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ショートレビュー「孤狼の血 LEVEL2・・・・・評価額1650円」
2021年08月28日 (土) | 編集 |
虎狼vs狂狼。

広島県の架空の都市、呉原市を舞台に、東映がかつて標榜した「不良性感度」全開で描いた「虎狼の血」シリーズ第二弾。
主演の松坂桃李はじめ、監督の白石和彌、脚本の池上純哉ら主要スタッフが続投する盤石の布陣。
県警本部vs所轄警察署vs地元ヤクザvsよそ者ヤクザによる四つ巴のコンゲームの末、呉原の地元ヤクザ尾谷組と広島の五十子会の抗争は、会長の五十子正平の死によって終結。
役所広司が怪演した暴対スペシャリストにして汚職刑事・大上も殺され、彼の遺志を継いだ松坂桃李演じる若き刑事・日岡によって、呉原の裏社会は取り仕切られ、各勢力は利権を分かち合い一応の平和が続いている。
日岡は村上虹郎演じるチンピラのチンタを、スパイとして潜り込ませることで、五十子会主戦派の動きを封じ、抗争の再開を防いでるのだ。
しかし三年後、五十子正平に心酔する最狂ヤクザ、上林が刑務所から戻ってくる。
冷酷な殺しを重ね、瞬く間に五十子会を掌握した上林を、なぜか広島県警は逮捕することができず、平和の均等者としての日岡は徐々に追い込まれてゆく。
※核心部分に触れています。

これは鈴木亮平に尽きる。
彼の演じる暗い情念に突き動かされた“狂狼”上林が、“狐狼”のポジションを受け継いだ日岡に牙を剥く。
日本映画史に残ると言っても過言ではない、最狂最悪の悪漢
自分の気分を損ねた者は、ヤクザだろうがカタギだろうが誰彼構わず殺しちゃうのだが、幼少期のトラウマから、相手の目を潰して拷問するという残虐な手口。
やってることはもはやヤクザの範疇を超えて、オープンな猟奇快楽殺人者だ。
ヤクザ同士の利権を調整し、自分も含めて全員を儲けさせることで、ウィンウィンの関係を作り街の平和を守ってきた日岡にとって、裏社会の常識が全く通用しない上林は未知の異物。
金儲けはどうでも良く、ひたすら他者を支配することにしか興味がない。
しかもただ無茶苦茶するだけでなく、頭も切れるのだから始末が悪い。
捜査が滞る中、チンタを使って上林を陥れようとコンゲームを仕掛ける日岡は、思わぬ逆襲にあって絶体絶命のピンチに陥る。

そして物語の進行と共にこの二頭の狼の戦いを包み込むように、巨悪の陰謀の全貌が明らかになってくる。
この終盤の展開は、ちょっと読めなかった。
まあ前作以上に元ネタの「県警対組織暴力」の影響が色濃く、オマージュ描写もバンバン入れて来てるから、予想通りといえばそうなんだけど、まさかあの虫も殺せなそうな人がキーパーソンとは完全に騙された。
さすが公安、ある意味ヤクザより悪辣でコワイ。
あんなことやられたら、人間不信になるわ。
もっとも、いくら弱みを握られているからと言っても、たかが日岡一人を潰すために、県警本部がスパイ映画もどきの仕掛けを作るほど必死になるか?とか色々ツッコミたくなる部分もあり、プロットのディテールは結構甘く、暴対法施行直前の話という時代性も、前作ほどは追求されていない。
しかし、昭和面をした男たちによる、容赦のないバイオレンス活劇は、ちょっとした欠点などものともしない迫力に満ちている。
いい意味で、プログラムピクチュア化が進んだとでも言おうか。
例によって役者のキャラが立ちまくってるが、TVドラマで見せる温和でいかにもいい人そうな鈴木亮平の、瞳の奥のダークサイドを見出した時点で、この映画の勝利は決まったと言っていいだろう。
本作は柚月裕子の原作シリーズにはないオリジナルストーリーだそうだが、はたして「LEVEL3」はあるのだろうか。

今回は、呉原のモデルとなった呉の地酒、三宅本店の「千福 上撰吟松」をチョイス。
ダークダックスが歌った「千福一杯いかがです~」のCMでも知られた西日本の大手酒造で、普段飲みできるラインナップが揃う。
上撰吟松はやや辛口で、なめらかな口当たり。
旨味と酸味のバランスもよく、端麗な喉ごしのオールマイティーな一本。
ヤクザ映画というと焼肉だが、濃厚なタレのカルビで一杯やりたい。

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コメント
この記事へのコメント
こんにちは
こんにちは。
前作とは趣が違っていましたが、「孤狼」という意味で本作は日岡にそれがのり移ったのかな、と。
「LEVEL3」がもしあるとすれば、暴対法強化直後の話になるんですかね…。
2021/09/07(火) 09:28:15 | URL | ここなつ #/qX1gsKM[ 編集]
こんばんは
>ここなつさん
3があるとしたらそのあたりの時代しかないでしょうね。
その後になると「ヤクザと家族」みたいな話になっちゃいますから。
日岡をどう戻らせるのか、もしくは外伝として新しい狐狼を作るのか、いずれにせよ期待はしちゃいます。
2021/09/09(木) 20:53:13 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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平成3年、広島。 3年前に殉職した刑事・大上の遺志を受け継いだ若き刑事・日岡秀一は、暴力団抗争の手打ちを裏で仕切り、今やマル暴の顔となっていた。 しかし、五十子会上林組の組長・上林成浩が出所した早々に五十子会長殺しの仇を取ろうと動き始め、日岡も窮地に追い込まれてゆく…。 クライム・サスペンス第2弾。 R-15 ≪ここでは、闘うヤツしか生きられない。≫
2021/08/30(月) 01:06:23 | 象のロケット
LEVEL2。前作の衝撃は凄まじかった。ヤクザの世界とそれを取り締まる警察の世界は、清濁併せ呑む世界と知識では知りつつも、あまりのことに言葉を失うシーンが何度もあって、それが日岡(松坂桃李)の表情に投影されたラストは、渾身の、という言葉が相応しい仕上がりであった。※前作のレビューを貼ります。その日岡が「広島大学を出たばかりのペーペー」ではなくて、県警の中で裏社会同士を平行カウントに保っていく...
2021/09/07(火) 09:29:46 | ここなつ映画レビュー