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2019年04月30日 (火) | 編集 |
素晴らしき最終楽章。
京都アニメーションが、武田綾乃の人気小説を映像化した人気シリーズ最新作。
TV版「響け!ユーフォニアム」の一年後を描く続編で、山田尚子が手がけた傑作スピンオフ「リズと青い鳥」と時系列を共有する。
あの映画で、三年生になった鎧塚みぞれと傘木希美がお互いの関係について葛藤している時に、本来の主人公である二年生の黄前久美子たちは何をしていたのか?
独特の心理劇だった「リズと青い鳥」から一転、こちらは本来の熱い青春群像劇。
監督・脚本はTV版を手がけた石原立也と花田十輝のコンビに戻り、山田尚子もチーフ演出として参加している。
キャラクターデザインも、「聲の形」を思わせる淡いタッチだった「リズと青い鳥」から、TV版をブラッシュアップした見慣れたスタイルに。
TV版の第三シーズンとして作るという手もあっただろうが、あえて100分の上映時間の中に青春の濃密な時間をギュッと凝縮。
「誓いのフィナーレ」の副題通り、完結編にふさわしい見事な仕上がりとなった。
※核心部分に触れています。
全国大会への出場を果たし、強豪として名を轟かせた北宇治高校吹奏楽部。
進級し、二年生になった黄前久美子(黒沢ともよ)は、三年の加部友恵(田所あずさ)と新入部員たちの指導に当たることに。
多くの一年生が入部したが、いまいち不人気な低音パートへやってきたのは四人。
演奏技術は高いが、周囲と馴染もうとしないチューバ奏者の鈴木美玲(七瀬彩夏)。
そんな美玲と仲良くなりたくてまとわり付き、かえって引かれてしまう同じチューバの鈴木さつき(久野美咲)。
自分のことを語ろうとせず、なぜか名字を呼ばれるのを極端に嫌がるコントラバスの月永求(土屋神葉)。
そして、一見すると何の問題もなく、優れた演奏技術を持つユーフォニアムの久石奏(雨宮天)。
しかし、サンライズフェスティバル、オーディション、コンクールと季節が移り変わる中、人間関係に色々問題が発生。
演奏の練習だけでなく、一年生の心に秘めた問題にも取り組まなければならなくなった久美子は、全国大会金賞という目標を達成できるのか・・・
新年度が始まった北宇治高校吹奏楽部で、久美子が指導を担当することになった新一年生は、揃いも揃ってこじらせ気味の曲者ばかり。
友達以上、恋人未満な秀一との控えめな恋も絡ませながら、こじらせの原因を紐解いていくうちに、久美子自身の問題も含めて、それぞれの悶々とした苦悩が浮かび上がってくる。
ある者は演奏技術は高いが、人付き合いが極端に苦手で、他人との間に壁を作り、決して打ち解けようとしない。
ある者は、高名な親へのコンプレックスから、自己否定気味。
彼らの中でも特に、同じユーフォニアム担当で、久美子とは合わせ鏡の存在となる久石奏との関係が核心だ。
彼女は中学からの経験者で、技術は高く人当たりも良いものの、どこか達観した視点で皆を眺め、腹の奥には何か大きなわだかまりを隠し持っている。
吹奏楽部の活動は、基本的には体育会系の部活と同じく、全国大会を目指すコンペティション。
楽しむための部活か、勝つための部活か、すでに後者を選び、全国大会出場を果たしている久美子たちは、今度は出るだけでなく全国大会金賞、即ち高校日本一になることを目標とする。
部の中でも厳しいオーディションがあり、勝ち抜いた者だけがコンクールメンバーになるのだが、奏はそこにも学年の上下関係の忖度があるんじゃないかと言うのだ。
中学時代の奏が、二年生でコンサートメンバーに選ばれた結果、三年生で控えに回る部員がでた。
これで大会で勝ち抜けば正義。
しかし、負けると「こんなことなら三年生が出たらよかった」と陰口を言われたことで、奏は本音と建前を使い分けるようになってしまったのだ。
