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アラジン・・・・・評価額1650円
2019年06月14日 (金) | 編集 |
Do you trust me?

1992年に大ヒットした、ディズニーの名作アニメーション映画のリメイク。
「リトル・マーメイド」から「モアナと伝説の海」まで、数々の傑作を手がけたレジェンド、ジョン・マスカーとロン・クレメンツによるオリジナルの「アラジン」は、ランプの魔人ジニーのエキセントリックなキャラクターに引っ張られ、ディズニー第二黄金期の傑作群の中でも、ひと際コメディ色が強い。
その面白さは、多分にアニメーションならではのオーバーアクションな表現にあるのだが、27年ぶりの実写リメイクはどう生まれ変わったのか。
アニメーション版を元に、「ビッグ・フィッシュ」などのティム・バートン作品で知られるジョン・オーガストが脚本を執筆し、ガイ・リッチーが監督を務める。

砂漠の王国の王女ジャスミン(ナオミ・スコット)は、父のサルタンから結婚を急かされているが、お眼鏡に敵う男はなかなか現れない。
なぜなら、次から次へと求婚にやってくるボンクラ王子たちは、決して彼女の「本質」を見てくれないから。
そんなある日、彼女はお忍びで出かけた街の市場で、コソ泥で生計を立てている気のいい青年アラジン(メナ・マスード)と出会う。
王女と泥棒、対照的だが純粋な二人はお互い引かれ合うのだが、アラジンは王国の国務大臣である魔法使いジャファー(マーワン・ケンザリ)に捕まってしまう。
ジャファーはアラジンに、財宝が隠された魔法の洞窟から古びたランプを持ち帰れば、大金持ちにしてやると持ちかける。
アラジンはランプを見つけるのだが、相棒の猿のアブーが「ランプ以外のものには手を触れてはいけない」というルールを忘れ、宝石を手にとってしまったことから洞窟が崩壊し、閉じ込められてしまう。
困ったアラジンが何の気なしにランプをこすると、超常の力を持つ魔人ジニー(ウィル・スミス)が現れ・・・


伸びやかなアニメーションの動きの魅力は、ゴージャスな衣装を纏いカラフルなセットで躍動する俳優たちの活劇として受け継がれ、ガイ・リッチー色は薄めなものの、大幅にボリュームアップしたコミカルなアクション描写にらしさは見せる。
情報量が増えた分、上映時間はオリジナルより30分以上長くなった128分だが、冗長さを全く感じさせないのは、さすがのディズニーコントロールのクオリティだ。
ホワイトウォッシュ批判も意識した、メナ・マスードのアラジンとナオミ・スコットのジャスミンは、フレッシュでとても良い。
だが本作のMVPは、パフォーマンスキャプチャを駆使し、陽気な魔人・ジニーをノリノリで演じたウィル・スミスだろう!
彼以外のジニー役は、もう想像できないくらいのハマりっぷりだ。

全体のプロットはアニメーション版に極めて忠実に、しかしディテールをモダンにブラッシュアップする方法論は、興行的にも批評的にも大成功した「シンデレラ」「美女と野獣」を踏襲したもの。
ひょんなことから、ランプの精のジニーと出会ったコソ泥のアラジンが、国の乗っ取りを狙う悪漢ジャファーと対決し、お姫様のジャスミンと結ばれる。
時系列の多少の前後はあるものの、劇中で起こること自体はオリジナルとほとんど変わらない。
ただ、それぞれのキャラクターの心情描写は大幅に増えた。

ジニーが叶えてくれる三つの願いのうち、まずは一つ目の願いで偽王子になったアラジンは、ジャスミンと再会を果たし、父王にも気に入られる。
ところが、ことがトントン拍子に進み過ぎて、自分のウソをいつジャスミンに告白しようかと悩みを深める。
この展開自体はオリジナルと同じだが、本作ではジニーとアラジンの友情がより強調されていて、「三つ目の願いでジニーを自由にする」という約束と絡めて、欲望からダークサイドに落ちそうになるアラジンの葛藤を強化。

対するジャスミンは、オリジナルではアラジンと出会うまで、宮殿の外にも出たことのない超お嬢様設定だったが、本作では侍女のダリアと計って宮殿を抜け出し、貧困が蔓延する国の実情を見聞きしている。
中身空っぽのどこかの「王子さま」と結婚して王妃の地位に収まるよりも、自らが王となり国を統べたい、より良き国にしたいという、強いリーダーシップを持った意識高い系のプリンセス像は、いかにも現代風でオリジナルとは一線を画す。

