fc2ブログ
酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。ネット配信オンリーの作品は★5つが満点。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ショートレビュー「ドラえもん のび太の新恐竜・・・・・評価額1700円」
2020年08月08日 (土) | 編集 |
三たび、恐竜時代の冒険へ。

映画版「ドラえもん」の40作目は、1980年の春に公開された記念すべき第一作「のび太の恐竜」の発展的なリメイク。
この作品は2006年にも「のび太の恐竜2006」としてリメイクされているので、今回の映画化は14年ぶり3度目となり、監督は一昨年の「のび太の宝島」で長編監督デビューを飾った今井一暁が務める。
「のび太の宝島」に続いて、今井監督と再タッグを組んだ川村元気による脚本が非常に良く出来ていて、オリジナルにディープなリスペクトを捧げつつ、グッと深みを増した進化形バージョンになっている。
全40本の中でも、少なくともトップ5には入るであろう傑作だ。

のび太が見つけた卵の化石から恐竜の赤ちゃんが生まれ、愛情を持って育てるも本来現代にいてはいけない生物。
恐竜のためを考えて白亜紀の世界に戻しに行く、という基本プロットは変わらない。
しかし、この40年間の恐竜研究の様々な成果を取り込み、ディテールは大きくブラッシュアップされている。
恐竜の種類はフタバスズキリュウのピー助から、滑空飛行ができる新種の羽毛恐竜の双子キューとミューに変更。
双子のうち、快活なミューに対して、キューは体が小さく尻尾が短いという、「ファインディング・ニモ」的なハンディキャップがあることで、滑空が出来ないという設定が効いている。
キューの成長が、運動が苦手なのび太自身の成長とシンクロしてゆく仕組みだ。

面白いのが、キューとミュー以外の恐竜たちが、非常にリアルな3DCGで描写されていることで、これには最初違和感があったのだが、途中からその意図が明確になりなるほど納得。
オリジナルでは恐竜を捕まえて金持ちに売る、恐竜ハンターの存在が後半の脅威となるが、本作ではその存在は匂わされるものの、直接は出てこない。
かわりに終盤のサスペンスを盛り上げるのが、恐竜時代の終焉を告げる大隕石の衝突というカタストロフィと、近年発見が相次いだ肉食の超巨大翼竜だ。
隕石の辺りは、たぶんに川村元気のプロデュース作「君の名は。」の影響がありそうだが、本作はオリジナルの「のび太の恐竜」のパラレルワールド(?)と思わせる胸アツなオマージュもあり、SF(すこし・不思議)マインド溢れるクライマックスを作り上げている。
キューの持つハンディキャップが、絶滅ではなく進化につながるアイディアも、まさに21世紀的な多様性の表現となっており、老舗シリーズもしっかりアップデートしているのだなと感心。

監督の今井一暁は76年、川村元気は79年と共に70年代に生まれで、TVや漫画で「ドラえもん」に慣れ親しんで育った世代だろう。
観ていてビンビンに伝わってくるのが、作品と作者への愛だ。
作り手の世代が一巡したことで、オリジナルへのリスペクト溢れるストーリーと、テリングの技巧が高度にバランスした快作となった。
まあタイムパトロールに歴史改変はダメ云々言わせるのなら、のび太が卵をかえした時点や、ジュラ紀にアレを落とした時点で、思いっ切り改変してる気がするが、それを言い出すとそもそもドラえもんがのび太を助けに来ること自体が否定されちゃうので、あんまり突っ込むのも野暮だろう。
ちなみにタイムパトロールのジル博士が、生物の歴史への影響度を調べるのに使ってるのが、「T・Pぼん」のチェックカードだったりするのも芸が細かい。
「ドラえもん のび太の新恐竜」は、藤子・F・不二雄先生がこよなく愛した恐竜というモチーフを使い、ワクワク、ドキドキ、ワハハにホロリが全て入った実に楽しい娯楽映画だった。
しかしこれコロナ禍が収まらない中どのぐらい親子の観客が来てくれるのか、ファミリー層の試金石とも言える作品なので、是が非でもヒットして欲しいな。

オリジナルでのび太の恐竜だったフタバスズキリュウの化石は、1968年に福島県で発見された。
遠い昔に地球を支配していた恐竜はロマンを感じさせので、福島の花泉酒造が作るその名も「ロ万(ろまん)純米吟醸」をチョイス。
使用米から酵母、水に至るまで徹底的に地元産に拘って作られた“ザ・地酒”。
喉ごし柔らか、旨みと甘みは上品ですっきりとした味わい。
白亜紀の海を泳ぐフタバスズキリュウを想像しながら、ほろ酔いしたい。

ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ロ万 純米吟醸 一回火入れ 1800ml ろまん
価格:2995円(税込、送料別) (2020/8/8時点)



スポンサーサイト




コメント
この記事へのコメント
上手い筋立て
ノラネコさんこんばんわ♪

今井監督と川村さんのコンビは本作でもとても良い内容になっていましたね。のび太とキューの絆にも感動出来ましたし、懸命に努力して成長していく過程が結果的に進化につながっていくという筋立ても上手いなと思いましたので、自分も新恐竜は水田わさびドラ映画の中だとトップ3に入るくらい面白かったです^^

悪役が出てこないドラ映画というのもなんか珍しかったですね。
2020/08/11(火) 20:41:01 | URL | メビウス #mQop/nM.[ 編集]
こんばんは
>メビウスさん
明確な悪役が出てこないのも非常に現代的ですね。
白黒単純なことより、人生には大切なことがあるんだよと。
キューとのび太がお互いに影響しあって成長して、最後の別れでは思わずドラ泣きしてしまいました。
2020/08/13(木) 22:23:35 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
恐竜博の化石発掘体験で見つけた化石を「恐竜のたまごだ!」信じたのび太。 その化石をドラえもんのひみつ道具“タイムふろしき”で元の状態に戻すと、生まれたのは新種の双子の恐竜だった! 頼りないキューと、おてんばなミューの2匹を元の時代に返すことを決心したのび太は、ドラえもんや仲間たちと共に6600万年前へと出発する…。 人気アニメ劇場版。
2020/08/11(火) 01:57:44 | 象のロケット
【監督】今井一暁 【声の出演】水田わさび/大原めぐみ/かかずゆみ/木村昴/関智一/木村拓哉/渡辺直美 【公開日】2020年8月7日 【製作】日本 【ストーリー】 のび太が恐竜博の化石発掘体験で見つけた1つの化石。絶対に恐竜の卵だと信じたのび太がタイムふろしきで化石を元の状態に戻すと、生まれたのは双子の恐竜。しかも未発見の新種だった。のび太に似てちょっと頼りないキューとおてんばのミュー。個性...
2020/08/11(火) 20:37:33 | シネマをぶった斬りっ!!