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ショートレビュー「シシリアン・ゴースト・ストーリー・・・・・評価額1650円」
2018年12月29日 (土) | 編集 |
水が媒介するピュアな愛。

1993年、シチリア島。
当時13歳だったジュセッペ少年が、何者かに誘拐され行方不明となる。
彼の父・サンティーノ・ディ・マッテオは、マフィアの一員でありながら警察に寝返り、情報を漏らし続けており、組織はサンティーノを黙らせるため、ジュセッペを人質にとったのだ。
本作はこの実際に起こった誘拐事件をベースに、思いっきり想像力の翼を広げ、事件により離れ離れとなったジュセッペと彼を愛する少女・ルナの幼い恋の物語を組み合わせた、極めてユニークな幻想怪異譚となっている。

マフィアの揉めごとは、アンタッチャブル。
母親をはじめ、学校の教師たちや周りの大人たちが無関心を装う中、ルナは親友のロレダーナの協力を得て、ジュセッペを探し始める。
息子を奪われても、サンティーノは警察への協力を止めず、ジュセッペの消息は途絶えたまま。
映画は、愛するジュセッペとの再会を決して諦めないルナと、彼女にもらった情熱的なラブレターを唯一の希望に、絶望的な監禁生活を送るジュセッペを交互に描いてゆく。
ルナを少しずつ彼の元へ導くのが、現実とシームレスに描写される不思議な夢だ。
シチリア島は地中海の真っただ中にあり、島内には小さな湖が点在している。
海、湖、雨、そしてルナの家の洞窟状の地下室に少しずつ湧き出る水滴、至る所に描写され、個の様に見えて全てが繋がり合っているこの島の水が、ジュセッペの切なる想いを夢の形で彼女の意識に届ける。
隠れ家から別の隠れ家に移送される途中、ジュセッペが「海の匂いがする!」と叫んだり、ルナとロレダーナが船舶で使われる発光信号で夜に秘密の通信をしたり、水の存在がこの世界では心の媒介となっていることが強調される。
様々な障害を乗り越えながら、ルナは少しずつジュセッペへと迫ってゆく。

しかし私はこの事件の顛末を知らなかったので、犯罪を扱っているとは言え、このリリカルでジュブナイル的な物語がなぜ「R15+」の指定なんだろう?と思っていたら、最後まで見て納得。
いや、まあタイトルがタイトルだし、ジュセッペは最終的には死んでしまうのかもしれないと予想はしていたが、779日も劣悪な環境に監禁された結果、健康を害しミイラのように痩せこけて、最後には用済みとして絞殺され、死体は酸で溶かされて湖に捨てられるとか、あまりにも凄惨過ぎるだろう。
共にシシリアンであるファビオ・グラッサドニアとアントニオ・ピアッツァ両監督にとっても、この痛ましい事件の記憶は深く心に刻まれたという。
実際に起こっていることは物凄くエグいのだが、二人の映画作家は残酷な暴力によって汚され失われた魂を、美しいシチリアのランドスケープの中、少年少女のお互いを想う愛の力が紡ぐ、どこまでもピュアなファンタジーとして詩的に昇華した。
ラストで、ジュセッペが海に消えるのは、魂の浄化を意味しているのだろう。

面白いのは、タイトルの似た「A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー」にちょっと似た部分があること。
もちろん全然違う話なのだが、どちらにも共通するのが幽霊には時間を超える能力があり、「ア・ゴースト・ストーリー」ではケイシー・アフレック演じる幽霊が、過去へ戻って自分が生きていた時間を見守っているし、こちらではすでに幽霊となったジュセッペが、瀕死の自分を見つめている。
映画の前半、物語のキーとなるシーンで、ルナを覗き見るようなショットが幾つか挟まれるが、これも未来に幽霊になったジュセッペの視線ということだろう。
もっとも本作の場合、登場人物が生きているのか死んでいるのか、はたまたその境界なのかが曖昧にされていることもあり、幽霊の解釈自体が違うのかもしれないが。
モチーフに対して独創的なアプローチをとった、非常に攻めた作品であり、洋邦共に怪作揃いの今年の映画納めに相応しい作品だった。

今回は、シチリア島の名産マルサラワインから、「スーペリオーレ ガリバルディ ドルチェ NV ペッレグリーノ」をチョイス。
マルサラはポルトガルのポートワインなどと同じく、ワインにアルコールを添加して度数を高めたいわゆる酒精強化ワイン。
地中海の高温多湿の気候下で、長距離輸送に耐えるように作られている。
ティラミスの材料にも使われるように、フルーティーで甘口。
熟成に使われるオーク樽香のほか、ドライフルーツやスパイス系のアロマも楽しめる。
そのまま飲んでも美味しいし、ソース感覚でスイーツにちよっとかけてもいい。

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