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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3・・・・・評価学1800円
2023年05月12日 (金) | 編集 |
曲者たち、それぞれの旅立ち。

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の“ローリングストーンズ”こと、銀河のはみ出し者軍団「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の活躍を描く三部作完結編。
2014年の初登場以来、主に地球を舞台としたアベンジャーズ系の作品ともユーモア担当としてコラボしながら続いてきたが、シリーズの生みの親であるジェームズ・ガン監督の、ライバルDCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)への移籍と共に、一応の幕引きに。
相変わらずクセの強い、アンチヒーローたちによるお笑いスペースオペラは、シリーズの大団円に相応しい圧巻の盛り上がりを見せる。
ガーディアンズのメンバー他主要キャスト、ジェームズ・ガン監督以下主要スタッフもほぼ続投。
前作の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」でスター・ロードのオリジンを探す旅は終わったので、今回フィーチャーされるのは暴れアライグマのロケットの過去だ。
チュク・イウジ演じるマッドサイエンティストのハイ・エボリューショナリーが、ある意味サノスよりもえげつないヴィランとして、ガーディアンズの前に立ちはだかる。
※核心部分に触れています。

サノスを倒してガモーラ(ゾーイ・サルダナ)が生き返ったものの、自分とのロマンチックな記憶が失われたことにスター・ロードことピーター・クイル(クリス・プラット)はショックを受け、自暴自棄に。
そんな時、ノーウェアがソヴリン人の戦士アダム・ウォーロック(ウィル・ポールター)に襲撃され、ロケット(V.C.ブラッドリー・クーパー)が重傷を負ってしまう。
ロケットの体には治療を拒むキルスイッチが仕込まれており、解除しないと助からない。
解除コードがオルゴ・コープ社のテクノロジーであることを知ったガーディアンズは、オルゴ・コープの本社に潜入して盗み出すが、すでにコードは削除されていた。
コードを持っているのが幹部のティールであることが分かり、ガーディアンズは彼がいるカウンターアースへと向かう。
地球そっくりのカウンターアースは、オルゴ・コープを率いるハイ・エボリューショナリー(チュク・イウジ)が創造した世界で、彼は完璧な生物による完璧な社会を作ることを目論んでいた。
ハイ・エボリューショナリーは理想郷を作るために、動物を強制的に進化させる残酷な実験を繰り返していて、ロケットも彼の“作品“の一つだったのだ・・・


ジェームズ・ガンは外さないとは思っていたが、見事な三部作の大団円は、「アベンジャーズ/エンドゲーム」「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」と並ぶ、MCUのベスト。
アベンジャーズ系に客演する時以外、ほぼ独立したシリーズだったが、今回もキッチリ「GotG」の世界だけで完結する。
全員が訳ありで、何らかの傷を抱えるガーディアンズの面々が、仲間を救う冒険の果てに、新たな旅立ちを迎える物語。
キャラクターの役割的にはロケットが主人公で、見た目アライグマの彼が、いつどこで人間以上の知的生物になったのか、本当の出自が明かされる。
北米産のアライグマの子供が、イカれたマッドサイエンティストに魔改造されて、創造主以上の知性を持つ。
共に囚われていた動物の仲間と共に、いつか自由な世界に開放されると信じていたが、全てを裏切られて脱走するも、彼の体には言わば創造主の刻印として、キルスイッチが埋め込まれているのだ。

ここで登場する本作のヴィラン、ハイ・エボリューショナリーがえぐい。
ナルシストで残酷な創造主は、完璧な理想社会を作り上げるという欲求に取り憑かれている。
そのために必要なのが、完璧な住人というわけで、動物をベースに魔改造を繰り返しているのである。
いわばH•G・ウェルズの「モロー博士の島」の主人公の、宇宙版みたいな人物だ。
しかも欠陥があると、創造した世界ごと全てを滅ぼしちゃう。
MCUの最凶ヴィランといえばサノスだが、宇宙の生命の半分を消すという彼の企みは、宇宙は人口過剰でこのままだと滅びるからという、彼なりの信念と正義があった。
対してこちらは、神様気取りの男の単なるワガママなのでむしろタチが悪い。
ロケットも途中段階の欠陥品のはずだったのだが、なぜかその知性はハイ・エボリューショナリーをも超えている。
ワガママな創造主には、創造物が自分よりも上であるという事実が許せないので、かつて自分が作ったソヴリン人のアダム・ウォーロックを使って殺害、脳だけを回収しようとする。

端的に言えば悲しい過去を持つロケットが、創造主のくびきを逃れ真の自由を獲得する物語なんだが、ロケット自身は大怪我をして動けないので、終盤までは昏睡状態の彼の過去を紐解きつつガーディアンズの面々が頑張る構造。
その過程で、それぞれのキャラクターの抱えていた問題も少しずつ解消し、新たなステップへの旅立ちの準備を終える。
近しい人たちを亡くし過ぎて、今の関係に執着するクイルは、過去と向き合う覚悟を固める。
常に誰かに依存して生きてきたマンティスは、自らの足で歩み出す決意をする。
中でも、かつて家族を殺されたドラッグスが、ネビュラから彼の“本当の役割“を示唆されるのはずっとシリーズを追ってきたファンにとっても感涙もの。
もちろん彼らだけじゃなく、全てのキャラクターが立ちまくっている。
アベンジャーズみたいな全員主役級じゃないからこそ、欠点のある推したちのカッコいいことったら。

