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「鬼滅の刃」 無限列車編・・・・・評価額1650円
2020年10月20日 (火) | 編集 |
一人は皆のために、皆は勝利のために。

コロナ禍で世界中の映画館が存亡の危機に陥るなか、オープニング三日間で動員342万人、興行収入46億円と言う空前の数字を叩き出し、日本における興業街の救世主となった驚異のブロックバスター。
昨年TVシリーズが放送され、社会現象となった吾峠呼世晴原作のジャンプ漫画「鬼滅の刃」シリーズ初の劇場版だ。
外崎春雄監督をはじめ制作チームも共通。
TVシリーズの最終回からそのまま繋がる「無限列車編」は、シリーズ屈指の名キャラクターである炎柱・煉獄杏寿郎を中心とした物語だ。
先日公開されて、見事なフィナーレを飾った「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」と同じく、TVとの連結作品のため映画単体では成立していないが、タッチもノリもTVシリーズのまんま、ファンが観たかった続編を見せてくれる。

乗客たちが次々と行方不明となっているという、無限列車に乗り込んだ炭治郎(花江夏樹)たちは、鬼殺隊炎柱の煉獄杏寿郎(日野聡)と出会う。
しかし、列車は十二鬼月下弦の壱・魘夢(平川大輔)の支配下にあり、炭治郎たちも彼が巡らせた策略によって眠らされてしまう。
そこは亡った者たちが生きている、永遠の夢の世界。
現実世界を忘れかかったその時に、ようやく自分が夢を見させられていることに気付いた炭治郎は、禰󠄀豆子(鬼頭明里)の鬼血術・爆血を浴びたことをきっかけに覚醒。
善逸(下野紘)、伊之助(松岡禎丞)、杏寿郎も相次いで覚醒するが、魘夢は列車全体と一体化していて、彼らは二百人の眠ったままの乗客を守りながら、魘夢の頸を探さねばならなくなる・・・


私はTVシリーズから入って原作を読みはじめたのだが、それは23巻で完結することが分かっていたから。
この歳になると、自分が生きてる間に終わるかどうかも分からない作品に、延々と付き合う根気は持てないんだな。
原作に忠実な表現ではあるものの、TVシリーズでものすごく細かく思考や状況を台詞で説明するスタイルには最初は結構違和感があった。
映像は美しく、動きも作り込まれているために、ここまで言葉で伝える必要があるのかと思ったのだが、長いシリーズならではの強みで、いつしかそれも特色と感じるようになった。
台詞過多は劇場版でも踏襲されているが、単体作ではなくあくまで全体の一本だからこれで良いと思う。
まあ一部のシネフィルには、こんなん映画じゃないとか言われそうだけど。

「鬼滅の刃」は典型的なヒーローズジャーニーの話型がベースになっているが、大きな特徴が主人公をはじめとした登場人物の行動原理が、揃って“利他”であることだ。
冒険に出るきっかけは、いわば天命。
しかし、主人公の竈門炭治郎の動機は、鬼になってしまった妹の禰󠄀豆子を人間に戻す方法を見つけるためで、決して自分のためには動かない。
利他の行動原理は、主要登場人物から鬼殺隊の末端の名もなき剣士たちまで広く共有されて物語のテーゼとなり、敵対する鬼たちの行動原理である“利己”をアンチテーゼとして、ジンテーゼを導き出す構造。

しかし利己と利他は結構危ういモチーフだ。
人間社会はこの二つがバランスすることで成り立っていて、利己が行き過ぎると社会全体が崩壊し、利他に重きを置き過ぎると個が蔑ろにされてしまう。
強制的に利他を強いられる、究極のシチュエーションが戦争である。
では訳もわからぬうちに戦場に駆り出される若者たちと、本作の登場人物は何が違うのかというと、個々の中での目的意識の明確さだろう。
デュマの「三銃士」がルーツで、今ではラグビーの標語として有名な「One for all, All for one」という言葉がある。
これ「一人は皆のため、皆は一人のため」だと思っている人が多いだろうが、実は「一人は皆のために、皆は勝利(目的)のために」が正解。
前の訳だと、「一人」と「皆」の区分がうやむやで、何をしたいのかも分からないが、後の訳だと「一人」が集まって「皆」となり、共通の「目標」を遂げようとしているのが明瞭だ。

