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2019年09月12日 (木) | 編集 |
“わたしたち”は何者なのか。

アカデミー脚本賞に輝いた異色のホラー映画、「ゲット・アウト」で注目されたジョーダン・ピール監督の最新作。
少女の頃、自分と同じ顔をしたドッペルゲンガーと出会い、今もトラウマを抱える主人公の前に、今度は夫と子供も合わせた自分たちそっくりの家族が現れる。
果たしてニセモノの家族の目的は何か?彼らはどこからやって来たのか?
例によってアイディアはトンチが効いていて、自分と瓜二つながら、自分ではない“何か”によって襲われるというシチュエーションはかなり怖い。
「それでも夜は明ける」でオスカーを受賞したルピタ・ニョンゴが、一人二役の主人公を怪演。
※核心部分に触れています。

アデレード(ルピタ・ニョンゴ)は、夫のゲイブ(ウィンストン・デューク)、娘のゾーラ(シャハディ・ライト・ジョセフ)、息子のジェイソン(エバン・アレックス)と共にバケーションを過ごすために、幼い頃に住んでいたカリフォルニア州サンタクルーズの家を訪れる。
しかし懐かしさと共に、彼女の心に今も影を落とす奇妙な事件を思い出す。
1986年、海辺の遊園地で迷子になったアデレードは、そこで自分とそっくりな少女と出会ったのだ。
一時言葉が出なくなるほどのショックを受けた彼女は、その頃の記憶が蘇ると共に、得体の知れない不安に襲われ「何か恐ろしいことが起こる」という予感に苛まれる。
その夜、アデレードの家を自分たちとそっくり同じ顔をした家族が訪れ、予感は現実となるのだが・・・・


なるほど、忘れられた地下都市にハンズ・アクロス・アメリカとエレミヤ書11章11節か。
前作「ゲット・アウト」は、黒人の肉体に密かな憧れを抱き、奪い取ろうとする狂信的な白人たちを描き、「人種差別ホラー」として話題となった。
ジョーダン・ピールの真価が問われる監督第二作の恐怖は、アメリカにおける貧困と格差のメタファーという訳だ。
冒頭、「アメリカ国内には、延べ数千キロに渡る遺棄された地下空間が存在する」という字幕が表示される。
続いて幼い頃のアデレードが見ているテレビに、ハンズ・アクロス・アメリカのCMが映し出されると、彼女が遊園地で目撃する不気味な男は、「エレミヤ書11章11節」と書かれたボードを持っている。

確かにアメリカには、今は使われていない沢山の地下空間が存在する。
都市の使われなくなった地下鉄や下水道、地下シェルターに坑道、冷戦時代の軍事施設。
80年代には風雨を避けるために、ニューヨークの下水道や地下鉄の廃線に暮らすホームレスの存在が話題となり、彼らが突然変異して人喰いの鬼となる「チャド」なんていうB級ホラーも作られたし、ニューヨークの地下を舞台とした、ギレルモ・デル・トロの巨大ゴキブリホラー「ミミック」もこの辺りが元ネタだろう。
モスマンやジャージーデビルなどの都市伝説のUMAは、遺棄された軍の地下研究所から逃げ出したと信じている人も多い。

また80年代は、様々なチャリティエイドが花盛りだった時代で、1985年にはアフリカ飢餓救済を目的に、世界のスーパースターが総出演したライブ・エイドが米英両国で開催され、チャリティソング「ウィー・アー・ザ・ワールド」が大ヒット。
翌年の1986年に、今度はアメリカ国内の貧困、飢餓、ホームレス問題の解決のために行われたのがハンズ・アクロス・アメリカだ。
参加者は10ドルを寄付し、手をつないでアメリカ西海岸から東海岸までつながる人間の鎖を作るという壮大な試みは、視覚的にもインパクト大。
当時かなり話題になったので、今だに覚えている。

そして、旧約聖書のエレミヤ書11章11節にはこうある。
『それゆえ、主はこう仰せられる。「見よ。わたしは彼らに災いを下す。彼らはそれからのがれることはできない。彼らはわたしに叫ぶだろうが、わたしは聞かない。』
人々がモーゼが神と交わした契約を忘れ、神の言葉を聞かなくなっているので災いを下すが、偽りの神を信じている人々の祈りは届くことはなく無駄であるという、人間たちの不信心に対する警告だ。
この言葉通り、人々が神の言葉を忘れた現代のアメリカに、神が下した災いこそが、本作の描く物語である。

