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ショートレビュー「メアリーの総て・・・・・評価額1650円」
2018年12月22日 (土) | 編集 |
彼女が、本当に描きたかったこと。

19世紀ゴシック小説の傑作「フランケンシュタイン」はなぜ生まれたのか。
作家を志す16歳の才媛メアリー・ウルストンクラフト・ゴドウィンが、後の夫となる若き詩人パーシー・シェリーと出会い、伝説となる小説を世に出すまでの2年間の物語。
たった2年だが、普通の人の一生分が濃縮された様な波乱万丈の青春だ。
「フランケンシュタイン」誕生に纏わる話は、19世紀イギリスを代表する詩人、バイロン卿の屋敷で、メアリーを含む五人の才人がお互いに怪奇譚を披露しあった、いわゆる「ディオダディ荘の怪奇談義」をモチーフとした、ケン・ラッセル監督の「ゴシック」が有名。
本作にもこのエピソードは出てくるが、全くアプローチが異なる。
「少女は自転車にのって」が記憶に新しいハイファ・アル=マンスール監督と脚本のエマ・ジェンセンは、女性解放史の視点からメアリーの特異な人生を描く。

メアリーの父、ウィリアム・ゴドウィンは著名な政治評論家で、母のメアリー・ウルストンクラフトは社会思想家にして、フェミニズムの先駆者。
共にそれぞれのフィールドで重要な著作を残した文筆家でもあり、経済的には恵まれていなかったが、当時の最も進歩的な知識人だろう。
母メアリーは早くに亡くなってしまうが、二人の血を受け継いだメアリーもまた、時代を考えれば相当にラジカルな思想の持ち主だったようだ。
両親の教え通り独立独歩、16歳で既婚者のパーシーと駆け落ちしたメアリーを待ち受けるのは、とてもじゃないが、順風満帆とは言えない現実。
信じていたパーシーは、詩人としての才能はあるものの、女ったらしのダメ男なのだ。
二人の間に子供ができても、経済観念はまるでなく、毎日を楽しく過ごした挙句に夜逃げを余儀なくされ、自由恋愛を口実に浮気を肯定。

裏切りと貧困は愛する最初の子の死をもたらし、失意のメアリーは、死体の蘇生という当時最新の“科学”に惹かれてゆく。
そして、彼女の中に「人真似ではなく、自分の言葉で書きたいもの」が徐々に形を表してゆくのである。
この映画は、男性優位社会の中で抑圧され、人生を思い通りに生きられない女性の魂の叫びとして、メアリーの創造した小説を捉える。
小説の中で、自らの理想を叶えるべく死体をつなぎ合わせて怪物を作り上げながら、そのおぞましい姿に絶望し、無責任に捨てるフランケンシュタイン博士は、女性に理想を押し付けて、自分は好き勝手に生きているパーシーを始めとする男性たち。
創造主を追い続け、ついに彼の人生を破滅させる悲劇の怪物こそ、メアリー自身なのである。

映画の終盤、メアリーの書いた原稿を読んだパーシーは、作品そのものは賞賛しながらも、そのあまりにも救いのない内容を、希望を持てるものに修正したらどうかと提案するのだが、メアリーは激しく拒絶する。
なぜなら、これは彼女の人生の絶望をこそを描いた物語だからだ。
しかも作品が完成しても、メアリーの苦闘は終わらない。
今度は「若い女が書いた怪奇小説なんて」と、大手出版社から取り合ってもらえず、ようやく版元が見つかっても、作者の匿名が条件とされ、名前を奪われた挙句に、パーシーに序文を依頼せざるを得なくなる屈辱を味わう。

タイトルロールを演じるエル・ファニングが素晴らしく、緻密に作りこまれた200年前の世界観の中で、映画は非常に丁寧に彼女の感情を紡いでゆき、それはそのまま小説の読み解きとなる構造。
正直「フランケンシュタイン」という作品に対する、この作品の視点は考えたことすら無かったのでとても新鮮。
もっとも、映画ではメアリーが悶々とした感情をぶつけ、一人で小説を書き上げたことになっているが、実際には彼女はパーシーの細かなアドバイスを受けながら書いている。
彼が女ったらしのダメ男だったのは事実の様だし、すれ違っていた二人が最後の最後で男女として創作者として分かり合える、という展開にしたかったのだろうが、男目線で見るとちょっと下げられすぎて可哀想だったな(苦
しかし「メアリーの総て」とは、とても良い邦題だ。
「フランケンシュタイン」という作品には、たしかにメアリーの想いの総てが描かれているのだから。

今回は、メアリーの書いた怪奇小説の話なので「ブラッディ・メアリー」をチョイス。
もちろんメアリー・シェリーのことではなく、プロテスタントを弾圧し、数百人の宗教指導者を処刑した事で知られる英国の女王メアリー一世の名にちなんでいる。
氷を入れたタンブラーにウオッカ40mlと冷やしたトマトジュース160mlを注ぐ。
好みでタバスコや塩を添えたり、トマトソース感覚でセロリを入れたりしても楽しい。
血の様な見た目とは違って、さっぱりして飲みやすい。

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