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2019年05月15日 (水) | 編集 |
男たちよ、私たちを踏みつけているその足をどけて。
過去と現在、そして未来をつなげる、素晴らしいドキュメンタリー。
先日公開された「ビリーブ 未来への大逆転」の主人公としても記憶に新しい、アメリカ最高裁の最年長判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグの長年の足跡を追った作品だ。
あの映画の「その後」が中心となっているので、両方鑑賞するとより人物像が深く理解出来る。
監督はジュリー・コーエンとベッツィ・ウェストが務め、第91回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門にもノミネートされた秀作だ。
2019年現在、最高裁判事の構成は、保守派5人に対してリベラル派は4人。
最高裁判事に任期は無く、事実上の終身制なので、最高裁のバランスは歴代大統領が最大8年の任期中、何人の判事を指名できるかがカギとなる。
例えば、トランプ大統領の任期中に、ルースを含むリベラル派全員が亡くなるか引退した場合、全判事が保守派になる可能性だってゼロではないのだ。
その場合、トランプ後にリベラルな政権が出来たとしても、訴訟によってその政策がことごとく最高裁で覆されることもありうる。
現在の判事を指名した過去30年のホワイトハウスの主を見ると、民主党が16年、共和党が14年とリベラル派の方が長いのだが、たった2年の間に二人を指名できたトランプの運の良さが際立つ。
現時点では、天は保守派の味方の様だ。
保守派の台頭と共に分断が進むアメリカで、「JFK」や「RFK」の様に「RBG」のアルファベット三文字で呼ばれるルースは、リベラル派のシンボルとしてロックスターのように祭り上げられ、ある種のポップアイコン化している。
作中にはルースを「アベンジャーズ」のブラックウィドウやワンダーウーマン化したコラ画像も見られ、彼女自身もそんな現象を楽しんでいる様だ。
しかしこの方、リベラルではあるが決してラジカルではなく、むしろ思想的には中道に近い。
ただ人種や性別など、生まれついての条件による不平等に対しては、絶対に譲らないというごく当たり前の姿勢が、時間の針を過去へ戻すトランプの時代にあって、彼女のポジションを際立たせているのである。
本作で印象的なのは、やはりその人間性だ。
彼女が守っている母からの教えが二つあって、一つ目は「淑女であれ」で、もう一つは「自立せよ」だという。
「淑女であれ」というのは、「女らしくしなさい」ということではなく、議論に勝つためには、決して怒りに任せてはならず、誰に対しても敬意をもって穏やかに接しなさいということ。
だから基本この人は怒らない。
怒りの感情は目を曇らせるから、自分と異なる意見に対しても、常に冷静沈着にものごとを見る観察者で調停者。
SNSなどによくいるタイプの、怒れる正義の味方たちとは真逆のキャラクターの持ち主で、仕事を離れれば裁判では敵対する相手とも友達になれる。
相手の言葉をよく聞いて、相手がなぜそう思うのか、言葉の出てくる思考のメカニズムまで考えているので、議論の相手としてはおそろしく手強い。
「男たちはそもそも、そこに性差別があるとは思ってない」は至言。
現実を知らない法曹界のエリート男性は、敵対すると言うよりも“教育する”対象なのだな。
もちろん、穏やかな言葉で「話せば分かる」相手ばかりではないので、ある程度の激高型の人も必要なのだとは思うが。
そんな彼女が、唯一「ペテン師」などと激しくディスったのが、2016年の大統領選挙中のトランプだと言うのだから、どれほど危機感を抱いていたのかがよく分かる。
しかし最高裁判事の立場で、大統領候補者を攻撃した発言は非難を浴び、ルースは自戒を込めて改めてこう語る。
「議論に勝つには、怒らないこと。怒ったら自滅する」と。
トランプとは対照的に半世紀以上に渡ってルースと人生を共にした、夫のマーティンのいい人っぷりも印象的。
「ビリーブ」でアーミー・ハマーが演じたキャラクターは、決して理想化されてた訳じゃ無かった。
互いに補い合う内気な妻と陽気な夫、運命が結びつけた最強の夫婦じゃないか。
就任から四半世紀、二つの癌に犯されながらも86歳になった現在もジム通いを続けるルースが、いつまで最高裁判事の職に留まれるのかは分からない。
しかし、少なくともアメリカ社会の半分が、この小柄で魅力的な老女に希望を託し、彼女に触発されその背を追いかける世代が続々と育っていることは確かなのだ。
「ビリーブ」では、彼女の信念から「アイアン・レディ」をチョイスしたが、こちらではよりソフトなルースのイメージから「ホワイト・レディ」。
ドライ・ジン30ml、ホワイト・キュラソー15ml、レモン・ジュース15mlをシェイクしてグラスに注ぐ。
フルーティな華やかさを、ジンの辛口な味わいがまとめ上げる。
半透明のホワイトも美しく、ルースにふさわしいバランスのとれたエレガントなカクテルだ。
