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2020年04月28日 (火) | 編集 |
最後まで守り切る。
Netflixオリジナル作品。
クリス・ヘムズワース演じる心に傷を抱えた死にたがりの傭兵が、誘拐されたインドの麻薬王の息子の奪還作戦中、孤立無援の危機に陥る。
軍に封鎖された迷宮都市ダッカから、子供を庇いながらいかにして脱出するか。
MCUで「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」の監督に抜擢され、集大成「アベンジャーズ/エンドゲーム」で世界興行収入記録を塗り替えた、アンソニーとジョーのルッソ兄弟がプロデュース。
弟のジョーが脚本を手がけ、上記の2作品にスタント・コーディネイターとして参加し、「エンドゲーム」では第二班監督も担当したサム・ハーグレイヴが、見事な手腕を見せ長編監督デビューを飾った。
血で血を洗う非情の世界でしか生きられない、アウトローたちの壮絶な生き様、死に様を描くハードでパワフルな作品である。
元オーストラリア軍特殊部隊SASRの兵士で、傭兵を生業にしているタイラー・レイク(クリス・ヘムズワース)の元へ、傭兵仲間のニック(ゴルシテフ・ファラハニ)から依頼が入る。
インドのムンバイを拠点とする麻薬王マハジャンの息子オヴィ(ルドラクシャ・ジェイスワル)が、敵対するアミール・アシフ(プリヤンシュ・パイニュリ)の組織によって拉致された。
レイクの任務はアシフが支配するバングラディシュのダッカに潜入し、オヴィを救出すること。
救出作戦は難なく成功するも約束された金は支払われず、オヴィの父親の部下のサジュ(ランディープ・フーダー)がオヴィを奪還しようとしてレイクを襲うも失敗。
ダッカの街はアシフの息のかかった軍の部隊によって完全に封鎖され、レイクは孤立無援となってしまう。
レイクはオヴィを見捨てて逃げるべきだと言うニックの助言に従わず、ダッカに住むかつての戦友のギャスパー(デヴィッド・ハーバー)に助けを求めるのだが・・・
先日公開された「1917 命をかけた伝令」は全編ワンショット風の長回しがウリだったが、本作にも前半35分あたりからおよそ10分間に渡る、とんでもないワンショットシークエンスがある。
時間的にはそれほどでもないと思うだろうが、おそらく撮影の複雑さは本作の方が数段上だろう。
まるで迷路のようなダッカの下町を舞台に展開する、オヴィを守りながら逃走するレイクvsサジュvsアシフの命を受けた軍部隊の三つ巴の戦闘は凄まじい。
レイクの戦闘術が相手の懐に飛び込むような超接近戦中心で、カメラも極力人物に寄り添っているため、まるで自分も命がけの戦いの場に叩き込まれたような臨場感。
しかもずーっとレイクに張り付いているのではなく、時にはサジュに、時にはやられ役の軍部隊の方へと変幻自在のカメラワーク。
さすがMCUをはじめとする数々の作品で、度肝を抜くアクションを手がけてきたハーグレイヴ渾身の作である。
推測ではあるが、やはり監督がスタント畑出身で、オープニング8分間に及ぶ怒涛のPOVワンショットアクションが話題となった韓国映画「悪女/AKUJO」に相当触発されているのではないだろうか。
このワンショットシークエンスだけでなく、全編にわたって工夫を凝らしたアクションが散りばめられており、超近接銃撃戦から始まって,カーチェイスに格闘戦にナイフ術,果てはスナイパー同士の戦いから、ヘリにRPGを打ち込んだり、おおよそ考えられるありとあらゆるアクションがてんこ盛り。
しかも前記した通り凝りに凝ったカメラワークと計算された視線の移動、編集の妙技によって、それぞれのアクションが非常に魅力的に見えるように出来ている。
ついアクションの話ばかりしてしまうが、ジョー・ルッソの脚本も娯楽映画のツボを押さえた優れた仕上がりだ。