過去に人気を博したジャンプ漫画と比較すると、本作が独特なのは世界が最初から無情に満ちていること。
いつ鬼に襲われて死ぬか、予測不能のおそろしい世界。
原作の中で鬼の頭領である鬼舞辻無惨が、炭治郎に向かってこんなことを言う。
「身内が鬼に殺されたのは、火事や地震で死んだのと同じ。自分は幸運だったと思って元の生活を続けるがいい」と。
要するに「生殺与奪の権はお前らには無いのだから、諦めろ」といっているのだ。
一人ひとりは弱い人間である本作の登場人物は、一人から皆になることでそんな状況に徹底的に抗う。
鬼殺隊の剣士は皆家族や大切な人を鬼に殺されている設定だが、本作は犠牲者の無念をはらし、平和な世を作るという利他を動機に、個人の生き様を描いているのである。

もっとも、本作が熱狂的な支持を受けるのは、日本人が大好きな幕末の志士を思わせる、自由意志に基づく究極の利他を描いているから、だけではないだろう。
例えば登場する多くの鬼たちには、無惨の誘惑に堕ちざるを得なかった切実な動機があり、彼らを人間を捨てるまでに追い詰めた社会の理不尽もじっくりと描かれている。
剣技に劣り、鬼との戦いの最前線に立つことが恐ろしくなってしまった鬼殺隊員たちにも、ちゃんとそれぞれの居場所が用意されていて、決して見捨てられることはない。
端的に言えば「鬼滅の刃」という作品は、絶対悪であり「存在してはいけない生物」である無惨以外の全ての生命に対して優しいのである。
少年少女たちが過酷ないばらの道を歩む物語の裏側にある優しさこそが、今の時代の閉塞した日本人の琴線に触れた最大の理由だと思う。

もちろんこういったテーマ性は重要だが、アクション作品は動いてなんぼ。
TVシリーズも頑張っていたが、本作は劇場用映画として文句無し。
見どころは、それぞれのキャラクターが繰り出す呼吸の剣技だが、止まった白黒画である原作に対し、縦横無尽に動くアニメーション表現はカラフルで楽しい。
ジャンプ漫画の映画化は、ずーっと戦いっぱなしになってしまうことが多く、それはそれで面白いのだが、本作は中盤の魘夢VS炭治郎&猪之助、終盤の猗窩座VS杏寿郎のバトルシークエンス以外に、それぞれのドラマもきっちり描かれていて見応えがある。
そして適度なタメがあるからこそ、クライマックスの猗窩座VS杏寿郎は圧巻だ。
赤と青の魂の激突は、アニメーション活劇の歴史に残ると断言してもいい過ぎではないだろう。
とりあえず杏寿郎がカッコよすぎて、その生きざまに泣けて、成長途中の炭治郎が主役なの忘れそうになるのだが、これは原作もそうだから仕方ない。
制作のユーフォーテーブルの仕事は、十分に称賛に値する。
今後はたぶん来年中にTVシリーズの第二期をやって、再来年に全体のクライマックスに当たる無限城での戦いを、前後編の劇場版二部作でやってエンドと予想。
原作は完結してるから、あまり引っ張ることもできないだろうし。
本作の余韻を胸に、続きを楽しみに待ちたい。

