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2020年11月24日 (火) | 編集 |
ゴミ屑だって生きてる!
「タイトル、拒絶」という大胆なタイトルが目を引くが、これは強烈だ。
冒頭、上半身下着姿の伊藤沙莉がカメラに向かって「私の人生なんて、クソみたいなものだと思うんですよね」と語りかけてくる。
こりゃ普通じゃないぞという予感に、一気にスクリーンに引き込まれる。
まだまだ傑作快作が出てくるぞ、今年の日本映画。
都内のデリヘルに勤めている、女と男の群像劇で、舞台となるのはほとんどデリヘルの店内とその周辺のみ。
全く予備知識なしで観たのだが、非常に演劇的な作りだと思ったら、なるほど元は劇団「□字ック」が上演した戯曲で、作者の山田佳奈自ら映画化を手掛けた作品。
同じく社会の底辺に生きる人間たちを描いた傑作、「ミッドナイトスワン 」の内田英治監督が、プロデューサーとして参加している。
伊藤沙莉演じる主人公のカノウは、体験入店でビビってデリヘル嬢になり損ね、なぜか店のスタッフとして働くことに。
彼女は自分のことを、嫌われ者の「カチカチ山」のタヌキだと思ってる。
カチカチ山のタヌキは、おばあさんを騙して殺し、仇を打とうとする正義のウサギに背中を燃やされ、最後は泥舟に乗せられて溺れ死んでしまう。
つい最近まで普通の人生を歩んでいたはずなのに、就職に落ち続けデリヘル嬢にもなれなかった自分に対してコンプレックスを抱え、心の中には壊れた100円ライターのように、鬱屈としたモヤモヤが熱を帯びたまま溜まっている。
どうせ自分なんて悪役のタヌキだと思っているカノウから見たら、店の顔であるデリヘル嬢たちはウサギのはず。
特に、恒松祐里が好演するマヒルは、いつもニコニコしていて人気もナンバーワンで、輝いて見えるのだが、実は知ってみたら店の女も男も全員泥舟に乗ったタヌキで、ウサギはどこにもいなかったのだ。
店の男たちは自分たちは“ゴミ”を捨てる方で、女たちはゴミ箱だと思っているが、結局どちらも居場所は同じ。
お互いの存在無しではいられない。
全員が社会不適合者で、それでもセックスワーカーとそのサポートとして、社会の中でそれぞれの役割を果たしている。
地べたに這いつくばって生きる、クソみたいなタヌキの人生はくだらない。
くだらない人生には、タイトルなんて上等なものはいらない。
カノウはそう言うが、全ての人生に、たとえタイトルは無くてもしっかり物語はあるのだ。
タヌキを馬鹿にして、ウサギを自認している奴の人生だって、一寸先は誰も予測できないのがこの世の中。
もしかすると今の東京には、タヌキしかいないのかも知れない。
内田英治監督の「獣道」以来、三年ぶりの主演となる伊藤沙莉はもちろん上手いし素晴らしい。
しかし本作の白眉はマヒル役の恒松祐里だ。
映画の後半になると、どんどん彼女のアップショットが増えてゆくのだが、撮りたくなる気持ちは分かるわ。
顔で笑って心で泣いてるマヒルは、カノウの好対照であり裏と表のような関係。
彼女とモトーラ世理奈演じる妹の運命が交錯するクライマックスは、思わず息を飲んだ。
一見全てを割り切っていそうで、でも何かのきっかけがあれば、一気に壊れてしまいそうなマヒルが、何をするつもりなのか。
屋上の階段をゆっくり登ってゆく彼女を見ながら、祈るような気持ちになってしまったよ。
閉塞したニッポンにぶちかます、痛くて、切なくて、愛おしい、パワフルな青春映画だ。
今回は夜に生きる人々の映画なので、目覚めの一杯「テキーラ・サンライズ」をチョイス。
氷を入れたグラスに、テキーラ45ml、オレンジ・ジュース90mlを注ぎ、軽くステア。
グラスの底に沈むよう、グレナデン・シロップ2tspを静かに注ぎ入れる。
燃える朝日のようなオレンジのカラーが鮮烈。
テキーラの独特な風味が、オレンジの酸味と甘味、グレナデンの甘味と混じりあう。
ミック・ジャガーの愛飲酒としても有名な、ロックな一杯だ。
