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2022年10月28日 (金) | 編集 |
モノクロームの青春。
青春映画史に残る傑作、「ちはやぶる」三部作で実力を見せつけた小泉徳宏監督が新たに描くのは、再び「青春」と「和」の要素の組み合わせで水墨画の世界。
突然家族を亡くし、心にぽっかりと大きな穴が空いてしまった大学生、青山霜介がひょんなことから水墨画の巨匠・篠田湖山と出会ってなかば強引に弟子にされる。
将来「何者にもならない」と無気力な言葉で語っていた霜介は、純白の紙に漆黒の墨が描き出す未知の芸術に魅了され、徐々に自ら閉ざした心と向き合い、立ち直ってゆく。
主人公の霜介を横浜流星が好演。
師匠の湖山に三浦友和、一番弟子の西濱湖峯を江口洋介、湖山の孫で水墨画家の篠田千瑛を清原果耶が演じる。
おもいもかけず、水墨画の世界に足を踏み入れることになった霜介だが、ここには「蘭」「梅」「菊」「竹」の「四君子」と呼ばれる定番の草木の画題があるそうで、まずはこれを描けるようになるのが彼の目標となる。
あらゆる芸術の入り口は模倣。
霜介もはじめは見よう見まねで、湖山の線を忠実に辿ってゆく。
しかし、やがて師匠の線をただ描き写すのではなく、描き手が自分独自の線を見つけることが求められる。
タイトルを見た時「主語が“僕”じゃないの?」と思ったが、描き手が見たものの本質を心で捉えると独自の線が生まれ、今度は線が自分の心を描き出す、ということなのである。
小泉徳宏監督が描く青春の線は、非常にシャープで輪郭がくっきりとしているのが特徴だ。
原作は未読だが、取捨選択は上手くいっているようで、ダイジェスト感はほとんど感じない。
奇を衒った部分は一切なく、物語はどこまでも教科書的な超正攻法。
主人公だけだと単調に陥りそうだが、ドラマ的な変数となるのが清原果耶が演じる千瑛。
既に「美し過ぎる水墨画家」として人気を博している千瑛は、「教え下手」である湖山に変わって、霜介の同世代のメンターとなるのだが、彼女自身はスランプに陥って自分の線を見失い苦悩してる。
千瑛の描く水墨画は写真のように精巧で、技巧は最高レベルだが何かが足りない。
心の迷いが、そのまま作品に出てしまっているのだ。
本作では、霜介と千瑛を似たもの同士に設定。
師匠であり祖父でもある湖山に対する千瑛の複雑な感情を、亡き家族への霜介の想いとリンクさせることでドラマ構造を重層化。
両者の葛藤を組み合わせることで、一本調子になることを防いでいる。
しかし水墨画というモチーフはいいのだが、劇中で起きるイベント全てがテンプレ的で、既視感だらけなのはちょっと勿体無い。
一切無駄のない作劇も、逆にいえばキッチリと構成され過ぎていて、この作品自体に千瑛が描いている「技術的には文句無しだが、何かが足りない水墨画」を感じてしまい、「ちはやぶる」三部作ほどにはカタルシスが突き抜けない。
もう一つ、霜介がようやく喪失と向き合い、実家の跡を訪れるシーンでは、現場が河川敷にしか見えなくて、津波ならともかく川の氾濫で3年も住宅地を放置?と疑問を感じた。
原作のままなのかも知れないが、交通事故とか火事じゃダメだったんだろうか。
もっとも、こうした欠点を差し引いても、本作がかなり良く出来た娯楽映画であることは確かだ。
役者はそれぞれのキャラクターにピッタリハマっているし、「川っぺりムコリッタ」の安藤広樹の撮影も端正で、素晴らしい効果をあげている。
霜介の部屋が習作の山で埋もれている描写があるのだが、習作は全て横浜流星本人が描いたものだとか。
一年にわたって水墨画を学んだそうだが、役者ってやっぱ凄いわと思わされる。
だけど一番美味しいところを持ってゆくのは、一見軽目だけどやる時はやるキャラクターを演じた江口洋介なんだな。
アレはギャップ萌えでしょう(笑
今回は四君子の一つ「竹」から能登の地酒、数馬酒造の「竹葉 純米吟醸」をチョイス。
北陸の酒らしく、絹のようにサラッとした口当たり。
柔らかな吟醸香と共に、米の旨味が口にひろがる。
強いクセもなく、非常に上品なしあがりで、どんな肴にもあう万能選手だ。
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青春映画史に残る傑作、「ちはやぶる」三部作で実力を見せつけた小泉徳宏監督が新たに描くのは、再び「青春」と「和」の要素の組み合わせで水墨画の世界。
突然家族を亡くし、心にぽっかりと大きな穴が空いてしまった大学生、青山霜介がひょんなことから水墨画の巨匠・篠田湖山と出会ってなかば強引に弟子にされる。
将来「何者にもならない」と無気力な言葉で語っていた霜介は、純白の紙に漆黒の墨が描き出す未知の芸術に魅了され、徐々に自ら閉ざした心と向き合い、立ち直ってゆく。
主人公の霜介を横浜流星が好演。
師匠の湖山に三浦友和、一番弟子の西濱湖峯を江口洋介、湖山の孫で水墨画家の篠田千瑛を清原果耶が演じる。
おもいもかけず、水墨画の世界に足を踏み入れることになった霜介だが、ここには「蘭」「梅」「菊」「竹」の「四君子」と呼ばれる定番の草木の画題があるそうで、まずはこれを描けるようになるのが彼の目標となる。
