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ショートレビュー「詩季織々・・・・・評価額1600円」
2018年08月11日 (土) | 編集 |
あの頃があって、今がある。

北京・広州・上海、現代中国の三都市を舞台に、今時の若者たちを描く日中合作オムニバス。
アニメーション制作がコミック・ウェーブ・フィルムというだけでなく、中国人監督たちのリスペクトがビンビンに感じられ、世界観とテリングのスタイルが凄く新海誠っぽい。
共同製作先のHaolinersのリ・ハオリン代表が第3話監督兼総監督を務め、「ストームブレイカーズ 妖魔大戦」のジョシュア・イ・シャオシン監督が第1話を担当、第2話は「君の名は。」の3DCGチーフを務めた竹内良貴が監督デビューを飾った。
新海作品を肌で知る日本人監督の第2話が、一番新海スタイルから離れようとしてるのが面白い。

第1話「陽だまりの朝食」
今は北京で働く主人公・シャオミンが、少年時代を過ごした湖南省で毎日朝食に食べていたソウルフード、ビーフンについて語る。
とりあえず湖南人のイ・シャオシン監督が、死ぬほどビーフン好きなのが伝わってくる。
一応、共働きの両親に代わって育ててくれたおばあちゃんとの思い出とか、毎朝ビーフンを食べながら眺めていた初恋の彼女の話とかも出てくるのだけど、飯テロレベルのビーフンの描写が強烈すぎて、ほとんど「ビーフンうまそう」しか感想が出てこない(笑
この味覚と郷愁が合体した感覚、香川県人のうどん愛に近いものがある。
「これ、日本を舞台にリメイクするなら香川しかないだろうなあ」なんて考えながら観た。
東京都内にも湖南の汁ビーフンの店があるので、観終わってそのまま食べに行ってしまったよ。

第2話「小さなファッションショー」
他の二編が多分に監督の人生を反映した少年の物語なのに対して、これはファッション業界に生きる姉妹の話で、ちょっと毛色が違う。
主人公は広州で活躍するベテランのトップモデル・イリンと、服飾学校に通う妹のルル。
大きな成功を掴んだものの、イリンは次第に人気が旬を過ぎつつあるのを自覚し、焦りからルルに八つ当たりしてしまう。
奔放なお姉ちゃんとしっかり者の妹の、雨降って地固まる的な王道の姉妹成長物語。
よく出来た作品だが外国人監督のためか、他の二編と違って“郷愁”の要素がないので、あまりローカル色は強くない。
舞台になる広州市がまるでSFの未来都市のようで、生活感がないのもその印象を強化する。
ファッション業界の男性がオネエっぽいのは、世界中共通なんだろうか?

第3話「上海恋」
掛け違えてしまったボタンを巡る、切ない初恋物語。
もともとこの企画は、「秒速5センチメートル」に感動したリ・ハオリン監督がコミック・ウェーブ・フィルムにオファーを出したことから始まったという。
その原点となった作品にオマージュを捧げたリリカルな一編だが、きちんと本歌取りして独自の味わいに仕上げている。
1999年、上海の旧市街・石庫門に暮らす中学生・リモとシャオユの幼い恋。
両思いだった二人は、進路を巡る誤解から離れ離れになってしまうのだが、遠い未来に一本のカセットテープが真実を明らかにする。
誰もが身に覚えのある甘酸っぱい初恋の記憶、物語上の現在と過去の時間の差異が、新しい街と古い街が存在する上海の独特の空間とリンク。
高い普遍性を持ちながら、この街ならではの作品になっている。
主人公が建築家設定なのが象徴的だが、これも新海作品へのオマージュかもしれない。

どの話も、登場人物が中国名じゃなければ、絵柄的には日本の作品と見分けがつかないが、これはやはりダイナミックに変貌する現代中国以外では成立しない作品
主人公たちはどの話も大体30歳くらいなのだけど、彼らが10代の頃と現在とではもう街の風景がガラッと違うのだ。
第3話ではカセットテープが過去と現在をつなぐキーアイテムとなるのだが、2000年頃の日本ではもうCDプレイヤーを通り越してMP3が主流になりつつあったと思う。
高校生たちがラジオを録音したりして、一生懸命オリジナルテープを作ってたのは、80年代頃だった。
2000年頃の時点で、日本と中国には10年以上のタイムラグがあったのが、今ではむしろ中国の方が未来を感じさせる部分が多い。
過去20年の社会の移り変わりが激しく、そのことがうまく作品に取り込まれているのが本作の特徴と言えるだろう。
Netflix案件ですぐ配信始まるが、美しい映像は劇場で観る価値がある。

今回は、最終第3話の舞台から魔都「シャンハイ」の名を持つカクテルをチョイス。
ダーク・ラム30ml、アニゼット10ml、レモン・ジュース20ml、グレナデン・シロップ2dashをシェイクしてグラスに注ぐ。
濃厚なダーク・ラムにアニゼットの香り、レモンの酸味が絶妙にバランスする。
このカクテルの由来には、上海の租界で生まれたものとか、イギリスで考案されエキゾチックな名前としてシャンハイと付けられたとか諸説あるが、ほぼ100年前から存在する歴史あるカクテルである。

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コメント
この記事へのコメント
日本を舞台にするなら名古屋マウンテンの甘口抹茶小倉スパでどうだ!
2018/08/19(日) 23:59:11 | URL | fjk78dead #-[ 編集]
(。-_-。)
>ふじきさん
ローカルすぎて誰も知らない・・・
2018/08/23(木) 21:34:58 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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