滝先生の元で強豪へと返り咲いた北宇治は、完全実力主義で忖度などあり得ないし、そもそもハイレベルのコンペティションの舞台で忖度などしていたら勝てない。
久美子は一年生の時に、上級生が下級生にオーディションで負け、その軋轢があとを引いたことを覚えている。
それでも、今の自分からさらなる高みを目指し、本気で音楽をやることで、その喜びも苦しみも知っているからこそ、久美子は過去の経験から可能な限り波風を立てようとしない奏をはじめとした、曲者揃いの後輩たちに正面から向き合う。
彼女の静かな熱情は、少しずつ奏たちを変えてゆき、ぶつかり合う四つの音は、いつしか北宇治の美しハーモニーを奏でるようになって行く。
そして、一年生の時とは違った葛藤を抱えた久美子自身もまた、彼らと共に成長してゆくのである。
部活生活あるあるのリアリティは、誰しもどこかで経験しているものだろう。
もちろん最終的には、吹奏楽ならではの全員の演奏によるハーモニーという、青春の熱き血潮の象徴に収束する。
コンクールの演奏シークエンスで披露されるのは、「リズと青い鳥」のフルバージョンで、みぞれと希美のソロパートも含めて圧巻の仕上がりだ。
私も以前参加したアニメーション作品で、楽器の演奏シーンをやったことがあるのだが、これが実に大変。
音楽は特に実際にやっている人が多いので、指の動きやリズムなど、忠実に再現しないとウソが簡単にバレてしまうのだ。
これだけの人数の演奏シーンは、手間を考えただけでも頭が痛くなってくるが、その努力は十分に報われていると思う。
物語の終わりの時点で、久美子はまだ一年高校生活を残しているが、彼女にとって吹奏楽部で演奏することの意味が明確に描かれた以上、三年生の話を作ったとしても、おそらくはあまり違いはないだろう。
タイトル通りに本作を持って、一応の完結と捉えたい。
面白い効果を生んでいるのが、劇中に頻繁に挿入される、登場人物たちが部活の日常を撮ったスマホの動画だ。
こういったものは、撮ってすぐ見るのではなく、思い出として保存されるもの。
ビスタ画面を縦長に切り取るスマホの画面が、目の前で展開している物語の過去性を強めているのである。
青春は長い人生の一瞬であり、どんなに輝かしくても永遠には続かない。
スピンオフの「リズと青い鳥」は、その一瞬の現在性にとことん拘り、未来の別れを恐れる話だったが、こちらは唐突に挿入されるスマホ動画の部分により、映画全体が未来のいずれかの時点で再生されているのだろうな、という逆の時間感覚が強調される。
この辺りの違いはまだ30代と若い山田尚子と、50代のベテランの石原立也の“青春”という時間に対する視点の置き方の差かもしれない。
視点がノスタルジックだからこそ、青春の熱はより強くスクリーンから照りつける。
「リズと青い鳥」がカフェで味わうビタースイートな創作ケーキだとすれば、こちらは合宿バスで食べる青春がモリモリ全部入りの幕の内弁当だ。
この二本は、裏表の二部作として、セットで味わうべき作品だろう。
あー高校時代に戻りたい。部活やりたい。恋したい。
キラキラの若さが眩し過ぎるわ!
今回は、音楽ものということで、ココファーム・ワイナリーの「第一楽章」2014年をチョイス。
自社畑のマスカットベリーA100%から作られる、辛口でミディアムボディの赤。
ベリー系の複雑な果実香、口当たりは穏やかで、しっかりとした酸味とコクが味わえる。
肉料理との相性が抜群。
ココファームでは比較的高めのワインだが、その価値は十分に感じられる。
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京都アニメーションが、武田綾乃の人気小説を映像化した人気シリーズ最新作。
TV版「響け!ユーフォニアム」の一年後を描く続編で、山田尚子が手がけた傑作スピンオフ「リズと青い鳥」と時系列を共有する。
あの映画で、三年生になった鎧塚みぞれと傘木希美がお互いの関係について葛藤している時に、本来の主人公である二年生の黄前久美子たちは何をしていたのか?
