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2021年05月11日 (火) | 編集 |
最後に笑うのは誰だ?
イギリスの裏社会で大成功したアメリカ人の大麻王、ミッキーが引退を決意。
巨大な大麻ビジネスの利権を巡って、ユダヤ系のフィクサーやらチャイニーズマフィアやら、怪しい連中がワラワラ集まってくる。
主人公のミッキーに、マシュー・マコノヒー、妻のロザリンドにミッシェル・ドッカリー、腹心のレイにチャーリー・ハナム、ユダヤ系アメリカ人でビジネスを買い取ろうとするマシューにジェレミー・ストロング、チャイニーズマフィアのドライ・アイにヘンリー・ゴールディング、事件記者フレッチャーにヒュー・グラント、そして図らずもキーパーソンとなってしまう格闘技道場のコーチにコリン・ファレル。
登場人物全員が、裏社会に蠢く悪党。
腹に逸物を抱えたくせ者たちを、これまた一癖ある演技派俳優陣が演じる。
ダメな時はとことん酷いが、出来る子モードの時はかなり上手く仕上げてくる、どっちに転ぶかわからないのがガイ・リッチー。
とは言え、近年は「シャーロック・ホームズ」や「コードネーム U.N.C.L.E.」といったプログラムピクチュアで評価を高め、ついにはディズニーで「アラジン」を大ヒットさせた。
今回はリッチーのオリジナル脚本で、路線的には初期の「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」や「スナッチ」への回帰とも言えるが、以前よりも安定感と円熟味が増したのは明らか。
やたらと豪華な俳優たちの生かし方も巧みで、十分に面白い。
構成としては、全体が事件記者フレッチャーが取材した“ストーリー”になってるのが特徴。
彼は組織のビジネスの全貌を暴露されたくなかったら、2000万ポンド(約30億円)払えとレイを脅すのだが、そもそもの発端はボスのミッキーが大麻ビジネスの売却を決意したことだ。
ミッキーは英国の貧乏貴族たちと密かに契約を結び、彼らの領地にいくつもの地下栽培所を作り、巨額の売り上げを誇っている。
ヨーロッパでは大麻の合法化が進んでいるが、需要に対して供給が追いつかないので、今後ますますビジネスは大きくなる。
この美味しい話に最初に手をあげたのがユダヤ系アメリカ人のマシューで、4億ポンドでの買収に一度は合意する。
ところがある事件が起こり、ビジネスの価値が毀損されたところに、チャイニーズマフィアのドライ・アイが割り込んでくる。
そもそも、事件を起こしたのは誰なのか。
ビジネスの価格が下がると、一体誰が得をして誰が損をするのか。
フレッチャーが語り部となって進行する話は、どこまで本当なのか、同じ事件を別の視点で眺めると何が見えてくるのか。
終盤15分くらいがちょっと駆け足で雑になっちゃうのが残念だが、ストーリーテリングのテンポは快調で、悪漢たちが入り乱れてのコンゲームは飽きさせない。
絶妙なのがミッキーのキャラクター造形をはじめとする“倫理観”の設定。
いくらクライムムービーと言えども、本当のクズでは感情移入ができない。
ミッキーは、悪党ではあるんだけど一途な愛妻家だったり、大麻という現時点では非合法な商品を扱いながら、人間を廃人にしてしまうケミカル系の麻薬は毛嫌いするなど、一定の倫理観を持っていてギリギリ感情移入できるキャラクターになってる。
だから観ているうちに、観客の中でも笑って欲しいキャラと泣いて欲しいキャラが別れてきて、悪党しか出てこない映画でも、ちゃんと勧善懲悪なところに持ってくるのは非常に上手い。
権謀術数渦巻き、常に潮目が変わってゆく弱肉強食の裏社会で、キングはいつどう動くべきなのか、ある種のお仕事ムービーとしても観応えあり。
みんな色々悪いことを考えている中で、飄々としたコリン・ファレルが実に美味しい役。
格闘技のコーチのはずなんだが、何気に劇中では一度もアクションしないのもいい(笑
本作では三つの組織が騙し合うので、イングランド、スコットランド、アイルランドの三つの国の旗が合体して出来た「ユニオンジャック」をチョイス。