特に大きな変化をするのが、本作の主人公たるロケットで、それにはこのシリーズのもう一つの主役でもある「音楽」が紐づけられている。
前作でヨンドゥが手に入れ、クイルに渡ったZuneが重要なキーアイテム。
元々ロケットは、ガーディアンズの中でも音楽に興味を見せないキャラクターだったが、その理由も本作で明らかに。
幼い頃のロケットが、カウンターアースを見渡すハイ・エボリューショナリーの部屋で、はじめて音楽に触れるシーンがある。
その時にハイ・エボリューショナリーは、流れている音楽の内容を「ありのままの自分ではなく、あるべき姿であれ」と説明する。
これは今なおロケットを苦しめる創造主の思想そのもので、つまり彼にとって音楽とはトラウマであって、決して楽しいものではないのである。
そして自らの過去との戦いを経て、クイルからZuneを受け継いだロケットは、ノーウェアのスピーカーからフローレンス・アンド・ザ・マシーンの「Dog Days Are Over」を流し、「ありのままで」を絵に描いたような、多種多様な住人たちと共に楽しそうに踊る。
ここでの音楽は、彼にとってもはや過去の呪縛ではないのだ。

ガーディアンズの活躍によって、ロケット同様に偽りの創造主から解放されたヒューマノイドの子供たちと実験用の動物たちが、ノーウェアに逃れるのはノアの方舟のイメージか。
さっきまで戦ってた敵が、セカンドチャンスを与えられて、すぐに仲間になっちゃうと言うジャンプ漫画的な展開も、いい意味で胸アツな浪花節がウリのシリーズならでは。
感情の盛り上げにやっぱり登場人物の喪失を持ってくるあたりは、相変わらずベタだなと思うが、キャラクター揃い踏みの一気呵成なクライマックスに向けて、最高のきっかけになっていることは間違いない。
敵を倒してスカッと終わりだけじゃなくて、じんわりと噛み締めたいウェットな部分も含めて、ジェームズ・ガンは「GotG」の創造主として、見事に大人も子供も楽しめる最高のスペースオペラに仕上げている。
トロマ出身のホラー者らしいグロ趣味は、若干苦手な人もいるかも知れないが。
しかし結構な要素を、昨年末からディズニー+で配信されている「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル」から引っ張って来てるので、可能ならこれを観ておいた方がいいだろう。
ケビン・ベーコンのエイリアン・アブダクションのネタとか、ホリディースペシャル観てないと絶対に分かんない(笑

今回は、ホップ感あふれる刺激的なビール「ストーンIPA」をチョイス。
アメリカンクラフトビールの聖地、カリフォルニア州のサンディエゴに1996年の創業した代表的なIPA銘柄。
IPAとはインディアンペールエールの略で、元々はイギリスからインドに長期間かけて輸送するためにホップを大量に使用したビールのこと。
三種類のホップが作り出す、IPAの名に恥じぬ強烈なホップ感と共に、フルーティーで複雑なアロマが広がってゆく。
ガーディアンズに相応しい、クールな味わいの一本だ。

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コメント
この記事へのコメント
完結?
ノラネコさん☆
ケヴィン・ベーコンどこで出たっけ?と思っていたら、ホリデースペシャルだったのですね・・・他は復習しておいたのに、ディズニー+入ってないから見れなくて残念!
笑わせてアクションや爆発もたっぷり、ちゃんとしっとりするって最高でしたね☆
それにしてもあれだけの技術あるのに、自分の顔は治せないんだ?って思いました(笑
2023/05/14(日) 09:02:19 | URL | ノルウェーまだ~む #gVQMq6Z2[ 編集]
こんばんは
>ノルウェーまだ〜むさん
最近はディズニーに限らず、配信作品と絡ませるケースが多いのが困りますね。
まあ観てなくても問題なく楽しめるけど。
ちなみにホリデースペシャルは楽しい作品です。
2023/05/19(金) 16:21:06 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
ロケットの頭脳は特別
このシリーズは楽しいので好きなのですが、ロケットにあんな悲しい過去があったなんて。
ロケットの過去以外にも、ちょっと感動する場面がいくつかあって、シリーズで一番楽しめました。
2023/05/22(月) 21:52:35 | URL | 風子 #z8283xuI[ 編集]
こんばんは
>風子さん
ロケットの過去は今まで曖昧にされていましたからね。
悲惨すぎてかわいそう。
シリーズの大団円として、これ以上ない仕上がりでした。
2023/05/29(月) 22:17:21 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
こんばんは
このシリーズで本気で楽しめたのは初めてかな。とても面白かったです。
ロケットを救うんだ!という縦糸が全編できちんと徹っていたので、分かりやすかったのかも。個々のキャラも把握できてたし。

敵役の駄目さ加減かメーター振り切っていて素晴らしいですね。
せめて失敗した世界残しておくなら救いようがあるのに。多分、それが形に残ることや、変に発展してそこから成功しちゃうのがイヤなんでしょうね。

ラスト、マンティスが背中を向けるまで涙を見せないドラックスが良かった。
「やっぱ元サヤとはいかねえか」と思わせて、あちらにきちんと家族が出来ていたのが描かれるガモーラも。
あと、犬可愛いよ、犬。
2023/07/15(土) 00:46:08 | URL | 焼き鳥 #9L.cY0cg[ 編集]
こんばんは
>焼き鳥さん
>敵役の駄目さ加減かメーター振り切っていて素晴らしいですね。

ある意味サノスよりえげつないですからねw
心置きなくぶっ殺されてほしいナイス悪キャラクターでした。
宇宙を舞台とした人情喜劇として、唯一無二のシリーズになったかと思います。
またいつか戻ってきて欲しいなあ。
2023/07/17(月) 21:39:37 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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