独特の心理劇だった「リズと青い鳥」から一転、こちらは本来の熱い青春群像劇。
監督・脚本はTV版を手がけた石原立也と花田十輝のコンビに戻り、山田尚子もチーフ演出として参加している。
キャラクターデザインも、「聲の形」を思わせる淡いタッチだった「リズと青い鳥」から、TV版をブラッシュアップした見慣れたスタイルに。
TV版の第三シーズンとして作るという手もあっただろうが、あえて100分の上映時間の中に青春の濃密な時間をギュッと凝縮。
「誓いのフィナーレ」の副題通り、完結編にふさわしい見事な仕上がりとなった。
※核心部分に触れています。
全国大会への出場を果たし、強豪として名を轟かせた北宇治高校吹奏楽部。
進級し、二年生になった黄前久美子(黒沢ともよ)は、三年の加部友恵(田所あずさ)と新入部員たちの指導に当たることに。
多くの一年生が入部したが、いまいち不人気な低音パートへやってきたのは四人。
演奏技術は高いが、周囲と馴染もうとしないチューバ奏者の鈴木美玲(七瀬彩夏)。
そんな美玲と仲良くなりたくてまとわり付き、かえって引かれてしまう同じチューバの鈴木さつき(久野美咲)。
自分のことを語ろうとせず、なぜか名字を呼ばれるのを極端に嫌がるコントラバスの月永求(土屋神葉)。
そして、一見すると何の問題もなく、優れた演奏技術を持つユーフォニアムの久石奏(雨宮天)。
しかし、サンライズフェスティバル、オーディション、コンクールと季節が移り変わる中、人間関係に色々問題が発生。
演奏の練習だけでなく、一年生の心に秘めた問題にも取り組まなければならなくなった久美子は、全国大会金賞という目標を達成できるのか・・・
新年度が始まった北宇治高校吹奏楽部で、久美子が指導を担当することになった新一年生は、揃いも揃ってこじらせ気味の曲者ばかり。
友達以上、恋人未満な秀一との控えめな恋も絡ませながら、こじらせの原因を紐解いていくうちに、久美子自身の問題も含めて、それぞれの悶々とした苦悩が浮かび上がってくる。
ある者は演奏技術は高いが、人付き合いが極端に苦手で、他人との間に壁を作り、決して打ち解けようとしない。
ある者は、高名な親へのコンプレックスから、自己否定気味。
彼らの中でも特に、同じユーフォニアム担当で、久美子とは合わせ鏡の存在となる久石奏との関係が核心だ。
彼女は中学からの経験者で、技術は高く人当たりも良いものの、どこか達観した視点で皆を眺め、腹の奥には何か大きなわだかまりを隠し持っている。
吹奏楽部の活動は、基本的には体育会系の部活と同じく、全国大会を目指すコンペティション。
楽しむための部活か、勝つための部活か、すでに後者を選び、全国大会出場を果たしている久美子たちは、今度は出るだけでなく全国大会金賞、即ち高校日本一になることを目標とする。
部の中でも厳しいオーディションがあり、勝ち抜いた者だけがコンクールメンバーになるのだが、奏はそこにも学年の上下関係の忖度があるんじゃないかと言うのだ。
中学時代の奏が、二年生でコンサートメンバーに選ばれた結果、三年生で控えに回る部員がでた。
これで大会で勝ち抜けば正義。
しかし、負けると「こんなことなら三年生が出たらよかった」と陰口を言われたことで、奏は本音と建前を使い分けるようになってしまったのだ。
滝先生の元で強豪へと返り咲いた北宇治は、完全実力主義で忖度などあり得ないし、そもそもハイレベルのコンペティションの舞台で忖度などしていたら勝てない。
久美子は一年生の時に、上級生が下級生にオーディションで負け、その軋轢があとを引いたことを覚えている。
それでも、今の自分からさらなる高みを目指し、本気で音楽をやることで、その喜びも苦しみも知っているからこそ、久美子は過去の経験から可能な限り波風を立てようとしない奏をはじめとした、曲者揃いの後輩たちに正面から向き合う。
彼女の静かな熱情は、少しずつ奏たちを変えてゆき、ぶつかり合う四つの音は、いつしか北宇治の美しハーモニーを奏でるようになって行く。
そして、一年生の時とは違った葛藤を抱えた久美子自身もまた、彼らと共に成長してゆくのである。
部活生活あるあるのリアリティは、誰しもどこかで経験しているものだろう。
もちろん最終的には、吹奏楽ならではの全員の演奏によるハーモニーという、青春の熱き血潮の象徴に収束する。
