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ショートレビュー「飢えたライオン・・・・・評価額1650円」
2018年10月01日 (月) | 編集 |
私たちの“獲物”について。


SNS上のデマを切っ掛けに、松林うらら演じる平凡な女子高校生・杉本瞳の人生が、徹底的に消費し尽くされる物語
本人は全くあずかり知らないところで、フェイク情報は拡散し続け、気づいた時にはもはや制御不能。
かなり自虐的なラストに至るまで、相当に精神的に痛く、なおかつ心底不快でムカつく映画である。
緒方貴臣監督は現在日本のダークサイドを濃縮した、恐ろしい作品を作り上げた。
これはある意味、最もリアルなホラー映画だ。

映画は、ある朝のホームルームの時間、瞳の担任教師が児童ポルノ禁止法違反の容疑で警察に連行されるところから始まる。
そして、担任の所持していた動画がどこからか流出し、そこに写っていた女が瞳に“似ていた”ことから彼女が担任の愛人だったというデマが流れる。
最初はすぐに誤解が晴れると考えていた瞳だったが、デマは全く終息せずにSNS上で事実かの様に広まってゆき、やがてそれは現実世界の瞳にも深刻なイジメという形で影響を与えてゆく。
学校でも家庭でも、皆心配の声はかけるものの、誰一人としてことの深刻さを理解しておらず、事態に対処する術を教えてはくれない。
やがて瞳の周りには、デマを真に受けた愚かで卑劣な男たちがハイエナの様に群がってくる。

定点の引き画を多用しているのが印象的だが、多くのショットで瞳は背を向けていて、その表情をうかがい知ることは出来ない。
情報の欠落が想像力を刺激し、「もっと見たい」と思わせる演出ロジックが、劇中で彼女の身に起こっていることに符合する秀逸な仕組み。

学校と家庭を中心に、瞳の日常をとらえたシーンの連続は、短いスパンでカットアウトにより暗転するが、これにより有機的な物語の連続性が否定され、事象の断片となってゆく。
何度も同じ構図で写しだされる毎に瞳の状況は悪化していて、まるで着実に絶望へと向かう彼女の生活を隠しカメラで覗き見る様だ。

だが、この映画が本当に恐ろしいのは、瞳が悲劇的に退場した後。
SNSから始まった騒動は、現実の“事件”となったことによって、今度はマスコミの格好の餌食となって、本人不在のまま周りの人間を巻き込みながら拡大の一途を辿るのである。
拡散し続ける情報によって、一度でも飢えた大衆の餌となった人間は、現実と虚構が混じりあった“虚像”というアイコンに祭り上げられ、永遠にしゃぶり尽くされる。

リアリティたっぷりに描写される“現代社会”の姿は非常に不快なのだが、心の中のムカつきがピークに達した瞬間、この映画を観ている「お前も消費している一人だろ」という否定し難い現実と、自らの中にも蠢く嗜虐的な欲望に気付かされる虚無感。参った。

今回は口直しに「デビルズ」をチョイス。
酔っ払うのは悪魔の誘い。
ポートワイン30ml、ドライ・ベルモット30ml、レモン・ジュース2dashをステアして、グラスに注ぐ。
名前は怖いが、実はまろやかで優しい味わいのカクテル。
ポートワインの甘さと、レモンの爽やかさが絶妙なバランスをもたらしている。

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