あらゆる芸術の入り口は模倣。
霜介もはじめは見よう見まねで、湖山の線を忠実に辿ってゆく。
しかし、やがて師匠の線をただ描き写すのではなく、描き手が自分独自の線を見つけることが求められる。
タイトルを見た時「主語が“僕”じゃないの?」と思ったが、描き手が見たものの本質を心で捉えると独自の線が生まれ、今度は線が自分の心を描き出す、ということなのである。
小泉徳宏監督が描く青春の線は、非常にシャープで輪郭がくっきりとしているのが特徴だ。
原作は未読だが、取捨選択は上手くいっているようで、ダイジェスト感はほとんど感じない。
奇を衒った部分は一切なく、物語はどこまでも教科書的な超正攻法。
主人公だけだと単調に陥りそうだが、ドラマ的な変数となるのが清原果耶が演じる千瑛。
既に「美し過ぎる水墨画家」として人気を博している千瑛は、「教え下手」である湖山に変わって、霜介の同世代のメンターとなるのだが、彼女自身はスランプに陥って自分の線を見失い苦悩してる。
千瑛の描く水墨画は写真のように精巧で、技巧は最高レベルだが何かが足りない。
心の迷いが、そのまま作品に出てしまっているのだ。
本作では、霜介と千瑛を似たもの同士に設定。
師匠であり祖父でもある湖山に対する千瑛の複雑な感情を、亡き家族への霜介の想いとリンクさせることでドラマ構造を重層化。
両者の葛藤を組み合わせることで、一本調子になることを防いでいる。
しかし水墨画というモチーフはいいのだが、劇中で起きるイベント全てがテンプレ的で、既視感だらけなのはちょっと勿体無い。
一切無駄のない作劇も、逆にいえばキッチリと構成され過ぎていて、この作品自体に千瑛が描いている「技術的には文句無しだが、何かが足りない水墨画」を感じてしまい、「ちはやぶる」三部作ほどにはカタルシスが突き抜けない。
もう一つ、霜介がようやく喪失と向き合い、実家の跡を訪れるシーンでは、現場が河川敷にしか見えなくて、津波ならともかく川の氾濫で3年も住宅地を放置?と疑問を感じた。
原作のままなのかも知れないが、交通事故とか火事じゃダメだったんだろうか。
もっとも、こうした欠点を差し引いても、本作がかなり良く出来た娯楽映画であることは確かだ。
役者はそれぞれのキャラクターにピッタリハマっているし、「川っぺりムコリッタ」の安藤広樹の撮影も端正で、素晴らしい効果をあげている。
霜介の部屋が習作の山で埋もれている描写があるのだが、習作は全て横浜流星本人が描いたものだとか。
一年にわたって水墨画を学んだそうだが、役者ってやっぱ凄いわと思わされる。
だけど一番美味しいところを持ってゆくのは、一見軽目だけどやる時はやるキャラクターを演じた江口洋介なんだな。
アレはギャップ萌えでしょう(笑
今回は四君子の一つ「竹」から能登の地酒、数馬酒造の「竹葉 純米吟醸」をチョイス。
北陸の酒らしく、絹のようにサラッとした口当たり。
柔らかな吟醸香と共に、米の旨味が口にひろがる。
強いクセもなく、非常に上品なしあがりで、どんな肴にもあう万能選手だ。

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◆『線は、僕を描く』ユナイテッドシネマ豊洲8
▲薔薇よりも美しい。
五つ星評価で【★★★ちょっと複雑な終焉を感じる】
もう一回見たいと思わせる力作。
題材である水墨画を映画内でもう一回見直したい。
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2022/10/28(金) 21:31:17 | ふじき78の死屍累々映画日記・第二章
深い悲しみを抱えた大学生・青山霜介は、アルバイト先の絵画展設営現場で白と黒だけで表現された水墨画に魅了される。 初対面の水墨画の巨匠・篠田湖山から弟子にならないかと誘われ、戸惑いながらも生徒になった。 湖山と、一番弟子で料理係の西濱湖峰、湖山の孫娘の篠田千瑛と家族のような関係を築きつつ、水墨画の世界に没頭してゆく…。 青春ドラマ。 ≪涙をぬぐい、心を描けー≫
2022/10/30(日) 22:31:47 | 象のロケット
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アルバイト先で水墨画に出会った大学生が、声を掛けられた
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世界に魅了されていく...
【個人評価:★★★ (3.0P)】 (劇場鑑賞)
原作:砥上裕將
2022/11/20(日) 22:04:06 | cinema-days 映画な日々
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2022/11/25(金) 10:19:18 | ここなつ映画レビュー
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