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東京フィルメックス2018 まとめのショートショートレビュー
2018年11月25日 (日) | 編集 |
東京フィルメックス2018が閉幕したのでつぶやきまとめ。
今回観ることができた6本のクオリティ・アベレージは、例年よりも低目だった。
一番面白かったのは、麻薬戦争下のフィリピンを描いた「アルファ、殺しの権利」で、これは正式公開を望みたい。

幻土・・・・・評価額1450円
シンガポールの埋立現場から中国人移民労働者が失踪し、不眠症の刑事が彼の消息を追う。
一方、失踪した労働者もまた、忽然と消えた友人のバングラデシュ人の行方を探していた。
刑事と労働者は、やがてお互いのことを夢に見て、二つの物語はシームレスに融合する。
島国の都市国家シンガポールは、国が出来た時から他国から土を輸入し、埋め立てることで形を変えてきた。
まさに永遠に完成しない、白日夢の様な幻の土地だ。
刑事も労働者も不眠症で、いつしか登場人物の意識はシンガポールという国と一体化し、メタファーとなる。
建国以来、国土面積が25%も増え、埋立労働者のほぼ全てを占める移民も、人口の25%だという。
これは主人公の刑事と過酷な労働環境を生きる移民労働者の“夢”を通して、逆説的に幻のシンガポールの現実を描こうとした意欲作だ。

ロングデイズ・ジャーニー、イントゥ・ナイト・・・・・評価額1350円
同一英題のユージン・オニールの戯曲とはあんま関係ない。
映画の前半はファムファタールを探す主人公の、中国版デヴィッド・リンチっぽい幻想ハードボイルド。
後半1時間が劇中劇(?)のワンショット撮影の3D映画という珍品。
ポルノ映画館に入った主人公が3Dメガネをかけるのが合図で、観客も一斉にメガネオン。
まるで迷宮を彷徨う様な後半は、前半出てきた様々なモチーフが虚構の夢として回収されてゆく。
かなり暗くて見難い部分もあるが、未見性もあり結構面白かった。
この後半こそ本作の核心で、要はこれがやってみたかった!って映画。
問題は1時間15分もある前半、というか前振り部分だ。
ぶっちゃけ、はなっから分からせようと作ってないのだが、時系列がぶった切られている上に、意味不明な映像が頻繁に挟まれる。
後半まで来ると、一応前半描かれたことには意味を持たせているし、前半もカメラアングルとかはユニークなことやってる。
こちらを混乱させる意図もあるのだろうが、ちょっと冗長で辛かった。
3D始まる前に退席しちゃったお客さんもいたし、バランス的にももう少し短くても良かったのでは。

華氏451・・・・・評価額1150円
2度目の映像化。
作ったのは「ドリームホーム 99%を操る男たち」の監督ラミン・バーラ二、脚本アミール・ナデリの師弟コンビ。
焚書が制度化された近未来が舞台で、本を取り締まり燃やす“焼火士”の主人公が、本の価値に目覚めるという基本的な流れは変わらない。
ブラッドベリの原作とトリュフォー版は、面白かったが、違和感が拭えなかった部分がある。
書かれた時代の影響が大きいのだろうが、至高の表現である小説が権力から禁止される一方、TVやコミックは低俗だからOKという、活字至上主義的な作者の世界観が「既に歪んでね?」と思ったのだ。
本作ではネットが原作のTVに取って代わり、小説だけでなく、映画も絵画も表現の殆どが禁止された世界。
ここまでは現代的になったものの、終盤に焚書体制を一気にひっくり返す、実にハリウッド的アイデアを脚色で加えている。
残念ながら、このアイデアと下手に隣国の存在を絡ませたことで、プロットが決定的に破綻してしまって、後半の展開は頭に「?」出まくり。
焚書が制度化されたそもそもの原因が、「◯◯の表現が気に入らない!」という正義感を振り回す民衆同士の対立がエスカレートして内戦が起こったから、というのは私がいつも言ってる「誰もが本当に自由な世界は、不快に満ちた世界」と通じるし、焚書を扱いながら表現手法に優劣を付けるという自己矛盾からは抜け出してる。
しかし、これじゃディテールが甘すぎだし、わざわざ「本の人々」を出してきた意味ないじゃん。
ケーブルTVのHBOによる映画館では観られない映画なのは、TVをディスった原作を考えるとアイロニーで、古典も今の時代には新しい意味を持つというコンセプトは良いと思うが、色々残念な出来だった。

エルサレムの路面電車・・・・・評価額1450円
多民族都市エルサレムを走るトラムを舞台に、乗り込んでくる様々なバックグラウンドを持つ人々の、人生の断片を捉えたユニークな作品。
場面・時間は数分ごとにランダム入れ替わり、どの話も特にオチがつくこともなく、主人公がいるわけでもない。
息子に説教を始める老女、本気の喧嘩を始める夫婦、フランスからの子連れの旅行者、福音書をつぶやきはじめる牧師、差別意識丸出しの警備員、ヨーロッパから来たサッカーチーム監督、etc。
ユーモラスなものからシリアスなものまで、エルサレムの今を映し出す。
アモス・ギタイは同時上映の「ガザの友人への手紙」もそうだが、朗読したり詩を吟じたりするのが好きなんだな。
しかし、結構みんな車内で歌ったり演奏したりしてたが、アレはリアルなんだろうか。
パレスチナのラッパーが最高だが、サッカー監督は辞任しそうw

ガザの友人への手紙・・・・・評価額1300円
「エルサレムの路面電車」と併映された、アモス・ギタイの短編。
パレスチナ人とユダヤ人、四人の俳優がお互いに朗読を繰り返し、最終的にカミュの「ドイツ人の友への手紙」に帰結する。
それぞれの朗読内容がパレスチナ・イスラエルの今昔を暗喩。ただ読んで聞いているだけなのに、やっぱ俳優の表現力ってすごい。

アルファ、殺しの権利・・・・・評価額1650円
「ローサは密告された」に続いて、麻薬戦争下のフィリピンを描く、ブリランテ・メンドーサ監督作品。
モチーフは同じだが、アプローチは異なる。
今回描かれるのは、密売所のガサ入れでクスリを盗んだ悪徳刑事と、彼の“駒”として使われる密告者の若者。
登場人物をハンディカメラで背後からフォローするドキュメントスタイルが、リアリティと臨場感を高める。
まるでスラムのニオイまでも漂ってきそう。
刑事は密告者にクスリを売らせ、その上がりの大半を奪い取り私服を肥やす一方、危険を冒す密告者はスラム暮らし。
とことんまで腐ったクソ野郎だが、豊かな生活を送る刑事と、犯罪者だが、娘のミルクにもこと欠く密告者の生活のコントラストが強調され、麻薬問題は結局は経済問題だということが浮かび上がる。
そら生きる糧だから、力で抑えるだけでは最終的には解決しないよな。
街の至る所に自警団が立ち、道行く人を検問する状況で、密告者がどうやってクスリを売りさばくのか、そのプロセスもサスペンスフル。
しかし悪徳刑事を描く警察批判映画なのに、ちゃっかり警察の協力を得てるのがフィリピンの不思議なところ。
見応えある力作だ。

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