酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ルネッサンス・・・・・評価額1300円
2007年07月18日 (水) | 編集 |
近未来のパリを舞台にしたSFフィルムノワール
全編にわたって、殆ど白と黒だけの極端なハイコントラスト画面で表現され、演出上のキーとなる一部分を除いて色が存在しない。
リアルに作りこまれたキャラクターと美術は、一見して実写なのかアニメなのか戸惑うが、モーションキャプチャーを用いた3DCGアニメである。
物語そのものはオーソドックスな物で、このエキセントリックな映像が本作をアニメ史の中でも特異なものとしている。
「ルネッサンス」というタイトルは、一般にはヨーロッパの芸術におけるギリシャ・ローマ文化の復興運動として知られているが、本来は中世的価値観からの人間性の解放を目的とした文化運動であり、どちらかというと元の意味の方が内容に引っ掛けられている。

西暦2054年、パリ。
アンチエイジング技術で急成長する、医療関連企業アヴァロンの若手研究員イローナ(ロモーラ・ガライ)が何者かに誘拐される。
事件を担当したカラス刑事(ダニエル・クレイグ)は、元アヴァロンの研究者で現在は街の診療所の医師であるムラー博士の過去の研究をイローナが探っていた事を突き止める。
カラスは、アヴァロンの社員でもあるイローナの姉ビスレーン(キャスリン・マコーマック)の協力のもとに、ムラー博士(イアン・ホルム)らが2006年に行った恐るべき実験の秘密を探り出す。
早老症治療の副作用として生まれたその秘密は、人類の生と死に関する常識を覆す可能性を秘めていた・・・


フランスはアニメーションの母国である。
映画が発明される以前の19世紀後半には、既にプラクシノスコープという映写機を使い、エミール・レイノーによる手描き動画アニメーションが制作されていた。
その後、(諸説あるものの)メリエスによるストップモーション技法の発見や、最初のアニメ作家とされるエミール・コールによって、映画フィルムによる近代アニメーションの歴史が始まる。
以来、現在に至るまで、ヨーロッパのアニメ大国フランスからは、時たまアヴァンギャルドで斬新な作品が登場するのである。
この作品の白と黒だけで表現される世界も、少なくとも全編これで表現した作品は過去には存在しなかっただろう。
しかし、正直なところ全体としての印象は、技法の斬新さとは裏腹に、あまり独自性が感じられないのだ。
最初から最後まで、どこかで観たような既視感がつきまとう。

まず連想するのは、実写映画ながらデジタル技術を駆使して、まるで漫画のような世界観を作り上げた「シン・シティ」だ。
この作品ほど極端ではなかったが、コントラストが高く明暗がくっきりとした画作りはもちろん、舞台となる街そのものを陰の主役に据えたあたりもよく似ている。
物語そのものは、クラッシクなフィルムノワール調なのも同じだ。
そして日本アニメ。
物語のキーとなるの早老症の子供たちからは、誰でも「AKIRA」を連想するだろうし、敵の暗殺者達が使う透明コスチュームは「攻殻機動隊」だ。
ディテールだけではなくて、全体のタッチや物語の展開はどことなく押井守+リドリー・スコット(のブレラン)を思わせる。
勿論パクリというわけではないのだが、クリスチャン・ヴォルクマンの演出、アレクサンル・ド・ラ・パトリエールマチュー・デラポルトの脚本は、あまりにも無邪気に重要なポイントに、映画的な記憶の引用がちりばめられていて、どうしても気になってしまう。

この作品を特徴付けているビジュアルも、斬新に感じられるのは慣れるまでの間。
一度こんな物だというイメージが出来てしまえば、驚きがずっと続くわけでもなく、むしろ情報量が少ない分、登場人物の顔が判別しにくくて困る。
さすがに眉毛に特徴のある主人公はわかったが、サブキャラなんて途中で誰が誰なのかよく判らないカットも多かった。
この表現自体は面白いけど、例えば背景はこれでやって、キャラクターは演技が伝わりやすい別の手法と組み合わせても良かったんじゃないだろうか。

