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2018年10月25日 (木) | 編集 |
本当の“怪物”は誰か?
ギデンズ・コーのヨン・サンホ化。
昨年の東京国際映画祭でも上映された「怪怪怪怪物!」は、いわば「あの頃、君を追いかけた」で描かれた爽やかな青春ストーリーの裏側にあるもの。
思春期の少年少女の心のダークサイドを、増幅・具現化した作品だ。
とぼけたタイトルからコメディと勘違いしそうだけど、中身はある意味「不快の塊」で相当にハード。
学園生活のリアリティはこの人らしいが、登場人物が殆ど全員徹底的な非共感キャラに造形され、情け容赦無い戦慄の学園ホラーに仕上がっている。
トン・ユィカイ演じる主人公のリン・シューウェイは、気の弱いイジメられっ子。
彼は教師から、イジメ大好きのムナクソ悪い不良三人と共に、奉仕活動として独居老人の手伝いを命じられる。
そして訪れた老人宅で、人を喰う二匹の鬼と遭遇した彼らは、小さいほうの鬼を捕まえ、誰も足を踏み入れない学校のイジメ部屋に監禁するのである。
イジメっ子たちは、最初は小鬼にビビっていたのが、日光という弱点を見つけると、「調査」と「実験」と称して執拗にいたぶりだす。
ところが、小鬼には遥かに強い姉ちゃんがいて、消えた妹を探しにやってくる・・・という話。
この映画の人喰い鬼はそれ自体が恐怖の対象ではなく、人間の心の中に隠れている悪を浮かび上がらせ、相対化するための存在。
かつては人間だったが、鬼と化してしまった彼女らは人を食うが、それは生きるための手段でしかなく、一生物として不可避の行為である。
対して、イジメっ子のクソガキたちは、「楽しいから」躊躇なく人を傷つける。
しかも彼らの嗜虐性は、「人の様だけど人でない」小鬼の存在によってエスカレートしてしまうのだ。
日本でも昔、女子高生コンクリ詰め殺人事件という凄惨な事件が起こったが、この手のクソガキは一度箍が外れてしまうと、精神的な幼さゆえにとことん暴走してしまうことがある。
しかも相手が小鬼なら、いくらイジメても、傷つけても、殺してしまったとしても、法で罰せられることはない。
イジメの快感に捕らわれた彼らは、もはや人の姿をした怪物と化してゆく。
ダークサイドに堕ちているのは子供たちだけでなく、大人も同じ。
生徒と正面から向き合わず、宗教に逃げる女教師など、ハリウッド映画では結構見るタイプのキャラクターだが、あまり宗教的とは言えない東アジアの映画では珍しく、仏教徒なのが面白い。
主人公を一番中途半端で、悪にも善にもなりきれない優柔不断な乳揉み男にしたのも上手い。
自分から積極的に悪は行わない(行えない)が、かといって止める勇気もないノンポリの傍観者こそ、人間社会の圧倒的多数だからだ。
観客はシューウェイの臆病さに心底イライラしながら、同時に彼の立場なら自分も同じことをするかも?ということを否定できない。
全く同情できないクソガキ共に鉄槌をと、血の雨を降らせながら妹を探す姉ちゃん鬼を応援したくなるが、そうなるとシューウェイも無罪放免とはいかないのである。
主人公の”不作為の罪”をいかにして償わせるのか?
