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2021年02月12日 (金) | 編集 |
変らない、変えられない。
2019年の東京国際映画祭で、最高賞の東京グランプリに輝いたヒューマンドラマ。
北欧デンマーク、風光明媚なユトランドの農場に、27歳のクリスが、脚の悪い叔父さんと暮らしている。
子供の頃に両親を亡くした彼女を、叔父さんが一人で育ててくれたのだ。
酪農という仕事柄、クリスの一日に起こることはほとんど決まっている。
朝起きて叔父さんの介助をし、一緒に牛の世話をして料理を作り、ボードゲームに興じるのがルーティン。
たまに買い物に出ても、叔父さんの好物のヌテラをはじめ、買うものはだいたい同じ。
化粧っけもなく、オシャレもせず、今どきの若者なのにスマホすら持っていない。
視界一面にさえぎる物のない田舎の風景の中、映画は淡々と全く変わりばえしないクリスの毎日を描いてゆく。
ただし、彼女の心の中も常に平たんかと言えば、そう言うわけでもない。
秀才だったクリスは獣医大学への進学が決まっていたのだが、ちょうどその頃に叔父さんが体を壊し、介護が必要になったことであきらめていた。
獣医師になる夢には未練があるので、往診にやってくる獣医師の仕事を手伝ったり、借りた専門書を読んだりしていて、家畜の所見を獣医師に褒められるとちょっとうれしい。
また彼女自身は特に信心深くなさそうだが、たまたま墓参りにいった教会で、近所に住んでいるイケメン同業者の青年マイクと出会い、彼にデートに誘われて心が動く。
叔父さんも、いつかはやって来る姪っ子の旅立ちを意識して、突然リハビリに励みだす。
メガホンをとるのは、ユトランド出身でこれが長編二作目となるフラレ・ピーダゼン。
主人公のクリスを演じるイェデ・スナゴーは、女優となる前は獣医だった経歴を持ち、叔父さん役のペーダ・ハンセン・テューセンは彼女の実の叔父で、撮影が行われた農場で実際に暮らしている酪農家だという。
半分ドキュメンタリーのような作りが、圧倒的なリアリティとなって映像とドラマに説得力を与えている。
原題の「uncle」に、所有格の「わたしの」を付けた邦題が秀逸。
クリスは、とにかく大好きな叔父さんが心配で仕方ないので、一時も離れられない。
彼女の生きがいは叔父さんで、まさに「わたしの」なんだな。
叔父さんも、彼女の人生を縛ってはいけないと思いつつ、日常をあえて変えて一人になる勇気はない。
マイクとのデートにもついてきちゃうし、自分では彼女の幸せを願っているつもりでも、無意識に一緒にいたいと思っているのだ。
一見して共依存関係にある二人は、人生に波乱が起きるのを望まない。
ここが本作の一番ユニークなところで、物語映画の醍醐味は問題を抱えた主人公が、自分を変化させてゆくことで問題解決のソリューションにたどり着くことにあるが、本作のクリスは真逆。
何かが起こる予感がしても、それが自分を実際に変化させる前に摘み取ってしまうのだ。
映画の終盤までは、彼女の人生は徐々に動き始めている。
ずっと二人きりだった生活の中に、マイクの存在が現れ、かかりつけの獣医師はクリスの才能を認めて、コペンハーゲンで行う大学の講義に彼女を招待している。
ところが、ある事態が起きたことで、彼女は罪悪感から変化の予兆すべてを拒絶してしまう。
では変化のない彼女の人生は不幸なのか?といえば、そうも言い切れないのが面白いところ。
少子高齢化が進む今、本作のクリスのような状況にある人は、世界中にたくさんいるだろう。
無数のクリスの中には、人生を変えてゆきたいと願う人と同じくらい、このまま平和な人生が続くことこそが幸せと考えている人もいるかもしれない。
幸せの形は人によって異なり、セオリー通りのストーリーテリングに収まらない、人生という物語の多面的な切り取り方が実に新鮮だ。
デンマーク は高福祉社会ゆえに税金がすごく高いのだが、ビールは比較的安くて買いやすいのだとか。
最近はクラフトビールも入ってくるようになったが、今回は素朴に同国を代表するブランド、「カールスバーグ」をチョイス。
おなじみのやわらかな口当たりの、辛口のピルスナーラガー。
ホップの適度な苦味もあり、風味豊か。
非常に飲みやすいので、いくらでもいけてしまう異国の味。
まあ日本で売られているのは、基本サントリーのライセンス生産品なんだけど。
記事が気に入ったらクリックしてね
2019年の東京国際映画祭で、最高賞の東京グランプリに輝いたヒューマンドラマ。
北欧デンマーク、風光明媚なユトランドの農場に、27歳のクリスが、脚の悪い叔父さんと暮らしている。
子供の頃に両親を亡くした彼女を、叔父さんが一人で育ててくれたのだ。
酪農という仕事柄、クリスの一日に起こることはほとんど決まっている。
朝起きて叔父さんの介助をし、一緒に牛の世話をして料理を作り、ボードゲームに興じるのがルーティン。
たまに買い物に出ても、叔父さんの好物のヌテラをはじめ、買うものはだいたい同じ。
化粧っけもなく、オシャレもせず、今どきの若者なのにスマホすら持っていない。
視界一面にさえぎる物のない田舎の風景の中、映画は淡々と全く変わりばえしないクリスの毎日を描いてゆく。
ただし、彼女の心の中も常に平たんかと言えば、そう言うわけでもない。
秀才だったクリスは獣医大学への進学が決まっていたのだが、ちょうどその頃に叔父さんが体を壊し、介護が必要になったことであきらめていた。