ベースとなっているプロット自体は「狙われた子供を守る、心に傷を負ったアウトロー」という典型的な話型だが、適度にキャラクターが描き込まれ、行動原理がブレないので説得力がある。
主人公のレイクは、幼い息子を病気で亡くして以来、自暴自棄になっている設定。
死へと向かう息子の姿に耐えられず、家族の元を逃げ出したことを悔いていて、オヴィを救うことは彼にとって見捨ててしまった息子への贖罪なのである。
レイクによって救出されるオヴィも、自分自身は平凡な十代の少年なのに、否応無しに修羅の道を生きる父親の影響下にあると言う現実に葛藤する。
暴力から逃れようとするオヴィが、命を奪うことの重みと悲しみを知るエピソードは秀逸だ。
劇中、タイラーの過去を聞いたオヴィが、ブラジルの作家パウロ・コエーリョの「溺れるのは川に落ちたからではない。ずっと川底にいるからだ」と言う言葉を引用し、実際にレイクやオヴィが水中にいる描写が象徴的に使われているが、この映画の登場人物たちは川の底に沈んだまま足掻いているのだ。
ユニークなのは、レイクとオヴィにはそれぞれ対となるキャラクターがいて、彼らの存在が物語を深化させていること。
レイクと対になるのは、オヴィの父親の部下サジュ。
実は麻薬組織の口座は当局に凍結されていて、オヴィの解放交渉をしようにも金がない。
そこで傭兵を雇って彼らがオヴィを救出したところを襲い、彼の身柄を抑える算段だった。
ところがレイクが優秀過ぎて計画は失敗し、サジュは窮地に立たされる。
レイクと同等の戦闘能力を備えるサジュの行動原理となっているのが、最愛の妻と息子だけは非情な裏社会から守りたいという願いで、家族を捨てて逃げ出した過去を持つレイクと好対照を形作る。
一方、オヴィに対応するのが、ダッカを陰から支配するアシフに感化され、スラムからのし上がろうとする少年ファラド。
年少の子供たちを束ね、その生活環境から暴力を行使することに全く迷いがないファラドは、オヴィとは正反対の裏社会の負の連環を象徴する人物だ。
これらのキャタクターの相対によって、レイクとオヴィの葛藤がより際立つのである。
今のハリウッドで一番兵士役が似合う男、クリス・ヘムズワースが素晴らしい。
完全にビッグ・リボウスキ化していた、「エンドゲーム」のソーと同一人物とは思えないほどカッコいいのだ。
コミカルなソーはソーとして、ヘムズワースにはこのハード路線を突き詰めて欲しい。
もちろんアクションもいいのだが、隠れ家でのギャスパーやオヴィとの対話シーンで、アウトロー(ヒーロー)の苦悩と哀愁を感じさせ、キャラクターの人間性がにじみ出る演技は強く印象に残る。
大人との戦いの時は躊躇なく撃ち殺すのに、相手が子供だと“おしおき”にとどめるのもいい。
もっともそれが相手の怒りに火を付けちゃうのだけど。
キャラクター造形はジョー・ルッソの功績が大きいとしても、ここまで的確に主人公の内面を汲み取って演出したサム・ハーグレイヴの手練れっぷりも印象的だ。
いぶし銀の漢の映画と思わせつつ、最後の最後でゴルシテフ・ファラハニにボンドガールばりの見せ場も用意し、全編に渡って娯楽映画の“粋”が詰まった快作。
出来れば大スクリーンで観たかった作品だが、コロナ自粛を乗り切るための熱く燃えたぎるエナジーをもらった。
今回はインドの麻薬王の息子の話なので、インドを代表するビールの一つ「ゴッドファーザー プレミアムラガー」をチョイス。
麦芽87%を使用した高級感のあるラガービール。
南国のビールらしく、切れがあり喉ごし爽快な味わいは辛口好きの日本人好みだろう。
ちなみに「スーパーストロング 」の方は麦芽67%でアルコール度数が6.5度と高くなっている。
どちらもスッキリしていて美味しいが、個人的には「プレミアムラガー」の方が好み。
