「ウインド・リバー」(原題:WindRiver)は、2017年公開のアメリカのクライム・サスペンス映画です。テイラー・シェリダン監督・脚本、ジェレミー・レナー、エリザベス・...
2019/06/07(金) 05:00:21 | 楽天売れ筋お買い物ランキング
雪一色のまっしろな景色。
2019/10/10(木) 07:40:52 | 或る日の出来事
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