今回は飛騨の老田酒造の「鬼ころし 怒髪衝天辛口 純米原酒」をチョイス。
鬼ころしという銘柄は、なぜか商標登録されていなかったことで全国に100以上も同名の酒があるのだが、元祖と言われているのが1716年創業の老田酒造である。
名前の由来も「鬼を殺すほどうまい」、いやいや「鬼を殺すほどまずい」など諸説あるが、老田酒造によると本来は「鬼を殺すほど辛い」だったそうだ。
安いカップ酒やパック酒に名前が使われたせいで、どちらかというと今ではまずい酒の代名詞のようになってしまってるが、こちらは元祖だけになかなか。
ただし、鬼を殺すほどの辛さなので、好みは分かれるだろう。
飛騨牛などと相性が良いが、痺れるほどの辛口が好きな人にだけお勧めだ。

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コメント
この記事へのコメント
登場人物の一人の名前が「しのぶさん」なので、どうしても私は「機動警察パトレイバー」を思い出してしまうんですよねw
しかし、鬼滅はコメディシーンでは笑えるギャグ、シリアスなシーンではダイナミックで燃えるアクション、説明台詞で状況も解り易く・・・ときちんとエンタメしてますよね。パトレイバーって、とくに押井守監督の劇場版は、レイバー戦はちょっとだけで基本的にオッサンがしゃべり倒す内容ですから、子供に見せてもつまらんことこの上ないと思いますしw
それに、劇パト2は当時の「自衛隊のPKO派遣が行われていた」って世相を理解してないと冒頭の展開が解り辛いでしょうし、まず柘植の動機も理解出来なさそうですよね。大人ですら、完全に理解できた人は少ないでしょうし
2020/10/25(日) 21:44:33 | URL | ガネオ・トカゲ #-[ 編集]
追記です
ここまで人気なのですから、確実に実写化もされると思いますけど、「何本ぐらいで終わらせるか」が問題になりそうな気がします。
『るろうに剣心』以降、少年漫画原作の実写映画化もクオリティーは上がってきてますからその点での心配は少ないと思いますが、流石に5本も10本もは撮れないでしょうし、相当端折られそうな感じはします…。
2020/10/26(月) 15:24:42 | URL | ガネオ・トカゲ #-[ 編集]
こんにちは
>ガネオ・トカゲさん
実写やるんだったらネトフリかなと思います。
映画にするには長過ぎますから。
もちろんTVアニメ版みたいに、ドラマで数シーズンやって、映画版と交互にやるという手もあるでしょうけど、2シーズンくらいでネトフリで作るのが一番スッキリしそう。
2020/11/01(日) 15:27:42 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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蝶屋敷での修業を終えた炭治郎たちは、次なる任務の地、《無限列車》に到着する。 そこでは、短期間のうちに40人以上が行方不明になっているという。 禰豆子を連れた炭治郎と善逸、伊之助の一行は、鬼殺隊最強の剣士《柱》のひとり、炎柱の煉獄杏寿郎と合流し、闇を往く《無限列車》の中で、鬼と立ち向かうのだった…。 アニメーション。 ≪その刃で、悪夢を断ち斬れ≫
2020/10/21(水) 08:54:17 | 象のロケット
さて、TVアニメを全話見たので映画も見てきました 元々はもう少し落ち着いてからと考えてたんですけど、たまたま時間があったのでみました しかし平日だったけどかなり埋まってましたね というか田舎なんですけど鬼滅だけでかなりの回数上映しまくってて凄かったですね・・・・ 客層的には学校帰りの中高校生や小学生同伴の親子連れ あとはアニオタっぽい人がいた感じですかね しかし今回の内容って子供は楽しめる...
2020/10/22(木) 19:59:00 | にきログ
少年ジャンプで連載された吾峠呼世晴の同名漫画の劇場版だ。わては漫画もアニメも全然知らない。知っているのは鬼になった妹を助けようと兄が奮闘するということだけだ。アニメ映画としては従来からの作り方だけど、セリフが非常に印象に残り観客の心を揺さぶる。アニメ映像
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