基本的にやっていることは前作と同じ。
社会問題をフックに、不条理な恐怖が人間たちを襲う。
政府によって、心を持たない人間のコピーとして作られ、本来なら永遠に閉じ込められたままだった地下人間たちは、いわゆるインビジブル・ピープル、貧困層やホームレスを比喩し、富裕層であるアデレードの家族や友人たちは、神との契約を忘れ虚飾の繁栄を謳歌する現代アメリカの上っ面。
そして、本作で起こる事件は、社会から忘れられた存在だった地下人間たち自ら起こした、ハンズ・アクロス・アメリカのイベントだという訳だ。

アメリカン・ホラー/ファンタジーの原風景たる、海辺の古びた遊園地から始まるドラマは、ムーディーに展開する。
ちなみに舞台となるのは、「バンブルビー」にも登場したレトロな遊園地、サンタ・クルーズ・ビーチ・ボードウォーク。 
ニセモノの自分という設定は、ジャック・フィニイ原作で何度も映画化された「ボディ・スナッチャー(盗まれた街)」を思わせるが、あれは肉体をコピーされた時点でオリジナルは消滅してしまうので、本人は自覚することはできない。
対して本作では、まったく同じ顔をした自分たちのニセモノが、情け容赦なく殺しに来るのだから恐ろしい。
アデレードのニセモノ以外は、言葉を話せず、知性も限定的なのが余計に不気味。

ムーディーで思わせぶりな展開は、ちょっとシャラマンぽくもあるのだが、描写そのものは結構B級テイストで、ブラックなユーモアが伴っているのがジョーダン・ピールの特質か。
ぶっちゃけ深みは全然ないのだが、人種差別や貧困格差など社会性がフックになっているのも、作品世界への興味をそそり、入りやすさに繋がっているし、前作に引き続いてなかなか面白い映画を作り上げたと思う。

しかしながら、クライマックスでネタばらしを全部セリフで言っちゃうのはともかくとしても、あのエスカレーターから向こうの世界観はちょっと無理があり過ぎだ。
そもそも彼らがどうやって生きてきたのかや、地上に出るとなぜオリジナルの動きがコピーされないのかという根本部分を含め、色々と辻褄が合わないし、あちこち矛盾してしまっている。
ピールとしては「カリカチュアされたファンタジーと割り切ってしまえば、気にならないでしょ」というつもりかも知れないけど、だとすれば全体のリアリティラインの設定がやや中途半端だ。
欠点ははっきりしているが、なぜアデレードのニセモノだけが知性を持ち、地下人間たちの“キリスト”となりえたのか、テーマに上手くかぶせたオチは秀逸。
異才ピールが次回は何をフックに、恐怖な世界を見せてくれるのか楽しみだ。
もちろん、別にホラーじゃなくてもいいんだけど。

今回は“フェイク”つながりで、「セーフ・セックス・オン・ザ・ビーチ」をチョイス。
ピーチ・ネクター60ml、 クランベリー・ジュース90ml パイナップル・ジュース90mlを氷を入れたグラスに注ぎ、ステアする。
最後にレッドチェリーを飾って完成。
言わずと知れた「セックス・オン・ザ・ビーチ」に見せかけた、ニセモノのノンアルコールドリンクで、度数の高いオリジナルと違って、いくら飲んでも酔わない“安全な”カクテル。

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1986年、アメリカ・カリフォルニア州サンタクルーズ。 幼い少女アデレードは遊園地の鏡の迷路に迷い込み、自分そっくりな少女と顔を合わせる。 …そして現在、大人になったアデレードは夫ゲイブ、娘ゾーラ、息子ジェイソンと夏休みを過ごすため、久しぶりに実家を訪れた。 その夜、アデレードたちの前に、自分たちとそっくりな一家4人が現れる…。 サプライズ・スリラー。 R15+
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2019/09/18(水) 14:31:00 | 映画に夢中