これはネタバレになるので、是非劇場で確認してほしいのだが、物語の幕引きはこれ以上ない見事なものだった。
キョンシーの血統というか、ゾクッとするユーモアがいいアクセントになっている。
今回は台湾を代表するビール「台灣啤酒 金牌(台湾ビール 金牌)」をチョイス。 台灣啤酒 は日本統治時代の1919年に創業した高砂麦酒が前身で、一世紀の歴史を持つ老舗。
同社の「經典( クラッシック)」が、高砂麦酒の製法を受け継ぎ、日本のビールに近い印象なのに対し、2003年に発売されたラガービールの「金牌」は、かなりライトで南国らしい味わい。
苦味は弱く、水のように飲みやすい。 亜熱帯気候の台湾で、夜風に当たりながら飲んだらさぞ美味しいだろう。
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ギデンズ・コーのヨン・サンホ化。
昨年の東京国際映画祭でも上映された「怪怪怪怪物!」は、いわば「あの頃、君を追いかけた」で描かれた爽やかな青春ストーリーの裏側にあるもの。
思春期の少年少女の心のダークサイドを、増幅・具現化した作品だ。
とぼけたタイトルからコメディと勘違いしそうだけど、中身はある意味「不快の塊」で相当にハード。
学園生活のリアリティはこの人らしいが、登場人物が殆ど全員徹底的な非共感キャラに造形され、情け容赦無い戦慄の学園ホラーに仕上がっている。
トン・ユィカイ演じる主人公のリン・シューウェイは、気の弱いイジメられっ子。
彼は教師から、イジメ大好きのムナクソ悪い不良三人と共に、奉仕活動として独居老人の手伝いを命じられる。
そして訪れた老人宅で、人を喰う二匹の鬼と遭遇した彼らは、小さいほうの鬼を捕まえ、誰も足を踏み入れない学校のイジメ部屋に監禁するのである。
イジメっ子たちは、最初は小鬼にビビっていたのが、日光という弱点を見つけると、「調査」と「実験」と称して執拗にいたぶりだす。
ところが、小鬼には遥かに強い姉ちゃんがいて、消えた妹を探しにやってくる・・・という話。
この映画の人喰い鬼はそれ自体が恐怖の対象ではなく、人間の心の中に隠れている悪を浮かび上がらせ、相対化するための存在。
かつては人間だったが、鬼と化してしまった彼女らは人を食うが、それは生きるための手段でしかなく、一生物として不可避の行為である。
対して、イジメっ子のクソガキたちは、「楽しいから」躊躇なく人を傷つける。
しかも彼らの嗜虐性は、「人の様だけど人でない」小鬼の存在によってエスカレートしてしまうのだ。
日本でも昔、女子高生コンクリ詰め殺人事件という凄惨な事件が起こったが、この手のクソガキは一度箍が外れてしまうと、精神的な幼さゆえにとことん暴走してしまうことがある。
しかも相手が小鬼なら、いくらイジメても、傷つけても、殺してしまったとしても、法で罰せられることはない。
イジメの快感に捕らわれた彼らは、もはや人の姿をした怪物と化してゆく。
ダークサイドに堕ちているのは子供たちだけでなく、大人も同じ。
生徒と正面から向き合わず、宗教に逃げる女教師など、ハリウッド映画では結構見るタイプのキャラクターだが、あまり宗教的とは言えない東アジアの映画では珍しく、仏教徒なのが面白い。
主人公を一番中途半端で、悪にも善にもなりきれない優柔不断な乳揉み男にしたのも上手い。
自分から積極的に悪は行わない(行えない)が、かといって止める勇気もないノンポリの傍観者こそ、人間社会の圧倒的多数だからだ。
観客はシューウェイの臆病さに心底イライラしながら、同時に彼の立場なら自分も同じことをするかも?ということを否定できない。
全く同情できないクソガキ共に鉄槌をと、血の雨を降らせながら妹を探す姉ちゃん鬼を応援したくなるが、そうなるとシューウェイも無罪放免とはいかないのである。
主人公の”不作為の罪”をいかにして償わせるのか?
これはネタバレになるので、是非劇場で確認してほしいのだが、物語の幕引きはこれ以上ない見事なものだった。
キョンシーの血統というか、ゾクッとするユーモアがいいアクセントになっている。
今回は台湾を代表するビール「台灣啤酒 金牌(台湾ビール 金牌)」をチョイス。 台灣啤酒 は日本統治時代の1919年に創業した高砂麦酒が前身で、一世紀の歴史を持つ老舗。
同社の「經典( クラッシック)」が、高砂麦酒の製法を受け継ぎ、日本のビールに近い印象なのに対し、2003年に発売されたラガービールの「金牌」は、かなりライトで南国らしい味わい。
苦味は弱く、水のように飲みやすい。 亜熱帯気候の台湾で、夜風に当たりながら飲んだらさぞ美味しいだろう。

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▲画像は後から。
五つ星評価で【★★★★凝視しづらい切ないホラー】
『開会開会物!』じゃねえよ漢字返還!
『あの頃、君を追いかけた』の監督がこんなホラーも撮るのね。
最初、予告だけ見てコリアン・ホラーかと思ってたが、台湾だった。いや、国がどうではなく、やはり才能があるかどうかだ。特にホラーはちゃんと人の心理が描けてないと一発でガジェットしかない絵空事になる。これくらい通常演出...
2018/11/02(金) 00:49:06 | ふじき78の死屍累々映画日記・第二章
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