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ショートレビュー「パリ13区・・・・・評価学1650円」
2022年04月24日 (日) | 編集 |
その街で、愛は見つかるのか?

「ディーパンの闘い」のジャック・オーディアールが描く、現在のパリに生きる若者たちの群像劇。
入院中の祖母の所有する、パリ13区のアパートに住む台湾系女性のエミリーは、ルームメイトに応募してきた教師のカミーユと出会う。
一方、32歳で大学に復学するノラは、ひょんなことからポルノ女優のアンバーと関わりを持つ。
やがてノラとカミーユは職場の同僚となるのだが、カミーユがヤリチンのプレイボーイで、奇妙な四角関係が生まれる。
原題は「Les Olympiades, Paris 13e」
つまり、24年にオリンピックが開かれるまでの、パリ13区の今の風景という訳だ。

パリの中心を流れるセーヌ川の左岸、市の南部に位置する13区は、華やかなシャンゼリゼ通りのある1区や、世界遺産のノートルダム大聖堂が鎮座する4区と異なり、20世紀後半に再開発が進み、コンクリートのそっけない巨大団地が立ち並ぶエリア。
アジア系の移民が多いほか、大学街のカルチェ・ラタンに近く、比較的家賃が安いことから若者たちが集まってくる。
私たちがイメージする、史的な建造物が立ち並ぶ花の都パリとは、大きく異なる風景が広がっている街なのである。
実際映画に出てくるのも、アパートに商店街に学校と、ごく普通の都市の風景だが、オーディアールは13区を極めて映画的に描写する。
冒頭の空撮映像に見られる、幾何学的な都市の造形がもたらす映像美は、同一パターンで構成された現代の街だからこその映像美と言えるだろう。
スタイリッシュな映像は、フランスのアーティスト、ローンが手がけたエモーショナルな電子音楽と一体化し、物語にダイナミックな躍動感を作り上げる。
例えば、台湾系のエミリーが、勤務する中華料理店で、突然踊り出すシーンは、人間とカメラと音楽が一体となった本作の白眉と言って良い。

四人の若者のうち、物語の軸となるのもそのエミリーだ。
演じるルーシー・チャンは、実際に生まれも育ちも13区という地元っ子だという。
彼女は高学歴にも関わらず、コールセンターに勤め、そこをクビになるとウェイトレスに。
人との円滑な付き合いが苦手な奔放なキャラクターで、引っ越してきたカミーユとも、すぐにセックスするようになるのだが、恋人にはならない。
カミーユも、多くの女性と関係を重ねているが、誰とも深い仲にはならないのだ。
同じ頃、30代の大学生となったノラは、若い学生たちに馴染めず、ポルノ女優のアンバーそっくりだと噂を流されて、学校に行けなくなる。
彼女は、職場同僚となったカミーユと接近するが、同時に噂の元となったアンバーとネットで繋がり、いつの間にか親友になっているのだ。
体では繋がっても、心はそれを拒否する。
あるいは、現実では繋がれなくても、ネットでは親密になれる。
お互いの関係に問題を抱えた四人は、同じ街の中でくっ付いたり離れたりしつつ葛藤し、やがてそれぞれの愛を見つける。
レイティングは「R18+」だから、性愛の描写もたっぷりで、フランス製のアートなロマンポルノという風合いもある。
ただバッチリ決め込まれたモノクロの映像ゆえ、画的な生々しさは希薄であんまりエロさは感じない。

脚本が69歳のオーディアールと、セリーヌ・シアマ、レア・ミシウスという一回り以上若い女性作家との共作なのだが、三人の女性キャラクターの造形は、シアマの傑作「燃ゆる女の肖像」を思わせる要素も。
オーディアールのストーリーテラーとしての独特な外連味と、女性作家たちによるリアルなキャラクター造形は、魅力的なコラボレーションとなっている。
エミリーはアジア系、カミーユはアフリカ系、ノラとアンバーはヨーロッパ系、ここには世界中から人々が集まる、現在のパリの縮図がある。
多民族国家をまとめ上げるのは愛。
フランスの今を生きいきと描いた、瑞々しい青春グラフィティ
古希にしてこれを撮るって、オーディアールの若々しい精神に脱帽だ。

今回は、心に渇きを抱えた若者たちの話なので、「モヒート」をチョイス。
カクテルには花言葉のようにカクテル言葉があって、モヒートは「私の渇きを癒して」だとか。
大きめのタンブラーにイエルパブエナ(キューバミント)千切って入れ、ライムジュース30ml、砂糖2tspを加え、バースプーンなどで軽く潰す。
ラム40mlと適量なソーダを加え、氷とミントを追加して完成。
モヒートという名前は、スペイン語の「mojar(濡れる)」に由来し、タンブラーの表面が結露して濡れることからと言われる。
ちなみにイエルパブエナは育てやすく、どんどん葉をつけるので観葉植物としてもオススメ。

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