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2021年12月11日 (土) | 編集 |
これは偶然か、それとも黒魔術か。
フランスの高原地帯に位置するロゼール県で、吹雪の夜に一人の女性が失踪する。
映画はこの事件に関係する四人の人物を軸に展開するのだが、やがて舞台はフランスの片田舎から、遠くアフリカのコートジボワールまで広がってゆく。
2019の第32回東京国際映画祭コンペティション部門で、「動物だけが知っている」のタイトルで上映され、観客賞と最優秀女優賞(ナディア・テレスツィエンキービッツ)を受賞した作品だ。
コラン・ニエルの小説「Seules les bêtes」を映画化したのは、「ハリー、見知らぬ友人」でセザール賞監督賞に輝いたドミニク・モル。
ドゥニ・メノーシェやヴァレリア・ブルーニ・テデスキら、フランスを代表する名優が顔を揃える。
※以下ネタバレ注意。
これもまた、同じ物語が複数の視点から語られる、“羅生門ケース”の作品。
富豪の妻・エヴリーヌの失踪を起点に、前後が多少ズレた同じ時系列を、四章構成で描いてゆく。
最初は、高原に放置されたエヴリーヌの車を目撃するアリス。
彼女は夫のミシェルと共に、農場を経営しているが、夫婦仲が上手くいっておらず、組合の仕事で接するうちに、山奥の農場に一人で暮らすジョセフと不倫関係陥る。
二番目は、ジョセフ。
母を亡くして天涯孤独となった彼は、失踪事件の朝、自宅の敷地内に放置されたエヴリーヌの氷ついた遺体を発見する。
しかしジョセフは、彼女の遺体を隠し、次第に死に魅入られてゆくのである。
三番目は、エヴリーヌ自身だ。
バイセクシャルである彼女は、パリのレストランで働く若いマリオンと恋に落ちるが、彼女を残してロゼール県にある夫の家に戻る。
しかし、エヴリーヌを忘れられないマリオンは、彼女を追ってロゼールまでやって来るのだ。
ここまでの三章は、それぞれの主人公の名前を標題として、エヴリーヌの失踪の前後を描いているが、続く第四章でついに全体像が明らかになる。
舞台は地中海を越えて、アフリカ大陸のコートジボワールへ。
旧フランス植民地ゆえに、フランス語が公用語のこの国では、多くの若者たちが所謂“国際ロマンス詐欺”に手を染めている。
この国に暮らすアルマンという若者が狙いを定めるのが、アリスの夫ミシェル。
アルマンは“アマンディーヌ”なる架空の女性をでっち上るのだが、彼女のビジュアルとして使ったのが、たまたまSNSで見つけたマリオンの写真。
そして更なる偶然が、全く違う場所に住んでいたマリオンとミッシェルを引き合わせてしまったことから、事態が動き出す。
本作の作劇のポイントは、登場人物たちがお互いにどう事件と関わっているのか、知らないということ。
ある人物の思惑が別の人物を予想外に動かし、掛け違えたボタンはドンドンずれてゆく。
遂には、壮大な勘違いから、悲劇が起こってしまう。
詐欺で大儲けを企むアルマンは、怪しげなシャーマンに黒魔術を依頼するのだが、この悪者のくせに妙に賢者面したシャーマンがメンションするのが、“偶然”と”愛”という二つのキーワード。
物語はいくつもの“偶然”が重なって進行し、物語を推進する燃料となるのが、さまざまな形の“愛”というワケ。
しかし、偶然によって作られた都合の良い話は、さらなる偶然によって破られる。
そしてシャーマンによれば、「愛とは与えること」であると言う。
この映画の全ての登場人物は、愛の衝動に突き動かされているが、ほとんど誰もが愛を欲しがっていて、何の打算もなく見返りを求めない無償の愛を注がれているのは、ただ一人しかいない。
偶然が偶然を呼ぶまさに魔術的な物語の結末に、その人物は状況が好転し、その他の人たちは程度の差はあれ揃って酷い目に遭う。
これは人間の心を巡る優れたミステリで、シニカルなブラックコメディであり、鋭い風刺性を持つ寓話。
凝りに凝ったロジックに頼った作劇のため、人物描写の深みには欠けるが、映画が始まった時には想像もできなかった地点へ着地する。
地球上の津々浦々までネットが浸透した現在では、実際にこんなこともありえそう?