しかし、実写化にあたって一番強化されているのは、ジニーのキャラクターだろう。
オリジナルのジニーの願いは単に「自由になりたい」だが、実は本作では願いの内容が異なっている。
さらにジャスミンの侍女のダリアとの、ちょっとしたロマンスまで用意されている周到さ。
本作のキャストの中でダントツにギャラが高い・・・からではないだろうが、登場シーンは大幅に増加して、アラジンとの感情的な絡みも深まった。
オリジナルでは砂漠の行商人の語りから始まる物語が、こちらでは海を行く商船を駆るなぜか青くないウィル・スミスから始まるのも、最後まで見ると納得の仕掛け。
今は亡きロビン・ウィリアムズの当たり役でもあった、アニメーション版のエキセントリックなキャラクターを大いにリスペクトしつつ、デジタル技術との合わせ技でスミスならではのやり過ぎギリギリ、新しいジニーを作り上げている。

ミュージカルシークエンスは、実写+CGの特質を生かした豪華絢爛なビジュアルが素晴らしく、質量ともに見応えたっぷり。
空飛ぶ絨毯に乗って一夜で世界を巡る、ファンタスティックな「ホール・ニュー・ワールド」をはじめ、おなじみのアラン・メンケンの名曲群にプラス、新たに「ラ・ラ・ランド」のベンジ・パセックとジャスティン・ポールが参加し、新曲も書き下ろされている。
特にジャファーの野望と対決すべく、ジャスミンが自らの決意を「スピーチレス〜心の声」として歌い上げるシーンは、21世紀のミュージカル活劇となった本作の白眉だ。

オリジナルが作られてから27年の間に、世界は大きく変わった。
今や魔法の絨毯がなくても、グーグルアースで世界の隅々まで覗くことが出来るし、地球の反対側にいる人とでもリアルタイムで繋がることだって不可能じゃない。
技術という魔法によって、人間ができることはどんどん増えている。
でも「何者かになりたい」「自分らしくありたい」「自由に生きたい」という、本作の登場人物の抱えている葛藤や切望、大切な人への愛や友情といった感情はずっと不変のもので、魔法では決して解決できないこと
誰よりも魔法の虚飾性と限界を知るからこそ、本作のジニーの最後の願いはああなったのだろうな。
移ろいやすい世界の中で、古の説話をモチーフにした本作の魅力は、むしろ輝きを増している。
今観ても十分に楽しいアニメーション版と、二本合わせて楽しみたい。

「アラジン」の原作は、「千夜一夜物語」の「アラジンと魔法のランプ」。
実はこの物語は、原典には存在せず、後世のどこかの時点で付け加えられたものだという。
今回は「千夜一夜物語」が成立した9世紀ごろには、アッバース朝の領域にあった、アルメニアのエレバンブランデー社が、白ワインを原料として作るブランデー「アララット アフタマール」をチョイス。
ラムに近い独特の香りが特徴で、ブランデーとワインの中間の独特な味わい。
夜毎語られる物語と共に飲むと、ナイトキャップにちょうどいい。
酒豪ウィンストン・チャーチルの愛飲酒としても知られている、歴史ある酒だ。

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コメント
この記事へのコメント
こんばんは
>隆さん
いただいたコメントに、本文で避けているネタバレが含まれているので申し訳ありませんが、削除させていただきました。
ネタバレ警告の無い、アップされたばかりの記事にコメントされる際はご配慮願います。
2019/06/14(金) 23:21:44 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
> 陽気な魔人・ジニーをノリノリで演じたウィル・スミスだろう!
彼以外のジニー役は、もう想像できないくらいのハマりっぷりだ。

ふと竹中直人が頭をよぎったのだけど、そう言えば優香主演の映画でもう魔法使いをやっていたな。
2019/08/10(土) 22:58:34 | URL | fjk78dead #-[ 編集]
こんにちは
こんにちは。
きらびやかで楽しい作品でした。そして存外ウィル・スミスが良かったです。ディズニーの描くジーニーのイメージに彼はぴったりだと思いました。
2019/08/19(月) 13:05:39 | URL | ここなつ #/qX1gsKM[ 編集]
こんばんは
>ふじきさん
私は吹き替え版はオリジナルも含めてみたこと無いけど、なんとなく竹中直人のイメージはありましたよ。

>ここなつさん
予告編で青いウィル・スミス見たときは不安しかなかったけど、本編では意外なくらいのはまりっぷり。
嬉しい誤算でしたw
2019/08/20(火) 22:34:46 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
ウィル魔人
ノラネコさん☆
すっかり今頃観てきました。
ウィルのジーニーあってこその映画でしたね!
最初の船のウィルからの~で上手く作っていましたが、私はもっともっと過激なCGではじけても良かったように思いました。
2019/08/23(金) 23:37:04 | URL | ノルウェーまだ~む #gVQMq6Z2[ 編集]
こんばんは
>ノルウェーまだ~むさん
そう、オリジナルでは砂漠の商人だから、ウィルが出てきた瞬間「あれ?」と思いました。
「あんたジニーやん」と。
うまい具合にループして、綺麗に落ちるのはやっぱセンスだなあと。
2019/08/25(日) 21:45:36 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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