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2019年08月16日 (金) | 編集 |
フレンチテイストの、恐怖のミルフィーユ。
舞台はアメリカの田舎町。
人里離れた叔母の家を相続し、そこへ移り住むことにしたシングルマザーのポリーンと、外見はあまり似てない双子の姉妹、ベスとヴェラ。
ヴェラは活発な今時の娘だが、内向的で作家志望のベスは、ラブクラフトを信奉するホラー小説マニア。
正反対の性格の姉妹はお互いを疎ましく思っている。
引っ越してきた日の夜、一家は押し入ってきた二人の暴漢に襲われ、ポリーンは愛する娘たちを守るため、傷つきながらも暴漢に立ち向かい、ナイフで滅多刺しにして返り討ちに。
それから16年後、ベスは望み通りに小説家として成功し、愛する夫と息子と共にシカゴに暮らしている。
ところがある日、事件で心を病んでしまい、今も母親と共にあの家で暮らすヴェラから「助けて」と電話がかかってきて、心配になったベスが帰省を決意したことで、恐怖の第二章の幕が上がる。
✳︎ネタバレはなるべく避けてますが、観てから読むことをお勧めします。
フランスのホラー者、パスカル・ロジェのベストだ。
女性二人が軸となること、彼女たちが徹底的に虐待されることなど、全体的に出世作となった「マーターズ」と共通する要素が多い。
なので、何かと議論の多いあの映画で、胸くそ悪くなってしまった人は、こちらも受け入れられない可能性が高い。
だが、本作で注目すべきなのは、残酷性よりも凝りに凝ったストーリーだ。
これは本作の核心なので詳細は自粛するが、登場人物のキャラクター設定をはじめ、巧みなミスリードで観客を誘導するプロットのロジック、細やかに配置された伏線など、細部まで緻密に作り込まれていて驚かされた。
姉妹の感情の軋轢を起点として、最終的なテーマに落とし込むまできっちり計算されている。
主人公ベスが、ラブクラフト大好きなホラーマニアであり、自らも小説を書いている創作者なのがポイント。
この作者の分身とも言うべきキャラクターを通して、ロジェはホラー者として考えるうる最悪の体験と、“恐怖からの脱出法”をシミュレートしてみせるのである。
この辺りのアプローチは、何気に最近の流行りでもあるのだが、このジャンルでやったのが新しいと言えるだろう。
もちろん、ホラー指数も非常に高いが、これも優れた物語によって増幅されている。
ありがちな作品の様に一本調子にならず、変幻自在なストーリーテリングによって、予想もしないところから恐怖が飛び出してくる。
女装の怪人とハゲ頭の巨漢という、怪物的インパクトのある男たちに襲われる序盤の展開から、中盤の世界がジワジワと少しずつ狂ってゆくオカルト的演出に、嘗てのトビー・フーパーを思わせるニューシネマ的なド迫力のバイオレンスサバイバルまで、わずか91分の尺しかないのに、まるでミルフィーユのように、ページをめくる毎に色々なホラーの味を堪能できる。
逆に言えば、全体が引き締まっていて全くダレる部分が無い。
舞台となる気持ち悪いアンティーク人形だらけの屋敷の美術など、ムードを高めるディテールも豊か。
怖くて面白い、納涼ホラー快作だ。
10代のベスを演じる役者さんが、どこかで見たことあると思ったら、「ブリムストーン」でダコタ・ファニングの少女時代を演じたエミリア・ジョーンズじゃないか。
髪を黒くしていたので最初は分からなかったが、この人はとても上手い。
ところでこれ、チラシのあらすじの最後の行が、思いっきりネタバレしてるんで注意。
あの決定的な言葉を入れちゃうとか、宣伝部何考えてるのかなあ。
今回は「輸血」を意味するカクテル「ブラッド・トランスフュージョン」をチョイス。
ホワイト・ラム30ml、ライム・ジュース30ml、グレナデン・シロップ1tspをシェイクし、グラスに注ぐ。
血のような赤というよりも、ピンクに近い優しい色。
ラムの甘い香りと、ライムのフレッシュさのコンビネーションが絶妙。
グレナデン・シロップのほのかな甘みがいいアクセントだ。
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舞台はアメリカの田舎町。
人里離れた叔母の家を相続し、そこへ移り住むことにしたシングルマザーのポリーンと、外見はあまり似てない双子の姉妹、ベスとヴェラ。