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過去と現在、そして未来をつなげる、素晴らしいドキュメンタリー。
先日公開された「ビリーブ 未来への大逆転」の主人公としても記憶に新しい、アメリカ最高裁の最年長判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグの長年の足跡を追った作品だ。
あの映画の「その後」が中心となっているので、両方鑑賞するとより人物像が深く理解出来る。
監督はジュリー・コーエンとベッツィ・ウェストが務め、第91回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門にもノミネートされた秀作だ。
2019年現在、最高裁判事の構成は、保守派5人に対してリベラル派は4人。
最高裁判事に任期は無く、事実上の終身制なので、最高裁のバランスは歴代大統領が最大8年の任期中、何人の判事を指名できるかがカギとなる。
例えば、トランプ大統領の任期中に、ルースを含むリベラル派全員が亡くなるか引退した場合、全判事が保守派になる可能性だってゼロではないのだ。
その場合、トランプ後にリベラルな政権が出来たとしても、訴訟によってその政策がことごとく最高裁で覆されることもありうる。
現在の判事を指名した過去30年のホワイトハウスの主を見ると、民主党が16年、共和党が14年とリベラル派の方が長いのだが、たった2年の間に二人を指名できたトランプの運の良さが際立つ。
現時点では、天は保守派の味方の様だ。
保守派の台頭と共に分断が進むアメリカで、「JFK」や「RFK」の様に「RBG」のアルファベット三文字で呼ばれるルースは、リベラル派のシンボルとしてロックスターのように祭り上げられ、ある種のポップアイコン化している。
作中にはルースを「アベンジャーズ」のブラックウィドウやワンダーウーマン化したコラ画像も見られ、彼女自身もそんな現象を楽しんでいる様だ。
しかしこの方、リベラルではあるが決してラジカルではなく、むしろ思想的には中道に近い。
ただ人種や性別など、生まれついての条件による不平等に対しては、絶対に譲らないというごく当たり前の姿勢が、時間の針を過去へ戻すトランプの時代にあって、彼女のポジションを際立たせているのである。
本作で印象的なのは、やはりその人間性だ。
彼女が守っている母からの教えが二つあって、一つ目は「淑女であれ」で、もう一つは「自立せよ」だという。
「淑女であれ」というのは、「女らしくしなさい」ということではなく、議論に勝つためには、決して怒りに任せてはならず、誰に対しても敬意をもって穏やかに接しなさいということ。
だから基本この人は怒らない。
怒りの感情は目を曇らせるから、自分と異なる意見に対しても、常に冷静沈着にものごとを見る観察者で調停者。
SNSなどによくいるタイプの、怒れる正義の味方たちとは真逆のキャラクターの持ち主で、仕事を離れれば裁判では敵対する相手とも友達になれる。
相手の言葉をよく聞いて、相手がなぜそう思うのか、言葉の出てくる思考のメカニズムまで考えているので、議論の相手としてはおそろしく手強い。
「男たちはそもそも、そこに性差別があるとは思ってない」は至言。
現実を知らない法曹界のエリート男性は、敵対すると言うよりも“教育する”対象なのだな。
もちろん、穏やかな言葉で「話せば分かる」相手ばかりではないので、ある程度の激高型の人も必要なのだとは思うが。
そんな彼女が、唯一「ペテン師」などと激しくディスったのが、2016年の大統領選挙中のトランプだと言うのだから、どれほど危機感を抱いていたのかがよく分かる。
しかし最高裁判事の立場で、大統領候補者を攻撃した発言は非難を浴び、ルースは自戒を込めて改めてこう語る。
「議論に勝つには、怒らないこと。怒ったら自滅する」と。
トランプとは対照的に半世紀以上に渡ってルースと人生を共にした、夫のマーティンのいい人っぷりも印象的。
「ビリーブ」でアーミー・ハマーが演じたキャラクターは、決して理想化されてた訳じゃ無かった。
互いに補い合う内気な妻と陽気な夫、運命が結びつけた最強の夫婦じゃないか。
就任から四半世紀、二つの癌に犯されながらも86歳になった現在もジム通いを続けるルースが、いつまで最高裁判事の職に留まれるのかは分からない。
しかし、少なくともアメリカ社会の半分が、この小柄で魅力的な老女に希望を託し、彼女に触発されその背を追いかける世代が続々と育っていることは確かなのだ。
「ビリーブ」では、彼女の信念から「アイアン・レディ」をチョイスしたが、こちらではよりソフトなルースのイメージから「ホワイト・レディ」。
ドライ・ジン30ml、ホワイト・キュラソー15ml、レモン・ジュース15mlをシェイクしてグラスに注ぐ。
フルーティな華やかさを、ジンの辛口な味わいがまとめ上げる。
半透明のホワイトも美しく、ルースにふさわしいバランスのとれたエレガントなカクテルだ。

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