コンクールの演奏シークエンスで披露されるのは、「リズと青い鳥」のフルバージョンで、みぞれと希美のソロパートも含めて圧巻の仕上がりだ。
私も以前参加したアニメーション作品で、楽器の演奏シーンをやったことがあるのだが、これが実に大変。
音楽は特に実際にやっている人が多いので、指の動きやリズムなど、忠実に再現しないとウソが簡単にバレてしまうのだ。
これだけの人数の演奏シーンは、手間を考えただけでも頭が痛くなってくるが、その努力は十分に報われていると思う。
物語の終わりの時点で、久美子はまだ一年高校生活を残しているが、彼女にとって吹奏楽部で演奏することの意味が明確に描かれた以上、三年生の話を作ったとしても、おそらくはあまり違いはないだろう。
タイトル通りに本作を持って、一応の完結と捉えたい。
面白い効果を生んでいるのが、劇中に頻繁に挿入される、登場人物たちが部活の日常を撮ったスマホの動画だ。
こういったものは、撮ってすぐ見るのではなく、思い出として保存されるもの。
ビスタ画面を縦長に切り取るスマホの画面が、目の前で展開している物語の過去性を強めているのである。
青春は長い人生の一瞬であり、どんなに輝かしくても永遠には続かない。
スピンオフの「リズと青い鳥」は、その一瞬の現在性にとことん拘り、未来の別れを恐れる話だったが、こちらは唐突に挿入されるスマホ動画の部分により、映画全体が未来のいずれかの時点で再生されているのだろうな、という逆の時間感覚が強調される。
この辺りの違いはまだ30代と若い山田尚子と、50代のベテランの石原立也の“青春”という時間に対する視点の置き方の差かもしれない。
視点がノスタルジックだからこそ、青春の熱はより強くスクリーンから照りつける。
「リズと青い鳥」がカフェで味わうビタースイートな創作ケーキだとすれば、こちらは合宿バスで食べる青春がモリモリ全部入りの幕の内弁当だ。
この二本は、裏表の二部作として、セットで味わうべき作品だろう。
あー高校時代に戻りたい。部活やりたい。恋したい。
キラキラの若さが眩し過ぎるわ!
今回は、音楽ものということで、ココファーム・ワイナリーの「第一楽章」2014年をチョイス。
自社畑のマスカットベリーA100%から作られる、辛口でミディアムボディの赤。
ベリー系の複雑な果実香、口当たりは穏やかで、しっかりとした酸味とコクが味わえる。
肉料理との相性が抜群。
ココファームでは比較的高めのワインだが、その価値は十分に感じられる。

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この記事へのコメント
“情熱を持ち,美しく生きる事”
“熱を他者に伝え,同じものを大切に思う仲間と心を繋げる事”
原作小説のエピソードを大幅にスリム化する事でテーマ性がより強調されたこの映画が大好きなのですが,ネット上では正反対の感想が圧倒的なようで少し残念です。
思い返すと本作は,映画「ちはやふる」シリーズと重複する部分が多々ありますね。是非とも「ちはやふる」のファンには「ユーフォニアム」シリーズを,「ユーフォニアム」のファンには「ちはやふる」を観てもらいたいものです。
“熱を他者に伝え,同じものを大切に思う仲間と心を繋げる事”
原作小説のエピソードを大幅にスリム化する事でテーマ性がより強調されたこの映画が大好きなのですが,ネット上では正反対の感想が圧倒的なようで少し残念です。
思い返すと本作は,映画「ちはやふる」シリーズと重複する部分が多々ありますね。是非とも「ちはやふる」のファンには「ユーフォニアム」シリーズを,「ユーフォニアム」のファンには「ちはやふる」を観てもらいたいものです。
>zianolaさん
>ネット上では正反対の感想
そうなんですか?
私は無駄がなくて、サクサク進むあたりを含めて、このギュッと凝縮された密度感が大好きです。
確かに主人公が熱中していることは違えど、「ちはやふる」に共通する部分は多いですね。
>ネット上では正反対の感想
そうなんですか?
私は無駄がなくて、サクサク進むあたりを含めて、このギュッと凝縮された密度感が大好きです。
確かに主人公が熱中していることは違えど、「ちはやふる」に共通する部分は多いですね。
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