もっとも、こうした点を押さえた上で、一本のSFフィルムノワールとしてこの映画を評価すれば、特に傑出した作品ではないが、つまらない訳でもない。
物語はしっかりと作られているし、複線もきちんと張られている。
主人公の背景がムスリム移民であったり、昨今のフランス社会のリアリズムが反映されているのも、さりげなく作品に奥行きを与えている。
テーマ性も最後にはベタベタな台詞で説明してしまっているものの、一応観た者にしっかりと伝わる様には作ってある。
そういえば、このテーマの説明台詞は殆ど映画版の「銀河鉄道999」そのものだった。
この監督と脚本家、よほど日本のアニメが好きと見える。
まあ、この「ルネッサンス」という作品を冷静に観ると、お話やテーマ性はありきたりな物で、正直なところ、このビジュアルが無ければもっと印象の薄い作品だったことは間違いないだろう。
この画で2時間近い作品を作ろうというチャレンジは評価するし、ビジュアルがアニメーション映画という表現において極めて重要なポイントであることは言うまでもないが、作品そのものの印象はまずまずの出来栄えの普通の近未来SFであり、それ以上ではない。
勿論、ユニークな作品であることは確かで、その意味では十分に観る価値のある作品である。

今回はフレンチノワールという事で、フランスのスピリッツ、コニャックから「マーテルVSOP」をチョイス。
今から300年ほど前に、ジャン・マーテルによって設立されていらい、一族経営を守り続ける老舗。
コニャックの良さである口当たりのやわらかさと、深いコクを兼ね備える名品である。
映画は、この酒のような深みが少々欠けていた。

ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね
人気ブログ検索 <br />- ブログフリーク
こちらもクリック!

も一回お願い!




フレンチアニメといえば・・・

フレンチアニメといえば・・・

スポンサーサイト

コメント
この記事へのコメント
こんにちは♪

SFがあまり得意じゃないんですが、フランス産のSFが好きで、
「ブレラン」の雰囲気も持ち合わせていたこともあって本作は愉
しく観れました♪ (゚▽゚)v
フランスは北アフリカ系の移民が多く、問題も多いようですね。
2007/07/19(木) 11:59:32 | URL | 風情♪ #s8w929I6[ 編集]
こんばんは
>風情さん
フランスのSFは独特のムードがあるものが多いですね。
アニメーションではルネ・ラルーの一連の作品が強く印象に残っています。
ファンタスティックプラネットや時の支配者など、今観ても唸らされますからね。
映像のデザイン性が伝統的に強い気がします。
2007/07/20(金) 19:10:57 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
こんにちは
ノラネコさん、こんにちは!

>このビジュアルが無ければもっと印象の薄い作品だった
僕もそんな感じを受けました。
斬新な映像だったので、物語も負けないくらい新しいものであればよかったのにと思いました。
2007/07/21(土) 09:05:48 | URL | はらやん #-[ 編集]
TBありがとうございました
ノラネコさん、TB返していただきありがとうございました。
「ルネッサンス」(私は単に「再生」の意味でとっていました)の解釈や
カラス=ムスリム移民であることなど、
気づかなかった点が多く、勉強になりました。
2007/07/21(土) 17:41:10 | URL | 紫式子 #IY7bLZJE[ 編集]
こんばんは
>はやらんさん
物語がシンプルなのは良いと思うんですが、ちょっと表層的で薄いんですよね。
影響を受けていると思われる、ブレードランナーあたりと比べると、キャラクターがもうちょっと深ければなあという感じでした。

