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ショートレビュー「ドッグマン・・・・・評価額1600円」
2019年08月20日 (火) | 編集 |
犬男の鬱屈。

「五日物語 ー3つの王国と3人の女ー」のマッテオ・ガローネによる、異色の心理スリラー。
イタリアの海辺にある寂れた町で、娘と犬を心から愛し、小さなペットサロン「ドッグマン」を経営するマルチェロという温厚な小男が主人公。
彼は商店街の仲間たちと食事やサッカーを楽しみ、良好な関係を築いている一方で、幼馴染の札付きのクズ、シモーネによって支配されている。
彼ら二人の関係を「大人になったのび太とジャイアンみたい」という感想をネットで何度か目にしたが、そんな生易しいもんじゃない。
マルチェロはシモーネを“友だち”だと信じているが、たぶん子供の頃から何十年も続いてる、絶対的な主従関係。

マルチェロを演じるマルチェロ・フォンテと、シモーネ役のエドアルド・ペーシェのルックスがいい。
チビでヤセ、甲高い声でいかにも弱そうなマルチェロと、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのビフを思わせる筋肉質で巨漢のシモーネ。
一目見て、一方的な関係が感じ取れる。
もっとも、マルチェロはただ単に怯えて、シモーネの支配から逃れようとしている訳ではない。
どちらかといえば、自らシモーネに関わろうとしているフシもあるのだ。
小心者のくせにドラッグには手を出し、「お前の物は俺の物」とばかりにシモーネに奪われても、一緒に遊びに出かけ、シモーネが危機に陥ると積極的に助ける。
それはまるで、主君にとって「役に立つ存在でありたい」と願う臣下の兵士の様だ。

ジャイアンは確かにのび太をいじめるけど、のび太はジャイアンに支配されている訳ではない。
ドラえもんの助けなしでも時に反撃し、時には出し抜く賢さと独立性を持っている。
本作のマルチェロは、完全にシモーネの子分であって、ポジション的にはむしろスネ夫の金を持ってないバージョン、いやDV夫と別れられない妻の共依存の状態に近いんじゃないか。
ドラッグをぶんどられるのはまだ良い方で、とんでもない犯罪の片棒をかつがされて、罪をかぶって全てを失っても、まだ彼はシモーネを裏切れないのだ。

だがその間も、マルチェロの心の中には、危険な燃料が少しずつ溜まってゆく。
彼自身も気付いていない、小さな種火がずっと燻っているのだけど、見えない壁に遮られて、燃料には着火されないまま。
しかし、はけ口のないまま燃料が溜まり続ければ、いつかは壁は崩れ、大爆発を起こすだろう。
例によってガローネは、人間をとことん追い込むことに容赦無い。
物語のほとんどが、広場を中心とした狭い街の一角で進行する、箱庭的な閉塞した世界観。
逃げ場のない舞台で、タイトル通り主人公を従順な犬に比喩し、飼い主たるシモーネにいつ噛み付くのかの興味でグイグイ引っ張る。
内容は全然違うのだけど、追い詰められた先に迷い込む狂気は、ちょっと「ヒメアノ~ル」を思い出した。
もちろん特異な作劇ロジックを持っていたあの映画とは違って、こちらはストーリー的には奇を衒ったところはなく、ごくオーソドックスな展開。
最初から物語の行き着く先は分かっていたけど、それでも二人の男の危うい関係から目が離せない。
後味はとことん悪く、しかしかなり面白い怪作。
マルチェロにとって、これで問題は解決したのか?してないのか?
まさに、人を呪わば穴二つである。

今回は相当にビターな映画だったので、口直しにイタリアのフレッシュなレモンのリキュール「リモンチェッロ」をチョイス。
レモンの皮を蒸留酒に漬け込み、砂糖水などで甘みを加えたカンパニア州の名物で、今では様々な銘柄から発売されているが、元々は各家庭で作られていた。
飲み方はキンキンに冷やしたストレートがオススメだが、ソーダで割ってレモンサワー風にして飲んでも美味しい。

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