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Netflixオリジナル作品。
クリス・ヘムズワース演じる心に傷を抱えた死にたがりの傭兵が、誘拐されたインドの麻薬王の息子の奪還作戦中、孤立無援の危機に陥る。
軍に封鎖された迷宮都市ダッカから、子供を庇いながらいかにして脱出するか。
MCUで「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」の監督に抜擢され、集大成「アベンジャーズ/エンドゲーム」で世界興行収入記録を塗り替えた、アンソニーとジョーのルッソ兄弟がプロデュース。
弟のジョーが脚本を手がけ、上記の2作品にスタント・コーディネイターとして参加し、「エンドゲーム」では第二班監督も担当したサム・ハーグレイヴが、見事な手腕を見せ長編監督デビューを飾った。
血で血を洗う非情の世界でしか生きられない、アウトローたちの壮絶な生き様、死に様を描くハードでパワフルな作品である。
元オーストラリア軍特殊部隊SASRの兵士で、傭兵を生業にしているタイラー・レイク(クリス・ヘムズワース)の元へ、傭兵仲間のニック(ゴルシテフ・ファラハニ)から依頼が入る。
インドのムンバイを拠点とする麻薬王マハジャンの息子オヴィ(ルドラクシャ・ジェイスワル)が、敵対するアミール・アシフ(プリヤンシュ・パイニュリ)の組織によって拉致された。
レイクの任務はアシフが支配するバングラディシュのダッカに潜入し、オヴィを救出すること。
救出作戦は難なく成功するも約束された金は支払われず、オヴィの父親の部下のサジュ(ランディープ・フーダー)がオヴィを奪還しようとしてレイクを襲うも失敗。
ダッカの街はアシフの息のかかった軍の部隊によって完全に封鎖され、レイクは孤立無援となってしまう。
レイクはオヴィを見捨てて逃げるべきだと言うニックの助言に従わず、ダッカに住むかつての戦友のギャスパー(デヴィッド・ハーバー)に助けを求めるのだが・・・
先日公開された「1917 命をかけた伝令」は全編ワンショット風の長回しがウリだったが、本作にも前半35分あたりからおよそ10分間に渡る、とんでもないワンショットシークエンスがある。
時間的にはそれほどでもないと思うだろうが、おそらく撮影の複雑さは本作の方が数段上だろう。
まるで迷路のようなダッカの下町を舞台に展開する、オヴィを守りながら逃走するレイクvsサジュvsアシフの命を受けた軍部隊の三つ巴の戦闘は凄まじい。
レイクの戦闘術が相手の懐に飛び込むような超接近戦中心で、カメラも極力人物に寄り添っているため、まるで自分も命がけの戦いの場に叩き込まれたような臨場感。
しかもずーっとレイクに張り付いているのではなく、時にはサジュに、時にはやられ役の軍部隊の方へと変幻自在のカメラワーク。
さすがMCUをはじめとする数々の作品で、度肝を抜くアクションを手がけてきたハーグレイヴ渾身の作である。
推測ではあるが、やはり監督がスタント畑出身で、オープニング8分間に及ぶ怒涛のPOVワンショットアクションが話題となった韓国映画「悪女/AKUJO」に相当触発されているのではないだろうか。
このワンショットシークエンスだけでなく、全編にわたって工夫を凝らしたアクションが散りばめられており、超近接銃撃戦から始まって,カーチェイスに格闘戦にナイフ術,果てはスナイパー同士の戦いから、ヘリにRPGを打ち込んだり、おおよそ考えられるありとあらゆるアクションがてんこ盛り。
しかも前記した通り凝りに凝ったカメラワークと計算された視線の移動、編集の妙技によって、それぞれのアクションが非常に魅力的に見えるように出来ている。
ついアクションの話ばかりしてしまうが、ジョー・ルッソの脚本も娯楽映画のツボを押さえた優れた仕上がりだ。