ドライ・ジン45mlとクレーム・ド・バイオレット(パルフェタムール)15mlをステアして、グラスに注ぐ。
アメジストを思わせる美しいパープルのカクテル。
クレーム・ド・バイオレットは珍しい花のリキュールで、本来はスミレだが進化系のパルフェタムールはバラとスミレの香りが芳しく広がる。
優美で辛口の一杯だ。
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イギリスの裏社会で大成功したアメリカ人の大麻王、ミッキーが引退を決意。
巨大な大麻ビジネスの利権を巡って、ユダヤ系のフィクサーやらチャイニーズマフィアやら、怪しい連中がワラワラ集まってくる。
主人公のミッキーに、マシュー・マコノヒー、妻のロザリンドにミッシェル・ドッカリー、腹心のレイにチャーリー・ハナム、ユダヤ系アメリカ人でビジネスを買い取ろうとするマシューにジェレミー・ストロング、チャイニーズマフィアのドライ・アイにヘンリー・ゴールディング、事件記者フレッチャーにヒュー・グラント、そして図らずもキーパーソンとなってしまう格闘技道場のコーチにコリン・ファレル。
登場人物全員が、裏社会に蠢く悪党。
腹に逸物を抱えたくせ者たちを、これまた一癖ある演技派俳優陣が演じる。
ダメな時はとことん酷いが、出来る子モードの時はかなり上手く仕上げてくる、どっちに転ぶかわからないのがガイ・リッチー。
とは言え、近年は「シャーロック・ホームズ」や「コードネーム U.N.C.L.E.」といったプログラムピクチュアで評価を高め、ついにはディズニーで「アラジン」を大ヒットさせた。
今回はリッチーのオリジナル脚本で、路線的には初期の「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」や「スナッチ」への回帰とも言えるが、以前よりも安定感と円熟味が増したのは明らか。
やたらと豪華な俳優たちの生かし方も巧みで、十分に面白い。
構成としては、全体が事件記者フレッチャーが取材した“ストーリー”になってるのが特徴。
彼は組織のビジネスの全貌を暴露されたくなかったら、2000万ポンド(約30億円)払えとレイを脅すのだが、そもそもの発端はボスのミッキーが大麻ビジネスの売却を決意したことだ。
ミッキーは英国の貧乏貴族たちと密かに契約を結び、彼らの領地にいくつもの地下栽培所を作り、巨額の売り上げを誇っている。
ヨーロッパでは大麻の合法化が進んでいるが、需要に対して供給が追いつかないので、今後ますますビジネスは大きくなる。
この美味しい話に最初に手をあげたのがユダヤ系アメリカ人のマシューで、4億ポンドでの買収に一度は合意する。
ところがある事件が起こり、ビジネスの価値が毀損されたところに、チャイニーズマフィアのドライ・アイが割り込んでくる。
そもそも、事件を起こしたのは誰なのか。
ビジネスの価格が下がると、一体誰が得をして誰が損をするのか。
フレッチャーが語り部となって進行する話は、どこまで本当なのか、同じ事件を別の視点で眺めると何が見えてくるのか。
終盤15分くらいがちょっと駆け足で雑になっちゃうのが残念だが、ストーリーテリングのテンポは快調で、悪漢たちが入り乱れてのコンゲームは飽きさせない。
絶妙なのがミッキーのキャラクター造形をはじめとする“倫理観”の設定。
いくらクライムムービーと言えども、本当のクズでは感情移入ができない。
ミッキーは、悪党ではあるんだけど一途な愛妻家だったり、大麻という現時点では非合法な商品を扱いながら、人間を廃人にしてしまうケミカル系の麻薬は毛嫌いするなど、一定の倫理観を持っていてギリギリ感情移入できるキャラクターになってる。
だから観ているうちに、観客の中でも笑って欲しいキャラと泣いて欲しいキャラが別れてきて、悪党しか出てこない映画でも、ちゃんと勧善懲悪なところに持ってくるのは非常に上手い。
権謀術数渦巻き、常に潮目が変わってゆく弱肉強食の裏社会で、キングはいつどう動くべきなのか、ある種のお仕事ムービーとしても観応えあり。
みんな色々悪いことを考えている中で、飄々としたコリン・ファレルが実に美味しい役。
