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ショートレビュー「マチルド、翼を広げ・・・・・評価額1600円」
2019年01月06日 (日) | 編集 |
大きすぎる愛は、ちょっと辛い。

「カミーユ、恋はふたたび」などで知られるノエミ・ルヴォウスキーが、自らの子供時代をモチーフに、監督・脚本・出演を兼務して描いたユニークなジュヴナイル・ファンタジー。
舞台はフランス、パリ。
新星リュス・ロドリゲス演じるマチルドは、ちょっと心を病んだお母さんと二人、アパルトマンに暮らししている9歳の少女。
医者のお父さんは、離婚して離れて暮らしている。
学校の面談での、マチルドの先生とお母さんの全く噛み合わない会話、突如としてウエディングドレスを購入し、そのままの姿で街を歩くなどの奇行。
マチルドがどんなに気を付けても、お母さんは毎回やらかしてしまうのだ。
そんなある日、彼女はお母さんからプレゼントをもらう。
大きな包みに入っていたのは、小さなフクロウ。
なぜかマチルドにだけ人間の言葉で語りかけるフクロウは、彼女に様々な助言を与え、孤独な少女の導き手となってゆく。

しっかり者に見えても、どんどん壊れてゆくお母さんとの生活は、本人も意識しないうちにマチルドの幼い心に大きな葛藤をもたらしている。
お母さんに振り回されてばかりなので学校で友だちを作れず、スカイプで繋がっているお父さんにも、心配させまいと心の内全ては開かせない。
9歳の少女にとって、このままお母さんの症状が悪化し続ける未来に見えるものは何か。
全編を通じて映画のバックボーンとして仕掛けられているのが、マチルドが心に持つ「母との別れ=死」のイメージ。
彼女の一族の「先祖の話」として、娘を水の事故で失ってしまった母親の物語がむかし話的に語られ、沈んだ娘の姿が「ハムレット」の溺死シーンをモチーフにしたミレーの絵画「オフィーリア」を思わせるイメージで描写されるが、その娘の顔はマチルドなのである。

先日公開された、「シシリアン・ゴースト・ストーリー」でも重要なメタファーとなっていたフクロウは、夜の鳥であり、ギリシャ神話では知の女神アテナの従者であり、多くの文化で生と死、現世と常世を取り持つ存在とされている。
お母さんに常に死の影を感じているマチルドは、フクロウの助言を受けて学校の理科室にある標本のガイコツを盗み出し、埋葬するという実に子供らしいやり方で、彼女を苦しめる“死”の予感を能動的に払拭し、溜め込んだストレスを発散する。

しかし、それでマチルドの心が多少救われたとしても、現実の破綻はいつかやってくるのだ。
いくら努力しても、自分の精神がもうボロボロの状態で、二人の生活が立ち行かなくなっているのは、娘以上にお母さん自身が自覚している。
それでも、いつか限界がくるまで一緒にいたい。
心の病という、自分ではどうにもならない問題を抱えたお母さんと、お母さんを守りたいのに、まだ幼くあまりにも無力な娘。
お母さん役でもあるノエミ・ルヴォウスキーの、嘗ての自分でもあるマチルドを見つめる、優しく繊細な演出が光る。
お互いを想う大きく深い愛が切なく、心を打つ。

現実は残酷だけど、お母さんはあくまでもマチルドのことを一番大切に思っていて、同じくらい彼女を愛しているお父さんもいるし、フクロウも見守っている。
マチルドが周りの愛を受け入れて成長し、人生には別れが必要な時もあること、それは必ずしも死の様に永遠のものとは限らないことを理解した時、水中に沈んだオフィーリアは遂に解放されるのである。
フォークロア的なアプローチもなかなかセンス良く、ちょっとビタースイートで詩的な寓話だ。

今回は、翼を広げたマチルドのイメージで「エンジェル・フェイス」をチョイス。
ドライ・ジン30ml、カルバドス15ml、アプリコット・ブランデー15mlをシェイクしてグラスに注ぐ。
フランスのノルマンディー地方の名産品、リンゴのブランデー、カルヴァドスと、アプリコット・ブランデーを、ドライ・ジンの清涼さがスッキリとまとめ上げる。
甘口で優しい味わいの飲みやすいカクテルだが、マチルド同様に芯は結構強いのだ。

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