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「タイトル、拒絶」という大胆なタイトルが目を引くが、これは強烈だ。
冒頭、上半身下着姿の伊藤沙莉がカメラに向かって「私の人生なんて、クソみたいなものだと思うんですよね」と語りかけてくる。
こりゃ普通じゃないぞという予感に、一気にスクリーンに引き込まれる。
まだまだ傑作快作が出てくるぞ、今年の日本映画。
都内のデリヘルに勤めている、女と男の群像劇で、舞台となるのはほとんどデリヘルの店内とその周辺のみ。
全く予備知識なしで観たのだが、非常に演劇的な作りだと思ったら、なるほど元は劇団「□字ック」が上演した戯曲で、作者の山田佳奈自ら映画化を手掛けた作品。
同じく社会の底辺に生きる人間たちを描いた傑作、「ミッドナイトスワン 」の内田英治監督が、プロデューサーとして参加している。
伊藤沙莉演じる主人公のカノウは、体験入店でビビってデリヘル嬢になり損ね、なぜか店のスタッフとして働くことに。
彼女は自分のことを、嫌われ者の「カチカチ山」のタヌキだと思ってる。
カチカチ山のタヌキは、おばあさんを騙して殺し、仇を打とうとする正義のウサギに背中を燃やされ、最後は泥舟に乗せられて溺れ死んでしまう。
つい最近まで普通の人生を歩んでいたはずなのに、就職に落ち続けデリヘル嬢にもなれなかった自分に対してコンプレックスを抱え、心の中には壊れた100円ライターのように、鬱屈としたモヤモヤが熱を帯びたまま溜まっている。
どうせ自分なんて悪役のタヌキだと思っているカノウから見たら、店の顔であるデリヘル嬢たちはウサギのはず。
特に、恒松祐里が好演するマヒルは、いつもニコニコしていて人気もナンバーワンで、輝いて見えるのだが、実は知ってみたら店の女も男も全員泥舟に乗ったタヌキで、ウサギはどこにもいなかったのだ。
店の男たちは自分たちは“ゴミ”を捨てる方で、女たちはゴミ箱だと思っているが、結局どちらも居場所は同じ。
お互いの存在無しではいられない。
全員が社会不適合者で、それでもセックスワーカーとそのサポートとして、社会の中でそれぞれの役割を果たしている。
地べたに這いつくばって生きる、クソみたいなタヌキの人生はくだらない。
くだらない人生には、タイトルなんて上等なものはいらない。
カノウはそう言うが、全ての人生に、たとえタイトルは無くてもしっかり物語はあるのだ。
タヌキを馬鹿にして、ウサギを自認している奴の人生だって、一寸先は誰も予測できないのがこの世の中。
もしかすると今の東京には、タヌキしかいないのかも知れない。
内田英治監督の「獣道」以来、三年ぶりの主演となる伊藤沙莉はもちろん上手いし素晴らしい。
しかし本作の白眉はマヒル役の恒松祐里だ。
映画の後半になると、どんどん彼女のアップショットが増えてゆくのだが、撮りたくなる気持ちは分かるわ。
顔で笑って心で泣いてるマヒルは、カノウの好対照であり裏と表のような関係。
彼女とモトーラ世理奈演じる妹の運命が交錯するクライマックスは、思わず息を飲んだ。
一見全てを割り切っていそうで、でも何かのきっかけがあれば、一気に壊れてしまいそうなマヒルが、何をするつもりなのか。
屋上の階段をゆっくり登ってゆく彼女を見ながら、祈るような気持ちになってしまったよ。
閉塞したニッポンにぶちかます、痛くて、切なくて、愛おしい、パワフルな青春映画だ。
今回は夜に生きる人々の映画なので、目覚めの一杯「テキーラ・サンライズ」をチョイス。
氷を入れたグラスに、テキーラ45ml、オレンジ・ジュース90mlを注ぎ、軽くステア。
グラスの底に沈むよう、グレナデン・シロップ2tspを静かに注ぎ入れる。
燃える朝日のようなオレンジのカラーが鮮烈。
テキーラの独特な風味が、オレンジの酸味と甘味、グレナデンの甘味と混じりあう。
ミック・ジャガーの愛飲酒としても有名な、ロックな一杯だ。

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