獣医師になる夢には未練があるので、往診にやってくる獣医師の仕事を手伝ったり、借りた専門書を読んだりしていて、家畜の所見を獣医師に褒められるとちょっとうれしい。
また彼女自身は特に信心深くなさそうだが、たまたま墓参りにいった教会で、近所に住んでいるイケメン同業者の青年マイクと出会い、彼にデートに誘われて心が動く。
叔父さんも、いつかはやって来る姪っ子の旅立ちを意識して、突然リハビリに励みだす。
メガホンをとるのは、ユトランド出身でこれが長編二作目となるフラレ・ピーダゼン。
主人公のクリスを演じるイェデ・スナゴーは、女優となる前は獣医だった経歴を持ち、叔父さん役のペーダ・ハンセン・テューセンは彼女の実の叔父で、撮影が行われた農場で実際に暮らしている酪農家だという。
半分ドキュメンタリーのような作りが、圧倒的なリアリティとなって映像とドラマに説得力を与えている。
原題の「uncle」に、所有格の「わたしの」を付けた邦題が秀逸。
クリスは、とにかく大好きな叔父さんが心配で仕方ないので、一時も離れられない。
彼女の生きがいは叔父さんで、まさに「わたしの」なんだな。
叔父さんも、彼女の人生を縛ってはいけないと思いつつ、日常をあえて変えて一人になる勇気はない。
マイクとのデートにもついてきちゃうし、自分では彼女の幸せを願っているつもりでも、無意識に一緒にいたいと思っているのだ。
一見して共依存関係にある二人は、人生に波乱が起きるのを望まない。
ここが本作の一番ユニークなところで、物語映画の醍醐味は問題を抱えた主人公が、自分を変化させてゆくことで問題解決のソリューションにたどり着くことにあるが、本作のクリスは真逆。
何かが起こる予感がしても、それが自分を実際に変化させる前に摘み取ってしまうのだ。
映画の終盤までは、彼女の人生は徐々に動き始めている。
ずっと二人きりだった生活の中に、マイクの存在が現れ、かかりつけの獣医師はクリスの才能を認めて、コペンハーゲンで行う大学の講義に彼女を招待している。
ところが、ある事態が起きたことで、彼女は罪悪感から変化の予兆すべてを拒絶してしまう。
では変化のない彼女の人生は不幸なのか?といえば、そうも言い切れないのが面白いところ。
少子高齢化が進む今、本作のクリスのような状況にある人は、世界中にたくさんいるだろう。
無数のクリスの中には、人生を変えてゆきたいと願う人と同じくらい、このまま平和な人生が続くことこそが幸せと考えている人もいるかもしれない。
幸せの形は人によって異なり、セオリー通りのストーリーテリングに収まらない、人生という物語の多面的な切り取り方が実に新鮮だ。
デンマーク は高福祉社会ゆえに税金がすごく高いのだが、ビールは比較的安くて買いやすいのだとか。
最近はクラフトビールも入ってくるようになったが、今回は素朴に同国を代表するブランド、「カールスバーグ」をチョイス。
おなじみのやわらかな口当たりの、辛口のピルスナーラガー。
ホップの適度な苦味もあり、風味豊か。
非常に飲みやすいので、いくらでもいけてしまう異国の味。
まあ日本で売られているのは、基本サントリーのライセンス生産品なんだけど。

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この記事へのコメント
こんにちは。
本作、東京国際映画祭で鑑賞したのですが、ある種非常に東京国際映画祭のグランプリ受賞作品らしい作品のテイストだったと思います。
だけど、若い女性がこういう生き方を選ぶのは大変芯が強いことですよね。
そういえば、カールスバーグは結構好きなビールでした。軽くて飲みやすかったです。
本作、東京国際映画祭で鑑賞したのですが、ある種非常に東京国際映画祭のグランプリ受賞作品らしい作品のテイストだったと思います。
だけど、若い女性がこういう生き方を選ぶのは大変芯が強いことですよね。
そういえば、カールスバーグは結構好きなビールでした。軽くて飲みやすかったです。
>ここなつさん
2年前ですね。
東京グランプリは比較的地味だけど、いい作品を発掘してると思います。
この作品も、東京で賞を取ったことで本国でも知られるようになったとか。
普遍性のあるいい作品だと思います。
2年前ですね。
東京グランプリは比較的地味だけど、いい作品を発掘してると思います。
この作品も、東京で賞を取ったことで本国でも知られるようになったとか。
普遍性のあるいい作品だと思います。
2021/02/23(火) 21:58:06 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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コンペ作品。デンマーク映画。本作は第32回東京国際映画祭のグランプリを受賞。先にも書いたが、これがグランプリになったことについては「知ってた」けど、納得はしていない。もちろん良い作品である。「でもね」が付くだけだ。でもね、これそんなに面白かった?映画のワクワクに満ちていた?クリスは朝の身支度をする。叔父の部屋のカーテンを開ける。着替えを手伝う。朝食を作って出す。牛小屋へ行って搾乳の仕事をする...
2021/02/18(木) 17:28:32 | ここなつ映画レビュー
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