格闘技のコーチのはずなんだが、何気に劇中では一度もアクションしないのもいい(笑
本作では三つの組織が騙し合うので、イングランド、スコットランド、アイルランドの三つの国の旗が合体して出来た「ユニオンジャック」をチョイス。
ドライ・ジン45mlとクレーム・ド・バイオレット(パルフェタムール)15mlをステアして、グラスに注ぐ。
アメジストを思わせる美しいパープルのカクテル。
クレーム・ド・バイオレットは珍しい花のリキュールで、本来はスミレだが進化系のパルフェタムールはバラとスミレの香りが芳しく広がる。
優美で辛口の一杯だ。

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この記事へのコメント
こんにちは。
とても面白かったです。ガイ・リッチーらしいというか。
登場人物がそれぞれに「オイシイ役」を楽しんでいるように見られました。
イギリス貴族階級たちの、「屋敷を維持さえできるのならそれでいいのよ」というある種の無関心は、「ジェントルマン」の本質の的を得ているのかもしれませんね。
とても面白かったです。ガイ・リッチーらしいというか。
登場人物がそれぞれに「オイシイ役」を楽しんでいるように見られました。
イギリス貴族階級たちの、「屋敷を維持さえできるのならそれでいいのよ」というある種の無関心は、「ジェントルマン」の本質の的を得ているのかもしれませんね。
>ここなつさん
原点回帰ですよね。
それでいて今までのキャリアを踏まえて洗練されている。
リッチーの映画は酷い時はとことん酷いですが、今回はフィルモグラフィーの中でも上位に来る快作だと思います。
貴族制への覚めた見方は実にイギリス人らしくもあり。
原点回帰ですよね。
それでいて今までのキャリアを踏まえて洗練されている。
リッチーの映画は酷い時はとことん酷いですが、今回はフィルモグラフィーの中でも上位に来る快作だと思います。
貴族制への覚めた見方は実にイギリス人らしくもあり。
笑ってほしいと泣いてほしいは本当その通りで分かれる。やっぱ笑ってほしい面々はいい顔してるんですよ。割と脇でどうでもいいゴシップ誌の編集長が突出して痛い目にあってしまうのがおかしい。ただ悪いだけではダメで、合わせて強くないとダメなのですよね。
2021/11/26(金) 08:38:33 | URL | fjk78dead #-[ 編集]
>ふじきさん
まあ笑った奴も、泣いた奴もいい面構えしてました。
これは最近のガイ・リッチーの映画に共通することだけど。
全員キャラが濃い。
まあ笑った奴も、泣いた奴もいい面構えしてました。
これは最近のガイ・リッチーの映画に共通することだけど。
全員キャラが濃い。
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イギリスの暗黒街では、大麻の大量栽培・販売で財を成したミッキー・ピアソンが引退するという情報が飛び交っていた。 その総資産は約4億ポンド(約500億円)。 今後の莫大なる利権を狙って、ユダヤ人大富豪、ゴシップ紙の編集長、ゲスな私立探偵、チャイニーズ&ロシアン・マフィア、さらには下町のチーマーまで、ジェントルメン=一流のワルたちが、駆け引きを繰り広げる…。 クライム・サスペンス。 PG-12
2021/05/13(木) 02:52:45 | 象のロケット
好き。熱烈に。とても面白かった。ガイ・リッチーらしいと思う。おしゃれでテンポが良くて、そんな中にもちょっとした浪花節が混ざっていて。マシュー・マコノヒー、マジでカッコいい。素敵。本当の紳士って、出自がどうとか関係ないと思わせる。本質はジェントルメンを利用するジェントルメン、なのだけれど。冒頭は、これから本編で起こり得る事を予感させるような後半のクライマックスの導入で、バーのいつもの席でいつも...
2021/06/18(金) 09:27:26 | ここなつ映画レビュー
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