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2019年05月24日 (金) | 編集 |
由緒正しい“ザ・ニッポンの時代劇” 。
三年間の江戸勤番を終え、郷里の豊後関前に戻った三人の幼馴染、坂崎磐音、小林琴平、河出慎之輔が、仕組まれた誤解により殺し合い。
暴走した琴平が慎之輔を殺し、松坂桃李演じる坂崎磐音は、許嫁の奈緒の兄でもある琴平を、上意討ちせざるを得なくなる。
佐伯泰英の原作は未読で、以前放送されたNHKドラマ版も観ていなかった。
予告編の印象からコメディタッチかと思ってたから、初っ端からの超ハードな展開にびっくり。
許嫁の兄を斬るシーンは予告編でもあったけど、そこに至るまでの誤解の連鎖が悲惨すぎる。
物語の第一幕が、豊後関前で起こる凄惨な事件。
結局心に大きな傷を負った磐音は、何も告げずに奈緒のもとを去り、この悲劇の恋人たちのお互いを想うなんとも切ないプラトニックラブが、本作の大きなバックボーンとなる。
第二幕以降は、藩を出た磐音が流れ着く江戸が舞台となり、幕府の貨幣改革を巡る陰謀に巻き込まれてゆく。
時の大老、田沼意次は銀と金の交換を固定レートにしようとしているのだが、金銀の相場で儲けている柄本明演じる悪徳両替商が反発。
田沼の改革を支持する、谷原章介のライバル両替商にあの手この手の嫌がらせ、というか脅迫に出る。
それを一見するとおっとり者ながら、実は剣の達人でもある磐音が助けるという構図。
基本、経済の話でコンゲームなのだが、アクション剣劇としての見せ場もちゃんと複数回ある。
集団戦のチャンバラではなく、どの戦いも剣豪vs剣豪の決闘形式で、殺陣もかなりの迫力で十分に見応えあり。
勘定方の頭脳を持ち、経済にも明るい長屋の剣豪というキャラクターが活かされる。
敵方との剣術スキルが近く、磐音も手傷を負うなど、あくまでも等身大の人間として描かれるのもいい塩梅だ。
特筆すべきは、幕府守旧派とも結託し、悪の陰謀を巡らせる柄本明の大怪演で、これは助演男優賞もの。
剣豪もの、長屋もの、花魁ものなど、時代劇映画の定番要素を詰め込み、勧善懲悪のエンタメとして非常に良くできているのだが、本作の独特の情感を形作り忘れ得ぬ作品にしているのは、やはりずっと会えない悲劇の恋人同士の、ラブストーリーの部分なのである。
出番は少ないのだが、奈緒を演じる芳根京子がすごくいい!
精神的なクライマックスと言える、終盤の磐音との一瞬の邂逅は、本作屈指の名シーン。
あれは磐音の心も再び鷲掴みされるわ。
しかし輝かしい若者たちの人生が、最初から最後までボタンのかけ違いで、全て変わって行くこの世の無情が切ない。
面白いのは、昔は腐敗の代名詞だった田沼意次が、ここではキレ者の改革者として描かれる時代性。
まあ聞くところによると、51巻もある原作小説では、この後おなじみの悪役と化して磐音の前に立ちはだかる様だが、この人のイメージは、この20年くらいでだいぶ変わったんじゃないかな。
実際ライバルが多かったせいで、現実以上に悪評が残ってしまったけど、政治経済の手腕は相当なものだった様だ。
今なら、田沼意次を主人公にした経済時代劇なんて企画もいいかも。
それにしてもこんな良い映画なのに、残念ながら興行的には苦戦しているらしい。
今週末に何を観ようか迷ってる人には、是非とも本作を選んでいただきたい。
そんで続編を作ってもらって、あの二人の行く末を見たい。
たぶん、永遠にプラトニックなまま、結ばれない恋人たちなのだと思うけど。
磐音たちの郷里、豊後関前藩は架空の藩だが、豊後というからには大分県あたりだろう。
芳根京子演じる薄幸のヒロイン、奈緒のイメージで中野酒造の「智恵美人 純米吟醸」をチョイス。
南国の日本酒は比較的甘口が多いが、こちらはやや辛口。
純米吟醸らしく、フルーティで非常にまろやかで口あたりが良い。
「ワイングラスでおいしい日本酒コンクール」で、金賞を受賞している酒だ。
冷やがオススメ。
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三年間の江戸勤番を終え、郷里の豊後関前に戻った三人の幼馴染、坂崎磐音、小林琴平、河出慎之輔が、仕組まれた誤解により殺し合い。
暴走した琴平が慎之輔を殺し、松坂桃李演じる坂崎磐音は、許嫁の奈緒の兄でもある琴平を、上意討ちせざるを得なくなる。
佐伯泰英の原作は未読で、以前放送されたNHKドラマ版も観ていなかった。
予告編の印象からコメディタッチかと思ってたから、初っ端からの超ハードな展開にびっくり。
許嫁の兄を斬るシーンは予告編でもあったけど、そこに至るまでの誤解の連鎖が悲惨すぎる。
物語の第一幕が、豊後関前で起こる凄惨な事件。
結局心に大きな傷を負った磐音は、何も告げずに奈緒のもとを去り、この悲劇の恋人たちのお互いを想うなんとも切ないプラトニックラブが、本作の大きなバックボーンとなる。
第二幕以降は、藩を出た磐音が流れ着く江戸が舞台となり、幕府の貨幣改革を巡る陰謀に巻き込まれてゆく。
