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ショートレビュー「チィファの手紙・・・・・評価額1700円」
2020年09月17日 (木) | 編集 |
初恋の慕情は万国共通。

亡くなった姉のチィナンの代わりに、卒業30周年の同窓会に出席したチィファは、初恋の人イン・チャンと再会すると、姉の名を語って手紙を出す。
イン・チャンの出した返事は、チィナンの娘のムームーとチィファの娘のサーランの手にわたり、奇妙な文通が始まる。
やがて、手紙のやり取りは30年前の忘れえぬ初恋の記憶を紡ぎだすのである。

岩井俊二が「ラストレター」より前の2018年に、中国を舞台に同じ物語を撮った作品。
だから厳密にはこちらがオリジナルで、「ラストレター」がリメイク。
未見だが、さらにこの作品の元となったペ・ドゥナ主演の「チャンオクの手紙」という韓国が舞台の配信ドラマがある。
もともと岩井俊二は「リップヴァンウィンクルの花嫁」の時に、同じキャストで映画版とTV版を両方作ったり、「花とアリス」を実写とアニメーションで作ったり、作品の再生産には積極的な人だし、同一監督が複数の国で自作をリメイクする例は多々ある。
しかし、先に外国で2本作って最後に本国版なのは珍しいパターンではないか。
ちなみに出世作の「Love Letter」も、監督は違うようだが中国版リメイクが進行中だとか。

同じ劇映画というフォーマットの「ラストレター」と比較しても、過去パートの年齢が高校生から中学生になっていたり、日中の卒業時期の違いで物語の背景が夏から冬になっていたり、妹の息子が姉の子になっていたり、結構違いはあるのだが、基本的には同じ話。
もちろん中国ならではのローカライズもされているのだが、元から文化的に近いし、なによりも岩井俊二の作家性は隠しようがなく、作品世界にたゆたうようなトーンは非常に似通っている。
そういえば、イン・チャンを演じた秦昊もどことなく福山雅治に似てるし。

しかし二本並べて観ると、こちらが最初にあって日本版のプロットが改良されているのはよく分かる。
特に、幼くして母を亡くしたチィナンの息子が、母の死の意味に苦悩し家出するエピソードは、日本版ではこのキャラクターを妹の松たか子の息子にすることで、丸ごとカットされている。
取捨選択の結果、要素が集約され、福山雅治演じる過去の記憶に囚われ、一歩も進めなくなってしまった乙坂鏡史郎の葛藤に、よりフォーカスされているのだ。
もっとも、抱えている葛藤そのものはイン・チャンも乙坂鏡史郎も同じであり、初恋を巡るメロウでちょっと痛い物語は、どちらも十分味わい深い。

ところで、本作では過去の高校生設定が中学生になったことで、卒業からの時間が30年と伸びてる。
チィナンとイン・チャンが卒業した1988年は、天安門事件の前年で、都市部はそこそこ豊かにはなっていたものの、まだまだ高度成長期序章。
2018年までの30年間の変化は、日本版の25年間とは比べものにならないはずだが、時代性へのこだわりはあまり感じない。
この辺は、もし中国人監督が撮ったら違ったのではないかな。
変わりゆく中国の若者たちを描く、日中合作のアニメーション映画「詩季織々」でも、日本人監督のエピソードが現在の視点で固定されていた反面、中国人監督のエピソードは過去と現在ギャップがこれでもかと強調され、郷愁が濃いスパイスとなっていた。
やはり時代の変化は、その社会に身を置いていない外国人監督には、なかなか描けないものなのかも知れない。

今回は、そのまんま「ファーストラブ」をチョイス。
ドライ・ジン10ml、シャンパン20ml、ヒーリング・チェリー・リキュール2dash、砂糖1tspを氷と共にシェイクし、グラスに注ぐ。
ファーストラブは同名のレシピ違いが無数にあるが、こちらは欧米でポピュラーなレシピ。
ドライな中に感じられる、ほのかな甘味が初恋の味。

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姉チィナンの死を伝えるため姉の中学時代の同窓会に出かけた妹チィファは、姉に間違えられスピーチまでする羽目になってしまう。 更に、かつてチィファが憧れていたイン・チャンに声をかけられ、姉のふりをして連絡先を交換。 チィファの夫がメールを誤解しスマホを破壊したことから、チィファはイン・チャンへ手紙を書くことに…。 ラブストーリー。 ≪初恋、めぐる―≫
2020/09/19(土) 00:15:44 | 象のロケット