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ショートレビュー「ばるぼら・・・・・評価額1600円」
2020年11月19日 (木) | 編集 |
愛の狂気の果てに。

漫画の神様手塚治虫が、さまざまな試行錯誤を繰り返していた1970年代に発表した異色のピカレスク漫画「ばるぼら」を、息子の手塚眞監督が映画化した作品。
異常性欲に悩まされている天才小説家の美倉洋介が、アル中でホームレスの謎めいたミューズ、バルボラと出会ったことで、狂気のダークサイドに堕ちてゆく。
いわば時を超えた親子コラボ作品だが、作品の時代設定は現在となり、プロットは原作に忠実にありつつも取捨選択され、美倉とバルボラ、二人の関係と行動に絞ったものとなっている。
漫画の映像化でまず関門となるキャスティングは、総じてハイスコアと言っていいだろう。
稲垣吾郎の美倉洋介はあまり異常性欲者には見えないが、漫画の美倉よりも若く、手塚オールスターズの中では間久部緑郎に近い、カリスマ性のある貴公子イメージ。
二階堂ふみはトリッキーな魔性の女、バルボラを完全に自分のものにしており、これ以上ないほどのハマり役だ。
ビジュアルが強烈過ぎて漫画を超えてるのが、渡辺えりのムネーモシュネーだが、これよくやってくれたな(笑

白黒で音の無い漫画の世界から、実写へ。
冒頭から原作のテイストを残しながらも、スクリーンという新たなコマ割りの中で、魅惑的な映像として再構成したクリストファー・ドイルのカメラが素晴らしい。
橋本一子のジャジーな音楽も圧が強く、光と影を強調した映像と一体化し、退廃的なムードを形作ってゆく。
キャストの好演を含めて、テリングの部分の完成度はかなり高く、漫画既読者でも納得の仕上がりだ。
手塚監督は、2004年から放送され、劇場用映画も作られた「ブラック・ジャック」のアニメーション版も手掛けている。
数ある父親の作品の中では、社会の裏側に生きる人間たちを描いた、耽美的でダークなタッチの作品が好みなのだろう。
以前に映画化した坂口安吾原作の「白痴」も、芸術家と奇妙なミューズという本作に通じる物語だったし、独特の世界観との相性はバッチリで、手塚漫画の実写化は失敗するという呪われたジンクスからは解放されている。

しかし、非常に端正な作品だが、ここまでキッチリ作り込むのならば、映画ならではのさらなる飛躍があってもよかったのではないかなあ。
天才芸術家が創造のエネルギーをくれるミューズに夢中になり、徐々に狂気の世界にはまり込んで別れられなくなるという本作の骨格は、手塚監督が心配するほど咀嚼し難い話ではない。
もともと“バルボラ”とは、いかようにも解釈可能なキャラクターであり現象だから、個人的にはグァダニーノ版「サスペリア」位に、ぐっちゃぐちゃにしちゃっても良かったのではと思う。
もちろんホラー描写的な意味ではなく、精神的な部分でのことだが。
本作には、そのくらいの飛躍には、十分に耐えうる世界観のバックボーンがあると感じる。
もっとも、そうするとただでさえマニアックな作品が、ますますお客さんを選ぶことになってしまうだろうけど。
まあ思うところはあれど、これは手塚眞流の手塚漫画の解釈として、なかなかに面白い試みだった。

今回は、主人公が白日夢のような幻想的な体験をするの話なので、「デイドリーム・マティーニ」をチョイス。
シトラスウォッカ90ml、オレンジジュース30ml、トリプルセック15ml、シロップ1dashを氷を入れたミキシンググラスでステアし、冷やしたグラスに注ぐ。
重層的な柑橘類のフレッシュな香りが、甘味と酸味のバランスを引き立て、ゆったりと白昼夢に誘われる。

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人気小説家・美倉洋介は、新宿駅の片隅で酔っぱらって寝込んでいるホームレスのような少女ばるぼらと出会い、自宅へ連れ帰る。 大酒飲みでだらしないが奇妙な魅力のある彼女が居ると、不思議と創造意欲をかき立てられるのだ。 しかしその一方で、美倉は異常性欲と幻想に振り回されてゆく…。 ファンタジック・ドラマ。 R-15 
2020/11/20(金) 11:38:58 | 象のロケット