時の大老、田沼意次は銀と金の交換を固定レートにしようとしているのだが、金銀の相場で儲けている柄本明演じる悪徳両替商が反発。
田沼の改革を支持する、谷原章介のライバル両替商にあの手この手の嫌がらせ、というか脅迫に出る。
それを一見するとおっとり者ながら、実は剣の達人でもある磐音が助けるという構図。
基本、経済の話でコンゲームなのだが、アクション剣劇としての見せ場もちゃんと複数回ある。
集団戦のチャンバラではなく、どの戦いも剣豪vs剣豪の決闘形式で、殺陣もかなりの迫力で十分に見応えあり。
勘定方の頭脳を持ち、経済にも明るい長屋の剣豪というキャラクターが活かされる。
敵方との剣術スキルが近く、磐音も手傷を負うなど、あくまでも等身大の人間として描かれるのもいい塩梅だ。
特筆すべきは、幕府守旧派とも結託し、悪の陰謀を巡らせる柄本明の大怪演で、これは助演男優賞もの。
剣豪もの、長屋もの、花魁ものなど、時代劇映画の定番要素を詰め込み、勧善懲悪のエンタメとして非常に良くできているのだが、本作の独特の情感を形作り忘れ得ぬ作品にしているのは、やはりずっと会えない悲劇の恋人同士の、ラブストーリーの部分なのである。
出番は少ないのだが、奈緒を演じる芳根京子がすごくいい!
精神的なクライマックスと言える、終盤の磐音との一瞬の邂逅は、本作屈指の名シーン。
あれは磐音の心も再び鷲掴みされるわ。
しかし輝かしい若者たちの人生が、最初から最後までボタンのかけ違いで、全て変わって行くこの世の無情が切ない。
面白いのは、昔は腐敗の代名詞だった田沼意次が、ここではキレ者の改革者として描かれる時代性。
まあ聞くところによると、51巻もある原作小説では、この後おなじみの悪役と化して磐音の前に立ちはだかる様だが、この人のイメージは、この20年くらいでだいぶ変わったんじゃないかな。
実際ライバルが多かったせいで、現実以上に悪評が残ってしまったけど、政治経済の手腕は相当なものだった様だ。
今なら、田沼意次を主人公にした経済時代劇なんて企画もいいかも。
それにしてもこんな良い映画なのに、残念ながら興行的には苦戦しているらしい。
今週末に何を観ようか迷ってる人には、是非とも本作を選んでいただきたい。
そんで続編を作ってもらって、あの二人の行く末を見たい。
たぶん、永遠にプラトニックなまま、結ばれない恋人たちなのだと思うけど。
磐音たちの郷里、豊後関前藩は架空の藩だが、豊後というからには大分県あたりだろう。
芳根京子演じる薄幸のヒロイン、奈緒のイメージで中野酒造の「智恵美人 純米吟醸」をチョイス。
南国の日本酒は比較的甘口が多いが、こちらはやや辛口。
純米吟醸らしく、フルーティで非常にまろやかで口あたりが良い。
「ワイングラスでおいしい日本酒コンクール」で、金賞を受賞している酒だ。
冷やがオススメ。

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この記事へのコメント
柄本明凄かったねー。メイクがガラパゴスリクイグアナみたいだったよ。あと柄本佑もよかった。
2019/05/30(木) 00:10:40 | URL | fjk78dead #-[ 編集]
>ふじきさん
あそこまでビジュアルで作り込んでるのも凄い。
かなり楽しんで役作ってるのが伝わってきました。
息子もいい役者になってきましたな。
あそこまでビジュアルで作り込んでるのも凄い。
かなり楽しんで役作ってるのが伝わってきました。
息子もいい役者になってきましたな。
江戸時代といっても、一枚岩ではなく、田沼時代の色が良く出ていたと思います。守旧派が支配的な時代に、改革をする理由とは何か、分かりませんが、田沼も腐っても鯛の、侍の端くれであり、欲望だけでなく、世直しの使命感もあったのではないか、と思います。
金権の臭いがふんぷんたる田沼時代の影響を、お膝元の江戸の街も受けているものの、磐音の存在のせいか、爽やかな人々の生活描写という感じで、見易かったです。
それから、ゴジラの記事コメントでは、罵詈雑言を吐いてしまい、すいませんでした。
金権の臭いがふんぷんたる田沼時代の影響を、お膝元の江戸の街も受けているものの、磐音の存在のせいか、爽やかな人々の生活描写という感じで、見易かったです。
それから、ゴジラの記事コメントでは、罵詈雑言を吐いてしまい、すいませんでした。
>隆さん
悪役の印象が強い田沼意次ですが、現在では非常に有能な政治家だったという評価が主流になっています。
本人があまり自分の記録を残していないので、ライバルの書いた悪評が後世に残ってしまったのでしょうね。
悪役の印象が強い田沼意次ですが、現在では非常に有能な政治家だったという評価が主流になっています。
本人があまり自分の記録を残していないので、ライバルの書いた悪評が後世に残ってしまったのでしょうね。
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