ベースとなっているプロット自体は「狙われた子供を守る、心に傷を負ったアウトロー」という典型的な話型だが、適度にキャラクターが描き込まれ、行動原理がブレないので説得力がある。
主人公のレイクは、幼い息子を病気で亡くして以来、自暴自棄になっている設定。
死へと向かう息子の姿に耐えられず、家族の元を逃げ出したことを悔いていて、オヴィを救うことは彼にとって見捨ててしまった息子への贖罪なのである。
レイクによって救出されるオヴィも、自分自身は平凡な十代の少年なのに、否応無しに修羅の道を生きる父親の影響下にあると言う現実に葛藤する。
暴力から逃れようとするオヴィが、命を奪うことの重みと悲しみを知るエピソードは秀逸だ。
劇中、タイラーの過去を聞いたオヴィが、ブラジルの作家パウロ・コエーリョの「溺れるのは川に落ちたからではない。ずっと川底にいるからだ」と言う言葉を引用し、実際にレイクやオヴィが水中にいる描写が象徴的に使われているが、この映画の登場人物たちは川の底に沈んだまま足掻いているのだ。
ユニークなのは、レイクとオヴィにはそれぞれ対となるキャラクターがいて、彼らの存在が物語を深化させていること。
レイクと対になるのは、オヴィの父親の部下サジュ。
実は麻薬組織の口座は当局に凍結されていて、オヴィの解放交渉をしようにも金がない。
そこで傭兵を雇って彼らがオヴィを救出したところを襲い、彼の身柄を抑える算段だった。
ところがレイクが優秀過ぎて計画は失敗し、サジュは窮地に立たされる。
レイクと同等の戦闘能力を備えるサジュの行動原理となっているのが、最愛の妻と息子だけは非情な裏社会から守りたいという願いで、家族を捨てて逃げ出した過去を持つレイクと好対照を形作る。
一方、オヴィに対応するのが、ダッカを陰から支配するアシフに感化され、スラムからのし上がろうとする少年ファラド。
年少の子供たちを束ね、その生活環境から暴力を行使することに全く迷いがないファラドは、オヴィとは正反対の裏社会の負の連環を象徴する人物だ。
これらのキャタクターの相対によって、レイクとオヴィの葛藤がより際立つのである。
今のハリウッドで一番兵士役が似合う男、クリス・ヘムズワースが素晴らしい。
完全にビッグ・リボウスキ化していた、「エンドゲーム」のソーと同一人物とは思えないほどカッコいいのだ。
コミカルなソーはソーとして、ヘムズワースにはこのハード路線を突き詰めて欲しい。
もちろんアクションもいいのだが、隠れ家でのギャスパーやオヴィとの対話シーンで、アウトロー(ヒーロー)の苦悩と哀愁を感じさせ、キャラクターの人間性がにじみ出る演技は強く印象に残る。
大人との戦いの時は躊躇なく撃ち殺すのに、相手が子供だと“おしおき”にとどめるのもいい。
もっともそれが相手の怒りに火を付けちゃうのだけど。
キャラクター造形はジョー・ルッソの功績が大きいとしても、ここまで的確に主人公の内面を汲み取って演出したサム・ハーグレイヴの手練れっぷりも印象的だ。
いぶし銀の漢の映画と思わせつつ、最後の最後でゴルシテフ・ファラハニにボンドガールばりの見せ場も用意し、全編に渡って娯楽映画の“粋”が詰まった快作。
出来れば大スクリーンで観たかった作品だが、コロナ自粛を乗り切るための熱く燃えたぎるエナジーをもらった。
今回はインドの麻薬王の息子の話なので、インドを代表するビールの一つ「ゴッドファーザー プレミアムラガー」をチョイス。
麦芽87%を使用した高級感のあるラガービール。
南国のビールらしく、切れがあり喉ごし爽快な味わいは辛口好きの日本人好みだろう。
ちなみに「スーパーストロング 」の方は麦芽67%でアルコール度数が6.5度と高くなっている。
どちらもスッキリしていて美味しいが、個人的には「プレミアムラガー」の方が好み。

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