ヴェラは活発な今時の娘だが、内向的で作家志望のベスは、ラブクラフトを信奉するホラー小説マニア。
正反対の性格の姉妹はお互いを疎ましく思っている。
引っ越してきた日の夜、一家は押し入ってきた二人の暴漢に襲われ、ポリーンは愛する娘たちを守るため、傷つきながらも暴漢に立ち向かい、ナイフで滅多刺しにして返り討ちに。
それから16年後、ベスは望み通りに小説家として成功し、愛する夫と息子と共にシカゴに暮らしている。
ところがある日、事件で心を病んでしまい、今も母親と共にあの家で暮らすヴェラから「助けて」と電話がかかってきて、心配になったベスが帰省を決意したことで、恐怖の第二章の幕が上がる。
✳︎ネタバレはなるべく避けてますが、観てから読むことをお勧めします。
フランスのホラー者、パスカル・ロジェのベストだ。
女性二人が軸となること、彼女たちが徹底的に虐待されることなど、全体的に出世作となった「マーターズ」と共通する要素が多い。
なので、何かと議論の多いあの映画で、胸くそ悪くなってしまった人は、こちらも受け入れられない可能性が高い。
だが、本作で注目すべきなのは、残酷性よりも凝りに凝ったストーリーだ。
これは本作の核心なので詳細は自粛するが、登場人物のキャラクター設定をはじめ、巧みなミスリードで観客を誘導するプロットのロジック、細やかに配置された伏線など、細部まで緻密に作り込まれていて驚かされた。
姉妹の感情の軋轢を起点として、最終的なテーマに落とし込むまできっちり計算されている。
主人公ベスが、ラブクラフト大好きなホラーマニアであり、自らも小説を書いている創作者なのがポイント。
この作者の分身とも言うべきキャラクターを通して、ロジェはホラー者として考えるうる最悪の体験と、“恐怖からの脱出法”をシミュレートしてみせるのである。
この辺りのアプローチは、何気に最近の流行りでもあるのだが、このジャンルでやったのが新しいと言えるだろう。
もちろん、ホラー指数も非常に高いが、これも優れた物語によって増幅されている。
ありがちな作品の様に一本調子にならず、変幻自在なストーリーテリングによって、予想もしないところから恐怖が飛び出してくる。
女装の怪人とハゲ頭の巨漢という、怪物的インパクトのある男たちに襲われる序盤の展開から、中盤の世界がジワジワと少しずつ狂ってゆくオカルト的演出に、嘗てのトビー・フーパーを思わせるニューシネマ的なド迫力のバイオレンスサバイバルまで、わずか91分の尺しかないのに、まるでミルフィーユのように、ページをめくる毎に色々なホラーの味を堪能できる。
逆に言えば、全体が引き締まっていて全くダレる部分が無い。
舞台となる気持ち悪いアンティーク人形だらけの屋敷の美術など、ムードを高めるディテールも豊か。
怖くて面白い、納涼ホラー快作だ。
10代のベスを演じる役者さんが、どこかで見たことあると思ったら、「ブリムストーン」でダコタ・ファニングの少女時代を演じたエミリア・ジョーンズじゃないか。
髪を黒くしていたので最初は分からなかったが、この人はとても上手い。
ところでこれ、チラシのあらすじの最後の行が、思いっきりネタバレしてるんで注意。
あの決定的な言葉を入れちゃうとか、宣伝部何考えてるのかなあ。
今回は「輸血」を意味するカクテル「ブラッド・トランスフュージョン」をチョイス。
ホワイト・ラム30ml、ライム・ジュース30ml、グレナデン・シロップ1tspをシェイクし、グラスに注ぐ。
血のような赤というよりも、ピンクに近い優しい色。
ラムの甘い香りと、ライムのフレッシュさのコンビネーションが絶妙。
グレナデン・シロップのほのかな甘みがいいアクセントだ。

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人里離れた土地にある叔母の家を相続し移り住むことになった、シングルマザーと双子の少女の姉ヴェラと妹ベス。 新居に到着したその夜、2人組の暴漢が家に押し入るが母親は必死に反撃し、相手をメッタ刺しにする。 …16年後、ベスは小説家として成功したが、ヴェラは精神を病み今もあの家で母と暮らしていた…。 サスペンス・ホラー。
2019/08/17(土) 10:35:50 | 象のロケット
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