>紫式子さん
細かいところは結構凝ってると思うんですよ。
ただ、その多くが過去の映画からの引用なのはちょっとマイナスでした。
元ネタが判るというのは消化できていないということですからね。
2007/07/22(日) 23:51:06 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
(原題:Renaissance)「さて、今日は苦手の近未来アニメ…。チャチャッとやってしまうかな」----あらあら(笑)。でも確かに、えいの苦手そうなアニメだね。退屈したんじゃないの?「うん。絵は白黒でグラフィックだし、こりゃダメかもと覚悟していたんだけど、最後の方は
2007/07/18(水) 20:26:15 | ラムの大通り
 フランス&イギリス&ルクセンブルグ アニメ&SF&サスペンス&犯罪 監督:クリスチャン・ヴォルクマン 出演:(声の出演)     ダニエル・クレイグ     ロモーラ・ガライ     キャサリン・マコーマック【物語】2054年のパリ。医療関連...
2007/07/19(木) 11:51:13 | 江戸っ子風情♪の蹴球二日制に映画道楽
●映画『ルネッサンス』オフィシャルサイト●Yahoo!映画特集ページ(~7/23)予告編でヴェルディの『レクイエム』が使われていたので、思わず観にいってしまった。ストーリーはあまり期待していなかったけど、やっぱりその見方で正解。どのプレスリリ...
2007/07/20(金) 17:46:29 | 紫式子日記
「スキャナー・ダークリー」を観に行った時のこの映画の予告があまりにカッコ良くて、
2007/07/20(金) 23:17:59 | はらやんの映画徒然草
この週末、面白そうな実写映画の公開が少ない代わりに、関西では大人向けアニメ映画の封切りが4つも重なりました。『ジーニアス・パーティ』『ルネッサンス』『ピアノの森』『河童のクゥの川流れ』来週水曜からの『レミのオイシイ簡単レシピ(平野的な意味で)』も含めると5
2007/07/22(日) 09:26:05 | そーれりぽーと
ルネッサンス 試写会(銀座テアトルシネマ)「健康 美しさ 若さ アヴァロン あなたのそばに 永遠に」白と黒の世界。日本のアニメよりはアメコミっぽい画風なのですが、なんだか本物の俳優さんで撮影したフィルムをモノクロアニメ加工したかのような映像でした。人の
2007/07/22(日) 10:09:32 | 駒吉の日記
3/20に【フランス映画祭】で観た映画の感想です。配給先も決まっていて、7月からシネセゾン渋谷などで始まるそうなので、大阪はもう少し遅いかもしれませんね。オフィシャルサイトはありますが、まだ予告編が観れるのみです。全編白黒のアニメなのですが、声優は新ボ...
2007/08/02(木) 00:32:45 | kaoritalyたる所以
7月21日(土)◆508日目◆本来なら、この日初日であるデイヴィッド・リンチ監督最新作『インランド・エンパイア』を見るはず。しかし、「わけ」あって明日(22日)になった。詳しくは……明日書けるだろう。ということで、この日は渋谷で眼鏡の修理がてらアニメ映画『ルネッ
2007/08/04(土) 16:40:11 |           
【RENAISSANCE】2007/07/14公開(10/03鑑賞)製作国:フランス監督:クリスチャン・ヴォルクマン声の出演:ダニエル・クレイグ、ロモーラ・ガライ、キャサリン・マコーマック、イアン・ホルム、ジョナサン・プライス、ケヴォルク・マリキャン2054年のパリ。医療関連の世界的複
2007/10/04(木) 12:45:00 | 映画鑑賞★日記・・・
白黒のCGアニメーションというスタイリッシュな映像の予告編を見て、結構気になって
2008/01/19(土) 13:28:21 | Wilderlandwandar
超COOL! 未来のモノトーンの街はヤバィ! ルネッサンスposted with amazlet on 08.02.27Happinet(SB)(D) (2007/12/21)売り上げランキング: 10534おすすめ度の平均:...
2008/02/27(水) 19:00:18 | ぁの、アレ!床屋のぐるぐる回ってるヤツ!
最近お気に入りのドラマは「未来講師めぐる」なピロEKです{/face_nika/} …エロビデオの話は面白かったなぁ{/good/} そして最近気になっているニュースは「十二国記」の新作が発表された(らしい)ことなピロEKです{/up/} さて、仕事ばっかりやってた一週間{/down/}...
2008/03/01(土) 00:33:12 | ピロEK脱オタ宣言!…ただし長期計画
あらすじ2054年、テクノロジーの進化と荒廃が混在する近未来のパリ。世界中に手を広げる多国籍企業アヴァロン社に勤務する天才科学者イローナが何者かに誘拐された。副社長のダレンバックは、地方検事を通じ誘拐事件専門の凄腕捜査官カラスに捜索を依頼する。すべてが不可...
2008/05/16(金) 11:04:46 | 虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映画 ブログ
フランス系のモノクロ・アニメで、予告編ではカッコよさげ・・だったけど見損なってた作品。 今頃見ようと思ったのは、お笑いコンビ「髭男爵」のおかげかなっ。 さすがにひらりん、ワイングラスは持ってないけど、 思わず「ルネッサーーンス」と叫んでしまったっ。。。
2008/06/28(土) 03:56:28 | ★☆ひらりん的映画ブログ☆★