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ショートレビュー「ライトハウス・・・・・評価額1600円」
2021年07月23日 (金) | 編集 |
怪異に、魅入られる。

長編デビュー作の「ウィッチ」で注目されたロバート・エガース監督の二作目は、兄のマックス・エガースとの共同脚本による、絶海の孤島にある灯台を舞台とした暗喩劇だ。
霧の立ち込める孤島に、二人の男がやって来る。
彼らは四週間の任期の間、この灯台で勤務しながら、様々な仕事をこなすのだ。
年輩の男はウィレム・デフォーが怪演する、ベテラン灯台守のトーマス・ウェイク。
若い方はロバート・パティンソン演じる、新人のイーフレイム・ウィンズロー。
粗野なウェイクは、彼の聖域である灯室に絶対にウィンズローを入れようとしない。
雑用ばかり押し付けられるウィンズローは、反発を深めてゆくものの、やがて四週間も過ぎようとしていたある夜、島に大嵐がやって来る。
その夜を境に、島はカオスへと陥ってゆくのである。
来るはずの迎えは来ず、酒で渇きを癒す二人を幻想と狂気が支配してゆく。
※核心部分に触れいてます。

エドガー・アラン・ポーの未完の短編小説をベースとした本作は、エガース兄弟のイマジネーションにより、アメリカの海洋怪奇譚の集大成的作品となった。
これはポーであり、メルヴィルであり、ラブクラフト。
死者の魂たるカモメの群れを従え、怪しい光を放つ灯台は、男根の様にそそり立ち禍々しく精液滴らせる一つ目のクトゥルフだ。
1932年に映画芸術科学アカデミーが、スタンダードサイズを定める以前に使われていた、1:1.19という真四角に近いサイズで切り取られたモノクロ映像は、むせ返る様な湿気と泥水にまみれた島での生活を描写してゆく。
四週間がとうに過ぎ、もはやどれだけ時間が経ったのかも分からない。
酒も底をつき、ついにはテレビン油を飲んでまで酔っぱらおうとする二人が、混沌に堕ちてゆくにつれて、映画の世界そのものも虚実が混濁して一体化してゆく。

パティンソンのキャラクターは、イーフレイム・ウィンズローは偽名で、実はトーマス・ハワードが本名だと明かす。
木こりの仕事をしていた時に、上司だったウィンズローを殺し、新しい人生を求めて森から海へとやって来た。
つまり彼は罪人である。
そして怪異は常に罪人を、何が起こっても不思議ではない日常の亀裂、魔境へと誘い込む。
この映画の二人の登場人物の名は共にトーマスで、おそらく二人は同一人物だろう。
酔っ払ってない序盤は知的な側面を見せるハワードに対し、彼自身の中にある罪人の獣性が粗野なウェイク。
親切なネタバラシは無いものの、二人が同一人物なのを示唆するディテールは多く、つまりはデヴィッド・フィンチャーの「ファイトクラブ」の様な関係だと思って良いと思う。

前記したアメリカ海洋怪奇譚の系譜の他、ギリシャ神話や北欧神話の海の物語の影響も色濃い。
邪神クトゥルフに魅入られたウェイクから光を奪おうとするハワードは、人類に文明の炎をもたらしたプロメテウスの比喩か。
さらにモノクロ画面に濃淡を生かしたドイツ表現主義の様な演出も、これが心象的世界であることを強調する。
「カリガリ博士」の主人公が実は狂人で、全ては彼の見ている妄想であった様に、この物語だって本当に灯台で展開しているのか分からない。
劇中にも言及があるが、ウィンズローを殺したハワードは、故郷のメイン州の森の中を彷徨っているだけなのかもしれない。
極めて狭いアスペクト比から、必然的にクローズアップが多用され、世代の違う名優二人の長台詞の応酬は、怪奇映画のムード満点。

エガース監督の前作「ウィッチ」では、ニューイングランドの人里離れた森に暮らす信心深い入植者一家に、スルリと怪異が忍び寄る。
赤ん坊が消え、次々起こる負の連鎖の奇妙さに、厳格な信仰者である父は、年頃の愛娘が魔女なのではないかと疑念を抱く。
黒山羊、使い魔の野ウサギ、赤いケープの女など、散りばめられた断片が、登場人物も観客も惑わせてゆくのだが、エガースはこういったヒントの埋め込み方が実にうまい。
この映画に、明確な「解」は無い。
ただ怪異に惑わされ、不安の迷宮にたゆたう、悪夢の様な109分だ。

本作では登場人物がジンを飲みまくっていたので、ジンベースのカクテル「ノックアウト」をチョイス。
ドライ・ジン30ml、ドライ・ベルモット20ml、ペルノ10ml、ペパーミント・ホワイト1tspをステアしグラスに注ぎ、マラスキーノ・チェリーを一つ沈めて完成。
1927年のボクシングのヘビー級防衛戦で、ジャック・デンプシーを倒したジーン・タニーの祝勝会で発案された。
ベルモットとペルノとペパーミントという香草トリオを、ドライ・ジンが受け止めてまとめあげる。
映画はひたすらダークだったが、こちらは香り豊かで華やかだ。

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