今回は愛についての寓話でもあるので、“純粋な愛”を意味する「イノセント・ラブ 」をチョイス。
ミルク・リキュール20ml、ホワイト・ラム20ml、ピーチ・リキュール20ml、レモン・リキュール1tspを氷と共にシェイクし、グラスに注ぐ。
カルピスライクな純白なカクテル。
レモンの仄かな酸味と、ピーチの甘味をミルクがまとめ上げ、優しい味わいだ。
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フランスの高原地帯に位置するロゼール県で、吹雪の夜に一人の女性が失踪する。
映画はこの事件に関係する四人の人物を軸に展開するのだが、やがて舞台はフランスの片田舎から、遠くアフリカのコートジボワールまで広がってゆく。
2019の第32回東京国際映画祭コンペティション部門で、「動物だけが知っている」のタイトルで上映され、観客賞と最優秀女優賞(ナディア・テレスツィエンキービッツ)を受賞した作品だ。
コラン・ニエルの小説「Seules les bêtes」を映画化したのは、「ハリー、見知らぬ友人」でセザール賞監督賞に輝いたドミニク・モル。
ドゥニ・メノーシェやヴァレリア・ブルーニ・テデスキら、フランスを代表する名優が顔を揃える。
※以下ネタバレ注意。
これもまた、同じ物語が複数の視点から語られる、“羅生門ケース”の作品。
富豪の妻・エヴリーヌの失踪を起点に、前後が多少ズレた同じ時系列を、四章構成で描いてゆく。
最初は、高原に放置されたエヴリーヌの車を目撃するアリス。
彼女は夫のミシェルと共に、農場を経営しているが、夫婦仲が上手くいっておらず、組合の仕事で接するうちに、山奥の農場に一人で暮らすジョセフと不倫関係陥る。
二番目は、ジョセフ。
母を亡くして天涯孤独となった彼は、失踪事件の朝、自宅の敷地内に放置されたエヴリーヌの氷ついた遺体を発見する。
しかしジョセフは、彼女の遺体を隠し、次第に死に魅入られてゆくのである。
三番目は、エヴリーヌ自身だ。
バイセクシャルである彼女は、パリのレストランで働く若いマリオンと恋に落ちるが、彼女を残してロゼール県にある夫の家に戻る。
しかし、エヴリーヌを忘れられないマリオンは、彼女を追ってロゼールまでやって来るのだ。
ここまでの三章は、それぞれの主人公の名前を標題として、エヴリーヌの失踪の前後を描いているが、続く第四章でついに全体像が明らかになる。
舞台は地中海を越えて、アフリカ大陸のコートジボワールへ。
旧フランス植民地ゆえに、フランス語が公用語のこの国では、多くの若者たちが所謂“国際ロマンス詐欺”に手を染めている。
この国に暮らすアルマンという若者が狙いを定めるのが、アリスの夫ミシェル。
アルマンは“アマンディーヌ”なる架空の女性をでっち上るのだが、彼女のビジュアルとして使ったのが、たまたまSNSで見つけたマリオンの写真。
そして更なる偶然が、全く違う場所に住んでいたマリオンとミッシェルを引き合わせてしまったことから、事態が動き出す。
本作の作劇のポイントは、登場人物たちがお互いにどう事件と関わっているのか、知らないということ。
ある人物の思惑が別の人物を予想外に動かし、掛け違えたボタンはドンドンずれてゆく。
遂には、壮大な勘違いから、悲劇が起こってしまう。
詐欺で大儲けを企むアルマンは、怪しげなシャーマンに黒魔術を依頼するのだが、この悪者のくせに妙に賢者面したシャーマンがメンションするのが、“偶然”と”愛”という二つのキーワード。
物語はいくつもの“偶然”が重なって進行し、物語を推進する燃料となるのが、さまざまな形の“愛”というワケ。
しかし、偶然によって作られた都合の良い話は、さらなる偶然によって破られる。
そしてシャーマンによれば、「愛とは与えること」であると言う。
この映画の全ての登場人物は、愛の衝動に突き動かされているが、ほとんど誰もが愛を欲しがっていて、何の打算もなく見返りを求めない無償の愛を注がれているのは、ただ一人しかいない。
偶然が偶然を呼ぶまさに魔術的な物語の結末に、その人物は状況が好転し、その他の人たちは程度の差はあれ揃って酷い目に遭う。
これは人間の心を巡る優れたミステリで、シニカルなブラックコメディであり、鋭い風刺性を持つ寓話。
凝りに凝ったロジックに頼った作劇のため、人物描写の深みには欠けるが、映画が始まった時には想像もできなかった地点へ着地する。
地球上の津々浦々までネットが浸透した現在では、実際にこんなこともありえそう?
今回は愛についての寓話でもあるので、“純粋な愛”を意味する「イノセント・ラブ 」をチョイス。
ミルク・リキュール20ml、ホワイト・ラム20ml、ピーチ・リキュール20ml、レモン・リキュール1tspを氷と共にシェイクし、グラスに注ぐ。
カルピスライクな純白なカクテル。
レモンの仄かな酸味と、ピーチの甘味をミルクがまとめ上げ、優しい味わいだ。

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フランス、コース高原の別荘に滞在していたパリ在住の女性エヴリーヌが失踪し殺された。 羊飼いの男ジョゼフ、ジョゼフと不倫する女アリス、ネット恋愛中のアリスの夫ミシェル、恋人を追って来た若い女性マリオン、アフリカの詐欺師アルマン。 秘密を抱えた男女がひとつの殺人事件を介して絡まり合っていく…。 ミステリー。 ≪人間は、「偶然」には勝てない―≫ R-15
2021/12/13(月) 20:15:38 | 象のロケット
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